皮膚呼吸しか知らない蛙

アスペルガー症候群当事者が、2次障害に溺れることもありながら社会に適応していく道のりを綴っていきます。

発電システムの転換点 - 再生可能エネルギーの導入と原子力発電 -

2008-12-10 22:53:23 | 地球科学

こんな記事は、1997年12月11日、国立京都国際会館で開催された第3回気候変動枠組条約締約国会議(地球温暖化防止京都会議、通称COP3)、後にしかるべき人がしかるべき発言で国勢を導いていれば、書かずに済んだ事なのですが・・・

「地球が温暖化している」
「温暖化の要因は人為的温室効果ガスの排出量に依存する」

といった事は、この際置いておきます。


化石燃料に頼る現在のエネルギー事情は、資源の枯渇で遠い未来には破綻します。
日本でも過去には様々な鉱物資源・エネルギー資源が採掘されていました。
戦国時代の各大名達が金山・銀山の収入に依存していたことは、歴史的に検証されていますし、戦前から戦後“黒いダイヤ”と呼ばれた石炭採掘の炭鉱町が日本各所に存在したのは、記憶に新しいと思います。

日本の地質は、世界的にも特殊な部類に入り、少量ではありますが、貴重な鉱物資源が存在することは、意外と知られていない事実です。
日本における問題点は、規模が小さく、不純物が多い為、採掘・精製コストが莫大にかかり、世界的競争力の前には足下にも及ばない、というのが実情でしょう。
そして、現在需要が多い、石炭・原油・天然ガスの埋蔵量が少ないことも原因の1つでしょう。


石炭や石油などの化石燃料は、エネルギー変換率が高く高効率で経済的であるため、現在の人間社会では不可欠な存在となっています。
一方で、大気を汚染するという代償を支払っているというのは、誰しもがある程度は認識していることだと思います。

ワタシが小学生の頃は、やたらと“光化学スモッグ警報”が発令され、やむなく外で遊ぶことを禁止されました。
はじめて上京したときは、あまりの空気の澱みにクラクラするとともに、鼻の穴は真っ黒鼻毛はやたらと伸びまくった記憶があります。


上記の原因は化石燃料の消費が原因の全てではありませんが、大きなウェイトを占めてはいたでしょう。
CO2排出量を引き合いに出すのは、ワタシ自身不本意ではありますが、1990年から現在まで、排出削減の効果が表れているのは産業部門、家庭部門では30%、業務部門では40%増加しています

家庭部門と業務部門を精査すると、増加理由の約2/3が電力消費によるものであることが分かっています。その電力の中でも石炭火力が伸びているというちょっと予想外の事実があります。実はここ10年で、日本の電力事情として石炭火力の新設が相次ぎました。低コスト、高効率ですからね。
ムリもないと言ってしまえば身も蓋もないのですが、CO2排出削減を掲げた政府が、チームマイナス6℃などと言いながら、このような政策を許してきた甘さは指摘しなければなりません。

裏には「相次ぐ原発事故による稼働率の低下、原発反対運動、それに対する電力需要の増加があり、安定供給の為に効率的に石炭火力に頼った」というのが、政府自民党、当時の環境大臣の言い分ですが、それは本末転倒な話だと思います。


再生可能エネルギー導入における政策:「RPS法」の欠点や「固定価格買取制度」などの言い分はそれぞれあるでしょうが、ここでは詳しい話は流しておきます。


日本における年間総発電量は1万億kWh(電気事業連合会 2006年統計)。


<電気事業連合会 でんきの情報広場 より>

水力発電を含めても、再生可能エネルギーによる発電量は全体の10%
将来予測としても、変わらず全体の10%

福田前首相は“洞爺湖サミット”前に「福田ビジョン」として、2020年には住宅で320万戸・1,430万kW(2008年現在の数値で32万戸・143万kW)公共産業で300万kW現行の10倍を数値目標として掲げました。

政策推進者の理念に、企業は目先の利益優勢のために従わない。
それはそうでしょうね。優遇措置も配慮されず、既得権益を侵害されることは企業としては呑めない。経済産業省や経団連などもその類でしょうね(当然石炭・石油・セメント関連企業、鉄工業などは深刻なダメージを受けるので、裏工作も横行しますし、再生可能エネルギーの増加は、関連企業に働く方々の大規模リストラに繋がると思います)。


