皮膚呼吸しか知らない蛙

アスペルガー症候群当事者が、2次障害に溺れることもありながら社会に適応していく道のりを綴っていきます。

脳損傷と知能の関連性①

2008-11-09 20:52:35 | アスペルガー症候群

アスペルガー障害の診断を受けて、様々な蟠りというか、

「自分自身で本当はそうでは無いのではないか?」
様々な先天的要因と後天的要因が入り乱れている為、自分自身への疑いは永遠に続くと思います。
ここ一ヶ月ばかりは『目眩』という具体的症状が現れており、様々な検査を受けることになっています。

ひとつの可能性として、アスペルガー障害を含む発達障害児者全般にとって、興味深い論文を読むことが出来ましたので引用させてもらいます。
今回は当該論文のイントロダクション部分です。


ちなみに最近ワタシ自身は脳外科専門病院にてCTスキャンと診察を受けたのですが、「脳外科として緊急性のある損傷は認められない。ただし神経内科での検診によっては脳波・MRIによる精密検査を要する必要があるかも知れない」との見解を頂きました。


<脳障害児の知能の発達的研究 弘前大学 斉藤繁氏>

  脳の部分的損傷はそれぞれある程度の特殊性を症状中に示すとしても、脳の全体的機能の低下を伴い、部分的機能の単なる脱落以上に、抽象的象徴的思考の障害から範疇的態度(Kategorialen Verhalten)をとることが困難になるとする(Gelb u. Goldstein 1924)。脳の局在領域の境界自体がはっきりしたものではなく、ある局所的損傷(例えば銃創)によって遠隔の領域にまで影響が波及することも観察されている。Hebbによれば、脳腫瘍を手術する場合には実際には二種類の損傷に関連していると言われる。一つはしばしば的確に記載することのできる鮮やかな外科手術による損傷と、もう一つは圧迫の結果生じる明瞭な限界をもたない瀰漫性の不規則的損傷とである。
 大脳皮質と皮質下での回路形成(Corticothalamocortical circuit)という観点からは、皮質と網膜体系との関連、さらに、基底核、小脳等それらへの調整機構等について、広範囲な中枢神経系における全体的相互関係を考慮しなければならない。このことは焦点性脳損傷の場合であっても機能局在の限定された意味のみから機能障害を十分に理解し難いことを示唆するとともに、行動傷害が損傷箇所から予想される以上に広範囲にわたっても起こりあることを示唆するものであろう。

(以上 特殊教育学研究 第4巻 第1号 1967  より 引用 )


基本的にアスペルガー障害をはじめとする発達障害は脳中枢性障害と考えられているとワタシは解釈しています。この論文では脳中枢性障害は四肢や末梢感覚器官の損傷よりも一層深刻な問題であり、損傷箇所と行動傷害の関連づけや、脳の局所と周辺の関係、時系列的症状変化、局在説から全体説への発展など多様な問題が顕在していると指摘しています。

診断を下すにあたり、生育歴や現状の不具合等を問診され、WAIS-Ⅲをはじめとする心理検査バッテリーの適用などを経ていると思うのですが、ワタシ自身は3年程毎週見て頂いている臨床心理士さんによって、心理機能、性格、行動傷害、社会適応性等々様々な角度から見て頂いてはじめて、

「可能性はなきにしもあらず」

というところに落ち着きました。

外科手術後の性格行動の変化および社会適応への影響、薬物による心理機能、性格および行動傷害なとが認められるケースが多くとりあげられているようであり、多方面から見ると先天的脳機能障害の場合、外科手術後の変化そのものが先天的に存在していた。
先の引用中の『圧迫の結果生じる明瞭な限界を持たない瀰漫性(ある意味広汎性という言葉に近いかも知れません)の不規則的損傷である』という言葉に行き着く可能性があるのではないかと思うようになりました。

