皮膚呼吸しか知らない蛙

アスペルガー症候群当事者が、2次障害に溺れることもありながら社会に適応していく道のりを綴っていきます。

発達検査結果アセスメント事例 - 序論 -

2008-11-30 02:23:47 | ウェクスラー知能検査
児童の発達検査におけるWISC-Ⅲの解釈と、成人が実施に至るWAIS-Ⅲの解釈は、解釈の仕方、目的が根本的に異なると個人的には思っています。発達検査におけるWISC-Ⅲの解釈は、児童の困難となっている主訴への対処法を、種々の要因から仮定し、保護者、教育者、支援員、主治医、心理士などが共通認識のもとにサポートしていくためのアセスメントであり、当事者ではなく保護者が理解できることが求められていると思い . . . 本文を読む

アスペルガー障害と雇用 - 高次脳機能障害者に見る就労から -

2008-11-27 23:31:19 | アスペルガー症候群
成人当事者が各都道府県の発達障害支援センターに駆け込んだ際、多くの人が手帳の取得を提案されると思います。 手帳には「身体障害者手帳」、「療育手帳」、「精神障害者保健福祉手帳(以下精神手帳)」の3つがあり、アスペルガー障害当事者の場合はWAIS-ⅢのFIQ70をボーダーとして「療育手帳」と「精神手帳」を取得するよう説得されるのが実情です。 手帳には、 ・各種税の減免あるいは免除 ・各種公共交通 . . . 本文を読む

自閉症・自閉性障害・アスペルガー障害・広汎性発達障害

2008-11-24 20:49:21 | アスペルガー症候群
現在日本における医学的診断は、自閉症スペクトラムという連続帯の範疇を広義の広汎性発達障害と位置づけています。 連続帯と見なす意義、一定の線引きをする必要性は社会システムによって変化するものだと思います。しかし当事者にとっては、そのカテゴライズが必要な場合と、カテゴライズによって余計に混乱してしまう場合が存在するような気がします。“障害者として生きていく覚悟はあるのか?”医師が頻繁に口にする台詞で . . . 本文を読む

抗てんかん薬の易怒性抑制への応用

2008-11-22 00:01:15 | アスペルガー症候群
高次脳機能障害患者やてんかん患者、双極性障害患者に主に使用されているバルプロ酸ナトリウムという薬剤が存在します。 バルプロ酸ナトリウム おくすり110番 WEBサイト アスペルガー障害における「きれやすい」という情動(易怒性)に悩みを持っている方がいらっしゃるかも知れません(<アスペルガー障害≠きれやすい>ですが、付随する情動として傾向を持つ方はいらっしゃるかと思います)。 脳波 . . . 本文を読む

特別支援教育におけるWISC-Ⅲの取り扱い

2008-11-21 19:43:48 | アスペルガー症候群
アスペルガー障害児(ちまたで使われてる自閉っ子)も、きちんと発達していきます。その子のペースで、その子なりの得意・不得意を模索しながら。 『みんな違って、みんな良い』 学校では沢山の生徒達はみんな一緒、勉強も学校生活も遊びもコミュニケーションも・・・それはある程度仕方のない事だと思います。教育者にとっては、みんな一列のほうが効率的ということもあると思いますし、個々の児童・生徒の細部にまで目を通 . . . 本文を読む

因子分析と群指数

2008-11-20 00:12:50 | ウェクスラー知能検査
この議題は心理学と統計学の基礎的素地が要求されますので、ワタシのような素人の浅はかな考えは専門家の方が見れば見当違いのところが多々あると思いますので、適当に流して下さるか、専門家の方がいらっしゃれば、問題箇所をご指摘下さると非常に有り難いところです。 下記2文献の他、学術論文を数冊読んだだけの素人の考えですので、正しい訳ではないと思います。<参考文献>・藤田和弘・上野一彦・前川久男・石隈利紀・大 . . . 本文を読む

ウェクスラー成人知能検査 -結果の考察の前に-

2008-11-19 23:00:05 | ウェクスラー知能検査
WAIS-Ⅲ検査結果を見るにあたって、気になるところをピックアップしてみます。 ウェクスラー成人知能検査は統計学的に標準化された知能検査ですので、特定要因や変数に対してある一定の特徴を有するところがあります。 第一要因:年齢子供の場合には、テスト得点との関係は、異なる年齢において別々の基準を設定することが知能検査の導入以来ほとんど定則になっている。しかし成人の検査には、これが必ずしも当てはまら . . . 本文を読む

