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<リアル 大相撲夏場所 ルポ>明日6日目になっても、悪しき根本問題には「手付かず!」のままか! 

2013-05-16 21:07:00 | スポーツ

Dscf2877 八百長が発覚することもなく、無事に「春場所」が終わり、この5月12日から「夏場所」が始まった。

 また、大量の力士が、八百長の証拠隠滅のために、携帯電話つぶしをすることも、なく、。

 しかし、明らかな、「不正」が今も,堂々と大手を振って、まかり通っていることを、ご存じだろうか。

 本場所の「立ち合い」だ。

 行司が、「両手ついて!」と、必ず両力士に、声を掛け、注意を促しているにも関わらず、無視!

 昨年から、そのデタラメさが、気になり始めていた

 上に載せたのは、日本相撲協会の、ホームページにある、正しい仕切りとして、載っているイラスト。仕切りの延長上にある、「立ち合い」

 イラストのように、キチンと両手の拳を土俵に付けてから、立ちあがるのが正しい。

 ところが、横綱・白鵬以下、立ち合いをキチンと行っている力士は、皆無に等しいことが、分かった。

 今の力士の立ち会いたるや、勢いを付けてたち上がるため、スピードが速く、そのままの画像では、両手をキチンと土俵に付けた後、立ちあがっているかどうか、分かりにくい。

 そんな立ち合いを絶賛した、親方や、解説者までいる。

 そのため、ここ数年分の、本場所を録画したものや、「大相撲 幕内の全取組」など、いわば大相撲ダイジェストをつぶさに、見た。

 それだけじゃない。NHK-BSの、序二段や、三段目が土俵に上がる取り組みも録画しておき、一番一番、スローモーションや、コマ送りにして、チェック。

 中には、数少ないが、キチンと正しい立ち合いをしている力士も、いた。そちらの方に、驚き、その力士のしこ名を大きく書いてやろうか? と思い、次の場所を見ると、片手付きだったりして、ガックリきたこともあった。

 おそらく、いくら何でも、力士を育成する「相撲教習所」では、手なんぞ付かなくてもいい、などという教えはしていないはずだ。

 それが、「待った」の多さが目立つと、注意はされても、立ち合いの不正や、デタラメさでは、注意もしない。あれほど、行司が軍配を手に、口酸っぱく注意してるという のに・・・。

 かつて、有名行司にロング・インタビューしたことがある。むろん、人気力士にも取材・インタビューしたこともあり、稽古場はもちろん、大阪など、地方場所にも足を運んだ。地方の「花相撲」も、数多く見たが、「引退相撲」と同じく、アレはガチンコとは程遠く、無理してまで見る価値は無い。

 そんななか、立行司以下、行司の持つチカラは、驚くほど非力だということも、知った。.

 皮肉を込めて言うなら、土俵を見つめる元力士も、解説をしている元力士も、そのデタラメな立ち合いを、注意できない。

 なにしろ、自分たちもデタラメを、いつもしてきたから。

 というのも、過去の力士の取り組みも、コマ送りしてチェックしまくった。

 キチンと正しく両手の拳を付いていたのは、双葉山までさかのぼらなければならなかった。

 栃錦も若乃花も、大鵬も、柏戸も、北の湖も、若貴兄弟も、ドルジも、すべて両手付かず!

 ウソだと思う人は、同じ作業をしてみれば分かる。

 あきれてしまう。

 たかが、立ち合いというなかれ。相撲を神事というのなら、神を冒涜してるのだから。

 「日本相撲連盟」というところが、ある。相撲をやった人ならわかるだろうが、ちびっこ相撲や、ワンパク相撲から始まって、大学選手権、アマチュア相撲に至るまで、それを統括する団体組織だ。

 そこへ、聴いた。

 「そうですね。キチンと両手を付いてから、立ち上がって戦うというのが、基本です」

 --大相撲、ご覧になったこと、ありますよね?

 「ええ、まあ」

 --あのように、両手をキチンと土俵につかず、デタラメな立ち合いをしてたら、どう、行司さんは、判断されるのですか?

 「止めます。もう1度、キチンと、とり直しさせます」

 ーーそれでも、かまわず、デタラメを強行する力士は?

 「いませんねえ。記憶には無いですね。まず、2度目は、しません。それで、失格になったのは、少し、詳しく、調べて見なければわかりませんが」

 アマチュアが、神事にのっとって正しく行ない、プロは、デタラメ!

 ある力士は、片手だけチョン付き。またある力士は、片手を付いて、もう片手は、擦るようにすくい上げる。

 またある力士は片手だけ擦る。もう片手は、ぶらぶら。

 両手を付くこともせず、じりじりと相手力士を待たせるなど、姑息な策略を弄する力士も多い。下位の力士にも多く、デタラメが蔓延していることが、判明した。

 そばで、「両手付いて」と行司が言ってるにも関わらず。

 まったく両手を宙に浮かしたままの、とんでもない野郎もいた。それが、なんとアマチュア横綱や、学生横綱の看板を背負って、角界入りした、今、幕下の力士。

 つい最近まで、キチンと正しい立ち合いをしていたはずなのに、こうまで変わるか? と、怒りさえ湧いた。

 白鵬などは、正しい立ち合いをしている、子供の相撲大会を、支援しているのだから、どこか、おかしい。

 分かりやすく、例えて言えば、100メートル競走の、スターティング・ポーズは決まっている。それを守らずに、テキトーに走り出すのに、似ている。

 今は、1度でもフライングしたら、出場停止だ。

 同じ条件と、姿勢で始めるから、「スポーツ」なのだ。

 だから、大相撲で、両手をキチンと付かないで立ったら、イエローカードを出し、2度やったら「負け」にすれば良い。すべての行司に、その即断をさせるべきだろう。

 自分たちは、理事長以下、デタラメをやってきたが、ここで正しい立ち合いを施行していかなければ、永遠にデタラメが、続くことになる。

 日本相撲協会の理事会は、月に1回、定例に開かれている。理事は、みんな元力士。頑なに外部は入れないという、閉鎖性は、強固な体質だ。

 広報担当に、聞いた。

 ―――今まで、「立ち合い」不正と正常化が、議題に上ったことは、ありますか?

 「さあ、記憶にはまったくありませんね」

 --いまの力士の「立ち合い」は、正しくない。デタラメですよね?

 「そういうご意見や見方があるということは、聴いてはおきます」

 ーー今後、議題に上る可能性は?

 「無いと思いますが」

 今日もまた、、決して正しくは「国技」でも何でもない格闘技が、客を集めて開かれる。

 ちなみに、八百長問題が騒がれた時、日本に駐在している、外国人特派員たちは、いきり立つ日本人記者を見て、不思議そうな眼差しを向けていた。

 なんで? と、逆に、不思議に思い、聴きまくった。

 彼らは、軒並み、こう答えた。

 「私たちは、大相撲をスポーツとして見たことは、ただの1度もない。あれは、様式美を客に見せる、いわば裸の歌舞伎みたいなもの。力士じゃなく、スモー・レスラー。言い換えれば、プロレスだよ」

 不正、デタラメな「立ち合い」が、横行したまま、今日も続く。

 何のペナルティーも、課すこと無く。

 これが「国技」と、まだ強弁するのなら、日本人として、恥ずかしい

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 この問題は、読者に大きな関心を抱いて戴いたようで、アクセス数も多かった。

 書いた者の責任として、深夜、人々が寝静まった頃に放送される「大相撲 幕内の全取組」や、BSの幕下からの取り組みも、録画して、翌日、「立ち合い」のところを、チェックしている。

 気持ち、少~し、両手を付いてから、立ち上がる力士が、増えている・・・・・・ような気もしないでもないが、”手綱(たづな)”を緩めることなく、見つめていきたい。

 明日は、6日目。

 まだまだ、この問題は根深く、文字通り”手付かず”のままだ。

 国技館へ見に行かれた方々の中から、「両手、付いてないぞお!」 「取り直し!」などの、声援が飛ぶ日を、秘かに望んでいます

 

 

 

 


<リアル ボクシング ルポ>5月6日の世界ダブル防衛戦。その採点、ジャッジ、レフェリーの判断に???

2013-05-13 18:50:44 | スポーツ

 ひょっとして、5月の連休と、その前後にひしめいた世界タイトルマッチでも、ある人によっては、その裁定と結果に、疑問・疑義・不思議さ・・・・を感じた人もいるかも知れない。

 私は、表題に挙げた5月6日の、河野公平と、内山高志のダブル世界戦について、自ら取材を重ね、試合開始前に、その「展望」として、駄文も打った。

 で、結果だけを見るのなら、ほぼその通りになった。そこに、異議はない。

 だが、試合後に戴いた「スコア・シート」をラウンド毎に、詳細に追っていって、驚いてしまった!

 確かに、ボクシング競技は、相手をKOして、倒し切らないと、ジャッジ3人の裁定によって、結果は左右されがちなことは、すでに、知っている。

 加えて、裁定にこそ加わらないが、レフェリーの試合さばきによって、試合の流れと、印象が変わってゆく可能性があることも、幾多の経験で、知ってもいる。

 さらに、「WBA世界戦ルール」として、「10ポイント マストシステム」なるものが、採用されていることも。

 ボクシングに、真に詳しい人は、すでにご存じだろうが、10ポイントを最高点にして、どのラウンドでも、ポイント差を、最低1ポイントは付けるようにしなさい。そのほうが、望ましい、とのシステムだ。

 日本ボクシング・コミッションによれば、「よく、誤解されて受け止められがちですが、決して強制では、ありません」とのこと。

 そういうことに、なっている。う~ん・・・・・びみょ~・・・・・・・

 しかし、観客の目線からすれば、例えば、このラウンドは、双方頑張っていて、とりたてて差が無いラウンドだなあ。どっち付かずだよ。

 また、どちらも、相手の出方の様子見で、手数や、有効打も少ないまま終わったラウンドだなあ。

 双方、打ち合った末に、スタミナが切れかかって、両選手の小休止ラウンド。

 そんなラウンドにおいても、どちらかに10.片方に、9。ないし、それ以下を付けた方が良い。そういう、採点記入システムなのだ。

 これは、WBAだけでは、ない。 WBCも、同様だ。この4月から、日本も加盟することにした、WBO、ならびにIBFも、同様だという。

 この採点システムは、5~6年前からとのこと。

 なんと、意識したこともなかったが、C級からA級までの、日本のタイトルマッチを頂点とする試合。そして、東洋・太平洋(OPBF)タイトルマッチを頂点とする、東洋全域の試合にも、適用されているのだと、いう。

 つまり、我々が目にする全ての試合が、「10ポイント マストシステム」で、採点されている、ということになっている。

 たまに、拝見出来る機会がある「スコア シート」で、「10-10」が記入されているのを見かけていたので、我が国では、上記のように誰しもが思うラウンドでは、キチンと、一般人のボクシング・ファンの感覚がスコアに反映されてる、とばかりに想い込んでいた。あちゃ~!

 ジャッジが、内心、どちらかなあ?  どっちとも差をつけがたいなあ?

 そう迷っていても、ラウンドが終わった途端、レフェリーがすかさず、ジャッジ・ペーパーを3人から、収集してゆく。急いで、片方に10、もう片方に9を、書き込むように、勧めている。

 とりわけ、世界タイトルマッチでは、それが顕著に推進されている。

 それが、積算した結果、思わぬ点差となって、開いていく。チリも積もれば、山となるではないが、書き込んだ当人が、驚くかも知れないほどに・・・・・・・

 その積算”恩恵”に、日本人プロボクサーとして、最大に受けているのは、亀田興毅ではなかろうか。

 全員とまでは、言わないが、彼の試合を会場並びにテレビで見た観客の殆んどが、試合を通して見て、興毅が判定負けとの、感想を持った。

 なにより、興毅の試合後の、不安そうな表情を見れば、誰しもが、それがよく解る。

 それでも、彼のひいきや、熱烈なファンならば、良くて引き分け(ドロー)で、何とか辛くも防衛かな? との試合が、ここ2戦続いた。

 例えば、昨年12月4日、当時「休養王者」扱いで、彼と親しい記者が、心配するほど練習をしていなかった興毅が、1位のウーゴ・ルイスと、「王座決定戦」。

 フルラウンド戦って、判定に持ち込まれた。

 誰の目にも、興毅の負けと映った。

 ところが、採点のふたを開けてみれば、113-117と、興毅4ポイント差負けを付けたジャッジが1人いたものの、あとの2人は、116-113、115-113と興毅リードをつけ、結局、2-1で、興毅の防衛という結果に。

 畑山隆則が、厳しくこの結果のおかしさをクチにした。

 次いで、今年4月7日。同じく大阪で、WBAバンタム級王者としての6度目の防衛戦を、パノムルン・レックを招いて、行なった。

 この試合もまた、苦戦。判定に持ち込まれ、誰の目にも・・・・・・

 しかし、判定は、115-113.115-114。そして、113-116と、またも2-1で、興毅防衛。

 この2試合、どちらの試合の全ラウンドに、ポイント差が付いていた。システムからすると、そうなのだろうが、ラウンドごとに、詳しく、じっくりと見つめた。明らかに、差がない。そうとしか思えない、ラウンドもあったのだが・・・・・・

 興毅は、リング上で土下座。インタビューも、まるで敗者のような弁に終始した。

 それでも、勝ちは、勝ち・・・・・・

 別に、ことさらに興毅を、標的にしているわけではない。ただ、もしこの裁定が、かつての、10-10が生きていたなら、結果は違ったものになっていたのではないか?  そう思えて、ならない。

 今年に入って、数人のジャッジ、レフェリーに、直接聞いたことがある。

 ーー10ポイント マストシステム

<つづく>

 


<リアル ボクシング ルポ>東洋・太平洋スーパー・ミドル級チャンピオン清田「拳王」祐三。世界戦へ!!

