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安部悦生『文化と営利』「補論1 欧米・日本・中国において宗教がもつ意味」:「神」と個人が直結する欧米! 血縁が重要でない日本の「イエ」!「家族」の絆が強い中国!

2020-07-02 12:14:35 | 日記
※安部悦生『文化と営利 ―― 比較経営文化論』有斐閣、2019「第Ⅱ部 経営文化の国際比較」「補論1 欧米・日本・中国において宗教がもつ意味」

宗教意識と経営発展の関連などをこれまで見てきた。以下、欧米、日本、中国の異同についてまとめておく。
(1)欧米:プロテスタンティズムとカトリック!(347頁)
A 欧米のプロテスタンティズムでは、「神」と個人が直結する。神との関係が、家族や他人の関係より優先する。
B 「国家」との関係は、初期には緩やかであったが(Ex. 神聖ローマ帝国)19世紀に国民国家が出現し、国家のウェイトが大きくなる。(Ex. 国家主義、国民主義、民族主義)
C イタリアのようなカトリックの社会では、血縁が強くまた地縁も強い。

(2)日本:「欧米的な個」でない!血縁はそれほど重要とされない「イエ」!植民地化の脅威から「国家」が前面となる!「中間組織」は比較的強固!(347-349頁)
D 日本で「神」の存在が明瞭でない。①神道では「八百万の神」で神の存在そのものが(※キリスト教と違い)明瞭でない。②仏教でもお釈迦様、阿弥陀様、菩薩様などいろいろな信仰対象がある。③儒教では祖先崇拝の伝統が「神」に近い。
E 日本での「個人」は「家の中の個人」であり、「欧米的な個」でない。
F 日本では「家」・「家族」は強固だ。
F-2 ただし中国の「家」・「家族」では、「家」というより「血縁家族」が主体だ。
F-3 日本は「家」そのものが重要であり、血縁はそれほど重要でない。「イエ」!Ex. 番頭経営・養子制度。
G 国家に対する関係では、日本はかつて「お家」(藩)の存在、「お店(タナ)」の存在が大きかった。
G-2 幕末から明治維新にかけ、西洋列強による植民地化の脅威から「国家」が前面となる。(ア)藩意識から国意識への転換、(イ)お店(タナ)意識から「国事としての企業意識」への変化。
H 日本ではある程度の「中間組織」の発展あり。(a)村の中での家同士の関係(Ex. 本家・分家)、あるいは血縁関係のない他家との交際の比重が高かった、(b)明治以降、各種業界団体など中間組織は比較的強固。

(3)中国:血縁団体としての「家族」の絆は強い!(349頁)
I 「神」は一神教と較べれば曖昧。(Cf. 朱子学の「天」)
J  中国では血縁団体としての「家族」の絆は強い。三世代同居などの大家族が多い。中国では均分相続なので、分家の発想はない。(Cf. 日本は長子相続で分家の仕組みあり。)
K 中国では村の中で、血縁関係のない他家との関係は薄い。「中間組織」の形成に困難。
L 「国家」は伝統的に遠い存在。皇帝の支配も実質的には個々の家族、村まで及ばなかった。
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