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住職の独り言

~ご縁に触れて~

心に残る話

2009年10月22日 | Weblog
ある大学教授が自宅を開放し、
知的障害者と自給自足の集団生活をしておられた。

ある秋のこと一人の男が、仕事がしたいと言ってきたので、
教授は考えた末、
男に稲穂に寄ってくるスズメを追い払う仕事をしてもらった。

男は田んぼの畦に、
案山子(かかし)の様に両手を広げて立っていたという。

何日かして、隣の老婆が先生の所に飛んできた。
「先生!来て下さい」
「何ですか?」

教授の手を引っ張って田んぼに来た老婆は、
「あれをご覧なさい!やっぱり馬鹿は馬鹿じゃ!…どうしようもない人間じゃ!」

見ると男は田んぼの中に案山子のように立っているが、
男の頭にはカラスが止まり、
広げた両手の上には何羽かのスズメが止まり、
稲穂との間を行ったり来たりしている。

老婆は笑い転げたながら…「案山子にもならん!」

老婆が振り向くと、
教授は大地にひれ伏して男を拝んでいた。
「先生何しとるんじゃ!」

呼びかけられた先生は、
目に一杯の涙をためて
「おばあさん!あんたの目には、あの男がどうしょうもない馬鹿としか見えんかい。この私の目にはなァ…あの方が尊くて尊くてなァ…」

「先生それはどういう事じゃ」

「おばあさん!あの男にはカラスもスズメも気を許して寄り付いて来ますのじゃ…私なら足音を聞いただけでも怖くて逃げていきますじゃろうに…この私など足元にも及びませんわい…」
            以上
[私見]
私もこの教授と同じでスズメも足音を聞いただけで逃げて行ってしまうでしょう。この男に無心というか無我というか尊い世界を教えられる。
人を外見だけで人を見てはいけないとつくづく実感させられる話であります。合掌
コメント
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