2013-05-09 17:51:25 | スポーツ

  どこからか、陽春の風に乗って、噂が、私の耳に届いた。

  東洋・太平洋(OPBF)スーパー・ミドル級チャンピオンである、”拳王”清田祐三(写真・下)と、ロンドン・オリンピック ボクシング ミドル級 金メダリスト 村田諒太が、年内の試合成立目指して、目下、関係者が、水面下で交渉中であるという。

Dscf5175 ボクシングファンなら、それが正式決定したなら、どんな”激闘”になるか、容易に想像がつくはずだ。

 なにしろ、村田諒太(りょうた)といえば、ボクシングを知らない人でも、その名前を1度は耳にしたことがあるはず。

 そう、確信をもって書けるほどの有名人であり、知名度は群を抜いている。

 1度は、プロへは行かないと断言したものの、のちにそれを撤回。東洋大学職員として定年まで勤めたと仮定して、もらう退職金(推定 3500万円)を上回る「契約金」をフジテレビから提示され、一躍有名になった妻と、悩んだ末に受領。

 そして、練習と試合に専念出来る環境を整えてもらった。その上で、プロボクサーとしての所属は「三迫ジム」に置く。

 今後、村田の全試合を独占放送するフジテレビとの交渉や、マッチメイク。そしてアメリカのネバダ州ラスベガスでの、将来的な世界戦略と、練習環境や試合は、「帝拳ジム」が担当するという、ちょいと複雑な背景のなかで、プロボクサー・村田諒太は誕生。

 村田は、近日中に、そのラスベガスへ向けて、短期視察に出発する。

 「プロ」としてやっていけるか? の、実力は、「公開プロテスト」という異例の形で、この4月16日、後楽園ホールから、異例のテレビ中継をされた。

 相手は、前・日本ミドル級チャンピオンの、佐々木左之介。ヘッドギアを装着し、佐々木相手に、「アマチュア」から「プロ」への変貌と、プロでも十分やっていける実力を見せつけ、一足飛びに「A級ライセンス」を手にした。

 通常なら、考えられない超!厚遇。

 実は、このスパーリング。相手の佐々木に打診があったのは、テストのわずか3日前。それも、現・チャンピオンの胡朋宏(えびす・ともひろ)に断られて、急きょ佐々木に打診という、あわただしい泥縄式流れ。

 そんな背景が潜んでいても、テスト後の評価は、うなぎのぼり。元・世界チャンピオンたちを、大挙して列席させて、フジテレビの「意図」に沿って、彼らも手放しで大絶賛!

ところが、意外に世間・一般の関心は低く、ゴールデン・タイムで中継放送したにも関わらず、なんと視聴率は、たったの1ケタ、6・9%。

 井上尚弥という”怪物”との、2枚看板を取り揃えたにも関わらず、この数字では、惨敗という他ない。

 その一方で、かくいう私の評価は低く、村田は首の皮どころか、薄皮1枚やっと残って、金メダルを獲ったに過ぎない”薄氷”メダリストと、思っている。

 Dscf5731

 録画を、観直しても、そう思う(写真上・左)。

 かつて、スケートの荒川静香が、金と銀の候補が共にスケートリンクで滑ってこけて、本来は銅に過ぎなかった彼女に金が、運よく転がり込んだ状況に、似ている。

 まあ「銅」だけれど、ばらせば「金」と「同」だしね。

 村田の、その強さの「真価」と、「進化」が、問われるのは、まさにこれからだと思っている。

 さて、だから、さまざまな選手や、トレーナー、付和雷同的な発言をしないと思われる方たちにも、村田諒太の実力を聴きまくってみた。

 ほぼ全員が、やっていける。それも、かなり上まで行けるだろうね、とのこと。

 「ただし」 ん!? ただし?

 「清田祐三には、今の実力なら、到底勝てないだろうねえ。下手すると、ダウンさせられて、KO負けになる可能性が大きいよ」

 「判定で、フルラウンド闘って、村田が持ったら、面白いことになるだろうけどね」

 水を向けたり、例えばと、名前を出したわけでも無いのに、清田の名前が、ほぼ全員から、クチをついて出てきた。

 Dscf5216 清田(写真左)と言えば、この3月21日の試合が、直前になって中止。

 私の駄文で、いち早く速報の如く「中止」を、記事化。また、KOが見られるかも? と、メインの清田の試合を楽しみに、後楽園ホールで残り少ない当日券を並んで買おうとしていたファンには、役に立ったようだ。

 彼が所属する「フラッシュ赤羽ジム」のホーム・ページにも、日本ボクシング・コミッションの「試合日程」にも、何ら中止の告知が無かったこともあり、先日、清田自身と、笑顔を絶やさず、人柄が良さそうな古里トレーナーには、感謝された。

 こちらも、軽くお詫びを。読んだ方は、ご気付きだろうが、末尾の数行・・・。

 「余計なことを、書いたかもしれませんが・・・」

 清田は、ニャッと笑顔を浮かべ、こう軽妙にひとこと。

 「ボクの、数少ない女性ファンを、悲しませないで下さいよ」

 で、どうして中止を?

  「実は、今回、減量の失敗と、それに伴う体調不良が、重なっちゃつて・・・」

 もう、試合は無理! と、最終判断し、やむなく「試合中止」を決めたのは、前日計量の直前だったという。

 今は、体調も見事に復活! かつて”ゴリラ”と、本人にとっては、有り難くない愛称で呼ばれた身体から繰り出す剛腕は、連日、うなりをあげて、ミットや、サンドバックや、スパーリングの相手、 そしてパンチングボールにまで突き刺さっている(写真上)

 ボクシングファンは、すでにご存じだろうが、清田のKO率は、おっそろしく高い!

 通算戦績、27戦して、23勝3敗、1引き分け。で、23勝のうち、21勝が、目にも鮮やかなノックダウン勝ちや、圧勝してのレフェリーストップ!

 10年半前の、プロデビュー戦からして、3ラウンド、レフェリーストップ勝ち。

 しかし、2010年10月11日、後楽園ホールで行われた、東洋・太平洋(OPBF)ライト・ヘビー級王座決定戦では、わずか1ラウンドでノックダウン!

 結果、清田がレフェリー・ストップ負け。

 この日、客席は超満員だった。やむなく、2階のバルコニーに行き、客と客のすき間から見た。

 3キロ上の、1階級上にあたるクラスに挑戦するかたちでの、王座決定戦ではあったものの、当時の清田のチカラを持ってすれば、悪くても、倒し倒されの末の、判定勝ちだろうと予測していただけに、信じられぬ光景を見た思いで、一杯だった。

 試合後の控え室。いつもの清田とは、まるで違う彼の姿が、そこにあった。

 がっくり、太いクビを落とし、一言もしゃべらず。他の記者も、もう問いを発することも出来ず、双方、押し黙ったままで、終わった。

 しかし、その後は、本来の強さを発揮。昨年の10月6日、29歳の誕生日にあたる試合でも、圧勝し、6ラウンドに相手方セコンドからタオルが投入されたと同時に、レフェリーストップの裁定。

 ここまで、冒頭に描いたように、東洋・太平洋(OPBF)スーパー・ミドル級チャンピオンとして、すでに6度の防衛を果たしている。あと1度、防衛すると、回数では内山高志と並ぶこととなる。

 試合は、録画中継で、深夜枠で放送されることが多い。地上波はそうだが、CSだと生中継される。しかし、清田の生まれ故郷である、北海道釧路市では、契約者が少ないうえ、地上波でもめったに放送されない。

 そんな背景もあってか、地元の北海道新聞では、毎試合、記者とカメラマンが綿密に取材。全国紙では、わずか数行で終えてしまう記事を、詳しく、且つ、大きくスペースをさいて掲載。時には、カラーで紹介もしている。

  それというのも、数いる重量級のチャンピオンの中で、最も世界のベルトを狙えるのではないか?との評判が、背景にあるからだ。

 だからこそ、ミドル級で金メダルを獲った村田が、通過せざるを得ない相手と、目されている。

 村田にとって、活躍する場の選択肢としては、スーパー・ウエルター、そしてメダルを獲り、公開テストでもリングに上がったミドル級。並びに、清田がいるスーパー・ミドル級。その3クラスが、ある。

 さまざまなことを勘案した末、「公開テスト」で拳を合わせることを断った胡朋宏が君臨するミドル級でも良いが、ファンどころか、今回聞き廻ったボクシングに直接仕事として関わっている方々も、見たいのは、対 清田祐三戦だ。

 すぐには、さまざまな事情でキツイかと、思われていたのだが・・・・・・

 中止のあと、清田の今月予定されていた試合は、まだ決定されていない。

 清田に近い、ある人は、こっそりと小声で言う。

 「そう遠くない時期に、正式に、良いお話しが出来ると思います」

 「今? 今は、まだちょっと・・・・・」

 ここは、芸能界ではない。「結婚」とか、「婚約」とか、その類いでないことは、もちろんだ。例え、ノンタイトル戦でも、みんなが注目する。

 清田に勝たなければ、少なくとも、日本重量級最強として、世界を目指します!と高らかに宣言したところで、絵空事にしか聞こえないと、業界とファンは受け止める。

 キチンと、日本、東洋・太平洋のベルトをと、段階を踏んで世界挑戦へと行かなければならないのが、本筋。しかし、また一方で、何でも有りなのも、また目の前の現実。

 ホップ、ステップ、ジャンプを無視し、「公開テスト」で、まさに「1発」A級合格のお墨付きを与えたのも、1例だ。

 幸い に、というべきか、実は長年にわたって、試合ごとの放映契約ではあるものの、清田祐三戦の中継を、独占的に流してきたのは、フジテレビ!

 その点においても、水面下でのハナシは、スムーズに運んでいると聞く。

 この試合が、もし正式決定したなら、間違いなく、日本のボクシング界は、がぜん活性化する。これが、実現しても、さほど数字(視聴率)が取れなかったら、未来は暗いとまで考えて良い。

 まさに、「試金石」。

 そして、これが話題を呼んだなら、清田祐三の名前も、「知る人ぞ知る人」から、ホップ、ステップ、ジャンプ! 一躍「知られる人」になる。

 勝って、這わしてこそ、まさに「拳王」。

 初めて清田と話したのは数年前。それも選手控え室ではなく、後楽園ホールの客席であった。

 その時、最後に、彼が少し考えたあと、ボソッと、こう言ったのを今も、ハッキリと記憶している。

 「・・・・そうですねえ。有名にならなければ、いけませんねえ」

 人に好まれる性格を持ち、且つ、安定感があって、強いボクサーは、もっともっと世間に知られるべき。そう、思う。

 さあ、あとは、正式発表を待ちたい!

 

 

 

 


<リアル ボクシング ルポ>5月6日 WBAスーパーフライ級タイトルマッチ。河野公平対リボリオ・ソリス

2013-05-06 13:28:16 | スポーツ

Dscf5108 う~ん・・・・ひょっとして!? 

 リボリオ・ソリス(写真上。イスに座って、真ん中で、大きくⅤの字に両足を開いている男)の放つ、得も言われぬオーラというか、敵地のそれも、相手のジムでの囲み会見にもかかわらず、何かみなぎる自信を感じ取っていた。

 一番近くでは、河野公平と、いわば二人三脚で苦難のチャンピオン・ロードを共に歩んできた、高橋智明(ともあき)トレーナー(写真上。右端で腕を組んで、ソリスをみつめている男)がいた。

 彼は、先日の「スポーツ報知」での、河野公平の記事では、高橋昌明と書かれ、「仕方がないですね」と、苦笑していた、とても普段から、心やさしい人。

 ソリスは、暫定王者であり、無敗の”売り”も、無い。しかし、彼が来日する前から、これは要注意だぞ! と、思っていた。

 片や河野は、厳しく見れば、すっかり浮かれ、ブログでは、自分のPRに、これ勤めていた。苦難の末に手にした栄光だから、分からないでもないが、もう、そう伸び城は少ないのだから、良いのかなあ~・・・・・と、感じていた。

 練習は、すっかりボクシング・ファンの間では知られた、自宅ジムルームで終えてる日もあった。

 柴田明雄のところでも書いたが、トレーナーあってのボクサーだ。その逆は無い。

 もともと減量には、苦しんでおり、前回の前日計量では、朝からいらだっていた。それが、ボクサーとしては、当たり前のような勝利後の発言には、驚かされた。

 「あれは、前日まで、減量がうまくいかなかったから」と、小声で釈明。頬はこけ、今回も苦しみぬいた様子が、うかがわれた。

 Dscf5134 先の会見、続いて30分以上に渡る、入念な縄跳び(ロープ)で、しっかり大量の汗をかき、シャドーボクシング。

 そして、トレーナー相手のミット打ち!

 パパパパパパパ! 内山高志張りの、息をもつかせぬショート連打!

 スパーリングではないが、下がりながらも打つテクニック、足を巧みに使っての、バック・ステップ。

 自らの身長を楽に上回る、176センチものリーチから、次々と繰り出されるパンチは、多彩だ。

 しっかり、相手の顔と、拳の先を見つめ、一打一打、打ち込んでいる。

 Dscf5136 パンチは、シャープで、且つ、時に重く、連打によって破壊力も増す。

 足は、河野と違い自在に使えるし、河野の連打によって、コーナーに詰め寄られて、河野がトドメを刺す前に、スルリと、コーナーワークを使って逃げてしまいそうだ。

 パンチは、上(写真上)、下、左、右、アッパー、打ちおろしと、多彩に瞬時に展開、変更。身体も、クネクネと軟らかく、かわすのも上手い。

 はたして、ソリスを射程圏内に捕まえ切れるか?

 「止められないでしょうね」

 そういったのは、何を隠そう。当の河野。

ーーでは、どうするの?

 「じわじわ、ボディなどを攻めて、相手のスタミナを徐々に奪って、後半に勝負を賭けようと思っています」

 先の、ソリスの公開練習の映像は「見ていない」という。

 高橋智明トレーナーも、「後半での、勝負」を、クチにした。

 「向こうは前半から、ガンガンくるでしょうが、うまくかわしながら、後半に持って行ければ、河野はスタミナが有りますんでね。それに、賭けます」

 河野は、いまだ独身、実家暮らしだが、片やソリスは、妻あり、7人の子持ち。生活費、養育費が、両こぶしに掛かっている。ミルク代が、いるのだ!

 「パナマで、長期間、良い練習を積んできた」という、ソリス。

 公開練習に来たときは、頭に大きなヘッドフォンを掛けたまま、ジムへ。聴いているのは、軽快なサルサ。

 トレーナーによれば、いつも練習のときは、ヘッドギアを付けてないときは、フォンの方をして、聴いているとか。

 ただし、だだ漏れ(笑) 。日本の電車に乗らないまま帰国するだろうから、良いけどさ。

 記者会見の場では、突然、立ち上がって、叫んだ!