そこで再生可能エネルギーの積極採用を推進した際のメリットと考察してみます(短絡的な発想ですが・・・)。
・人類の生存僅かな時代で太陽光の大きな変動は考えられず、安定した供給が可能。
・上記理由により資源枯渇の懸念は考慮に入れなくてよい。
・近年日本市場で停滞気味のソーラーパネル市場の活性化、社会競争力の回復。
・国内に限らず、欧州、中国には今後も需要拡大が見込まれる(現時点では台湾・中国企業、シリコンを独占し半導体技術で先端を行くアメリカ企業と台湾・中国企業の連携等)。


問題点も当然あります。
・再生可能エネルギーは、現段階の技術では、製造工程におけるエネルギー消費なども勘案すると、必ずしも資源・エネルギーの有効利用がなされているとは言えない。
・従来の発電施設と比較して、エネルギー効率は格段に低い。コストも膨大。
・そのコストは電気代として跳ね返ってくる。


原発一基(建設には3,000~4,000億円)の発電量を賄うには、住宅用太陽発電では8兆円の経費がかかる。
それを電力会社が負担するにしても、最終的には消費者に電力料金値上げという形でのし掛かるか、自家製太陽光発電での余剰電力を電力会社に買取制度を適用すると、従来の電力会社から電力を購入している住宅の電力料金は劇的に跳ね上がるでしょう。


ワタシは、原発には大きな利点があると思っていますし、原発の建設において調査・設計などにもっと厳重な基準を設ければ、比較的安全な構造物だとも思っています。
放射性廃棄物の大深度地中埋設処理も、現在の日本の技術はかなりのものだと思っています(できればこの廃棄物が物質循環サイクルによって他の資源に変換できるシステムを研究して下さると、なお良いですが)
ただし、“唯一の原爆被爆国”である以上、日本に原子力発電施設を建設するのは反対です。



ワタシは8兆円かかろうが、10兆円かかろうが、エネルギー効率が悪かろうが、今の日本はそれに投資する方向を選ぶことを望みます。

突然「“アナログ放送”を全面中止して2011年から“地デジ”に移行します」。
なんて暴挙があったのに、何だかんだ受け止めてる日本人。


「化石燃料依存の電力を利用すると膨大な電気料を徴収される」と認識したら、国民は自ずと再生可能エネルギーに流れていくでしょう。
エネルギー資源を輸入に頼らざるを得ない、日本の現状から考えても、再生可能エネルギーの技術分野における先鋭的技術開発の推奨と普及は、国内のみならず、外交においても大きなメリットがあると思います。


効率・利害・他国間折衝・国益優先・・・それらも大事ですが、
日本という国のあり方を明確に意思表示し、独自の方法で国際社会と渡り合っていくことが必要だと思います。
そのためでしたら、増税しようが、少々不便な生活になろうが、ブーブー言いませんよ、ワタシは。


