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King Diary

秩父で今日も季節を感じながら珈琲豆を焼いている

wasting timeと500mails

2025年01月08日 19時15分03秒 | 映画
年末の紅白歌合戦を録画して見ました。といっても見たのは南こうせつが27年ぶりに出るというのでそこからです。南こうせつはうちのお父さんを紅白で歌い予定より長い尺でやってしまい先輩芸能人やNHKから顰蹙を買い紅白を追放されたと以前ネットでうわさになりましたが、紅白に復帰というNHKの他の番組でみたらうちのお父さんの翌年も出ておりネットの噂は確証を失いました。
実際見た南こうせつとイルカの歌はその後のステージの前座のような扱いで、他のミュージシャンのセットや規模からするとなんともショボい印象を残しました。テーマとなっている学生時代全盛の頃なんて遥かな昔になってしまったんだなあとどちらも大好きな歌ですが場違いな感じを出して一気に空気を変え続く歌手も平均年齢70才のアルフィーとか時代がかった歌になります。星空のしたのディスタンスで二度500マイルという歌詞があるのに気がつきます。
これは言わずと知れたポールアンドマリーの500マイルから来ているのに違いありません。あの歌は英語で聞くと500マイルという歌詞よりa hundret mail
が繰り返されるところが耳に残り、回数も多く500マイルより印象に残ります。
忌野清志郎の訳詞ではひとつふたつみいつよつ思い出数えて500マイル。二番が抑えて抑えて抑えて抑えて悲しくなるのを抑えてとなっていて原曲直訳よりグッとよくなり歌詞も染みる味わいがあります。
今日見た映画は『パーフェクトデイズ』です。
カンヌで賞を取ったとニュースになった映画ですが小津安次郎好きの監督がオマージュを込めて東京を舞台で自分の芸術手法を見せつけたようなイメージを持って見始めました。
初老の男が朝道路の掃除をする竹箒のおとで目を覚まし、アパートを出て自販機で缶コーヒーを買い掃除道具を積んだワンボックスの軽自動車に乗り込み音楽をかけるのがなんとカセットテープなのです。かかる音楽は古い洋楽がほとんどでその歌詞がそのまま男の人生を表しているかのようなwasting timeやlinger onといったものです。その歌詞を聞いていてまた忌野清志郎を思い出しました。オーティスレでイングのシッティングオンザドクオブベイもかかりました。
配役は抜かりがないというのか皆下北の小劇場から這い上がってきた演劇人がずらっと配された感じで日曜日だけ通う居酒屋のママは誰もが知る演歌の大御所石川さゆりでなんと常連役のあがた森魚のギターで浅川マキの朝日の当たる家を歌ってしまうのです。
こんな掃除夫の日常をフアンタスマゴリア的に描くのがこの映画です。台詞のない端役でも研ナオコ松金よね子とか顔が出ない顔が個性的な俳優片桐はいりがいたり、そうかと思えば台詞のある古本屋の店主、銀塩写真現像屋の店主は知らないのです。
挿入歌もバティ・スミス、ニーナ・シモンはしっていても唯一日本の歌手金延幸子『青い魚』は知らないのです。
幸田文『木』パトリシアハイスミス『11の物語』は文庫本で登場しますが古本屋の店主がすらすらと評論するほど知りません。
つまりはやられたと思わせる仕掛けなのです。
研ナオコがどこに出てたの松金よね子はどこと。
私はフアンタスマゴリアをリアルで楽しんだパソコンの可能性とかゲームの発展を一番感じられる時代を経験したからこの映画もフアンタスマゴリアだなと感じるのです。
主人公が掃除するトイレは皆公立の見ただけで隈研吾とわかるデザインだったり、ハイテクで現代的デザインだったりと東京という都市の魅力を感じさせます。
そんな都会に古本の文庫本を読んで近くの銭湯に通い、72時間では聖地の浅草の地下街の焼きそばやに行くとお帰りと声のかかるそんなルーティンを持つ未だに銀塩のフィルムで写真を撮り、神社の紅葉の根に出た新芽を持ち帰り鉢植えにしたりそんなどうでもいい日常がとてつもなく愛おしいと感じさせる孤独な人生、同じ空間で生きているのに別な世界の人と称される生き方と映像の中ではパーフェクトデイズなんでしょうが、その後一人で年金生活などの老後を考えるとパーフェクトなんだろうかといらぬところも考えてしまうのです。まあフアンタスマゴリアだと見終えるのがいいのでしょう。


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