金木犀、薔薇、白木蓮

本と映画、ときどきドラマ。
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159:奈良文化財研究所 『平城京のごみ図鑑: 最新研究でみえてくる奈良時代の暮らし』

2020-07-12 16:49:26 | 20 本の感想
奈良文化財研究所 『平城京のごみ図鑑: 最新研究でみえてくる奈良時代の暮らし』(河出書房新社)
★★★★★

【Amazonの内容紹介】

1300年前の“ごみ”からここまで読み解ける!!
大極殿周辺や西大寺食堂院跡、長屋王邸宅跡などより出土したごみから、
奈良時代の暮らしに迫る!!
平城宮跡資料館の大好評企画展、書籍化!!
本で楽しむ博物館。

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これもとても面白かった!
平城宮を建設する際に、古墳を壊してしまっていたこと、
どうやら土地や石材を使うために古墳の破壊が結構
行われていたようであること、
指の関節の長さを記録した定規みたいなのを
IDカードのように本人認証のために使っていたこと……等々、
当時の感覚やシステムに驚く。

酒やサバを無心したり「おかずがまずい」と報告書に書いたり、
「塩が支給されないってどういうこと?」と文句を書きつけたり、
立小便を禁止したり……と木簡がやっぱり面白い。
『続日本紀』では一度しか出てきておらず、
誤記を疑われていた一族名が実在したことや、
『日本書紀』に登場した百済からの使者が
渡来人として日本で代を重ねていたことが
木簡の削りくずからわかったりするのもロマンがある。

何となく絵の技法って時代が下るにしたがって
洗練されていく印象があるんだけど、
当時の土器や人型に書かれた人の顔は、今とそれほど変わらない。
漫画にありそう。

そして、化学分析って本当にすごい。
酸素とストロンチウムの同位体の存在割合が地域によって異なっており、
平城宮跡から出てきた馬の歯や骨を調べれば、
その馬が国内のどの地方の出身だったかわかるそうだ。

コメント
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