だから、政党とかちっちゃい枠内で重箱の隅をつつかないで、歩み寄るところは歩み寄って早急に取り組んで欲しいです。
あまり時間をかけてるとろくなことはないですから。

ビシッと、“やります”って言ってくれる首相を望みます。
後で問題が表出したらその都度検討していけば良いのですから。



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6 コメント

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電力フリー (デジコム)
2009-07-18 20:30:07
どうも、チョコチョコ済みません。どうも関心のある所が重なっているようなので…。
ウラン資源にしたって輸入でしょ? プルサーマルなんかやって、世界中の核廃棄物を背負い込むんじゃないかと心配になってくる…。放射能を除去するなんてのは宇宙戦艦ヤマトにでも乗っかってイスカンダルくんだりまで行かなきゃ手に入る代物じゃないでしょう? 一方で仰るように、日本がエネルギー・フリーになるとしたら凄い事だ。日本がなれるなら、他もなれる。エネルギー資本による世界的な支配から解放されることになる。どんどん作って値段も下がれば…
私は、個人が国家から独立出来る可能性が広がると思う。エジプトの昔から続いてきた国家(という名の特定の強い個人達)による国民(という名の大多数の弱い個人達)支配から、解放されるのかも知れない。
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プルサーマル (pluto)
2009-07-18 22:12:16
>デジコムさん
こんばんは。
日本では2010年四カ所の発電施設でプルサーマル電力発電が始動する見たいですね(一方で石炭火力発電が増加していっているのも事実だったり)。
各地で排出する放射性廃棄物を処分する最終処分施設は、現時点では世界のどこにも存在しないんですねー。
とある地下貯留施設内に入ったことがあるんですが、難題山積ですね。
放射能(放射線除去)という観点の技術は進んでないですしね。
ワタシ個人の勝手な妄想ですけど、エネルギー、水、空気を個人でも変動売買する時代が来そうな気がします。
国家が大規模統合していくか、個人というものに分散していくか、分からないですねー。
あんまり自分の生活から遠いところは正直分からないことが多いので、出来ることをやっていきたいなあと模索中です。
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一人、太陽電池・2Kwで大丈夫 (お日様大好き)
2009-11-20 16:33:17
自宅に無くても太陽光発電で自分の分の電力を作れる市民共同発電所と言うものをここ15年ぐらい、おまけに自宅にもついていますが、をやっています。

経験からすると2Kwの太陽光発電を系統上に持っていれば個人で使う電力については量では責任を果たしているなと計算できます。(余った分は売って上げてもいいですけど1kwh分は当家の場合は70円ぐらいと割高です)

産業用はどうするんだと原発推進派はがなりたてますが、人間が居なくなったら産業も何も無い訳ですが、こういう方々は、どうも「企業があってこそ人間が生きられるんだ。企業が無くなったら人間は生きられない」というふかあ~~い誤解をしているようで多分この方々はこうした抜きがたい信仰に囚われていてまあ、大変です。

自然エネルギーをベースに考えれば参加型の社会も構想できるんですが、どうも既存の大規模な押し売り型のエネルギー転換産業のそれも右肩上がりの金儲けの奴隷型社会の未来しか見えないようです。

ゴミが出る、燃料資源が必要、てことではやはり長い目で見れば自然エネルギーへの資金投入がもっともリーズナブルですね。

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すてきですねー (pluto)
2009-11-20 21:46:45
>お日様大好きさん
こんばんは。
自分自身の日常生活分を自分でなんとかするって発想がとっても素敵ですね。ワタシもそういうところが近くにあれば参加したいです。

仰るとおり、なんかに取り憑かれたような発想が蔓延してたりしますね。

ムズカシイこと言うヒトなら、熱力学第一法則とか、特殊相対性理論とか知ってそうなのになあ、と単細胞のワタシなんかは考えたりします。
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市民共同発電と東近江モデル (お日様大好き)
2009-11-26 10:24:30
今年の3月に滋賀県東近江で進められていたプランです。

http://66547.diarynote.jp/200911261015293449/

が内容です。引用しようとしたら長すぎて・・。URLから見てください。

~~~~~~~~~~~~~

市民共同発電所 は

アパート住まいや転勤族、自分で設置できる屋根を持たず、一度に大金を用意できない若い人たちも、小口で自分の分の電気を自分で作る事が出来る発電所を持つ仕組みです。

「東近江モデル」とは

市民共同発電所だけでなく個人住宅など市民が所有する発電設備をささえる経済的な支援制度です。具体的には太陽光発電などに掛った総費用が20年で金利分を含めて回収できる様な経済的評価を総発電量に対して行い、同時にそれが生み出す経済的価値を地域社会の中で活かすよう配慮した仕組みです。

以下(省略)
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おもしろい取り組みですね (pluto)
2009-11-26 20:59:30
>お日様大好きさん
こんばんは。
サイトのご紹介ありがとうございます。
早速拝見させて頂きました。

「東近江モデル」で期待されている効果とかはおいといて、こういう取り組みを実施しようという行動力にワタシは一票投じたいです。

独力で行動できるヒトというのは非常に限られていますし、複数のヒトが集まれば活動規模も大きくなるので、自治体が率先してこのような取り組みを行っているというのはなんだか嬉しいですね。

地域限定使用クーポンという対価としての貨幣制度依存の仕組みにもう少し工夫が見られてもいいかなあ、と個人的には感じました。

とってもいい情報ありがとうございます。
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