ウェクスラー成人知能検査 -動作性下位検査特徴 記号探し-

2008-11-19 06:49:13 | ウェクスラー知能検査
視覚記号が記号グループの中にあるかどうかを判断する。(視覚認知、スピード) 視覚-運動の協応、注意集中、注意範囲、不安、非転動性、固執性などの能力、影響因が関わるテストと言われています。制限時間がある中で、視野を動かしての作業はかなり苦労した記憶があります。“完璧”を求めすぎるため“確実なる正解”を求めすぎて速度が鈍るという傾向なども見られるような気がします。 職業適性検査にも近い問題がありま . . . 本文を読む

ウェクスラー成人知能検査 -動作性下位検査特徴 行列推理-

2008-11-18 22:30:41 | ウェクスラー知能検査
一部分が空欄になっている図版を見て、その下の選択肢から空欄に当てはまるものを選ぶ。(非言語的抽象課題解決力、帰納的推理、空間推理) このテストはWAIS-Ⅲになって追加されましたので“The Measurement and Appraisal of Adult Intelligence : written by David Wechsler 1972”では解説がなされていませ . . . 本文を読む

ウェクスラー成人知能検査 -動作性下位検査特徴 積木模様-

2008-11-18 19:53:02 | ウェクスラー知能検査
モデルとなる模型を提示し、同じ模様を決められた数の積木を用いて作成する(部分分解力、非言語概念、視空間認知力、目と手の供応) 理解、知識および単語との相関が高い。妙な話だが、このテストによい成績を示す人が、全体としての模様を見て必ずしもそれを理解しているわけではない。しかも多くの人々は小さな部分に分解してしまうのである。この点でNadelによる、ある前頭葉脳障害の知的妨害に関する初期の研究は興味 . . . 本文を読む

ウェクスラー成人知能検査 -動作性下位検査特徴 絵画配列-

2008-11-18 00:44:28 | ウェクスラー知能検査
ストーリーを描いた数枚の絵カードを意味が通る順番に並べかえる(結果予測、時間的順序・認識・時間概念) この種のテストは、全体的場面を理解し、評価する能力を結果的に測ることである。被験者は、その作業を効果的に処理する前に、全体を理解し、物語のアイディアをつかまなければならない。もちろん、そこには若干の試行錯誤の経験がある。しかし、他の大部分のテストよりも、被験者に全体場面についての評価の試みが要求 . . . 本文を読む

ウェクスラー成人知能検査 -動作性下位検査特徴 符号-

2008-11-17 11:58:33 | ウェクスラー知能検査
幾何図形と対になっている数字を書き写す(事務的処理速度・動作性機敏さ・視覚的短期記憶) 成人知能の測定に用いられるときに起こる問題は、その作業の遂行にあたってそこで見いだされうる、視覚の鋭さ、運動の協応、および速度の働きについてである。このテストの経験によると、視覚障害者および運動能力の弱い者を除いて、初めの2つは重要な意味はないが、運動速度の状態を軽視することはできない。 事務的処理速度・運 . . . 本文を読む

ウェクスラー成人知能検査 -動作性下位検査特徴 絵画完成-

2008-11-17 07:05:19 | ウェクスラー知能検査
絵カードを見せ、その絵の中で欠けている重要な部分を回答。(視覚刺激反応、視覚的長期記憶) このテストの問題が身近な対象および形式についての視覚的認知および照合を含んでいるかぎり、表面的には、このテストは個人の基本的な知覚および概念的能力を測っている。どの絵でも欠けているところを知るには、被験者はその絵が何を表しているのかを知らなければならない。しかも、そのうえに、彼は欠けている部分が対象あるいは . . . 本文を読む

ウェクスラー成人知能検査 -言語性下位検査特徴 数唱-

2008-11-16 20:15:30 | ウェクスラー知能検査
数字を口頭で伝え、順唱及び逆唱をする。(聴覚的端記憶) 数唱は順唱・逆唱のどちらにしても、他のテストとの相関は一般によくない。数唱テストで低い成績になっていることが器官の欠陥に結びついていないときは、不安か不注意の結果とすることができる。いずれの場合にも、数詞の再生困難は集中力を要する作業能力の欠如と関係がある。これらの欠陥を持つ人は特に逆唱が苦手のようである。この欠如は時に精神統制の欠如に帰せ . . . 本文を読む

ウェクスラー成人知能検査 -言語性下位検査特徴 類似-

2008-11-16 15:23:07 | ウェクスラー知能検査
共通の概念を持つ2つの言葉を口頭で示し、どのように類似しているかを答えさせる。(論理的なカテゴリー的思考力) 重要なことは、比較することを要求されている言葉の一般的要素を認める個人の能力、およびより高い水準で1つの概念のもとにそれらの言葉をまとめる能力である。 バナナとオレンジは「両方とも皮があるから似ている」と答えた人と、「両方とも果物である」と答えた人の間の成熟および思考水準には明らかな相 . . . 本文を読む