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北原白秋(1885-1942)「春の鳥」:鳴く春の鳥以上に、①女義太夫の美しい昇菊が着る紺と銀との肩ぎぬ、②洗練された歌沢節が似合う夏における大川の金と青とのたそがれが、自分を魅了する!

2019-07-15 22:31:28 | 日記
※『東京景物詩及其他』(1913、28歳)所収      

 「春の鳥」 A bird in spring

鳴きそな鳴きそ春の鳥、 Don’t sing, don’t sing, a bird in spring!(鳴くな、鳴くな、春の鳥!)
昇菊の紺と銀との肩ぎぬに。 Because a traditional drama singer, Shogiku, is beautiful and wears a traditinal formal jacket colored in deep blue and silver.(なぜなら伝統的物語、義太夫を語る昇菊が美しく、そして紺と銀との伝統的正装の上衣、肩ぎぬを着ているから。)
鳴きそな鳴きそ春の鳥、 Don’t sing, don’t sing, a bird in spring! (鳴くな、鳴くな、春の鳥!)
歌沢の夏のあはれとなりぬべき Because it will become summer soon when a traditional song, Utazawa, sophisticatedly sing, (なぜなら直に夏となり伝統的音曲、歌沢が洗練されて歌われるからであり、)
大川の金と青とのたそがれに。 and at that time, sunset at Okawa-river is beautifully gold and blue. (その時、大川のたそがれが美しく金と青だから。)
鳴きそな鳴きそ春の鳥。 Don’t sing, don’t sing, a bird in spring! (鳴くな、鳴くな、春の鳥!)

《感想1》「昇菊」は昇之助とともに美貌で人気のあった女義太夫の一組だ。「肩ぎぬ」は裃(カミシモ)の上半身に着る袖の無い上衣で、下半身が「袴」。それらを小袖の上から着る。「歌沢」は庶民の芸であった「端唄」を、上品で物静かな芸にまとめ上げたとされる粋な歌謡。
《感想2》詩人は、①女義太夫の美しい昇菊、①-2彼女が着る紺と銀との肩ぎぬ、②洗練された歌沢節、②-2それが似合う夏における大川の金と青とのたそがれが、鳴く春の鳥以上に、自分を魅了すると歌う。
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