三島由紀夫『奔馬―豊饒の海・第二巻』(新潮文庫)
★★★☆☆
はやり病といってもいい右翼思想に感染し、陶酔した少年が、
自らは真剣に「国のため、陛下のため」に暗殺を企てるが
周囲の大人たちに寄ってたかってそれを阻まれる話。
最終的に本懐を遂げる主人公は、視野狭窄に陥った自己陶酔野郎なのだが、
華麗な文体とも相まって何やら清冽なものも感じさせる。
愚かなことは醜いが、美しいと錯覚させるものも内包している。
しかしまあ、どうしたって、割腹自殺した作者と主人公を
重ねて見ずにはいられないよね……。
個人的には清顕のことを気持ち悪いとしか思わなかったので、
本多や飯沼の彼に対する思い入れを奇妙に感じてしまう。
★★★☆☆
はやり病といってもいい右翼思想に感染し、陶酔した少年が、
自らは真剣に「国のため、陛下のため」に暗殺を企てるが
周囲の大人たちに寄ってたかってそれを阻まれる話。
最終的に本懐を遂げる主人公は、視野狭窄に陥った自己陶酔野郎なのだが、
華麗な文体とも相まって何やら清冽なものも感じさせる。
愚かなことは醜いが、美しいと錯覚させるものも内包している。
しかしまあ、どうしたって、割腹自殺した作者と主人公を
重ねて見ずにはいられないよね……。
個人的には清顕のことを気持ち悪いとしか思わなかったので、
本多や飯沼の彼に対する思い入れを奇妙に感じてしまう。