そーれりぽーと

映画、旅行、植物など気の向くまま

新作映画の満足度は最高★5つで表示

白鯨との闘い

2016-01-21 | 劇場映画れびゅー
『白鯨』の映画化と思って『白鯨との闘い』を観てきました。
★★★

デリケートな描写のある映画なので、はじめに、私個人の捕鯨に対する見解を。
日本の調査捕鯨には賛成でも反対でも有りません。
鯨は比較的知性が高いと言われ興味深い生き物ですが、犬や猫といった愛玩動物ではありません。
日本では古くから食用として以外にも、全身の全ての部位が余すところ無く工芸品を構成する部品として使われ、鯨油目的だけでこの映画のように乱獲廃棄していた西洋諸国とは文化的に違う側面がある。
鯨肉を食べたいかと聞かれれば、「最近は珍しくなったから、出されれば食べる」と答えますが、今後食べられないと言われても惜しくはない。
ただ、鯨を食べたい人の自由を奪ってまで反対する理由はいろんな意味で見つかりませんし、生息数は激増していますし、管理が出来るなら反対はしないと言うスタンス。
対して、反捕鯨を掲げる一部環境テロリストが国を超えて行っている迷惑活動に対しては、完全に資金集めのアピールとしか思えず、強い不快感を感じます。
観光ホエールウォッチングの最中に鯨にちょっかいを出すあほを見かけたら全力で注意しますが、国際的な手続きを経た捕鯨に関して部外者が闇雲に実力を行使して邪魔立てするのは、ただの迷惑行為であり、間違い無く違法です。
反捕鯨を訴えるなら、環境テロリストではなく、WWFを通じて論理的に説得し、理解してもらう努力をすべきです。
WWFには個人的に少額寄付をしているので、その活動の会報が逐一届きますが、その理念は生態系を破壊しないよう種を保護すると言うこと。
個体数が増えすぎるまでに保護をすると、200年に渡って鯨が減って余っていた分、人間が捕食してバランスが取れていた魚やプランクトンの減少に繋がる可能性が有り、海全体の生態系への影響が考えられると言う研究が有ります。
捕鯨には賛成でも反対でも無いと書きましたが、商業目的ではない調査捕鯨については、そういう観点からある程度必要と考えています。

前置きが長くなりましたが、本作について。
ハーマン・メルビルの小説で、エイハブ船長の『白鯨』ではなくて、『白鯨』のメイビルがモチーフとした実話がベース。
実話だから小説よりも現実的でスケール感が少ないのかと言えばそうではなく、想像を絶する壮大で数奇な運命の物語です。
あくまで実話をベースに脚色されて作られた映画ですが、大まかなプロットは変わりません。実際の内容が知りたい方はナショジオの記事をご覧ください。

次からは捕鯨船の船長になれるはずだった実力派の一等航海士と、その座を家柄で奪い就任した新任船長との微妙な確執を前提として物語が回り始める。
鯨油を目的とした捕鯨は既に当時のエネルギー産業として確立されており、出航した時点で大西洋の鯨は既に激減していた様子。
1年経ってもこれと言った実績を残せないこの船は、未開の太平洋へと舵を取ることを決意します。

今でこそ多くの国が反捕鯨を掲げて捕鯨国をバッシングしていますが、当時、鯨油だけを目的として乱獲をし、生息数を激減させた国々にそれを言う資格があるのか。
とか、高度経済成長の時に散々空や海を汚していた日本を含む先進国が、今現在、急成長を遂げようと必死な後進国の産業の自然に対する有り方に口を出したい気持ちと、構図は違えどどこか似ているなぁなんてことを漠然と考えながら前半を観ていました。

前半の見所は、やっぱり捕鯨の場面でしょう。
周囲に何も見えない大海原で、巨大な鯨に対して小船とモリだけで命をかけて仕留めてしまう漁法の緊迫感。
最初にこれをやって、漁法として確立してしまった人間って凄い。

そして、後半のえげつない展開…。
ロン・ハワード監督はえげつなさを控え目に描いていますが、その裏側にある狂気は十分に伝わってきました。

クリス・ヘムズワースだけ髭がなかなか伸びないのは気になりました。

ネタバレ
ナンタケットの港で白鯨に船を潰されて満身創痍な隻腕の船長が登場しましたが、片足エイハブ船長のオマージュかな?



トムとジェリー 船に乗って編 [DVD]
ダン小路,肝付兼太,チマ,堀絢子
ワーナー・ホーム・ビデオ

この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« パディントン | トップ | AppleWatchを手放しました »