木工挽物という仕事

基本的には時代遅れの仕事
正反対の位置にいるブログから発信してみます
でもブログも先端じゃなくなりましたね

2010-06-16 22:13:43 | タイムマシン
雨の季節突入 
いつものようにラジオを聞いてるとそんな話題が多い
雨と言えば傘
傘と言えば ひとつどうしても忘れられない傘があった

一度壊れてしまった傘
プラスティックの握りが割れて普通ならもう使うのをやめてしまうくらいの安物の黒い折り畳み傘だった
その握り部分を・・・うちの仕事 木を丸めてプラの代わりに打ち込んで・・
そんなものをずっと小学生だった弟が使っていた
「なんでそんなの使ってんだ」 もっといい傘を持ってる僕は弟に聞いた
「なんか好きだから」 と言った言葉が残っていた


その弟が6年生の二学期の初めに急逝した
いい傘を持たずに僕はそのボロ傘を使うようになった

弟の死、もう自分では通っていた予備校をやめてうちの仕事を手伝う決心をしてた
でも急に登校しなくなるその前にいろんな手続きもあって
自転車で15分くらいの予備校へ

その日、雨が降りそうだった 
いつものナップサックに折り畳みのボロ傘を入れて予備校へ向かった

ところが学校に着いて見るとあるはずの傘がない
何かの拍子に落としたらしい


帰り道必死で探した
誰にも価値がなくて でも僕にだけとんでもなく大事だった傘は
結局何度同じ道を行ったり来たりしても見つかることはなかった


泣いてばかりいた僕はまたそんなことでも泣いた
弟がもっと遠くへ行ってしまったような気がしたから

まだ覚えている・・
プラスティックの代わりの木の握りのおんぼろ折り畳み傘


多分死ぬまで忘れられないだろう

コメント (14)
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