ぽっぽ

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しつらえし神楽舞台にある落花

2013年04月18日 | Weblog
最近、渡辺淳一の「弧舟」を読みました。(集英社)

彼の作品は、この年齢になるとちょっと引いてしまう気持ちでしたが、どういう動機だったか、多分「弧舟」という題名に何か引かれるものがあったのか、それは定かでないのですが。

でも最近にない傑作でした。
定年を迎えた、主人公(威一郎)の仕事から離れても、家族との横柄な接し方がかえられず、生活の一こま一こまに戸惑い、それに引き換え、妻はしっかり定年後の二人の生き方、自分の生き方を決めていて、そこから起こる日常の二人の「ズレ」が、実に面白くコミカルに描かれていて夢中で読みました。
「面白い」というか、よく言い当てているのです。

会社人間で、毎日遅い帰りばかりだった威一郎でしたが、定年になれば時間も出来、さぞ妻も喜んでくれるだろうと思っていたのに、妻は悪びれることなく毎日の様にでかけてしまうし、今まで「今夜帰りは早いですか」「おそいですか」ときかれて、うんざりしていたはずだった彼だったのに、いつの間にか「今日は帰りは何時だ?」「晩飯は?」と聞いてしまう。

そうそう、その通りとおもうことがいっぱいです。
渡辺淳一独特の色っぽい話はいっさいありませんが、興味があったらぜひ読んでみてください。おすすめの一冊です。

そんな自分も、あまりに言い当てているシーンが多くて、つれあいには「読んでみて」といえないでいるのです。「こんな風に思っていたのか?」と言葉が飛んできそうで、、、。

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