Light Activates Brassinosteroid Biosynthesis to Promote Hook Opening and Petiole Development in Arabidopsis thaliana
Hamasaki et al. Plant Cell Physiol. (2020) 61:1239-1251.
doi:10.1093/pcp/pcaa053
ブラシノステロイド(BR)は光形態形成の負の制御因子とされているが、内生BR量は明所で育成した植物の方が暗所で育成した植物よりも高い。このことは、光はBRの生合成もしくは蓄積を正に制御していることを示唆しており、BRは光形態形成において何らかの役割を担っていると考えられる。横浜市立大学 木原生物学研究所の嶋田らは、黄化シロイヌナズナ芽生えに光照射した際のフックの立ち上がりや葉柄の伸長がBR生合成阻害剤Brz220によって阻害され、同時にブラシノライド(BL)処理をすることで回復することを見出した。一方で、Brz220処理は子葉の展開と緑化には影響しなかった。このことから、光形態形成の際のフックの解除や葉柄の発達はBRによって制御されていることが示唆される。光照射は、フックや子葉でのBR生合成酵素遺伝子DWF4 、BR6ox2 、BR6ox1 やBR応答遺伝子SAUR-AC1 の発現を活性化した。これらの遺伝子の光照射による活性化は、フィトクロム関連の変異体hy1 、hy2 、phyAphyB や光シグナル伝達の変異体hy5 では抑制された。hy 変異体での光照射によるフックの解除や葉柄の発達は野生型と同等であったが、phyAphyB 変異体では遅延がみられた。以上の結果から、光照射はフィトクロムやHY5を介してBR生合成を活性化し、生成されたBRは光形態形成におけるフックの解除や葉柄の発達を制御していると考えられる。
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