 「ヘイ、コーノ!」

 挑戦的なパフォーマンスを、披露した。「ヘイ、コーノヤロー」とは、言わなかったけれど。そこまで、ウケは狙わなかった。

 気になるのは、河野が、「ベルトを守りたい」と、言ってること。もちろん、「勝ちたい! 何としてでも、勝ちたい!」とも、言ってはいるけれど、”守る”などという意識があるうちは、ソリスには・・・・・・

 もっとも、昨年の大晦日、大番狂わせで、チャンピオンベルトを、ダウンを重ねた末に、文句なく手にした河野。

 高橋トレーナーですら、「ビックリしました」と、本音を漏らしていた。

 あの絶壁に立った時の、集中力は、目を見張らせるモノを持っているだけに、この見方・展望も、どこかで狂わせて欲しいと、願ってもいるのだが・・・・・・

 

 

 

 


<リアル ボクシング ルポ>5月6日 WBAスーパーフェザー級防衛戦。王者・内山高志対ハイデル・パーラ

2013-05-06 08:04:30 | スポーツ

 おおっ! わたしゃ、見た! じっくり、見た! つぶさに、見た! 挑戦者の、ハイデル・パーラの公開練習を!

 そりゃあ、もちろん、知ってまっさ! マスコミが詰め掛ける 「公開」練習では、手の内は、容易に明かさないことは。手の外は? んんん~ わかりましぇんが。

 それでも、分かった事実、見た事実は、書くし、打っておきます。

 スポーツ新聞や、テレビのスポーツニュースでは、おおむね、王者にせよ、挑戦者にせよ、日本人ボクサーの模様や、発言は強調して報じるが、逆は無いに等しい。

 ましてや、内山の試合や会見は、テレビ東京の仕切りで中継。テレビカメラも、いつも局のだけ、1台。世の中の一般の人には、広く知られないまま、日本最強の、且つ、安定感のあるチャンピオンである内山の試合は、また1ケタ台の低視聴率で、終えるであろう。

 それでも、プロデューサー兼ディレクターは、少しクチをとがらせ、不満げに言う。

 「これでも、ウチとしては、良い方なんですよ」と。

 ホントは、数字を上げる方策は、多々あるのだが、ここでは書くつもりは無い。

 さて、内山の相手、ハイデル・パーラだ。

Dscf5061 ベネズエラにあるジムに所属する、30歳の、プロボクサー。

 すでに結婚しており、なんと子供が4人もいる。

 んなんで驚いてちゃいけまへん。河野公平の相手の暫定王者、リボリオ・ソリスなんざあ、7人もいる。愛人が? 勘違いしては、いけまへん、子供がですわ。

 前日計量で、ボクサーパンツ1枚になった時の、アレのふくらみが、まあ~デカかったこと! これで・・・・・をして、拳2つで7人+妻を養っているんだなあと、しみじみ想いましたわ。

 まあ、中南米の、気質もあるんでしょうが。べつに、産めよ、増やせよ政策がなくとも。

 さてさて、戦績は、テレビ東京が「是非、売りにしたい!」と、熱望したように、確かに無敗。

 今まで21戦して、20勝1引き分け。しかも、20勝のうち、半分の10が、KO,もしくは、レフェリーストップを呼び込んだ勝ち方。

 しかし、それらの相手は、ボクシング・ファンなら誰もが知る強打者や、冠を付けた王者は、1人もいない。

 かつて、亀田ファミリーが意図的にやった手口だ。

 だから、無敗でも、まだ10位どまり。そ~ゆ~ことだ。

 とはいえ、データ上だけでは無く、実際にこの目でその力量を見ときたいと、先日、「公開練習」に足を運んだ。

 一言でいうなら、う~ん、やっぱりこの程度か。今の内山高志を脅かすチカラは無いといえる。

 見せたのは、業界では「ロープ」と呼ばれる、縄跳びを、じっくりと。

 ヒザと足首のしなやかさと、軽やかさは、充分に見て取れた。

 シャドーボクシングと、トレーナーの構えるミットに自在に打ち込む「ミット打ち」。

 Dscf5089 その両腕から繰り出すパンチのスピードの、遅さには驚いた(写真上。中央の赤いタンクトップが、パーラ)。

 コレで、10KOは、あり得ない! 

 どうやら、その疑問も含め調べたが、この遅さは「日本のマスコミ向け」のもの。本当は、”まとも”なスピード、のようだ。

 足も使えるのだろう。しかし、パンチに重さや、内山のような破壊力は全く感じられない。

 左右のパンチのコンビネーションも、単調。

 しかし、大振りのパンチは、1度も見せない。それどころか、キチンと的確に、且つ、コンパクトにパンチを、狙う的に向けて正確に打ち込む能力にたけている。

 接近戦に持ち込んで、本領を発揮するタイプのようだ、

 じっと見ていた内山のトレーナー、佐々木修平(写真上。パーラと、ミットを構えるトレーナーの間に顔をのぞかせる人物)は言う。

 「大振りのパンチは、無いようですね。しかし、的にむけて、キチッと、はずさずに打ってくる小さいパンチには、気を付けたいですね」

 言いつつ、どこか余裕を感じさせるのは、こちらの気のせいか?

 パーラは、写真のように最後まで、この日は上半身を見せぬまま。

 囲み取材では、リミットまであと3・4キロほどオーバーしているだけと言っていたが、ひょつとして減量に苦しんでいるのではないか? との声が囁かれたが、前日計量では、リミットを100グラム切る結果を示し、周囲から「お~っ!」と、思わず声があがった。

 終えると、すぐ、乾ききった体に、水分補給。いかにも、おいしそうに、身体に水を与えていた。

 一方の、王者、内山高志。前日計量では、リミット一杯で、クリア。

 この強者にして、やはり1人の「人間」だなあ~と思わせたのが、前日の「調印式」「グローブ(8オンス)チェック」 「記者会見」と、いわばセレモニーを終えて、「前日計量」が始まる直前、トイレへ直行!

 別に寒くて突然の尿意や糞意が! という訳じゃない。気持ちだ。例え、1グラムでも身体から出したい!! という思いが、そうさせたというわけだ。

 もちろん、頬がげっそりこけて、減量苦をしのばせた河野公平も、トイレへこもったのは、言うまでもない。

 それにしても、前日の5日、パーラと共に、並んで写真撮影に応じた時、一変した内山の目の鋭さには、恐れおののくほどの怖さを漂わせた。

 すでに、臨戦モードに突入か。むろん、ガン付けなど、かつてのバ亀田兄弟みたいなことはしない。視線も、合わせない。額も、押し付けたりなんかしない。

 その感想をぶつけると、とたんに笑顔。

 「そうですかあ。自分としては、特に意識はしてなかったんですけど。まあ今回は、いつも以上に、キツイ練習をやってきたんで、ソレが出たのかなあ」

 テレビ東京の要請で、「KOします!」と、拳をテレビカメラの前にグィツと付き出させる作りポーズで、撮らせているが、実は内山は、1度もKO宣言をしたことが無い。

 いくら水を向けても、言わない。

 結果として、KOを積み重ねているということだ。

 「防衛回数も、特に意識しないし、ましてや、相手を倒す回(ラウンド)なんて、意識もしません」と、内山。

 しかし、今度の7回目の防衛戦については、おそらく、そう遅くないラウンドで、いや、むしろ早いラウンドで、パーラを倒し切るのではないか。

 危惧するポイントは、対パーラに関しては、何もない。

 目にも鮮やかなKOか、圧倒する連打の末のレフェリー・ストップを呼び込むはずだ。

 期待していい!

 




 

 

 

 

 


<リアル ボクシング ルポ>速報! 柴田明雄、淵上誠を下し、2階級制覇!両雄の心に、客は打たれた 

2013-05-05 04:38:31 | スポーツ

やはり、ボクシング・ファンは、連休とはいえ、家族団らんを放っても、見たいカード(試合)には、何を差し置いても駆けつけるもんだな~。

 そんなことを、改めて思い知らされる日となった。

 この日、5月4日の後楽園ホールは、チケット完売。客席は満員。2階の、バルコニーも、立ち見客でぎっしり! カメラを、競り出せないほどだ。

 むろん、他にも、加藤善孝。佐々木基樹。荒川仁人など、人気ボクサーの試合もあり、相乗作用が働いたとはいえ、「日本中重量級 最前戦」の、キャッチ・フレーズに恥じない試合展開となった。

 Dscf5294 柴田明雄(写真左・左側)、そして、淵上誠(同・右側)へ贈られる大歓声が、交錯する中、1ラウンドのゴングが、鳴った。

 先の記事でも予想されたように、淵上は右ジャブを絶えず出して、距離を測りつつ、連打のチャンスをうかがう。左腕は、この日は下げることなく、低くガード。

 対する柴田は、足を使ってリングを自在に回り、上体を振ってパンチを繰り出す。

 ジリジリと詰めてく、淵上。そこに放つ、柴田の、キレイに伸びきった左ストレート、バーン!!(写真上)

 手数と、有効打でまさる、柴田が着実にポイントを積み上げていく。

 Dscf5295 あせってくる、淵上。そして、繰り出す、ブンブン、右フック! そら、来たっ!とばかりに、サッとかがんで、見切ってかわす
柴田(写真上)

 積みあげてきた練習の数々が、生きた瞬間だ。身体に覚え込ませた、自然な反応。

 石原雄太トレーナーは、どこからでも手が伸びてくる淵上の夢を見て、うなされたという。そんな悪夢を、はねのけて緻密に組み立てた戦略が、ラウンドを増すごとに、花開いていった。

 いつもより、空振り大フックが少なかった、淵上。接近しての、ボディへの、連打は見事という他なかった。こちらもまた、研究と対策を、重ねていた。

 それにしても、ここまで読み切って対策と、緻密な作戦を立ててきた、柴田陣営の石原雄太トレーナーの「名参謀」ぶりには、いまさらながら感心する。

 名トレーナーがいるから、選手が成長し、勝つ。逆は、無い!

 危惧していた、柴田の右目眉下からの、大出血!

 「前が、見えなかった」と、試合後、柴田は語った。

 それも、見事に止血。

 4ラウンド終了時の、スコア。

 38-38が、1人。あとの2人は、40-36と、柴田へのフルマーク。

 Dscf5326 7ラウンドには、絶好のタイミングで放った、柴田の右フックで、淵上の身体が崩れ落ち、ダウン!(写真・左)

 ダメージは少なかったが、自分のパンチに自信を持ったか? 柴田が、果敢に打ち合いに応じた!

 こうなると、淵上の方が、1枚も2枚も上。 柴田の身体が、時折り、グラリ、フラリと揺れる。

 再び、柴田の流血、ドバッ! 目、見えねえ!

 あわてた石原と、ジム会長の渡辺均

 コーナーに、転がるように戻ってきて、イスに精も根も尽き果てたようにストンと、力なく座った柴田に危機感を持った2人は、柴田に、厳命!

 「打ち合うな! 足使って、距離取れ! ポイント、取ってるんだから、このまま進め!」

 アッと、我に返った柴田。流血しながらも、再び、ヒット&ウエーに、戻す。打ったら、クリンチ。打たれたら、クリンチ。身体、離れた瞬間に、パンチ、パーン!と、放つ。

 時には、グイッと、突き飛ばし! ダメージ、重なってる淵上、よろっ、よろっ・・・

 8ラウンド、終了時の、採点が出た。

 77-74.そして、79-72もの差で2人。3-0で、柴田のリード。

 新チャンピオン誕生間近! と思われた、9ラウンド。

 マジカ? と、思われた、2度目の柴田の目への、ドクターチェツクが入る。

 Dscf5347 おまけに、渡辺会長まで呼ばれた。

 ああっ! ここで、試合ストップ! 「負傷判定」に。

 その瞬間、淵上、ガクッとヒザをまげて、リング上に、突っ伏した(写真左)

 自らの、負けを知り、東洋・太平洋ミドル級のベルトが、柴田に移ったことを知った瞬間だ。

 採点は、87-83。.89-82。89-81

 柴田が、淵上に負けたラウンドは、3、4、8のラウンドだけ。

 笑顔の柴田。

 

 Dscf5361 これで、2階級のベルトを持つことになった柴田。しかし、どちらも持ち続けることは、出来ない。

 Dscf5373 リングを降りると、祝福と、歓喜の嵐のなかで迎えられる柴田(写真。右側)。その前に、歌手であり、ジムのアドバイス・トレーナーでもある、山川豊(同・左側の帽子をかぶった男)が笑顔で祝福。

 Dscf5391 治療を終えて、控え室へ戻ってきた柴田(写真・中央)を、石原雄太トレーナー(同・左)と、会長の渡辺均(同・右)が迎え、記者会見開始。

 笑顔が少ないように見えるが、これは、ひと段落した安堵感と、次なる戦いに向けての緊張から。

 「もう、減量がキツイので、次からは、多分・・・・よく、考えて・・・」と、柴田が、ミドル級でやることへの、チョッピリちゅうちょを見せた。

 てえゆうのも、ミドルでやるということは、遅かれ早かれ、先に書いた村田諒太と試合をやらざるを得ないということ。

 実は柴田。オリンピック前にスパーリングに来た村田と、3ラウンド、手合せした。

 パコン.、パコンと打たれ続け、あわやダウン寸前まで、いったという。

 まさに、一喜。まさに、一憂そのもの。う~ん。しかし、名参謀が、そばにいるじゃん、ねっ!

