ふと気がついたら、俺は茶の間で家族とテレビを観ていた。
俺と妻と娘。
俺はお父さん。
その茶の間で、俺は娘と昨今の援助交際について親子の会話をしていたのだが、なんだか雲行きが怪しくなってきてしまった。
何故なら、父である俺が風俗通いの常習犯だと娘にばれてしまったからだ!
どうする俺?
どうしようか俺?
こんな時は父として、どのようにふるまえばいいのだろうか?
てか、もはや父としての威厳も立場もなにもないような気がする。
俺の風俗通いをさんざん笑い者にした娘は、あぐらをかくと俺の方を向いて座り直した。
「いいから、お父さん、そこに座んなさい」
娘のみのりにそう言われて俺は答える。
「いや、みのり。もうさっきから座ってるけど」
「違う!
お父さんは、これから私に説教される立場なんだから、きちんと座りなさい。
てか、正座だろ、せ・い・ざ!
正座は、説教される側の基本姿勢だ」
「ごめんなさい」
俺は即座に謝って娘に対して正座した。
「さぁ、説教をはじめようかな」
何を、怒られるのだろう?
あるていど怒られる事の予想はつくけど、こうやっていざ怒られるとなると怖くてビビる。ぜひお手柔らかにお願いします。
「風俗に行くような親父って、マジ超サイテェだと思うよ!」
きたぁー!
「ようするに、女性と恋愛してセックスに持ち込むだけのスキルも度胸も無いから、簡単・お手軽な風俗で優しい風俗嬢のお姉さんにヌキルしてもらうんだろ?
いいか、良く聞け。
恋愛ってのは、男にとっても女にとっても狩りなんだよ。
男と女の真剣勝負のかけひき。
それが恋愛なんだ。
そんな男女の真剣勝負のかけひきに金を持ち出すのなんてのが、そもそもズルなんだよ。
女の子を買う親父なんて、ズルズルのインチキなチキン野郎だ!」
「はい。そうだと思います」
「恋愛の道具として、金を使うのなら許す。
それなら認める。
それならば、金はただの道具だ。
プレゼントを買う為や、お化粧をするため。また自分を磨くため。そんな、自分を磨いたり、自分を飾る為に金を使うのならいい。恋愛の完遂を目的として金を使うのなら、それは認める。
だけどさ、風俗や援交は、そもそも恋愛が目的でなく、セックスが目的だ。
セックスをする為に金を払っている。
いいか、もう一度だけ言う!
セックスしたいなら、ちゃんと恋愛しろっ!!
売る女にしろ、金儲けのスキルがないから、簡単にセックスを売り物にするんだろうけど。でも、それって、売り手も買い手も間違ってると思う。
恋愛は決闘だっ!!
決闘に備えて性能の良い鉄砲を買うのはインチキじゃない。
だけど、決闘相手の命を、金で雇った殺し屋に処分させたら、それはインチキだと思う。分かるかなこの比喩?」
「まぁ、なんとなく」
俺が答え終わる間もなく、娘はガンガンにエキサイトしてボンボンにコロコロと激しい言葉を紡ぎ続ける。
「恋愛とは、最初から最後までかけひきなんだっ。
死ぬまで恋愛なんだっ。
好きって気持ちを、取引にしては絶対にいけない。
恋愛を取引にしたとたんに、その恋愛は間違ってしまう。
自分の好きという気持ちを、全力投球で相手にぶつける。
相手は、それを受け止めて、全力で投げ返す。
それが恋愛なんだ!
恋愛とは、常に一球入魂、全力勝負のキャッチボール!
