あんな話こんな話

会津生まれの会津育ち…三匹の猫と柴ワンコや家族に囲まれ、家庭菜園に勤しみ都会には住めそうにないローカルな私の日常。

続 ひとりぼっちのひとり言…そして誰もいなくなった。

2008-10-18 23:59:15 | 創作
相変らずボクは一人でゴミの流れてくる川を泳いでいた。

時々犬を連れたオバサンがボクの写真を撮っていくよ。
犬も吠える事無く、オバサンの隣で座って僕を見て…でも!

どこかの2人のオジサンがボクに向かって石を投げつける。
どうしてなの? ボクは何もしてないんだ!
田んぼの稲だって食べたりはしてないのに…あ、少しは食べたけど。



やめて! ボクに石を投げないで!って叫んだけど
石を投げるオジサンには伝わらないようだ。
ボクが逃げ惑うのを笑っていた。
悲しい…口惜しい…ボクはどうして鴨なんだろう。
人間のように泣けたら…少しは悲しみが薄れるだろうか。

だけど、ただガーガーガーと意味不明の鳴き声が出るだけだった。

時おり冷たい雨が降り、それでもひとり…夕暮れが来るのが早くて
長い夜の時間がとてつもなく怖く感じるよ。
だって、ボクは夜には目が見えないから、物陰に身を潜めてるだけ。
早く朝が来ないかなぁ…。

そんな毎日を送っていた。
白鷺…コサギって言うらしいんだけど
最近 集団でボクのテリトリーを荒らすようになった
ボク一人では、とうてい太刀打ち出来ないよ!

ある朝…ふと気づくと、二羽の鴨がボクを見ていた。
ボクは何と表現したら良いのだろう、夢なのだろうか。
瞬きをしたら居なくなってしまうようで、二羽の鴨をジッと見つめ返した。



おそるおそる近づいてくる二羽の鴨は、ボクよりもいくぶん若いように思えた。
精一杯の笑みを浮かべて、ようこそ♪ しかしやっぱりガーガーガー。
仕方ないよね…ボクは鴨だから。



あなた一羽なの?って片割れの鴨が声をかけてきた。
うん ボクは一羽だよ、君たちは何処から来たの?って聞いたんだけど
二羽の鴨は肩を寄せてクスクス笑っているだけなのだが
やっぱり 鴨なのでガーガーガー。

おいでよ! 小魚がいっぱい居るよ♪



こうやって小魚を取るんだ!って一端の先輩を気取って川に首を突っ込んで
何度かやってると、二羽の鴨も真似をし始め…そしてボクらは仲良くなった。
三羽で川を行ったり来たりして、時には川岸で羽を休めて
すごく楽しいよ~ ボクはもうひとりぼっちじゃないんだ!
青空を仰いでボクは喜びのガーガーガー…だって鴨だからね♪



けれど…いつの間にか三羽の鴨は姿を消してしまっていた。
どこを探してもいつまで待っても三羽の鴨の姿は見られなかった。
新天地を求めて旅立ったのだろうか
あの二羽の鴨はひとりぼっちの君を迎えに来たのだろうか。

それでも変らずに、君のいた川には小魚の群れとジュースの空き缶が流れて来る。
昨日は今日につながり今日から明日へと続いて行くけど
君の姿は見られなくなってしまった。



だけど、ひとりぼっちのまま居なくなってしまったのではない。
仲間と連れ立ち新しい地を求めて飛んでいく君の姿が見えるようだよ。
これで良かったのかもしれない、そして秋が終わって
冬が来て冷たい雪に閉ざされた季節が過ぎ
暖かい春の日差しの中、君はきっと戻って来るに違いない。

家族を連れて、ひとりぼっちだった君が兄弟たちと母親を追いかけていたように
君の家族が新しくあの川へ戻って来るのを待っているよ。
相変らず犬を連れてデジカメを持って、君の家族の写真を撮りたいから。

そんなふうにして時は流れて行くのだろう、人生はいつも同じって事じゃなく
同じ様な人生でも、何かしらいつもと違う毎日が待ってるはずなんだ。
ひとりぼっちの君はひとりぼっちだったけど
おかげで生きる術や辛抱強さ…そして自分の人生に負けないって事を知った。
見習わせてもらうよ♪ ありがとう、ひとりぼっちの鴨。 

またいつか会う日まで!


という事で、久々に白い鳥スイミーをUP♪


ひとりぼっちだった白い鳥スイミーは仲間達と一緒にまるまると太っていた。



コメント (22)
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