 Dscf5399 ひと時の後、着替えて現れた敗者の淵上誠(写真右)が、柴田の控え室を、訪問。

 互いの生真面目さが、臭い出るワンショット、です。詳しく、会話。書きません。どちらも、人格的に、ステキな人。それが、叩きあう。

 それが、ボクシング。

 ちなみに淵上。控え室では、うなだれたまま、「・・・・・これが、最後だと思って、試合に臨みましたので・・・・・・」と、繰り返すのみ。

 すわ、引退? と、会長とトレーナーに確認してみると、2人、苦笑い。

 「あいつは、いつも負けると、そう、口癖のように言うんだよなあ。この前だって、そうだったよなあ」

 あはっ。一安心。杞憂、杞憂。

 帰る時、奥さんがそばに。ショートヘアの、小柄な可愛い女性でした。

 ちなみに、柴田にも、恋人が。

 「なんか、そっちの奥のほうに、いるんじゃないかなあ」と、照れ笑い。

 Dscf5410 ホールの外には、柴田を長い間支え、声援を送ってきた友人や知人らが、2階級制覇を成し遂げた、新チャンピオンの出を待ち続けていた。

 その横を、「勤め」を果たした石原雄太が、サラリと通り、去った。誇る表情、一つ、見せることもせず。

 そんな、チャンピオン請負人の後姿に、1人、心で拍手を贈った。

 実父の死から、間もないのに、何も愚痴もこぼさず、もくもくと課せられた「仕事」を見事にこなし上げた。

 手柄は、チャンピオンに渡して・・・・・

 その新チャンピオンは(写真上・左)は、皆の前で、直立不動! で、こう言った。

 「いつも、試合後に思います。自分は、こういう皆に支えられているんだなということを、実感できることが、嬉しくてなりません。本当に、どうもありがとうございました」

 そういって、深々と頭を下げた。

 ・・・・・・・・・・・・・・

ボクサーというより、「人間」を、これからも書き続けたい。

あらためて、今夜も、そう誓った

 

 

 

 

 

 

 


<リアル ボクシング ルポ>「2階級制覇を、狙っています!」と、珍しく柴田明雄が、キッパリ明言!

2013-05-03 16:20:00 | スポーツ

 いつも、どちらかと言えば、口数が少なく、大口を叩かない柴田明雄が、コメントを求めた際、珍しくキッパリと言ってのけた。

 「2階級制覇、狙ってますから! この試合にキッチリと勝って!」

 おおっ! 気持ちが、ハンパじゃ無く、あ・つ・い!

 この試合とは、ゴールデン・ウイーク真っ只中の5月4日(土)、後楽園ホールで行われる、淵上誠(ふちがみ・まこと。八王子中屋ジム)とのタイトルマッチを指す。

 淵上は、現・東洋太平洋(OPBF)ミドル級王者。そして、対する柴田は、体重が、ランク1階級少ない、2・7キログラムの差がある、現・日本スーパー・ウエルター級王者。

 といっても、それは試合前日の計量の時に、その決められた体重になっていれば良いわけであって、普段は極端に言えば、30キロ増の100キロでもかまわない。

 おいおい、ムチャなこと言うなよ! と言われそうだが、実際普段、いろんな階級で、試合1か月前に15キロオーバー程度の選手はザラにいる。

 中には、こんな実例もある。若かりし頃、ある階級でデビュー。で、惨敗。自信を失い、サンドバックとミットにではなく、仕事に打ち込み、それに関わる国家資格の免許を取るため、猛勉強。

 ジムには、たまに気分転換と、健康維持のためだけに顔を出していた。

 月日は流れ、プロボクサーとしての試合出場制限の、37歳の誕生日に近づいてきた。すでに、男はめでたく免許も取得して開業し、経営者に。で、やり残した! とばかりに、一念発起! ラスト・ファイトをジムに願い出た。

 なんと、そのとき、35キロもの規定オーバー! でも、やったよ、その男。職業は、医師だもん。超減量作戦が功を奏し、後楽園ホールのリングに立った。立ちはしたが、もう、足元、最初から、ふ~らふら・・・・・・。

 で、早々に、レフェリーストップ負け。男の通算戦績、2戦して0勝2敗。だが、試合後の控え室では、苦笑いを浮かべながらも、満足そうな表情だった。

 ボクシングとは、かくも魅力あるものなのだろう。

 ハナシが、ちょいと横道にそれた。

 2・7キロ差は、ほぼ無いに等しい。加えて、柴田の担当トレーナーである石原雄太によれば、「以前から、お互いに(試合を)やりたいねという話しはあったんですよ」ともいう。

 体重差でさらに言うならば、柴田は時に応じて、内山高志とガチのスパーリングを乞われて行なう。

 内山は、普段から自己節制しており、いつ試合に臨んでも良い体重と身体に仕上げている。ご存じ、WBAの世界スーパー・フェザー級の王者。

 その体重差、実に11キロ。でも、「いつも、内山さんには、やられっ放しです」と、苦笑いしながら柴田が言うように、内山が打ち勝っている。

 いくら、柴田がお得意の足を使って、”蝶のように舞い、蜂のように刺す”華麗な動きを見せても、たちまち内山が自分の距離に詰め、腕をブンブン! と、しならせ、柴田の身体に左右のパンチを、余すところなく、ぶち込む! ぶっ倒す勢いで。それも、ボンボン、ボンボン。容赦なく!

 そんな時、思う。ああ、あのパンチ力が、柴田にあればなあ~、と。

 いや、ありますよ、柴田には。もちろん人並み以上に!(写真左下の中央。赤いヘッドギアをして、アッパー気味の右ストレートを相手の顔面に喰い込ませている)。

 でも、人並みはずれて、ではない。けた外れでも、無い。それは、柴田自身、とても素直な人で、苦笑いしながら認めるところだ。

 けた外れて有れば、恐妻家のチャーリー・太田にも、勝っていたはず。

 そこを、重量級にしては、まれな、巧みなフットワークと、自分の距離を保ちながらのヒット&ウェイで、確実にポイントを稼ぐ戦法を、築きあげた。

 その流れを作って置いて、ここぞ! という時に、集中打を浴びせ、時には相手をダウンさせ、レフェリー・ストップを呼び込む。

 最初の王者になった時の、野中悠樹戦などは、その典型だった。見事な、きめ細かい作戦。判定ではあったが、戦い終えた瞬間、ベルト、もらったな、と確信したほど。

 前回の細川貴之戦は、もっと早く試合を決められる。そう思った。というのも、細川の試合は、CSのチャンネルで全戦観ていた。相手の大半は、日本に倒れに来た、アジアの峠を越えた、かつては強かった、格下ボクサー。

 それで、ランキングをこまめに上げてきた細川が相手だけに、もしも!? は、あり得ないと思っていたので、仕事場でのテレビ観戦。

 予想外に、細川が意地を見せたのには、少々驚かされたが、結果は、もちろん、柴田が何度もダウンを奪った末に、8ラウンドにレフェリーストップを呼び込んで勝ち、2度目の防衛成功。

 これで、通算戦績、20勝(9TKO&KO)7敗1引き分けとなった。

 今回、勝てば、一気に2階級制覇という好条件の試合に向けて、仕上がりは、極めて順調のようだ。

 何より、右から左への強烈なパンチのコンビネーションが、目を見張らせた。 Dscf4978 スパーリングでも、先の言葉を裏付けるかのように、右のアッパー気味のストレートが、バーン!と、音を立てて相手の顔面を打ちぬいた!(写真・上)直後、すぐ左が飛んだ!

 そのコンビネーションには、さらに磨きがかかっていた。右から素早く、左。左を見せといて、右! 

 上下の打ち分けのタイミングも、良い。んでもって、左右。足をからませ、さまざまなバージョン、パターンを仕上げつつあった。

 スパーリングの相手は、淵上と同じミドル級。

 だが、デビュー戦は5年も前ながら「さぼっていて」(当人)、こなした試合数も少なく、やっと決まった4月23日の試合が、相手が棄権して中止。テンション下がり気味の金澤圭介(写真上。右側)。

 そんな背景もあって、もう格好の、試し打ちっ放し台。5ラウンドやって、その後は、石原の構えるミットめがけての、作戦確認打ちを続け、頭と体に徹底的に刷り込む。

Dscf4996

 その最中、石原(写真上。右側)が何か言った。

 「はい! 分かりました」と、柴田(写真上。左側)。

 ホントに、このひと、素直。生真面目。ひたむき。

 それは、1度目のベルトを巻く前から、知っていたし、感じていた。ジムワークの時だけでは、ない。

 彼は、当時カレーショップで働いていた。持ち場は厨房。そのため、姿は見えないが、真面目に働いているようだった。聞いてみると、同僚の評判も良かった。

 それは、野中を破って日本王者になってからも、何ら変わることはなかった。客に、とりたててボクシングファンは、いないに等しい。駅構内にある、カレーショップということもあり、短い時間でカレーライスを腹に詰め込むと、あわただしく去る者ばかり。

 試合が決まっても、他のボクサー同様、「チケット、買って戴けますか? 」などとは、クチが裂けても言わない、言えない。「仕事」は、仕事。「プロ」と言えども、ボクシングは、ボクシング。

 他の店へ、移ってからも、その姿勢は、何一つ変わっていない。

 そんな柴田には、無名の頃から支援と、経済的サポートしてくれ続けている会社が、ある。彼が将来性豊かなボクサーという以上に、その人柄を見込んで、という比重の方が、大きいように、そこの社長と話して感じる。

 だから、支援している世界王者が、天狗になった時は、呼んで、噛んで含める様にいさめた。世界王者になった途端に、わ~っと寄ってくる、にわか支援者が、たにまち気分で、王者を我も我もと宴席に引き回す騒動には、眉をひそめる。

 ひいきの引き倒し。これが、王者の心と将来を、限りなく落としてゆくことを知っているからだ。

 そんななか、その支援者が明かしてくれたエピソードがある。

 ある日、支援者が柴田を食事に誘い、こう切り出した。

 「柴田君、今のアルバイトを辞めて、ボクシングに専念する気はない? その方が、良ければ、そうしても良いんだけれど。アルバイトで稼いでいる分くらいは、ウチで出せなくはないから」

 事実、先述の世界王者は、そうしている。

 だが、柴田は、頭を下げて、こう答えたという。

 「お申し出、ありがとうございます。でも、ボクは、今のままで結構です。確かに忙しくて、正直、キツイなと思う時もありますが、これはこれで、毎日の生活のメリハリと、リズムみたいなものも出来てますので。すいません、せっかくのお申し出をお断りするみたいで・・・・」

 支援者は、そう話してくれた後、笑顔を浮かべ、私に言った。

 「ホントにいい子よ、柴田君て・・・・」

 そんな柴田は、すでに31歳。その性格ゆえか、ナンパや、自分から女性を口説くことは苦手なようだが、そんなことを知らずとも、彼の試合を見続けている、女性ボクシングファンはいた。

 ある日のこと、同僚の選手の試合を見終えた柴田のもとへ、ファンだと言う若く可愛い女性が、自分から声をかけ、積極的にアタック!

 柴田は、いささか気押されたまま。しかし、数分後、笑顔で2人は連れだって、電車に乗り込み、そのまま消えた・・・・。

 その後、その娘と、どうなったのか? は、あえて聴いていない。

 さてさて、”追い込み”前の、激しい練習は、続く。

 柴田は、言う。

 「相手の淵上さんの試合は、ユーチューブでも、見ています」と。

 プロボクサーにとって、インターネット上で、手軽に見られる試合映像は、例え1部にせよ、近年、とても試合戦略上、欠かすことのできないものになった。海外で行われた試合すら、検索次第で、たどり着くことが出来るという。

 生中継式で見られるユーストリームといい、あらゆるプロスポーツのなかで、1番、時代は変わったと痛感させられるのが、ボクシングとなった。

 もっとも、かなり怪しいサイトも存在するので、気をつけねばならないが。

 淵上の戦い方は、ボクシングファンはすでにご存じだろうが、とてもクセが目立ち、パターンもそう多くない。こと1発のパンチ力だけを取り上げるならば、淵上の方が上だろう。しかし、プロボクシングは、それだけで勝てるほど、単純な格闘技でもなければ、スポーツでもない。

 それを打ち崩し、勝てる戦略を、驚くほど緻密に組み立てていた。

 ミット打ちの際も、「こう相手は来るだろ? で、こう打った後、こう・・・」と、石原。

 「ハイ」と、答えて、反復練習を繰り返す、柴田。

 石原の、1つ1つのモーションを見つめていると、取材のために改めて見た淵上の動きに、見事に重なり、ダブる。

 「これは書かないで欲しいんだけど」と言いながら、シロートの私にも分かる”秘策”の一端を、石原は、こっそりと教えてくれた。

 なるほど、う~ん、なるほどと、納得。

 むろん、事前に組み立てた作戦が、その通りにドンピシャはまるほど、これまたプロは、甘い世界ではないことは、100も、200も承知だが。

 淵上の戦いを、振り返ってみる。

 昨年5月12日、急に「試合をしませんか?」と、WBA世界ミドル級の無敵王者 ゲンナジー・ゴロフキン側から申し出があり、試合会場であるウクライナへ向かうまで、準備と調整期間も少なく、慌ただしかった事情があったとはいえ、3ラウンド、無惨、無能対策のTKO負け。

 当初、その1報を知った時には、真っ向勝負を挑んで、いさぎよく散った。そう思い込んでいた。ところが、試合の映像を見て、唖然とした。

 剛腕強打で鳴る王者を前にして、両腕をほぼダラリと下げ、あえてか、誘い込み戦法だったのか!?  ノーガードで、足も使わず。さあ、どうぞ、好きなように打ってくんなまし、ってカンジ。

 そうですか、そりゃ、やらしてもらいまっさ! とばかりに、ゴロフキン、打ちっ放し!

 ゴロフキンの強さは、今年、石田順裕が惨敗したのを見ても、揺るぎは全く無いことが、改めて証明された。

 この試合、淵上が出したのは、いつものパターンの、相手との距離を計り、自分のリズムを作って、踏み込んで打ち込むための、右ジャブを、ちょんちょんと、だけ・・・

 そりゃもう、結果は子供でも透けて見えてくるわけで・・・・・

 どこかで、負けても、淵上の将来のボクサー人生にとって得るモノがあれば良いと思っていただけに、指先に怒りを乗せて、打った。

 「もう、引退した方が良い」と。

 そう表示したものの、這い上がって来るだろうなと思っていた。知っているのは、試合後の囲み取材の際の、誠実そのものの対応と、言葉。

 判定で完勝や、KO勝ちしても、必要以上に誇らず、相手を讃え、反省も口にする。しかし、決して饒舌ではない。

 じゃがいもの様な顔立ち。しかし、九州は薩摩出身。同郷の演歌歌手の歌で、リング・インしたりする。

 生真面目さは、柴田と双璧。それゆえか、正規社員として勤めている企業の工場の同僚たちが、応援に駆け付ける光景は、いつものことだし、有給休暇を取って行った先のウクライナの試合では、取引のある企業の駐在員や、日本人会の有志が、会場へと応援に駆け付けたほど。

 これは、淵上の人徳の、なせる結果だろう。私生活では、柴田より2歳若い29歳だが、すでに2年前に、トライアスロンの選手をしていたという翔子夫人と、いち早く入籍・結婚。

 控室では、それらしい女性を見かけたことはないので、出しゃばらない、控えめな性格の人なのだろう。

 惨敗の心の傷もいえた、5か月後の、昨年10月12日、職場のある地元・東京都日野市に、フィリピンから東洋・太平洋(OPBF)同級1位のマーロン・アルタという選手を呼び、王座決定戦を行なったのだが、これが、思わぬ展開と結果になった。

 ちなみに、この時、淵上は、2位のランク。彼としては、大応援団の手前もあり、絶対に負けは、許されない「再起戦」でもあった。

 少し、詳細にラウンドを、振り返る。まだ、この先を読まなきゃならないのかよう?とのけぞる活字嫌いの人は、柴田も見たユーチューブで、この試合をまだ見られると思うので、そちらをど~ぞ。

 <1ラウンド> 相変わらず、淵上のガードは、無いに等しい。この日も、右ジャブを、ちゃんちょんと突き、相手との距離を計りながら、上下にジャブを放つ。

 左腕は、だらりと下げたまま。ひょっとして、痛めているのか?