バシン! ビシン!」
「はい」
誰に似たんだか、感情ばかりが先走っていて、みのりの言っている言葉にほとんど意味はない。
どうもあんまり、この娘は俺には似ていないようだ。
まぁ、冷静に分析するなら、娘のみのりは『恋愛至上主義者』で、恋愛を神聖視しすぎている。まだまだみのりはガキだなと分析し、やはり俺の方が大人だと納得する。
みのりは続ける。
「もう、風俗なお父さんなんて関係なく、私は本気で言っている。
援交している子は今すぐ止めなさい。
ボールを投げたら、現金が帰ってくるような援交なんて、恋愛の勘を鈍らせるだけで、援交なんかしてたら、恋愛が出来なくなる。
他人を求める心は、男の子でも女の子でも一緒。恋愛はどちらにとっても真剣勝負だと思う。
本当なら、男女は真剣勝負の末に認めあってセックスするんだと思う。
親父の投げた金なんかでセックスを汚しちゃいけない!
セックスは、相手ともっと仲良くなる為の手段なんだよっ!
セックスは金儲けの手段なんかじゃないっ!」
まぁねぇ。
そうかもねぇ。
最近の若い子は冷めてると言うけど、やはり、醒めきった大人の思考に比べたら、まだまだ半熟だね。
どうも、若い子の考え方は、やはり甘酸っぱくて完熟じゃない。
「恋愛しろ。
まだ、恋愛を知らなくても簡単に諦めるな。
恋愛しろ!
どんなに貧乏で貧しくて、金が欲しくても、恋愛だけは諦めるな!
親の愛なんか捨てろ!
世間体も捨てろ!
自分を信じろ。
どんな境遇でも恋愛できると信じろ!
恋愛さえあれば、もちろん金なんかいらない。
何もいらないと思う。
自分が好きという気持ちを周囲に迷惑かけない程度に最優先しろ。
てか、それしかないと思う。
好きあってセックスするなら許せる。
好きでもない相手から金をもらったからってセックスするなんて許せない!」
みのりはとうとうグズグズと鼻水を流し始めた。自分の言葉に陶酔しきったようだ。なんか若いなぁと俺は思った。
「セックスは好きな相手とだけするもんなんだよ!」
「まぁ、理想ですよね」
俺はそう言った。
でも、それはそれでそうかもしれなくてと思うけど、全否定は俺にはできない。
俺と妻と娘。
俺はお父さん。
その茶の間で、俺は娘と昨今の援助交際について親子の会話をしていたのだが、なんだか雲行きが怪しくなってきてしまった。
何故なら、父である俺が風俗通いの常習犯だと娘にばれてしまったからだ!
どうする俺?
どうしようか俺?
こんな時は父として、どのようにふるまえばいいのだろうか?
てか、もはや父としての威厳も立場もなにもないような気がする。
俺の風俗通いをさんざん笑い者にした娘は、あぐらをかくと俺の方を向いて座り直した。
「いいから、お父さん、そこに座んなさい」
娘のみのりにそう言われて俺は答える。
「いや、みのり。もうさっきから座ってるけど」
「違う!
お父さんは、これから私に説教される立場なんだから、きちんと座りなさい。
てか、正座だろ、せ・い・ざ!
正座は、説教される側の基本姿勢だ」
「ごめんなさい」
俺は即座に謝って娘に対して正座した。
「さぁ、説教をはじめようかな」
何を、怒られるのだろう?
あるていど怒られる事の予想はつくけど、こうやっていざ怒られるとなると怖くてビビる。ぜひお手柔らかにお願いします。
「風俗に行くような親父って、マジ超サイテェだと思うよ!」
きたぁー!
「ようするに、女性と恋愛してセックスに持ち込むだけのスキルも度胸も無いから、簡単・お手軽な風俗で優しい風俗嬢のお姉さんにヌキルしてもらうんだろ?
