King Diary

秩父で今日も季節を感じながら珈琲豆を焼いている

珈琲好きの嘆き

2018年01月16日 09時56分31秒 | 珈琲

スペシャルティの豆がもてはやされ人気が続く現代ですが、私にはなんでそうなるのかという疑問が募ります。

 

当店のような裏通りの解りづらいところにも豆を求めてわざわざ県外からもやってくるお客様はやはり珈琲が好きで求める味があるものと思われます。若いころ何をするにもまず一度いつもの喫茶店に集まってから何かが始まり、あの店に行くと誰々がいて誰かに出会いというよりどころというのがあり、いつも珈琲があったという人も多いのではないでしょうか。

いつも飲んていたあの店のあのブレンドとか、いつも飲んでいたモカとかブラジルとかマンデリン、キリマンジャロの味をとどめる人もいるでしょう。しかし、味の話を店でするとき、ブラジルの特長は何々とすぐに言える人はいません。それでも毎回モカを買う方とかマンデリンを買う方とか決まった豆を買う人はいます。今世はスペシャルティブームでこんな豆が流行っていますよと試飲していただいても我関せずとモカを買い求めて良しとしています。

逆にいつも新しい豆が入ってないかと毎週通ってくる方もいます。

前回登場のコーヒー学校に通う人が学校の課題で自家焙煎専門店で三つ以上豆を求めてレポートを書くという課題があり、何をどうしたらよいのかと聞くので、何でもいいならあえてレギュラーを三つ選んで違いを書いたらとブラジルサントスNO2とコロンビアSPとマンデリンG1を飲んでもらいました。さて、買って帰ったのはブラジルのスペシャルティをはじめみんなスペシャルティの豆を買いテーマとするところが解ったようです。要は知的背景を持つことで、世の中でふと目にする物や聞こえる名前にも何かしらの意味があり、詩の中の韻のように前後お互いに呼応するのと同様、テーマとする物にはおのずと考えられた背景とか誰かの思惑を掬わなくてはなりません。つまり考えられた痕跡に自身の考えも辿りまた違う角度から見たよというまとめがないと人からは認められないでしょう。コーヒー豆屋さんによく出かけて買う人の嘆きのひとつにいろいろ買ってもどこどこの店の豆はみんな同じ味がするというものです。珈琲豆は毎年獲れますが常に同じ品質ということは難しく常に特定の農園のものを直に買っているという豆屋さんなど自らあまり信用できませんよと宣伝しているようなものです。農家とかかわったことのある方ならわかると思いますが、穀物など畑ごとに水分量が違い特に出来の良いものも実際は他の畑のものと混ぜられて一定の水分量の範囲のものとして販売されます。何々農園と銘打たれたものも昨今では農園のどの区画のどの種のものとまで特定して販売する例もありますが、すべてが特上品の区画とかすべてが素晴らしいということではないのです。作り方も選別も特別ということもありますが、いうほど味に結びついている例はまれで、逆に当たり年のものを探した方が手っ取り早いのです。レギュラー品と呼ばれる国の品質等級の最高品はいつも一定の水準を維持していると思われます。ですが、実際には仕入れる商社や問屋により品質と味に差があります。おのずと仕入れるべきものは解ってきます。常に良いものを回してもらうということで不要な在庫までしょい込むということは昔の商売ではありましたが、ネットでどこどこの国の政治情勢から農産物の出来まで瞬時に世の中に通じてしまう世の中では、サンプルを頻繁に提供してくれて価格の提示も明確の方が勝負が早く流通量も多くなり、棚づれ品などは買わされることは少なくなります。逆に言えば売る方もどんな買い方をするか見ておりそれに見合った売り方と付き合い方になるのです。後は高級豆をどう焙煎しどう特性を表現するだけです。高級品を揃えたとておざなりな焙煎で終わっていればせっかくの高級品も本来の実力を発揮せずにおわります。どれを飲んでも同じというのは正にそんな状況でしょう。さて、先に出てきた三つの国のレギュラー豆これはストレートで飲んでどう感じるでしょうか。冬のブレンドとしてこの三つを合わせるとどうなるか。そんな味の話を明日はします。

 

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