 <2ラウンド> 淵上、右腕でジャブを放つが、それでとても倒せるシロモノじゃない。左腕は、ぶらんぶらん。下げたまま。

 右ジャブだけで倒せるという自信か、思い上がりか? 相手のアルタも、どんなパンチがあるた? 消極的なのが、気に掛かる。ひょつとして、1位なのに、本気で王座、取りに来ていないのか? アウエーというのに・・・・

 淵上、やっと左の上下を放つ。しかし、そこからどう展開しょうというのか? 見えてこない。

 少し打たれると、左目の上を切る。これは、淵上にとって慢性的なもの。一方の柴田も、左右切れやすくなっており、ひょつとすると、5月4日、途中で負傷判定という可能性も、捨てきれない。

 淵上、やっと相手の動きを見ながら、足を使って回る。

 <3ラウンド> 右ジャブ、新展開。下から上へすくい上げる。足使って回りつつ、右のフック、ぶん回すが、相変わらず、ラフ。

 拳の先が、相手のどこの部分にぶち当てるのか、見届けていない、見定めていない。だから、かわされ易い。ヒット率も、低い。

 運良く当たったら、儲けモン。そ~ゆ~類いの、ぶんぶん、ぶん回し。これでは、永遠に、ゴロフキンには、勝てない。

 まだ、左のパンチは出さない。ん??????

 <4ラウンド> かつて見せた淵上の強打は、影をひそめたまま。それどころか、スッ!と出したアルタのストレートを正面からまともに受け、淵上、顔面をのけぞらせる。

 かくいうアルタだって、明確なクリーンヒットは、これくらい。そこから、連打で淵上を追い詰めない。相手のガードは、甘いのに。またまた、?????

 淵上、やっと左のパンチをこのラウンドから出し始めたが、チカラ、パワーはひ弱く、さらに拳の行く先を見て打ち込んでない。ラフ、またラフ。

 拳、ケガしているのではなかろうか? という危惧は、消えない。

 加えて、打ち込む時の、体勢とバランスが、地元という気負いからか、遮二無二のため、とても悪い。勢い、ガードはさらに、がら空きとなる。

 巧打者なら、ありがとさん、とばかりにアッパーなどで淵上の身体を起こしてからの展開が、極めて容易となりそうだ。

 リング上では、4ラウンドまでの採点が読み上げられた。

 39-37で、アルタ。とたんに、客席の応援団が、どよめく。

 次いで、39-38.また、アルタ。さすがに、今度は、シーン・・・

 そして、3人目は、39-37で、淵上。

 トータル、1-2で、アルタのリード。妥当だ。

 <5ラウンド>  淵上、左のパンチをアルタのボディに・・・・届かせるだけ。打つたびに、身体が泳ぐ。調整も、上手くいってなかったのか? とさえ、邪推を巡らす。

 左のパンチの空振りが目立つ。アルタが、見切ってうまく避けてる部分は、少ない。

 <6ラウンド> やっと、淵上のパンチが当たり出す。

 しかし、かつて見られたシャープさや、重さは、無い! ワンツーは、ヒットしても、スリーがラフ。

 アルタへのダメージは、まだまだ少ない。盛り返し、挽回し始めて、淵上、後半勝負かも。

 <7ラウンド> えっ!!棄権!???????.

 アルタが、コーナーに座ったまま、立ち上がらず。そして、これ以上試合を続行する気無しということで、棄権の申し出。

 はあ? 出来レースじゃあるまいに・・・・・・

 これで、王座は、淵上に転がり込んだカタチ。儲けたあ。

 取り戻したというより、もらったベルトと言った方が、正しい気がする。良くて、淵上サイドに立って見ても、ドロー(引き分け)。

 2試合続けて厳しい見方を書いたが、意図したモノは、何もない。この試合、マスコミもさほど注目しておらず、淵上の左拳のことは、どこも触れていない。

 こちらも、彼の所属する八王子中屋ジムに、そのことについて、問い合わせてもいない。会長に聞く機会はあったが、別の選手について問い質した。

 

 あれから、半年半。淵上は、どんな仕上がりで、リングに上がって来るだろうか?

 聞けば、積極的に出稽古を繰り返し、スパーリングで腕を上げているという。

 ここまでの通算戦績、20勝(11KO&TKO)7敗。

 柴田と似通った戦績ながら、戦法はかなり違う。似ているのは、生真面目さ。

 まさに、雌雄を決するこの1戦。見逃して欲しくない。

 

=======================================

  北海道では、時ならぬ雪が降ったとはいえ、東京には、うららかな陽射しが降り注いでいた。

 明日、運命の拳を合わせる2人にも・・・・。

 5月3日の午後。柴田明雄、そして淵上誠。

 ともに、前日計量は、1発でパスした。

 その際に、2人は、言葉を交わした。

 生真面目な、まさに性格そのままを、滲ませるかのように。

 ホッと一息ついて、久しぶりに、ゆっくりと食事を楽しんでいる、柴田明雄に聞いた。

 「淵上さんの印象、ですか? 強そうだなあって思いました」

 失礼を承知で書けば、聞いたこちらが思わず苦笑してしまった。

 --言葉は、交わしたの?

 「はい」

 --どういう?

 「こんにちは、と、ボクが頭を下げて、挨拶したら」

 --したら?

 「向こうも、頭を下げて、明日、よろしくお願いしますって」

 生真面目 対 生真面目。

 結果はどうであれ、素直に両者に声援を贈りたい

 熱く、贈りたい

 


<リアル ボクシング ルポ>ワタナベジムの「1、2、3 トリオ」。最終兵器・ 仁平宗忍、5月6日出陣 

2013-04-19 18:52:38 | スポーツ

 オオッ! 強烈な、左フック! 空気を、スパッと切り裂くかのように、早く、左拳が、うなりをあげて重いサンドバッグに、突き刺さってゆく。

 Dscf4991 これが、見事にデビュー戦で決まったのなら、KO勝ちも夢じゃない。

 そう、思わせるパンチ力と、鋭さがあった。

 この男の名は、仁平宗忍。これで、にへい・そうにん。そう、読ませる。

 宗忍? 首を傾げつつ、聞いた。

ーーあのう、この名前の方は、リングネーム? それとも、実家が、お寺とか?

 当人、ケロっとした顔で、練習の合間に言う。

 「いえ、本名です。名前を付けたのは、親父です。何でも、親父が言うには、若い頃、あるロックバンドの熱烈なファンだったんだそうです」

 「それで、そのバンドのリーダーだった人の憧れの名前の、忍の字を、自分の男の子供に入れたいと言うことで」

 ロックバンドねえ~・・・・。時代は、明らかに、変わりつつある。とはいえ、ザ・ローリングストーンズの、かつてのヒット曲を耳にすると、血沸き、胸躍る自分がいることも、また確かでありまして・・・・・。

 これが、最後の来日公演!? そうか、無理してでも、行くぞ!と、足を運ばされること数度。見事に、してやられた自分に、苦笑いしたことを、思い出した。

 この仁平というボクサーの名前。三瓶(さんぺい)一樹という名と共に、実は田口良一のブログ、ならぬ「ボログ」で、何度か目にしていた。

 それまでも、誰が、仁平で、誰が三瓶か、よく判別がつかなかったものの、ジムで石原雄太トレーナーの指導のもと、きついストレッチに、顔をゆがめている2人を、時折り目にしていた。

 

 そうか、良一の、「一」に、仁平の「仁」。そして、三瓶の「三」で、一・二・三の「ワン・ツー・スリー トリオ」だなあ。

 そう、秘かに、勝手に自分で命名していた。

 残念なことに、三瓶は、この2月27日、後楽園ホールで、宮田ジム所属の現役高校生相手に、デビュー戦 に臨み負けてしまった

 「一」の、田口良一は、すでにご存じの通り、あの井上尚弥が、2メートルしか離れていないリング最前列で目をこらしてジッと厳しい目線で見つめる中、4月3日、堂々と日本ライトフライ級チャンピオンに輝いた。

 あとで田口に聞いたところ、「そんな近くにいたとは、知らなかった!」と、驚いていた。

 私の駄文でも、打った通りだ。

 そして、この「二」の仁平は、3月19日(火)、C級プロテストに、見事合格した。

 見事と、書いていいだろう。なにしろ、その日、総勢40名も受験したものの、合格したのは、26名。合格率、実に65%という厳しさ。

 この4月16日、超満員の観客と、テレビカメラと、取材陣が見つめるなか、一気に飛び級とも言うべき「A級プロテスト」に合格した、村田諒太との扱いの差こそあれ、プロボクサーとしては、同列に位置した。

 そして、デビュー戦が、この5月6日、内山高志と、河野公平という、2人の世界チャンピオンの防衛戦の前と、決まった。

 会場も、観客数1653人の後楽園ホールではなく、その3倍近い、約5000人もの客席をしつらえた大田区総合体育館だ。

 「第一試合に、なるんじゃないでしょうか」と、仁平。

 第一ラウンドの、ゴングが鳴った時点で、1900人を超えているかどうかは、分からないが、敵は相手の久野喬(スターロード ジム)だけじゃない。

 

 実は、プロテストで合格したのは、スーパー・バンタム級。ところが、デビュー戦は、それより約4キロ少ない51・5キロ契約での試合。

 早くも、超の付く減量との戦いが、待ち構えている。

 ブログをやっているプロボクサーの知り合いがいる読者や友人なら分かるだろうが、まるで料理のブログか? と見間違うほど、食い物の写真がよく載るのは、その辛さと羨望が、無意識に溢れる日々を送っているから。

 取材したこの日は、まだ”追いこみ”に入っていないため、余裕が滲んでいたが、初体験の痛みと辛さと、試合を迎えるドキドキ感は、処女以上になるのではないか!?

 相手の、久野喬。実は、ジムの同僚ともいえる石本純が、昨年11月に試合をして、2ラウンド早々、レフェリーストップ勝ちを収めている。それも、1ラウンドにも久野は石本のパンチを喰らってダウンを喫しており、ガードの甘さも、めちゃめちゃにド突かれ、全く良いトコロなしに、デビュー戦を黒星で塗り固めている。

 あれから、5か月。久野も、同じ轍は踏まないと、思う。

 むろん、仁平もその試合をビデオで見て、学習。さらに、石本にも話しを聴き、対策は、怠りないはず?だ。

 その石本は、4月26日、新人王戦の予選に出場する。

 それにしても、デビュー戦は、積み重ねてきたことの半分も出なかったという言葉は、よく試合後に耳にする。

 この日は、ベルトを得てから、2週間ぶりに練習を再開したばかりの田口を相手に、マスでのスパーリングを、行なった。

 展開? そりゃあもう・・・・・田口が、軽快に足まで使って、仁平を終始、かる~くあしらった。

 ちなみに、マスとは、パンチを繰り出しても、顔面や、ボディの手前での、いわゆる寸止めで終えること。マス ターベーションとは、違います。

 もっとも、田口にとっては、格の違いを体で痛感させて、快感が襲ったかもしれない。仮想・井上尚弥対策の、片鱗もチラリと見せてくれたのは、私にとっても得ることが大きかった。

 下手すると、アウエーの横浜でやるかもしれない、日本ライトフライ級タイトルマッチ。2年前と、田口も、井上も、共に急成長している。

 「負ける相手では、ないですよ」と、どこか自信をみなぎらせてほほ笑む、石原雄太トレーナー。今年、最高の激闘になりそうな気がする。

 さてさて、冒頭の写真でも明らかにした、仁平の決まったら強烈な左フック。どっしりと動かないサンドバッグでは小気味いい音を響かせるが、対人間。田口に対しては、全く手も足も出ず。

 さらに書けば、サンドバッグ相手のラウンドを重ねていくに従って「はあはあ、ひ~ひ~」。荒い息と、大量の汗がドッ!

 スタミナとの闘いも、さらにプレッシャーに上乗せされる。

 デビュー戦で、何が出来て、何が出来ないママで終わるか!?

Dscf4989 インターバル中の仁平(写真。中央の黄色いグローブをはめた男)は、何想う。自身では、どのような作戦をイメージしているのか?

 あえて、問うことをせずに置いた。

 何!? もっと顔を見たいって?

 それなら、5月6日、大田区総合体育館まで足を運ぶことだ。

 どんなデビューを、広くて見やすい会場のリングで飾るか!? はたまた、控え室でガックリ、首うなだれて、タオルで顔を覆うか?

