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Laboratory ARA MASA のLab Note

植物観察、読んだ論文に関しての備忘録
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論文)遠赤色光による種子発芽の抑制機構

2009-08-20 23:02:49 | 読んだ論文備忘録

Far-red light inhibits germination through DELLA-dependent stimulation of ABA synthesis and ABI3 activity
Piskurewicz et al.  The EMBO Journal (2009) 28:2259-2271.
doi:10.1038/emboj.2009.170

種子発芽は光の質、温度、水ポテンシャルといった環境要因によって厳密に制御されている。これらの要因は種子発芽に対して拮抗的に作用するジベレリン(GA)とアブシジン酸(ABA)の2つの植物ホルモンの相対的な量を制御している。葉の陰になり遠赤色光(FR光)成分の多い光の下では、フィトクロムB(phyB)が不活性型となっており、GA量が少なくABA量が多いために発芽は起こらない。ジュネーブ大学のLopez-Molina らのグループは、シロイヌナズナを用いてFR光下での発芽抑制におけるGAシグナルとABAシグナルの関係について解析を行なった。その結果、FR光下での発芽抑制の際には、bHLHタンパク質のPIL5がGAシグナルの負の制御因子であるGAIRGA の発現を誘導し、これらのDELLAタンパク質がABA合成に関与しているとされているRING-H2因子XERICO の発現を誘導して種子の内生ABA量を高めていることがわかった。そしてABAはABAシグナル伝達に関与する転写因子のABI3 やDELLAタンパク質RGL2 の発現上昇をもたらして、種子の発芽を抑制していた。また、DELLAタンパク質は種皮の破裂を抑制し、ABI3は内乳(糊粉層)の破裂を抑制していることがわかった。


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