<ウィキペディア 大脳皮質  参照>

大脳皮質と皮質下、網膜体系、基底核、小脳等それらへの調整機構等広範囲な中枢神経系における全体的相互関係というものを考察していくと、知覚、随意運動、思考、推理、記憶のみでなく、様々な現実世界で直面している生理現象の謎に近づけるのではないか・・・と。

外傷性脳障害の患者に総合的思考や暗算の困難、精神的変調がみられることが知られていると共に『外因性の病像を呈する器質性脳障害』の理解に多いに役立つ・・・と書かれています。

脳損傷とてんかんは脳の律動異常(Cerbral dysrhythmia)を示すと言う点では同一と見なされており行動異常も互いに類似している面が多いそうです。
実は度々口にしてきたのですが、たまに意識が飛ぶということを主治医に報告しています。専門医の診察を受けると「てんかん」と呼ばれる可能性はあるのかも知れないです。

アスペルガー障害でたまに耳にする「易怒性」と言う言葉。
ワタシ自身の感覚的に『メルトダウン的癇癪』と表現しているのですが、Lennox , Kanner等は

てんかん児によくみられる癇癪発作や爆発的暴行を脳の律動不整な放電の結果としての精神代理症状とみながらも、さらに、心因的要素の関与を重視している。

心因的要素の他にてんかん児に見られる精神代理症状として見た場合、ある程度解釈できる事象はあるのではないかと。


てんかん児、脳損傷者、瀰漫性脳損傷者へのウィクスラー知能検査結果によって言語性IQと動作性IQにある一定の傾向が見られたとの報告が幾つかあがっているそうです。
下位検査の項目の分析による臨床的効用に関しては諸説あるようですが、Wechslerが脳器質障害者に「数記憶」「数操作」に関する問題及び動作性問題(特に符号問題など)において低得点を示すとしている他、
脳障害の検査遂行への影響は、主としてすでに学習された反応よりも、新しい反応の習得と発達に影響することが明らかにされています。

つまり今問題点が浮き彫りになっている行動に関して、その対処法を習得するための発達には多大な労力を要する。
新しい環境などに慣れるという作業はかなりの困難を覚悟しなければならない。
予定外の出来事への対処なども難しいだろうと思います。



とても興味深い論文ですので、何度か引用させて頂くことになりそうです。



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6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (pokonyan)
2009-02-26 06:31:25
あなたの言説はまったく的外れだ。
あさっての方向を向いてる。
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Unknown (pluto)
2009-02-26 13:03:18
>pokonyanさん
こんにちは。
多くの方が的外れだと思われていると思います。
ワタシ的には10年後くらいの方向を向いてるつもりでしたが、あさっての方向でしたら本望かも知れません。

具体的にご指摘下されば、足りない頭なりに考えてもみます。

またお越し下さい
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柔らかい気持ち (異星人)
2009-02-26 17:17:31
ブログに声を出すなんてこと、私ははじめてのことでした
だから初めて書くこといはドキドキしながらも
共感した気持ちは伝えたいと思いました。

会ったことのない方へのことばはやはり慎重に扱いたいと思います。

ことばには人柄がどいうしてもにじみますよね興味深く論文拝見しました
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Unknown (pluto)
2009-02-27 12:06:10
>異星人さん
こんにちは。
共感したと伝えて下さってありがとうございます。
そういうヒトが、同じ大地を踏みしめていると思うだけで、生きていけそうです
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睡眠を助けるお薬ですが・・・ (異星人)
2009-02-27 12:27:50
はい、私はだからここがすき!

またまた、ちょっと話がずれますが。。。
睡眠を助けるお薬についてお聞きしたいんです。
なかなか抵抗があってという声をよく耳にします。

常習性への不安というか・・・
その辺も個人差あるでしょうが、ご存じの範囲で効能についてお聞きしたいんですが…
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Unknown (pluto)
2009-02-27 17:33:38
>異星人さん
こんばんは。
うーん、かなりムズカシイテーマですね

なるべく事実と自分の感想をわけて記事で書いてみますね
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