 その瞬間は、刻々と、近づいている・・・・・・・・・ 

 

 

 

 

 


<超リアル ラグビー ルポ>「取材規制」と「文の表現規制」と、嫌がらせ。間口狭めた先に待つものは・・

2013-04-15 17:15:58 | スポーツ

 ひさびさに、ナマでラグビーの試合を、見た。

 読者や、この従来の通しタイトル「リアル ラグビー ルポ」を、時折りか、偶然にせよ、読んで下さった方にとっては、えっ!? と、思われる方も、おられるかも知れない。

 なかには、この3か月以上、1本のラグビー記事も打たないで、一体、どうしたんだろう?と、気に掛けてくださってる人もいると、ラグビーの常連客や、親しくしている選手の家族から人づてに耳にしていた。

 実は、昨年秋。こんなことがあった。

 取材先で、ラグビーの記者会見があった。記者は、7人ほど。たった。そう言い換えてもいい。しかし、多い時で、20人。それが、せいぜい。

 それが、社会人ラグビーの最高峰、トップリーグの表彰式の時だけは、100人前後に膨れ上がる。見慣れぬ顔、顔、顔。一体、どこから湧いてきたのか? と思うほどだ。

 あと、日本選手権の準決勝あたりから、記者がどっと50人くらいに増え、秩父宮ラグビー場に設置された記者席が、試合前に満杯になる。

 では、それが比例するかのように、各社の記事、ニュース量が多くなるかというと、そうはなっていない。全く報じないマスコミも多い。いつも、フ・シ・ギに思える。

 常時、記者会見を開くと、200~300人が集まる、サッカー日本代表の会見。女子バレーボールでも、100人を優に超える。

 女子柔道日本代表の重量級選手への、園田隆二のしごきに端を発した問題は、社会問題化したとはいえ、記者カメラマン&ウーマン合わせて、毎回250人は集まった。

 関心の高いスポーツには、取材陣が、勢い集まる。正直、うらやましいと感じる。新聞、雑誌、テレビ、ラジオに加え、私のようなインターネット媒体も参加オーケー。ただし、即時性があるため、公表・解禁時刻を制限する場合もある。

 しかし、今のラグビーには、人は減りこそすれ、近年まったく増えない。観客もだ。

 最新の、東京・秩父宮ラグビー場で行われた、国際的規模のはずの「東京セブンス」。2万5000人収容の客席に、午前6000人。午後から増えて、1万人。

 2日目の決勝トーナメントでも、多く見積もって1万人。天候が良くない日もあったとはいえ、この人数。途中で帰った人数は、差し引かない。

 生中継の画面を見ると、もっと少なく見えるのは、そのためだ。

 招待券も、そのため多くまいている。

 こんな”厳状”は、

 

 <つづく>


<リアルボクシングルポ>4月12日(金)中村量との試合に臨む上村和宏には、心底疲れた。試合は・・ 

2013-04-12 21:38:00 | スポーツ

 いやあ、久々に、疲れた。いやさ、精神的にね。時間も、3時間を超える、長丁場だったから、持久力もだけれど・・・・・。

 取材対象者は、タイトルの試合に出る、上村(かみむら)和宏(写真下。赤いTシャツ)。 バンタム級のプロボクサー。26歳。

 デビュー戦は、6年8か月前。しかし、4連敗。

 「なんとか、せめて1勝はしたい!」と続けてきて、5戦目にして、念願の1勝を手にした。それも「3ラウンドか、4ラウンドに、KOで勝った」

 で、それ以降もボクシングを続け、すでに13試合を経験。

 通算戦績、4勝(2KO)8敗1引き分け。数字だけを見るなら、負け数多く、ランキングにも、入っていない。

 では、なんで? なんで、取材したの? と、問われそう。そうね、試合が決まると連絡をくれ、終わると、「次、また精進します」なんて、連絡くれるから。

 いまどき、律儀だな、と。「精進」なんて、言い回しも、珍しいな、と。

 昨年、1度、記事書いた。とはいえ、インタビューせず、一言二言のコメントと、勝つのでは? という試合予想。

 結果は、その通りと、なった。しかし、ん!? 何だろ? と、少し気になったのが、練習態度。生真面目なのだろうか? ジム仲間の、誰1人とも、話さない。むろん、雑談も。談笑なんて、まったく見たことない。

 練習は、ひたすら、もくもく。トレーナーとですら、短い会話。

 いろんなタイプがいることは、百も承知。にしても、マイペース。にしても、変わってることを、痛感されることになろうとは、予想もしていなかった。

 視力が良くないせいか、当方がじっと、見ていることも、知らない。

 まあ、逆に、変に意識されずに、良い。

 1度、ちゃんと彼を知ろう、とインタビューも申し込んでおいた。

 午後7時過ぎ。スパーリングが予定されていた。今の実力を計るには、目安になる。相手は、同じバンタム級の、長井一(はじめ)。

 かつて書いたこともあり、実力もあるボクサー。接近戦が、得意。前の試合では、相手のしつこいホールドに、ないた。普段から、気さくで、話しやすい、良い性格。

 都合、「3ラウンドやる予定です」と長井に、聞かされる。私の存在、上村はまったく分かってない?

 あとで聞くと「分かってましたけど、挨拶するタイミングが無くて・・・」

 はあ???Dscf4281

  昨年見た時より、上村の腕は、ずいぶん上がっていた。パンチも、早く、鋭く、重くなっていた。加えて、上下の打ち分け、連打、パンチのつながりのバリエーションも増えていた。

 長井が得意とする体付けあっての接近戦にも、一歩も引かず、要所要所で決めるほど。

 これなら、今度の相手、中村量に勝てるのではないか?

 そう、思った。

 終わって、長井のトレーナーである、佐々木修平(写真上の、右側の短髪)が、上村に、声をかけた(写真)

 「お前、強くなったなあ!」

 上村、何も返事せず。フツーは、・・・・・なのだが。

 佐々木は、ボクシングファンなら知る人ぞ知る、世界チャンピオン 内山高志の名トレーナーでもある。むろん、上村も知らない訳ないのだが・・・・・。

佐々木に、聞いた。

 「いやあ、すべて良くなってますよ。足の運びから始まって、パンチも・・・」と、私も感じてたことを、教えてくれた。いつもそうだが、少し苦笑しつつも、素人にもわかる説明を、キチンとしてくれる、有り難い存在だ。

 なのに、上村。こう言ってのけた。

 「あのヒト、俺の見たことないはず。だから、ああ言われても・・・」

 ええ?と、思う。長井は、「よく上村さんとは、スパーリングしてるんですよ」と言ってた。ということは、折りに触れ、あの佐々木が、付き添って、見ていないわけはない。

 お愛想、儀礼の言葉も、インタビュー中、一切無い。ハナシが、まったく、はずまない。話しべたの、ようだ。人嫌いかも?

 「いや」と、反論的なものは、ある。

 これで、ある種の集団生活、協調性、大丈夫なのだろうか?

 渡名喜勇トレーナーも、上村のボクシングの成長は、認めていた。

 上村が、言う。「トレーナーが、いいなと思ったら、会長に具申するみたいですよ。それで、試合を決めてくれるみたいです」

 そうかなあ?

 「そうです! それ以外には、無いんです!」

 なにかしら、溜まってる不満が、滲む。

 んにしても・・・・。

 スパーリングのあと、ミット打ち、サンドバック打ち。そして、ゆっくりと自転車こぎ(写真・下)に、腹筋運動、エトセトラ、えとせとら~・・・・・・

 Dscf4341 選手も、トレーナーも、1人去り、2人去りして・・・・。時計は、とうに9時半をまわり、残ったのは、私と上村の、2人だけ。

 ・・・・・・・そばで、ひたすら練習? トレーニング? の終わるのを待つ。

 待ってる私を気遣い、「先に(インタビュー)やっちゃいましょうか?」という、ボクサー。

 「すいません。練習の、キリのいいところで、声かけますんで」という、ボクサー。

 こちらが、恐縮してしまうほど、礼節を知るボクサーが、多い。

 上村は、その範ちゅうを、軽~く超えてた。

 思い切って、声かけた。「あの~、そろそろ・・・」

 それで、おもむろに、や~っと、始まったインタビュー。

 20分ほど過ぎた頃、電気を消し、鍵をかけにきた、顔見知りの高橋トレーナーが、ビックリした顔をして、とまどう。

 「じゃあ、・・・・電気だけ消してって下さい」

 「すいません。もう、終わりますから」と、返事したのは、私。 上村、平然。無言。

 マイペースといえば、極め付きのマイペース。

 これぞ、”宇宙人”かも。何考えているのやら、さっぱり、言動、不可解・・・・・。

 ちなみに、対戦相手の、中村量は、25歳。デビューして、2年5か月。通算戦績、7戦して、5勝(2KO)2敗。

 この試合は、8か月ぶりとなる。

 実は、中村のデビュー戦の相手は、上村の同僚選手の、久我勇作。久我も、デビュー戦だった。

 なんと中村は、1ラウンド、2分9秒、TKO負けを喫している。

 久我が言う。「もう、僕も相手も、無我夢中でパンチ振ってたら、運良く当たってしまったというか(笑い)。勝ちましたけど、よく覚えてないんですよ(笑い)」

 渡名喜トレーナーと共に、そのセコンドに立っていたのが、上村。

 なので、妙に自信を言葉の端々に、滲ませる。

 中村は、その後、5連勝。そのうち2つのTKO勝ちを、果たしている。

 相手も、強くなっているよ。そう言っても、気にもしない。

 確かに、ユーチューブで戦いぶりを見ると、手数が多いだけには見えはするが。

 「見栄えに、注意して戦おうと思ってます」と、上村。

 長井が、こっそり教えてくれた。

 「スパーリングでは、(上村は)強いんですよ。でも、それが、試合に出てこないんですよねえ。おそらく、(胸を叩いて)ココの問題でしょうね」

 宇宙人の、ハートは、分からない。

 中村は、3月13日に、25歳の誕生日を迎えた。彼のブログには、妻なのか、恋人なのか、女性との、これ以上ない幸せな表情浮かべての、写真がアップされていた。

 そのことを、帰り際、上村に告げた。

 「良いですねえ。俺なんか、去年、彼女と別れたっきりですもん」

 その時だけは、「地球人」に見えた。

 ふ~っ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 4月12日の、試合結果も、追伸のような形で、書き添えておこう。

 危惧した通り、というべきか。

 0-3で、中村量に、判定負け。

 控え室に行く気は、無かった。

 上村和宏というプロボクサーにとっても、ひとりの人間にとっても、技術、パンチ力以上に、この試合は、負けて良かったように思う。

 もう、2度と取材することは無いけれど・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 


<リアル ボクシング ルポ>日本ライトフライ級 新チャンピオン!田口良一誕生! その裏で、悲劇が・・

2013-04-06 00:54:58 | スポーツ

Dscf4542 4月3日の夜、日本ライトフライ級の、新チャンピオンとなった田口良一(写真上。左側)。

 そのそばには、「認定証」を手に、満面の笑みを浮かべるトレーナー、石原雄太(ゆうた。写真上。右側)の姿があった。

 彼が担当トレーナーになるや、田口の肉体改造を手始めに、プロボクサーに必要と思われる、あらゆる面を、徐々に強化していった。それも、笑顔を選手に向けて、絶やすことなく。

 ついに日本タイトルを手にさせた苦労の日々が、この日、まず、報われた! その喜びの表われ。

 私は、単純に、そう思っていた。

 ところが、試合後の勝利者会見の途中で、ワタナベジム会長 渡辺均(ひとし。写真下。左側)のクチから、予想もしなかった事実が、飛び出した。

 「実は、石原トレーナーのお父さんが、試合の前に、お亡くなりになられまして・・・・」

 えっ!

 Dscf4556


 それまで、チャンピオン・ベルトを胸に抱いてた田口良一(写真上。中央)と、当の石原雄太トレーナー(写真上。右側)の顔から、笑みが消え、石原は唇を噛みしめた。

 記者の一人から、質問が飛んだ。

ーーそのことを、田口さんは、知っていたんですか?

 田口は、少し動揺しながら、こう答えた。

 「いえ。今、知りました。長らく、闘病生活をしていらしたことは、知っていましたけれど・・・・」

ーーそのことを、田口さんに伝えなかった?

 言いよどむ石原の表情を、サッと見て取った渡辺均が、代わるように答えた。

 「そうですね」

 伝えることによって、田口に与える影響を恐れたからだろう。田口は、一見、ごく普通の26歳の若者だが、とてもナイーブな一面を合わせ持っている。

 むろん、スポーツ新聞やテレビなどは、こういう秘話や、その人に関わる家族の出来事を軸に、記事化して感動的に、ドラマ的にまとめることが好きなことを知っているうえでの、会長の事実披瀝でもあった。

 私も、聞いた。

ーーお父さんて、あの広い芝生のある、実家の?

 ??という表情の石原。そして、ああと、思い出したかのように、少し顔をほころばせて、こう小さな声で、短く答えた。

 「そうです、そうです」

 

 会見は、その後はこの勝利についてと、一番前のリングサイド席にフジテレビが座らせた井上尚弥との、いずれ訪れるであろう2人の”激闘”について質問が移った。

 タイミング良く、フジテレビのテレビカメラが割って入るに至って、一転、会見は盛り上がりを見せた。

 すでに、ボクシングファンは、ご存じだろうが、フジテレビは井上の所属する大橋ジムと、井上一家に巨額の契約金を支払い、試合を中心に、今後地上波での独占放送をしてゆく。その皮切りが、4月16日の、佐野友樹(ゆき)戦となる。

 名古屋の松田ジムに所属している、日本ライトフライ級1位の佐野の元には、さっそく東京からフジテレビの収録が入り、一躍脚光を浴びたカタチとなった。

 もう、佐野サイドは、佐野ヨイヨイとばかりに、喜色満面、フンワフワ。ブログの写真で、タレントと記念撮影する際、Ⅴサインまでしてしまった。気持ちは、分からないでもないが、思わず、大丈夫かよ~、とつぶやいたほどだ。

 もとより、フジテレビの取材意図は、「刺身のつま」。それが、切り身より上手い! と、驚かれる可能性は、かなり低い。引き立て役。「つま、らない」という結果になりそうだが、田口ならどうなるか!?

