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映画『Viva!公務員』Quo vado?(伊、2015):ノービリ博士(ケッコの事実婚の妻)は仕事に困らない!彼女は十分なキャリアがあり、いつでも就職が可能だ!これによって、彼女は自由に生きる!

2022-08-22 15:23:07 | 日記
※日本では最初、「イタリア映画祭2016」で『オレはどこへ行く?』の邦題で上映された。

映画の舞台は「公務員天国」と言われるイタリア。「終身雇用」を求めて公務員になった男ケッコ・ザローネが、リストラの対象になってしまった。そのケッコがアフリカで働く恋人に会いに行く途中、密林でカズー族につかまり、ドゴン酋長に事情を説明することとなった。
(1)「終身雇用の仕事に就いて安定した人生を送る」のがケッコの子ども時代からの夢だった。その夢をかなえ、15年前にケッコは、公務員になった。彼は未だ独身だ。婚約者がいるが、彼女はケッコが好きというより、「公務員」の安定した生活を求めていた。だからケッコはなかなか結婚しない。
(2)だがマーニョ大臣が「公務員削減計画」を発表する。リストラ担当者の部長シローニ女史はやり手で、リストラ目標者1444名のうち1443名までリストラした。最後に残ったのがケッコ・ザローネだった。シローニ部長は退職金の割り増しで自主退職願に署名させようとした。2万8000ユーロの退職金に対し、3万5000ユーロをシローニ部長は提示した。しかしケッコは公務員を辞めたくないので署名しない。
(3)かくて「嫌がらせ」にケッコはあちこち異動させられる。①スーザ渓谷での家畜管理、②サルディーニャ島ヌーオロ市の古代遺跡管理、③難民救援センターの係官。ケッコが音を上げていると思い、シローニ部長は、今度は割増退職金5万ユーロを提示するが、それでもケッコは公務員を辞めない。つまり自主退職願に署名しない。
(4)ケッコは④北極の国際研究センターに異動となる。彼はそこで美人のノービリ博士の護衛係(ホッキョクグマの襲撃から守る)となる。彼はノービリ博士を好きになり、北極の職務が楽しくなる。彼は公務員を辞める気が一層なくなる。
(5)夏季休暇中、ケッコはノービリ博士(ノルウェー人)の家に滞在する。彼女にはなんと3人の子供がいた。ただし父親が全て違う。長男サイード(父親がアフリカの黒人)、長女(父親は東洋人)、次男ラルス(父親はノルウェー人)。ノービリ博士は、今はラルスの父親と暮らす。
(6)そこにノービリ博士の新しい恋人カールがやって来る。ケッコは嫉妬するがどうにもならない。かくてケッコは「ぼくは北欧人(ノルウェー人)になる」と決意する。ケッコは家事に精を出し、男女同権を主張し、LGBTの権利を認める。ケッコは北欧的生活様式を取り入れて行く。しばらくしてラルスの父親は、男性の配偶者と結婚式を挙げた。
(7)ノービリ博士の恋人カールはやがて去り、北欧(ノルウェー)に暗い冬がやってきた。ケッコは陽光の明るいイタリアが恋しくなる。イタリア的生活様式が、ケッコには、やはり懐かしくしっくりする。ケッコはイタリアに戻る。ノービリ博士、その3人の子供も一緒にイタリアに来る。
(8)リストラ担当のシローニ部長は、今度は割増退職金7万ユーロを提示するが、それでもケッコは自主退職願に署名しない。かくてケッコは、今度は⑤イタリア国内の森林警備隊に異動させられ、彼は違法の猛獣の没収の仕事に従事した。ノービリ博士は、それら没収した猛獣たちを見せる私設動物園を開設した。だがしばらくしてうまくいかなくなり、ノービリ博士はイタリアを去る。彼女は、アフリカでの仕事に従事することなる。
(9)だがケッコは公務員を辞めたくない。つまりアフリカに行かない。かくてノービリ博士と、ケッコは別れる。リストラ担当のシローニ部長は、ついにケッコに割増退職金7万ユーロを提示する。だがこれもケッコは断る。その内に、マーニョ大臣の公務員削減計画は取りやめとなった。かくてケッコは再び、元の県の仕事に戻った。「粘り勝ちだ!」「公務員天国イタリアだ!」とケッコは喜ぶ。
(10)そこにアフリカにいるノービリ博士から電話がかかる。「妊娠した。あなたの子供よ!」とノービリ博士がケッコに言う。結局、ケッコは自分の子供とノービリ博士と一緒に暮らすために公務員を辞める。ケッコはアフリカに行く。リストラ担当のシローニ部長は、もはや公務員削減計画は取りやめとなったから予算がないので、自主退職の割増退職金は3万5000ユーロしか払えないと言う。ケッコはかけひきの中で「ポケットマネーで払ってくれ」と、シローニ部長に1万5000ユーロを上乗せ分として払わせる。
(11)カズー族のドゴン酋長はケッコの事情を了解し、ケッコを解放する。実はドゴン酋長の娘も妊娠しており、ノービリ博士がケッコとの子供を産んだのと前後して、ドゴン酋長の娘も出産した。ケッコとドゴン酋長は病院で再会し、喜びあった。
(12)ノービリ博士は野生生物保護の仕事に従事し、ケッコは彼女の専属の助手として雇われる。他方、ケッコがシローニ部長に払わせた割増退職金の上乗せ分1万5000ユーロは、ノービリ博士が子供を産んだ病院に寄付された。ケッコは、それをシローニ部長からの寄付として伝え、病院にはワクチンなど医薬品が送られた。シローニ部長にはアフリカの病院から深い感謝メールが届いた。

《感想1》ノービリ博士(ケッコの事実婚の妻)は仕事に困らない。彼女は獣医の資格を持ち、十分なキャリアがあり、いつでもどこでも就職が可能だ。これによって、彼女は経済的基礎を持ち、自由に生きることができる。
《感想2》映画は、「多様な文化と一つの人間性」の観点から、「インターナショナリズム」あるいは「多文化主義」の立場に立つ。
《感想3》ケッコの「イタリア的生活様式」への郷愁(ホームシック)には同感する。「イタリア的生活様式」というイメージ(ステレオタイプ)がわかりやすい。
《感想4》また「市民的文化の北欧」というイメージ(ステレオタイプ)もわかりやすい。

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