長崎県佐世保市戸尾市場。
そもそも一帯の市場は湊町に集まっていた生鮮食料品の露天商に端を発する。
明治末期に山県町や京町周辺が繁華街として賑わいを見せ始めると、
魚や野菜を持ち寄って露天を開いていた湊町の露天商人たちは、
買い物客を求めて現在の戸尾市場一帯に移動した。
九州鉄道の佐世保駅が明治31年の開業だから、
人の流れにも変化が生じたと思われる。
さらに商港が湊町から万津町に移ることで、
ますます戸尾は便利な場所になり、
佐世保市民の台所として定着したのである。
昭和に入って佐世保線の延伸や松浦線の開通を迎えると、
沿線の人と物が集まり、西海市場・戸尾市場・三角市場、
さらにトンネル横丁などの組合が集中する大市場を形成した。
中でも小高い斜面に掘られたトンネルを店舗とするトンネル横丁は、
佐世保の名物的風景となっている。