 それは、いずれ稿をあらためて、じっくりと再取材もして書きたい。

 そんな喧騒をよそに、私は石原の心中が気に掛かっていた。

 思い切って彼に、話しを聞いた。帰り支度を始めながら、いつものように、嫌な顔ひとつせず、しかし、コトがコトだけに、言葉少なに答えてくれた。

 「父の名前ですか? 重雄です」

 「亡くなったのは、(4月)1日の夜です。それまでも、闘病生活が続いてはいたんですが・・・・・・。もう、(亡くなったのは)突然という感じで・・・・・・」

 最終病名は、「動脈瘤破裂」。

 他界された時の年齢は、69歳だったとのこと。

 若い。若すぎる! まだ、69で・・・・・・・。かける言葉も、無かった。

 1日の夜といえば、翌日の午後には、田口の前日計量などが、控えていた。別に、トレーナー同伴が、義務づけられているわけではない。

 しかし、対戦相手の体格の特徴や、肌の色艶、減量がうまくいったか? いかなかったか? で、明日の試合の作戦と、展開を組み直すことも、まれにある。

 迷った末に、石原は、同僚のトレーナーたちに「事情」を、ひっそりと明かし、悩んだ末、思い切って高橋トレーナーに、代わってもらった。

 試合が終わっても、田口には、明かすことが無かった。そして、「自分のボクシングで徹底して戦い、勝つことが出来ました」と、勝利者インタビューで言わせしめた。

 見事な、完勝だった。そうさせた、石原の力量は、褒めちぎっても、足りないほどだ。

 その、徹底した気遣い。石原ならではと、その時系列を調べた結果、つくづく痛感している。

 彼は、父の死をその目で確認し、涙したのち、試合会場へ向かった。

 王座決定戦の当日の、4月3日。

 まわりに気付かれないように、親しいトレーナーに、こう言ったという。

 「ここまで育ててくれた(亡き)父のためにも、この試合は、絶対に勝ちたい! 勝たせたい!」 

 そして、勝った! 作戦通りにやって、田口を勝たせた。

 死を知ってから、そこまでの40数時間、どのような感情渦巻くまま、セコンドに立ったのであろうか・・・・・。

 彼の気持ちを、推し測ると、今でも、涙が溢れそうになる。

 どうやら、試合まで、一睡もしていなかったようだ。

 片や、田口も緊張感で、ほとんど眠れなかったとのこと。

 なんと、試合後の記者会見のさなか。それまでの緊張感が、一気に溶けて、安心したのだろう。急激に眠気が襲ったようだ。

 目を閉じるたびに、となりに座っていた石原が気付き、思わず「寝るな!」と、注意したと、会見中に、笑いながら明かした。

 そう言って、絶えず、周りの人をなごますすべを、石原はもっている。悲しみを、こらえながら・・・・・・・・

 父が、他界したことは、試合を終えてから、初めて会長に打ち明けたと、人づてに聞いた。

 もし、試合前に、「実は・・・」と、田口に打ち明けていたならば、例え勝ったにせよ、別物になったかもしれない。

 若くして、石原雄太という男の、人間の、心配りと、心遣いには、正直、頭が下がる。

 それもあってか、日本スーパー・ウエルター級の柴田明雄ら、これで3人目のチャンピオンを自分の手で、育て上げた。

 そんな石原との出会いは、数年前のワタナベジム。 次の試合も近づき、久しぶりに田口の練習ぶりを見させてもらいに行った。そしたら、イケメンだが、ちょっと心持ち、少~し、顔と体がふっくらした体型の人が、田口ら数人を、指導していた。

 見た目、20歳台後半。このジムでは、最も若いトレーナーになるなあ、と思いつつ、中へ。

 以前のトレーナーは、事情あって辞めていた。

 ペコリと、頭を下げて、「こんにちは」と、挨拶し、後は黙って練習ぶりを、いつものように、選手の練習の邪魔にならないようにして、見させていただくことに。 

 もくもくと、準備運動をしてゆく、田口。そして、ミット打ち。軽快な打撃音を響かせている。さらに、以前より、重さ、シャープさが、拳と、腕と、上半身に乗っていた。     ん!?

 次いで、サンドバックへの打ち込み。うわっ! 響かせる音が、以前と違う。打ち込んだ後の、へこみ、喰い込み具合が違った。日々、むろん成長してるとはいえ、こりゃ、一体ど~したこっちゃ!?

 称賛しつつ、田口に聞いてみようと思った直後、汗でびっしょりとなったTシャツを脱いで着替えるとき、聞くまでも無く、その理由が分かった。

 体型が、見事に一変していた。いっぺんに、全てがわかった。

 以前は、いわゆるボクサー体型。無駄な肉を削ぎ落とした体型。それが、上半身が、見事な逆三角形となり、筋肉が付き、いわゆる、ムキムキマンに。なにより、割れ腹筋に、ぶっとい両腕!

 「これから、まだ作っていくんです」と、田口。次の試合に向けて、パンチの破壊力も増し、自信も、さらに、増したようだ。得意のアッパーボディ打ちも、威力が増していた。

 聞けば、そのイケメンは、よくあるプロボクサー出身ではなく、フィジカルを鍛える「ストレングス&コンディショニングコーチ」だと言う。

 出身学校も、スポーツトレーナーなどを、養成するところ。そのわりには、ミットを構えて、打ち込ませる姿も、ミットもなくないし、違和感なく、素人目にもサマになっていた。

 根性論など、全く排した、体の作りに合わせた、理詰めの指導法。何より、驚いたのが、ニコニコと、常に笑顔を絶やさず、しかし、選手がこなす回数には、一切妥協が無い、体をいじめ抜く指導ぶり

 「はい、もう1度!」 「次、いくよ」

 ホンの少しの休憩のあと、また1からスタート。腹筋など、田口が最も苦手とする時も、容赦無し。でも、そのトレーナー、激なんか、一切、飛ばさない。

 ニコニコしながら、やらせるメニューの数々。すごく、キツイ。それは、今もって、変わらない。ある種、やさしい鬼。

 練習場に”新風”が、吹き込んでいた。他の、トレーナーも、気にしないように装いつつ、興味シンシン。

 で、”結果”を出してきた。例え、試合には、負けても、一歩一歩、確実に選手は、目指す階段を、昇って強くなっているのが、後楽園ホールの客席で見ていると、分かった。むろん、練習のチカラが、試合に出ない選手も、いた。

 ちなみに、他のスポーツの分野においても、ストレングス&コンディショニングコーチが、近年多数進出している。

 とある日本代表チームにも付いており、なぜかこの方も、いつもニコニコと選手に接している。なのに、キツイとしか思えないノルマを、どんどん課してゆく。もう、平然と。

 で、チームの試合結果こそ、諸外国チームの伸びが日本より大きく、苦戦が続いてはいるが、持久力や、走力などを始め、個々の選手の身体的能力は、当初よりはるかに伸びているのは、数値でも、ハッキリと 表われていた。

 さて、田口の身体を、一変させた、その新任トレーナー。性格も明るいうえに、人当たりも良く、すぐジムに溶け込んでいった。渡辺会長の、目は確かなものといえた。

 石原トレーナーは、WBAスーパーフェザー級チャンピオン 内山高志のさらなる身体能力も高め、2010年の、栄えある「エディ・タウンゼント賞」を、「チーム内山」の1員として、受賞している。

 この賞は、その年の、「年間最優秀トレーナー賞」として有名なうえ、複数名が「チーム」として、選出されたことも、初めての事となった。

 もちろん、石原の指導に全員が気に入ってくれる訳では無い。外から移籍してきた、キャリアと、プライドが人一倍あるボクサーなどは、今まで自分がやってきたことに自信があるのだろう。良くも悪くも、我が道を行っている。

 この試合の日も、交際中の恋人を連れて、観戦。チャンピオンとなった田口に、祝福の言葉1つ、贈る事無く、会場をすぐ後にしていた。明らかな、ライバル視も、その背中に、滲んではいたが・・・・・。

 で、その、いわば”田口は、変わった”的な記事を書く段になって、あれ~っ? あのイケメンさん、何という名前か、聞いてもいなかったことに、気付いた。

 このあたりが、我ながら、抜けているところ。

 ピッ、ポッ、パッ。?を、ジムに入れる。

 「あの~。名前が分からないので、教えて戴きたいんですけど」

 「はいはい、誰でしょう?」

 「田口さんのトレーナーをしていて、ちょつと2枚目で、少しだけお顔が、ふっくらした方で・・・・」

 電話の向こうで、「誰だろ?」という、小さな声。数秒後。

 「それって、石原さんじゃないでしょうか?」と、若い女性。

 「イシハラって、ど~ゆ~字を?  ああ、石原裕次郎の、石原ですね?」

 今度は、女性が???

 うわっ! 世代間の、ギャップ!

 「で、下の名前は? ユウタ? どのような字を?  ハイハイ、英雄の雄ね」

 「エイユウって?」

 逆に、聞き返された。

 担当トレーナーと、プロボクサーとの関係は、体力や技術、戦って勝つことを教え込む以上に、「精神的支柱」となるパーセンテージが、とても大きい。

 この人だから、信頼して付いてゆくとでも、言ったら良いか。

 今、2人の両輪は、うまく、これ以上ないほどに、噛みあっているように思える。

 以前、彼が、ブログをやっていることを聞かされた。時折り見ていたら、広い芝生のある風景が映っていた。

 あるとき、彼に冗談混じりに、聞いた事があった。

御稼ぎですねえ。若いのに、あんな、きれいな芝生のある広い庭付きの豪邸に、御住みになってらっしゃるとは!

 いつものニコニコ顔のまま、石原は言った。

 「あれは、実家ですよお」

 笑い声が、はじけた。

 それを思い出して、質問をしたというわけだ。

 年齢も、30歳台と知り、さらに驚いたものだ。

 

 葬儀は、家族葬として、執り行うとのこと。こんな良い性格の人を育てた重雄さんもまた、良い人だったのであろうと想像する。

 せめて、あと数日、生きていらっしゃれば、この1文の冒頭に掲げた光景も、写真で見せられたかもと想うと、人の命のはかなさを感じる。

 試合後、彼はこうも語っていた。

 「母も、柴田明雄くんの試合のある、その10日前に、亡くなったんですよねえ・・・」

 トレーナーの宿命、と言い切るには、あまりだ。 

 ジムのトレーナーというより、”準勤”アドバイザー的な存在でもある、歌手の山川豊は、感慨混じりに、こう語る。彼は、全国各地で歌う、多忙な中を縫って、時間の有る限りジムに”出勤”。

 トレーナー陣の一人として、セコンドにも、しばしば立っている。

 むろん、石原とも、とても親しい。

 「実は、俺のおふくろも、闘病の末、同じ診断で亡くなったんだよね。だから、石原君の気持ちは、切ないほど、よくわかるんだよ」

 「辛いと思うよ・・・・。本当に・・・・・・」

 「ご葬儀に参列させて戴こうかと思っていたら、家族葬で、ホントに身内だけでひっそりと執り行うと言うんで、遠慮させてもらうことにしました。お花だけは、贈らせてもらいましたけれど・・・・」

 歌手でありながら、この人ほど、トレーナーとプロボクサーの心理と、その苦労を身近で知っている人は、いない。見る目は、あくまで厳しく、そして優しい。

 聞き及ぶところでは、5月に、歌手生活で初めて、プロボクサーの歌を世に送り出すとのこと。彼らの心と、生活の日々を知っている方だけに、秘かに期待している。

 3日の深夜。

 石原は、親友たちに囲まれて、祝福の嵐にもまれている田口に、さりげなく別れを告げたあと、父の亡きがらが待つ、実家へと戻ろうとしていた。

 5月4日には、再び、自らが担当する、日本スーパー・ウエルター級チャンピオンの柴田明雄が、東洋・太平洋(OPBF)ミドル級チャンピオンの、淵上誠に挑戦する試合が、待ち構えている。

 世界トップの強打者に、ノーガードで挑み、ぶざまに惨敗した淵上とはいえ、まだまだ、強打の名残りはある。そして、東洋の王者にまで、再び這い上がってきた。

 指導する柴田の、重量級にしては、まれというべき、軽やかなフットワークから繰り出されるパンチ。その、ヒット&ウエィ。

 蝶のように舞い、蜂の様に刺すスタイルが、どう通用するか!?

 判定でもいい。勝って、新たなベルトを柴田の腰に巻かせたい。それを、2日後の6日に続く、内山高志と、河野公平のダブル防衛戦につなげたいはず。

 チカラは、5分5分。

 まさに、トレーナーの力量と、巧みな作戦の成果が問われる、タイトルマッチになるだろう。

 亡き父の待つ実家へと戻る一瞬、足を止め、こちらの顔を見て、石原は言った。

 それも、いつものニコニコ顔で。

 「また、ジムへいらして下さい」

 名トレーナーの顔になっていた。

 胸が、キュンと締めつけられた。

 

 

 

 

 


<リアル ボクシング ルポ>田口良一。「宿敵」井上尚弥が最前列で目をこらす中、知念勇樹に大差判定勝ち

2013-04-04 01:34:48 | スポーツ

Dscf4526 田口良一が、ついに日本ライトフライ級の、新チャンピオンになった!(写真・上 中央)

 それも、対戦相手の知念勇樹の武器ともいえた、左フックを見事に制して!

 目が覚めるように、見切っていた。

 1ラウンドを、終えたとき、いけるな! そう想った。

 判定勝ちではあったが、ほぼ完勝と言っていい勝ち方を、おさめた。

 スコアを、書いておこう。

 97-93。98-92。そして、99-92.

 そうコールされて、笑みを浮かべた、田口。そのすぐ近くの最前列に、井上”怪物”尚弥が、いた。距離にして、わずか5メートル。

 試合が始まる1時間近く前。その井上に、ハナシを聞いていた。

 そして、試合を終えた、知念にも、ハナシを聞いた。キャラクターが、最高だった。”宇宙人”かどうかは、ともかくとして。.

