
張水御嶽 ( はりみずうたき )

御嶽の中にある拝所



18世紀の中頃まとめられた、『宮古島記事仕次』という宮古島の神話・伝説と昔話をまとめた本によれば、
地上の守護神となることを古意角が天帝に願い出ると、天帝はこれを祝福し、
天の岩戸の先端を折って大海に投げ入れ宮古島を作ったという。
その後、古意角は姑依玉と言う女神を伴い現在御嶽のある地に降臨し多くの神々を産み育て、
そして人々が繁栄を得た。と記されている。
張水御嶽は、通称 「 ツカサヤー 」 とも呼ばれ、
宮古島創世神話ならびに人蛇婚説などに彩られた御嶽である。
『 御嶽由来記 』 によれば、 「 由来 住古、天地が定まらず人類がまだ生まれない以前、
天帝に命じられた、古意角 ( コイツノ ) という神と姑依玉 ( コイタマ ) という女神が、
多くの神々を従え天下った場所だとされる。
人蛇婚説は、平良の住屋の里に富貴栄耀の夫婦がいた。
二人には子どもがいなかったので、神仏に祈願していたところ女の子を授かった。
娘が14・5歳のころ妊娠したので、父母は驚き事の次第を訊ねてみたところ、
「 誰とも知らぬ白く清らげな若者が錦の衣をまとい、夜な夜な忍び入るかと思うと、
ただ茫然と夢心地として、夜を重ねるうちにこのような身になった 」 と語った。
父母は不審に思い、糸の先に針をつけて男の片髪に刺すように言った。
娘は教えられた通りにした。
夜明けにその糸をたぐって行くと張水御嶽の洞の中まで続いていた。
その糸の先には首に針を刺された大蛇がいた。
父母は驚き悲しんだが、その夜の夢にかの若者が現れ、 「 我はこの島創世の古意角の化身である。
島守護の神を立てんために汝に思いを寄せた。必ず三人の子を産む。
その三人の娘が3歳になった時に張水に抱き参るべし 」 と言った。
月日が流れ娘が3歳になり、母は三人の娘を連れて張水に行くと、
御嶽の中から恐ろしい形相をした大蛇が出て来た。
母は驚き逃げようとしたが、娘たちは母の手を振り切って大蛇に飛びつき、
一人は首に乗り、一人は腰に、一人は尾に抱きついて親子の情を現し、御嶽の中に消えて行った。
その後、大蛇は光彩を放って昇天し、三人の娘は島守護の神になった。と伝えられている。