永井路子『この世をば(上)』
★★★★☆
【Amazonの内容紹介】
直木賞作家・永井路子氏の作品が遂に電子化!
時の権力者、関白・藤原兼家の三男坊の藤原道長は、
時の権力者、関白・藤原兼家の三男坊の藤原道長は、
機転が利きカリスマ的な存在感を放つ長兄の道隆や
野心家である次兄の道兼に比し、平凡でおっとり、
出世も遅々としていたが、
姉である詮子の助力を得ながらも、
左大臣の娘・倫子と結婚する。
以来、徐々にではあるものの、道長にも運が向いてきて、
姉・詮子、妻・倫子などの支援を受けながら
出世街道を上りつめていく……。
表面的な華やかさに誤解されがちな人間・藤原道長の素顔を
見事に浮かび上がらせた名作。
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永井作品の一部がkindleで99円セールになっていたため、
11冊まとめて購入。
これは中学生のときに読んだはず。
道長が倫子に平謝りする場面以外、
全然覚えていないのだが……。
上巻は、平々凡々に生きてきた道長が
内覧になることが決まった、というところまで。
二番目の妻・明子の描き方が印象的。
父親が高官で、なおかつ健在だった倫子とは、
政治のための結婚。
道長は、彼女をいとしく思い、
頼りにもしているのだけども、
倫子はやっぱり、タッグを組んで
政界を乗り切っていくためのパートナーなんだなあ。
一方、血筋は高貴だが、政治的には役に立たない
(庇護していた姉との絆を深めることにはなったが)
明子には恋をしていて、庇護欲をかき立てられている
道長なのであった。
これまでに読んだ関連本からの印象だと、
明子の産んだ子たちは、大事にされていない感じなのだけども、
どう説明をつけるのか、下巻が楽しみ。
藤原実資がずーっと「意地悪評論家」って表現されているのに
笑ってしまう。