ブレイブ・ストーリー

フジテレビ×ゴンゾ×ワーナーの劇場コマーシャルが1年も前から流れていたアニメ映画「ブレイブ・ストーリー」が、ようやく公開されたのできっと面白いんだと思い観てきました。
★

強力な後ろ盾をもって何をどうやったらここまでテキトーな映画になるんだろう。
吹替えは下手、プロットは無茶苦茶、大人には楽しめないし、子供に対してもこれじゃ失礼すぎる。まるでテレビアニメの総集編のようで、でも実際これがテレビアニメで毎週放送されたとしたら視聴率低迷しそう。

フジテレビとゴンゾのネームバリューだけで集客する一大プロジェクトだから、よほど良い脚本をもって確信して作ったのだとばかり思っていたのに完全に肩透かしを食らいました。

私の行った劇場もこのプロジェクトに期待していたんでしょうか、他にも話題作揃いなロードショー当日に比較的大きな箱を用意していましたが、ガラガラだったのには失笑。集客も失敗してるやん。

開始、松たか子の男の子声が意外と上手いなぁと思っていると、突然うわずった「アワアワ」声を出してげんなり。え？さかなクン？
ここで嫌になったら楽しめないので、我慢して慣れようと思って観続けると、今度はウェンツ瑛士が棒読み…。
その他無駄に豪華な声優陣が作品を悪くするのに追い討ちをかけている。普通に本職の声優を使ったらもう少しマシだったかもしれない。

ネタバレ
RPGテイストなのに成長しないワタル。見習い勇者の装備を貰った後もずっと見習い勇者の装備のままで、偉大なラウ導師は偉そうなだけでストーリーに絡んでこない。
しっかり描けば楽しいはずの長い旅はミスチルのそっくりさんが歌ってる間に終わり、旅の道中は宝玉が手に入らないのに、行き当たりばったりで苦労せず欲しい色が全部揃ってしまうから達成感も何もない。
おまけに宝玉の効果も微妙なものばかり…。

ミツルはあんなに苦労して自分を押し殺して手に入れてたのに。

そもそもその宝玉も含めて適当なところが多すぎる。
①ヴィジョンには同じ色の宝玉がいくつ存在しているのか。
②宝玉は通常どこにあるのか。誰が所有しているのか。何をすれば手に入るのか。また情報の入手手段は？
③闇の宝玉はいくつ存在するのか。
④旅人は何人居るのか。今までに願いをかなえた者は居るのか。
⑤かなえた者が居るならば闇の宝玉はどうやって手に入れたのか。
⑥魔法を使う為に宝玉は必要なのか。杖、呪文、魔方陣は必要なのか。（必要であれば現世でミツルが宝玉も魔方陣も無しで魔物を召喚した方法は？）
⑦ミツルがヴィジョンと現世を行き来していた理由は？また方法は？
⑧ワタルとミツルの出会いの場面で、宝玉を転がしていた理由は？また、ワタルを見て妹の名前を呼んだ理由は？
⑨ミツルが森を焼いて宝玉を手に入れた方法は？
⑩ミツルが宝玉を全て揃えた後でドッペルゲンガーと戦う必要は有ったのか。
⑪ヴィジョンとは何なのか。
⑫ミツルが生き延びた方法は？妹が生き返った方法は？

まだまだ思い出しそう。

だいたいミツルが闇の宝玉を取らなければ、ワタルは闇の宝玉を手に入れる事が出来なかったのでは？
“周りの迷惑を省みず城を破壊する→闇の宝玉を手に入れる→魔物が放たれる”が大前提ならば、ワタル一人じゃ絶対に“取らない”選択をするでしょう。
ここが一番おかしい！

願いを叶えられなかったミツルが妹と共に生き返ったなんて、夢オチの方がマシ。

ってお子様向け映画にムキになってしまった。

追記＜2006-08-07＞
満喫で漫画「ブレイブ・ストーリー“新説”」を読んでみました。
映画と似たストーリーで、恐らく原作を下敷きに大胆な“改良”をしたんだと思われます。まだ連載途中ですが、映画で満足できなかった方は、この映画に何が足りなかったのかが良くわかる内容になっているので読んでみると良いかも。

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