 これで、田口にとって世界への、「1里塚」を超えただけ。さらなる強敵が、見守っていたのだから。

 とりあえず、こう言っておこう。おめでとう、と。

 写真下の、旧友たちと、祝宴を上げるがいい。

Dscf4610

 詳しいルポは、近日中に打ち上げます。


<リアル ボクシング ルポ>いよいよ本日、4月3日。日本ライトフライ級王座決定戦 田口良一対知念勇樹

2013-04-03 06:34:59 | スポーツ

 久しぶりに、ネット上における短いボクシング報道においても、さまざまなプロボクサーの名前が躍り、活況を呈している。

 山中慎介、八重樫東、亀田興毅、三浦隆司、五十嵐俊幸。

 そして、敵地のメキシコの奥地で、大きなハンディをもろともせず、IBFミニ・フライ級の王者となった、高山”タカヤマン”勝成

 かたや、勇猛果敢にというべきか、愚策というべきか、1ラウンドからまともに、淵上誠も葬り去った最強打者と打ち合い、3ラウンドにTKO負けを喰らった、石田順裕(のぶひろ)。まあ、帰国したら”東京妻”が、温かく迎え入れて、慰めてくれるはず。すでに、37歳。残すは、引退を決断するだけだろう。

 

 そんななか、この春、一番の注目すべき試合が、今夜、午後8時過ぎ、東京の後楽園ホールで、敢行される。

 日本ライトフライ級王座決定戦が、それだ。

 丸1年前、当時の王者だった黒田雅之に挑戦し、引き分けという不可思議な裁定を下された、田口良一

 片や、13戦全勝無敗という「看板」を引っ提げて、王座挑戦権を得た、知念勇樹。コアな、ボクシングファンにも、馴染みが無いと思われ、前の原稿で、その真の状況を詳しく書いた。関心を持たれた方は、一読願えればと思う。

 昨日の、軽量ならぬ、「計量」。

 田口によれば、温泉などにゆったりと身を浸して、リラックスすると同時に、最後の体重落としに努め、「リミット一杯で、1回でパスしました」とのこと。

 一方の知念は、計量に間に合わせようと、ジム最寄りの那覇空港を、午前9時45分発の便に乗り、上京。

 計量も、無事にパス。

 戦う2人に、会話は、一切無し。闘志を秘めたまま、会場を静かに去った。

 田口は、言う。

 「思ったより、長身だなあと感じました」

 公称の限りの身長差、7センチ。

 しかし、知念と軽くスパーリングをした、179センチの佐藤洋太が「俺と同じくらいかも?」と、思わず言ったように、数字以上に、見た目の背が高いのであろう。

 田口のトレーナー、ふっくらイケメン顔の、石原雄太は言う。

 「身長よりも、おそらくリーチ(注・腕を伸ばしたときの長さ)があるでしょうから、気をつけたいですね」

 ともに、1発で相手をリングに這わせるまでの、破壊的パンチ力は、正直いってまだ無い。

 巧みなコンビネーションと、上下要所要所に見事に打ち込む連打で勝ち続けてきた。

 その「プロ」テクニックも、堪能出来る試合になるはずだ。

 おおかたの予想は、田口1歩有利と見る向きが多いが、勝負はゴングが鳴ってみなければ、分からないのが、また現実だ。

 危惧されるものがあるとすれば、知念サイドの応援団。沖縄独特のリズムで、大声援だけならまだしも、笛や太鼓をインターバル中にでも、打ち&吹き鳴らされたら、たまらない。

 特製Tシャツを着て50人。熱く燃えたぎる気持ちは、分かるが、これだけは自制して戴きたい。

 というのも、先の黒田雅之が、2月27日、地元の川崎で、世界フライ級王者に挑戦し、自力負けした試合で、ソレがあったからだ。

 要請もあったのだろう。2階の一角に陣取った30人あまりの、若者たち。普段は「川崎フロンターレ」を試合会場に足を運んで、応援していると思われる。

 で、サッカーのノリで、ドドンがドン、ピーヒャララ~。応援旗、はためかす。聞いてみると、「生まれて初めて、ナマでボクシングの試合を見に来たんです」というヒトばかり。無知とはいえ、事前に「やってはいけないんです」、と教え込まなかった黒田サイドの罪もある。

 純粋に、ボクシング観戦を楽しみに来た、多くの観客の押し殺した感情が、爆発したのが、7ラウンド。

 それまで、黒田サイドに配慮して、黙っていた日本ボクシング協会と、同コミッションが、重い腰をあげた。

 ようやく、場内アナウンスで、鳴り物についての使用について、注意が流れた。

 とたんに、場内の各所から、怒り混じりの罵声が飛んだ。

 「遅いんだよ! バカ野郎!」

 そんな愚挙が、再びあってはならない。

 2人の、渾身の激闘を、心だけ熱くして、見守って欲しい。

 残念ながら、テレビ中継は、無い。

 昨夜、自身の「ボログ」で、田口良一は、こう高らかに宣言している。

 < 力の全部を出して、チャンピオンになります! >

 よっしゃあ~!

 


<リアル ボクシング ルポ>高山”タカヤマン”勝成。敵地メキシコに乗り込み、大差 3-0の判定の栄冠

2013-04-02 17:15:30 | スポーツ

Dscf4356 先日、この3日に後楽園ホールで行なわれる、田口良一 対 知念勇樹 日本ライトフライ級王座決定戦のルポを書いた。

 そのなかで、いかにメキシコを始め、海外でタイトルを取ったり、それ以上に防衛することが、「困難」かを、具体例を示して、書いたばかりだった。

 そんな、折りも折り、高山勝成が、完全アウエーのメキシコで、文句なしに勝った

 


<リアル プロ野球 ルポ>前略 花巻東高等学校 野球部投手 大谷翔平 様> 2012・12・8

2013-03-28 22:35:00 | スポーツ

 なんだあ? 花巻東!? いつのハナシだ?

 そう思われる、読者も多いことでしょう。しかし、明日 3月29日、プロ野球開幕に向けて、異常とも思える”大谷フィーバー”。

 予期したように、絵に描いたような「客寄せパンダ」になってしまっている彼。

 これから間違いなく起こるであろう「厳状」も知って欲しく、再録します。まあ、お読みください。

 

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  明日12月9日、岩手県奥州市において、君は、プロ野球 日本ハム・ファイターズ球団への「入団”決意”発表 記者会見」に出席するとのこと。

 君の大きく揺れてた気持ちが、ようやく固まって、落ち着いたと思っていたら、岩手県も揺れに揺れた昨日の大地震には、驚きました。実家は、何の被害もありませんでしたか?

 それにしても、や~っと、と言うべきか、やっぱり、と言うべきか。

 現実の選択肢としては、コレしか無かったと思ってました。今の翔平君の実力では、アメリカの地に渡っての、すぐの大リーグ、メジャー入りは無理ですから。

 そのことは、厳しい言い方かも知れませんが”厳実”です。

 それは、君自身も自覚してますよね。

 ドラフト会議が開かれる4日前の、10月21日、君は取材陣に囲まれて、大リーグ入りへの夢を語りましたよね。

 「マイナーからの、スタートは覚悟してます。それでも、行って挑戦したい」

 そんな「夢」を語る、高校球児の気持ちは、痛いほど分かります。理解は、出来ます。しかし、そうして行った高校生や大学生で、成功してメジャー入りをめでたく果たした野球選手は、ただの1人もいません。

 それも、知っていますよね。

 確かに、マイナーの、いわば、メジャーが1軍なら、「4軍」に相当するチーム。そこは、高校の野球部クラスの実力でもやっていけます。その代わり、食うや食わずの、苦しい生活です。

 待っているのは、ホームシックと、後悔と、這い上がろうとする感情と、落ち込みだけ。

 そこからのメジャー入りは、まず、ありえません。

 ありえたら「バラエティ映画」の世界です。チョ~奇跡です。

 お父さんの徹さんは、社会人野球で過ごしたことが、ある方。その辺りは、おそらくよく知っているはず。お母さんの加代子さんは、日ハム球団のある「札幌でも遠い・・・」と、ポロリ漏らしたとのこと。

 全国各地をシーズン中は転戦する、ということを良く知らずにおっしゃった母心と、理解しました。

 とはいえ、お父さんの徹さんが翔平君の、現時点でのメジャー入りの為の単身渡米を反対し、難色を示したのは、なにも息子がいきなり遠くに行ってしまうからではなく、君の現時点での実力を、元野球選手の視点で、冷静に見定めたからでしょう。

 もちろん、厳しく辛い異国での生活が、透けて見えたからでもあると思います。

 君も、両親からこのような現実を聞かされ、説得もされたかと思います。

  確かに大リーグの球団のスカウトが数人、君のピッチングを見て、調査はしていきました。さらに、リップサービスも、残して去って行きました。

 しかし、実際には君の元へ、入団の正式どころか、予備交渉すら無かった。それが、今の君への”評価”です。

 やはり、面識はあったとはいえ、栗山英樹監督の熱意を感じたことが、揺らいでた気持ちを大きく動かしたと思います。

 明日の入団発表。

 君の意識としては”苦渋の選択”の結果かもしれません。

 しかし、晴れ晴れしい顔も、明日まで。

 正直に言い切れば、今の君のままでは、プロ野球では通用しません。間違いなく、3年は苦闘するでしょう。

 確かに、昨年、一関(いちのせき)学院高校相手の試合では、尻上がりに球速を増し、6回に160キロを出して、見事に三振を奪いました。

 その時の「160キロ」という数字が、いわば一人歩き。

 スゴイ投手との、マスコミ得意のヨイショ、神輿の担ぎ上げが、君の株をさらに揚げる結果となりました。私も同じ業界にいるので、よく解ります。

 しかし、君の制球力は乏しい。高校球界では「超」が付いても、プロの世界では、ただ球が速いだけでは通用しません。

 そのことは、初登板か、2度目で痛感するはずです。プロは、目が慣れると、バットの芯で、いとも簡単にボールを捕らえ、弾き飛ばします

 逆に球の出し入れの巧みさと緩急で、150キロを160キロに打者に思わせる投手も、山ほどいます。

 君の甲子園での防御率、3・77。四死球、16。そして、奪三振、14。

 18歳以下の国際試合では、通算10イニング投げて、防御率、4・35。四死球、11.でも、奪三振16。

 3年生のセンバツでの、大阪桐蔭戦では、四死球11も出して、9失点で惨敗。

 加えて、フォームの安定感の無さも、やはり気になるところです。かつて痛めた成長期の軟骨の骨折の治りも、いまだ気になります。

 これでは、メジャーどころか、日本でも駄メジャーと言われかねません。

 君の高校の先輩の菊池雄星の”惨状”を知っていますよね?

 それでも、来期の年俸は、今期より300万円アップの、推定2300万円。有りがたいというか、やさしいというか・・・・

 菊池君クラスじゃ、マイナーでは、クビです。ましてや、メジャーでは・・・・。

君の憧れるメジャーでは、どれだけ活躍しても、球団の事情でクビとなることは、君も知っているはずです。

 球団の先輩投手の、斎藤佑樹。高校時代から、かわす投球術と、打たしてとる投法でしのいできた人です。実力よりも話題でプロ入り出来たものの、やっぱり2軍落ち。

 「落ち」では無く、本来のいるべきところに戻ったと、私は見てます。もっとも、あのひ弱い精神力では、1軍へ這い上がったとしても、完投完封は、永遠に無理でしょう。

 かたや、楽天で活躍しているマー君こと、田中将大(まさひろ)は、最速150キロしか高校時代出ませんでしたが、制球力が悪い時は悪い時なりにコーナーをうまく突き、打者を打ち取るすべを知っていたのが、君と違うところです。マウンド度胸も、違いますね。

 楽天の入団時の契約金などは、君と同じ1億円、プラス出来高払い5000万円。そして、年俸1500万円。

 日本ハム球団としては、君を「客寄せパンダ」として、早く登板させたがるはず。君も、プロの打者に対して、自分がどれだけ通用するか、試してみたい気持ちがあるはずです。

 しかし、早々に打ち込まれたら、”ハンカチ王子”のように、恥と冷や汗をかく前に、すぐ降板させるはずです。

 いわば、乳母日傘の優しすぎる厚遇。

 そこで、ガクッと落ち込まずに、鎌ヶ谷で、練習に励んで下さい。

 な~に、マスコミとファンは、ホンの半年ほどで、潮が引いたように来なくなりますから。

 球団の先輩、中田翔などは、それをいいことに、遊び呆けてました

 そんな人間でも、自分の尻に火が付き、これじゃいけない!と自覚すれば、人間の意識って、ガラリ変わるもんです。手首、骨折しても頑張るんです。

 鎌ヶ谷の寮からの、見晴らしはいいですよ。玄関の目の前に練習グラウンドがあり、近くに遊ぶ所は無いので、練習に打ち込める環境は、バッチリ!

 ランニングも人を気にせず出来ます。

 食事もキチンととれるし、お母さんも安心出来る環境といえます。

 投球フォームは、菊池雄星先輩のように、いじられ過ぎたり、迷い過ぎたりして、修正に修正を重ねたりすると、グチャグチャになりかねません。

 いざとなれば、中田翔のように、打者転向させられるかもしれません。君の高校の通算本塁打56本は、球団にとっては魅力ですからね。

 「翔」つながりで、中田に誘われて”遊んで”は、いけませんよ(笑い)

 日本で実績を1つ1つ、積み重ねていけば、やがて、今の君が夢見ている大リーグ入りは、可能です。

 日本からアメリカへ。そんな”翔来”が、来るかも?知れません。

 韓国の選手の例を栗山監督に聞いたと思いますが、最初アメリカのチームでやって、それから日本へ戻っての、いわば”逆輸入”の形で成功した投手は、1人としていません。トライアウトでも、無惨に落ちています。

 何もあせることは、一つとしてありません。第一、君、英会話&米会話、出来てますか?

 日常生活はもちろん、捕手とのコミニュケーションも、基本は英・米語です。

 黒田博樹投手の活躍を、知っていますよね?

 彼は君と違って大学から日本の球界入り。そこでの「実績」を買われ、33歳で大リーグ入り。

 今や、ニューヨーク・ヤンキースの押しも押されぬ投手陣の大黒柱として、を付けても恥ずかしくない大活躍ぶりです。

 今、37歳ですよ。

 君が変に急ぎ、あせる必要は、まったくありません。

 海の向こうで君を欲しがらせるまで、まず”制球”力を身につけること。それを”性急”に身に付けることが、プロとしての第一歩です。

 キャンプでは、マスコミのカメラと視線が、気になるでしょうが、しっかり下半身を鍛えて走り込むこと。

 中田と”下半身”を鍛えに夜の妖しい闇に消えない様に・・・・・。

 マスコミ寄せパンダ&客寄せパンダで終わることなく、じっくりと実力をつけて、コーナーの隅を突く投球術も身に付けて欲しいものです。

 確かに球は速いのですから、ソレを確実にモノにすることが必須です。

 あと数年、「あの人は、今」と言われても、ガマンして、決して腐らないでください。

 数年後、「小兵」に過ぎなかった翔平が、チーム戦力の「大兵」に成長するよう願って、ペンを置きます。

 

<追伸記> 他の、大谷翔平、日ハム入団に関するブログが、大事なところを見落としている、あまりにくだらないシロモノが目に付いたので、再アップしました 2012・12・10

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 <再追伸記  ”2投流” みじめな結果になると思います。冷静に大谷を見ている、真のファンならば、紅白戦や、オープン戦の成績を列記すると、その将来性が、見通せるはずです。

 獲得に投じた巨額のカネを、早く取り戻そうと”営業サイド”先行の、マスコミも加担して、あおる空虚人気・・・・・

 菊池雄星、斎藤佑樹、そして・・・・

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はずれたあ!

 私の目、節穴・・・・・・・・か