おとのくに♪♪

生徒さんのピアノレッスンで感じたこと、考えたこと、コンサートの感想などポツポツ綴っています。

不器用

2023年03月10日 | 苦手なことがある子供たち

運動能力障害は「不器用」と言い表されます。

発達障がいは単独では現れませんので、「不器用」だけが現れることはありません。この症状が強く、他が目立たないということはあるかもしれませんが。


不器用であると、一応の動作が出来ても、速すぎたり雑だったりします。

発達の目安は、
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3歳1カ月~6カ月 ねじぶたをしめる ぞうきんを絞る 
3歳7カ月~5歳 鉛筆を正しく持つ
5歳7カ月~7歳 微細な操作をする 文字を書く 針に糸を通す
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分離運動(指だけ、手首だけという部位ごとの動き)が出来るようになるのは、5歳7カ月を過ぎてからとわかります。7歳までに覚えた身体の使い方は一生残ると聞いたことがありますが、このような意味からきているのかもしれません。ピアノを始めるのに適した年齢もここから想像がつくと思います。


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どちらの手を動かしているか分からなくなる生徒さんに出会うことがあります。

腕と頭の神経がうまく結びついていないのですが、これは改善できます。


クラウス・ルンツェの「ふたつの手・12のキー」というテキストの最初に、手を交差させながらピアノの上を手で歩くものがあります。

この目的は神経の発達ではなく、黒鍵に触れることからピアノを習い始めて、鍵盤に親しむことを目的にしています。
これは、2つ、3つの黒鍵の判別にもつながることです。目で見て2つと3つの黒鍵のグループがわからないと、「ド」を見つけることは出来ません。

この事を苦手とするLDの生徒さんはいるものです。見てわからなければ触って量の違いを知る。
今は、私は不思議な音の国で、大きなお家と小さなお家の屋根をここに置くのでそれで困った生徒さんは今のところおりません。


話が逸れました。
もし、どちらの手を動かしているかわからない様子の生徒さんがおりましたら、手を交差させることを取り入れてみて下さい。

このテキストの最初のものは、3つの黒鍵に両手を重ねて置き、次の3つの黒鍵グループに移る時に、下の手から抜いて移動します。

これがわけが分からなくなる生徒さんは、目の運動も上手くできていない傾向があります。私の生徒さんの場合はそうでした。

次のページには、2つ、3つの黒鍵を順番に手を交差させながら上行、下行するものがあります。



この2つを手の体操と言って毎週続けると、自分がどちらの腕を動かしているか分かってきます。

テキストは子供が描いた絵しかないので、弾き方も手の絵が描かれていて、生徒さんたちはそれを見て弾くことが出来ます。(説明は要りますが・・)

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腕の神経を発達させる方法でもうひとつお勧めがあります。

リトミックの故橋内良枝先生のテキストにあるもので、現在入手することは出来ませんが、知人に少しコピーさせていただきました。

これはどの生徒さんにもできることです。
目的は橋内先生によると、「遠く離れた音を弾く時、上腕の運動が速く行われるようにするためと、左右の神経のバランスをよくするため」とあります。



おもちゃのチャチャチャの歌に合わせ、写真のように手を交差させます。
画像が見づらいかもしれませんが、この3つを組み合わせれば良いのです。

腕を持って動かしてあげないと自分ではできない生徒さんがいました。
「右が上」「右が上」と言いながら動かしました。
写真の中央と右側の写真を交互にすることをゆっくりなテンポで出来るように毎週行います。

一人で出来るようになったら、左腕の練習です。

これが出来るようになったら最後の「チャチャチャ」で「右腕上、左腕上、まっすぐ」にします。

テキストにはもっと細かく上に来る腕を変えてあります。
ここまでのことが出来なくとも十分です。右腕上パターン、左腕上パターンにして、最後だけ交差・交差・まっすぐで良いです。

真ん中の「ド」に1の指を置くことさえままならなかった生徒さんが、毎週これを一緒に練習し、最後に交差するところまで出来た時の、あの晴れやかな顔は今も忘れられません。

すぐに出来なくとも良いのです。少しずつゆっくりとそこに向かっていく。できるということを経験する。それが他のことの自信につながるはずです。


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こちらの生徒さんですが、楽譜は私が指さしていてもどこを見ているか分からなくなるので、小節ごとに番号をふって、今何番弾いてると言った方がわかりやすかったです。

毎回その方法で曲を進めていましたら、番号を言わなくとも自分で分かるようになり、そのうち番号をふらなくとも良くなりました。


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今回のテーマとは異なりますが、書字障害の女性が書いた本で、子供の頃ピアノを習っていた話が書いてありました。

それによると、
「文字は読めるけれど書けない。特に漢字は覚えてもすぐに忘れ、大学生になっても自分の名前さえ書けなくなる時がある。算数の図形も苦手で、図形を2つに分けるとどんな形になるかわからない。保育園の時ピアノを習い始めた。1年かかってもドの位置がわからなかった。毎回ピアノの前でどこがドか聞かれ、山のようにある鍵盤の中のどこがドかいつまでたってもわからなかった。音楽は好きだけれど歌は音を外してしまう。それをはっきりと指摘されたことも辛かった」
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