今年2017年の2月にモナコのモンテカルロ歌劇場で初演を迎えた、ワーグナーのタンホイザーのフランス語パリ版の復活上演。ホセ・クーラがはじめてワーグナーに挑戦するということでも話題になりました。
このプロダクションが早くも、DVD・ブルーレイになるようです。 → *2018年12月現在、まだリリースされたという情報はつかめていません。どうなっているのでしょう??
→ 残念ながら見られなくなっています。
代わりに、アップされた本編の録画を。
Tannhäuser
"This Monte Carlo opera production is a world premiere! For the first time Jean-Louis Grinda staged the french version of Wagner’s romantic opera which was a flop after its first performance in 1861. José Cura gave his debut in the complex role as Tannhäuser under the direction of Nathalie Stutzmann who is also well-known as opera singer. With her, a congenial partner was found to interpret Wagner’s music with such sensuality, intensity and love how this extensive opera requires it."
(ArthausMusik)
「このモンテカルロオペラのプロダクションは世界初演! ジャン‐ルイ・グリンダは、1861年の初演以降、はじめて、この失敗に終わったワーグナーのロマンチックオペラのフランス語版を演出した。ホセ・クーラは、オペラ歌手としても有名なナタリー・シュトゥッツマンの指揮のもと、複雑な役柄であるタンホイザーとしてデビューを果たした。彼女と、気心の知れたパートナーたちは、ワグナーの音楽を、この巨大なオペラが必要としている官能性、強烈さ、愛とともに解釈した。」(ArthausMusik)
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まだ発売予定日や日本での発売の有無、価格などは、情報がみあたりません。
このプロダクションについては、これまで7回の投稿で、レビューや放送予定、クーラのインタビューなどを含め紹介してきました。
クーラにとっては、念願の、初のワーグナー挑戦で、まったく新しい地平を開く成功をおさめました。またプロダクションそのものが大きな歴史的な意義を持つものとして、多くのレビューから高く評価されています。
この仏語のパリ版は、ワーグナー自身の手によって作成されたものであり、当時のパリ特有の背景もあってこの時の上演は失敗に終わったものの、その後のパリでのワーグナー人気に火をつけるきっかけとしても、ワーグナーのこの作品をめぐる探究、努力と試行錯誤の過程のひとつとしても、重要な意義をもつものだそうです。
そういう経過があるために、タンホイザーのスコアは、独語版、仏語版ふくめ、多くの版があり、さまざまな研究がすすめられているものの、フランス語パリ版としても決定版がどれかというのは、未だ議論があるようです。
今回のプロダクションでは、この舞台をモンテカルロ歌劇場で鑑賞された方が劇場関係者から得た情報によると、ショット社によるワーグナーの新全集のスコアを使用しているとのことでした。
ショット社のHP
ワーグナーの探求と版をめぐる議論については、私にはこれ以上、詳しいことはわかりません。しかしこの復活したパリ版仏語上演は、これまでのドイツ語版とは「まるで別物だ」と感じられるようで、それは、一方では拒否感を持たれた方もあるでしょうし、一方では、まったく別の魅力を感じた方もいることと思います。「より官能的でセクシー」「パッションにあふれる」などの声がみうけられました。
これまでもレビューから紹介しましたが、ワーグナー協会のHPにも明記されていたこのプロダクションには、ドイツをはじめとして非常に注目が寄せられ、意義、上演の質ともに高く評価されました。いずれにしても、こういうワーグナーもあるんだ、こういう解釈・パフォーマンスも可能なのだということで、ワーグナーの芸術の深さ、豊かさの一端を示す公演ではなかったかと思います。
またクーラの歌手としてのキャリアの上でも、特筆すべき出来事、重要な芸術的な実りの1つとなったと思います。
DVD発売が楽しみです。詳細がわかりましたら、また紹介します。
*画像はモンテカルロ歌劇場のFBなどからお借りしました。