マンマ・ミーア！

褪せることを知らない珠玉のABBAポップチューンをまとめてミュージカルにした例のアレが、メリル・ストリープ主演の映画になりました。
ミュージカル好きとしてもポップス好きとしても、こりゃ必見でしょうっつうことで『マンマ・ミーア！』を観てきました。
★★★★★

ギリシャの小さな島を舞台に、ABBAのキラキラした曲に乗ってオバサン達もワカモノ達もエーゲ海に輝く波模と同じように煌めきまくっている。
観ているとスクリーンに吸い込まれそうになるのは、それだけABBAの曲と役者に奥深さがあって、強い日差しの地中海に負けずに映えるからでしょう。
最初から最後まではじけっぱなしのメリル・ストリープ達が、めくるめく２時間を過ごさせてくれます。

ちなみに元の舞台版は未見です。
大阪ではずっと劇団四季版がやってたけど、「どうせ四季だし…」と思って観に行かなかったんよね。
今回思ったのは、「観に行ってなくてよかった」って事なんですが、細かく書くと四季のファンの方にお叱りを受けるので割愛するとして。

絶妙なメロディーと、大袈裟だけれど大味じゃなくて耳に残るゴージャスなアレンジが特徴のABBAの楽曲。
30年も前の曲がたいした編曲もなく、そのまま歌われて通用しているのが凄過ぎます。
聞いてた人にとっては、次はどの曲なのかワクワクしっぱなし、知らなくてもハッピーチューンの連続なので『ヘアスプレー』のようなポップミュージカルを楽しめた人はきっと溶け込めるに間違いなありません。

ABBAと言えば、世界的に現中高年の女性達と、幅広い層の性的マイノリティー（遠まわしすぎ）から圧倒的な支持を受けてますよねぇ。
つーことなのかどうかは知りませんが、セクシー女性パートはおば様方３人とソフィに任せて若い女性達の露出は控えめに、若い男性達が無駄に露出度高目で周囲を埋める構成だった気がします。
つか、ミュージカル作家がみんなゲイなので、弾けた女性と裸の男が多いゲイ好みなスタイルになってるってだけなんでしょうけどｗ

それにしてもメリル・ストリープがステキ過ぎました。
元々年齢を晒すのを避けるタイプの女優では無かったけど、今回ほど実年齢（つーか年輪）をあけっぴろげに演じられると逆に印象良過ぎて益々好きになってしまいます。
首の皺とかにはひく位にびっくりするけど、それでも無邪気な女性を真っ直ぐに演じていて、観てたら笑みがこぼれてしまう。
どんだけやってくれんねんってくらいに妄想ミュージカルパートでは“メリル・ストリープだから余計に面白い”と楽しんでしまう演出も満載。
妄想なのか実際にやってるのかわからんところがこういうミュージカル映画の良いところですよねぇ。
こういうノリ大好き。

友人役のジュリー・ウォルターズとクリスティーン・バランスキーもよかったー。
サイコー！たまらんこの３人組！女優のイメージよりもエンターティナーとして観客を楽しませる事に注力してるって伝わってくる映画。
『ファースト・ワイブズ・クラブ』もだけど、演技派のおば様女優達が普段見せないはちゃめちゃなキャラクターの演技で魅せてくれる映画は楽しいよねぇ。

アマンダ・セイフライドもドミニク・クーパーも若い子らしい歌い方で華を添えてたけど、役者として育って数十年後にメリル達にように「実は昔から歌もいけた」みたいな映画に出れるようになってると良いなぁなんて思いながら観てました。

そんなみんなの熱演に水を差していたのがピアース・ブロスナン。
精神的に病んでるんじゃないかと心配になるくらいに数年前までの覇気が感じられず、目が終始泳いでるっつーかイッテルし歌は下手だしで、この人どうしたんだろう？なんでこの役引き受けたんだろうか。
だいたいミュージカルって柄じゃないでしょう？
唯一のウザい存在で、★5つのつもりで観てたのにここで半分減らしてしまいました。

そう言えば、ソフィは２０歳。
２０年前に彼らとヤッっちゃって出来た子供だとしたら、その頃のドナは一体何歳だったのか…、なんて考えるのはメリル・ストリープに失礼？禁止？ｗ

ABBA好きでベストアルバム『ABBA GOLD』を買ってない人は買って予習をしてから、ABBAが初めての方は観た後でサントラじゃなくて『ABBA GOLD』の方を買う事をお勧めします

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