いいか、良く聞け。
恋愛ってのは、男にとっても女にとっても狩りなんだよ。
男と女の真剣勝負のかけひき。
それが恋愛なんだ。
そんな男女の真剣勝負のかけひきに金を持ち出すのなんてのが、そもそもズルなんだよ。
女の子を買う親父なんて、ズルズルのインチキなチキン野郎だ!」
「はい。そうだと思います」
「恋愛の道具として、金を使うのなら許す。
それなら認める。
それならば、金はただの道具だ。
プレゼントを買う為や、お化粧をするため。また自分を磨くため。そんな、自分を磨いたり、自分を飾る為に金を使うのならいい。恋愛の完遂を目的として金を使うのなら、それは認める。
だけどさ、風俗や援交は、そもそも恋愛が目的でなく、セックスが目的だ。
セックスをする為に金を払っている。
いいか、もう一度だけ言う!
セックスしたいなら、ちゃんと恋愛しろっ!!
売る女にしろ、金儲けのスキルがないから、簡単にセックスを売り物にするんだろうけど。でも、それって、売り手も買い手も間違ってると思う。
恋愛は決闘だっ!!
決闘に備えて性能の良い鉄砲を買うのはインチキじゃない。
だけど、決闘相手の命を、金で雇った殺し屋に処分させたら、それはインチキだと思う。分かるかなこの比喩?」
「まぁ、なんとなく」
俺が答え終わる間もなく、娘はガンガンにエキサイトしてボンボンにコロコロと激しい言葉を紡ぎ続ける。
「恋愛とは、最初から最後までかけひきなんだっ。
死ぬまで恋愛なんだっ。
好きって気持ちを、取引にしては絶対にいけない。
恋愛を取引にしたとたんに、その恋愛は間違ってしまう。
自分の好きという気持ちを、全力投球で相手にぶつける。
相手は、それを受け止めて、全力で投げ返す。
それが恋愛なんだ!
恋愛とは、常に一球入魂、全力勝負のキャッチボール!
バシン! ビシン!」
「はい」
誰に似たんだか、感情ばかりが先走っていて、みのりの言っている言葉にほとんど意味はない。
どうもあんまり、この娘は俺には似ていないようだ。
まぁ、冷静に分析するなら、娘のみのりは『恋愛至上主義者』で、恋愛を神聖視しすぎている。まだまだみのりはガキだなと分析し、やはり俺の方が大人だと納得する。
みのりは続ける。
「もう、風俗なお父さんなんて関係なく、私は本気で言っている。
援交している子は今すぐ止めなさい。
ボールを投げたら、現金が帰ってくるような援交なんて、恋愛の勘を鈍らせるだけで、援交なんかしてたら、恋愛が出来なくなる。
他人を求める心は、男の子でも女の子でも一緒。恋愛はどちらにとっても真剣勝負だと思う。
本当なら、男女は真剣勝負の末に認めあってセックスするんだと思う。
親父の投げた金なんかでセックスを汚しちゃいけない!
セックスは、相手ともっと仲良くなる為の手段なんだよっ!
セックスは金儲けの手段なんかじゃないっ!」
まぁねぇ。
そうかもねぇ。
最近の若い子は冷めてると言うけど、やはり、醒めきった大人の思考に比べたら、まだまだ半熟だね。
どうも、若い子の考え方は、やはり甘酸っぱくて完熟じゃない。
「恋愛しろ。
まだ、恋愛を知らなくても簡単に諦めるな。
恋愛しろ!
どんなに貧乏で貧しくて、金が欲しくても、恋愛だけは諦めるな!
親の愛なんか捨てろ!
世間体も捨てろ!
自分を信じろ。
どんな境遇でも恋愛できると信じろ!
恋愛さえあれば、もちろん金なんかいらない。
何もいらないと思う。
自分が好きという気持ちを周囲に迷惑かけない程度に最優先しろ。
てか、それしかないと思う。
好きあってセックスするなら許せる。
好きでもない相手から金をもらったからってセックスするなんて許せない!」
みのりはとうとうグズグズと鼻水を流し始めた。自分の言葉に陶酔しきったようだ。なんか若いなぁと俺は思った。
「セックスは好きな相手とだけするもんなんだよ!」
「まぁ、理想ですよね」
俺はそう言った。
でも、それはそれでそうかもしれなくてと思うけど、全否定は俺にはできない。