A WOX/Auxin Biosynthesis Module Controls Growth to Shape Leaf Form
Zhang et al. Current Biology (2020)30:4857-4868.
doi:10.1016/j.cub.2020.09.037
Dispatches
Plant Development: Coordinating across Space and Time
Annis Richardson Current Biology (2021) 30:R1492-R1494.
doi:10.1016/j.cub.2020.10.041
シロイヌナズナでは、WUSCHEL-RELATED HOMEOBOX(WOX )遺伝子ファミリーのWOX1 とPRESSED FLOWER(PRS/WOX3 )が葉身の成長と周縁細胞の特性を制御している。しかしながら、WOX1/WOX3 がどのようにして最終的な葉の形を作り出しているのかは明らかとなっていない。ドイツ マックスプランク植物育種研究所のTsiantis らは、変異体の解析からシロイヌナズナではWOX5 もWOX1/WOX3 と共に冗長的に葉形の制御に関与していることを突き止め、RNA-seq解析からwox135 三重変異体芽生えではオーキシンシグナル伝達や生合成に関与する遺伝子の発現が低下していることを見出した。また、wox135 変異体芽生えはIAA複合体のIAAsp、IAAGluやIAA異化物のoxIAAの含量が野生型よりも少なかった。そこでオーキシン生合成が機能喪失したyucca 変異体について葉の表現型を観察したところ、yuc146 三重変異体やyuc1246 四重変異体はwox13 変異体やwox135 変異体のように細葉で葉形が多様で非対称であることが判った。これらの結果から、wox135 変異体ではオーキシン生合成が抑制されており、WOXとYUCCAは同じ経路を介して葉の成長を部分的に制御していることが示唆される。YUC 遺伝子の葉での発現を見ると、YUC1 は葉基部の周縁部で発現し、YUC4 は葉先や鋸歯部で発現していた。また、YUC4 は葉が発達するにつれて発現領域が基部から周縁部に沿って遠位に拡大していった。一方で、wox135 変異体ではYUC1 、YUC4 の発現は葉柄基部では見られるが周縁部での発現は強く減少していた。このことから、WOX 遺伝子はYUC1 とYUC4 の葉縁部での特異的発現に必要であると考えられる。wox135 変異体においてYUC1 をWOX3 プロモーター制御下で葉原基周縁部で発現させたところ、細葉から野生型のような丸い葉形に回復した。したがって、周縁部での局所的なYUC 遺伝子の活性化は葉身の成長にとって重要であると考えられる。葉のタイムラプス撮影による成長過程の観察から、野生型植物の葉身では、細胞の成長と増殖に求基的な勾配が見られるが、wox135 変異体の葉は縦方向の成長は正常だが葉身基部での細胞増殖が低下したために、細葉となることが判った。したがって、WOX 遺伝子は葉身の個々の領域で成長の方向性に対して異なる影響を示し、葉身基部では横方向と縦方向の両方向の成長と細胞増殖を促進していると考えらられる。以上の結果から、WOXによるオーキシン生合成の調節がもたらす葉身の成長勾配がシロイヌナズナの楕円形の葉を形成すると考えられる。
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