フランスに揺られながら DANS LE HAMAC DE FRANCE

フランス的なものから呼び覚まされることを観察するブログ

J'OBSERVE DONC JE SUIS

シャルル・ドゴール空港へ A ROISSY

2005-07-15 11:50:44 | パリ・イギリス滞在

パリの空港に向かうタクシーの中で、チュニジア出身でパリ在住25年の運転手と話をした、と言っても殆ど彼が話し続けていたのだが。

最初は四方山話であった。パリのアパートも10年前まではどうということもなかったが、それ以降値上りが進み、今ではロンドンに追いつかんばかりだ、中国人は仕事を家族まとまってよくやり、いろいろな職種で活躍の幅を広げている、ホテル業界ではアルジェリア人もよくやっている、などなど。世界は争いに満ちている、イラク、少し前の東欧、アフリカ(アフリカはほとんどが独裁制だ)、それに中東、パレスチナなど。パレスチナは歴史が始まって以来続いているのではないのかと言うと、そんなことはないと持論を展開し始めた。

口角泡を飛ばすという話し方を久しぶりに見た。あるいはまじかで見たのは初めてかもしれない。今のイラクはフセインが問題なのでもなく(そうであればなぜ彼だけを狙わないのか)、石油でもなく、宗教でもなく、大量破壊兵器でもない(そんなもの最初からないのだから。持てる国になぜ文句を言わないのか)、民主主義でもない(そうであればアフリカに、北朝鮮にどうして行かないのか)。今世界中で起こっているテロの源は戦後イスラエルの建国とそれ以降今に至るまでパレスチナ人の土地(la terre)を奪って行く一握りのユダヤ人とアメリカの覇権主義的なやり方にあるのだという。アメリカでも特に今のGWブッシュは fou、クリントンはまだ人を結び付けようとする話し合いの精神を持っていたが、とも。それがなくならなければ、この流れは止まらない。一つの主張が終わると、Vous comprenez? を連発(私が使う、わかっていただけましたか、というニュアンスではなく、わかるか、わかるだろう、という同意を求める感じである)。彼はイスラム教徒 musulman だが、non pratiquant 。しかし Il n'y a pas de justice dans la politique américaine. C'est pour ça que je suis avec Bin Laden, je suis avec Al-Qaida とまで言っていた。この問題の根っこに la terre の問題があるという彼の言い分にも一理あるような気がしたが、、。

余り声を荒げたので、最後に声が大きい (parler fort)のは受けた教育のせいで、人にわからせるためだという。体全体を使って、体を楽器のように共鳴させて声を出す彼を見ていて、自分の口だけを使っての話し方でどれだけ人に伝えることができるのかという大きな疑問符が頭の中を廻っていた。

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空港では不思議は若者に会った。免税店でシガーを買った時のこと。caisse でキューバ産のシガーだけ箱の蓋が開いているのに気付き、おかしいのではないと問いただすと、その若者はキューバ産だけは中身を調べるのだ、他の箱も見てみるかと言う。今までキューバ産は買ったことがなかったので、彼の後についていったところ、確かにすべての箱は開けられている。納得して買うことにした。そうすると、彼が日本語で話し始めた。私(俺という感じ)は日本にいたことがある、あと数ヶ月で又日本に行く予定だという。それで終わりのはずだった。

それから買い物をするために下の売り場に向かうと丁度昼休みを取っていたその若者がエスカレータのところにいて、10分程度話をする。聞いてみると、17歳で学校を辞めて日本に行き、六本木や新宿で働いていたらしい。学校教育の枠にはまっていないせいか、少し野生の感じがする。パリにいる日本の女の子とも話をすることがあるが、パリにいるだけで何か自分は人と違いますよ、という感じの子がいてどうも好きになれない。この前、私の日本語が汚いと言われたが、それはあなたのフランス語が私の日本語よりうまくなってから言ってくれとけんかになったという。高田馬場にフランス人が集まる情報交換できる場所がありますよ、と教えてくれたり、日本にフランス人の友達が沢山いるので、今度日本に行ったら居酒屋に一緒に行きましょうなどと話していた。六本木などで日本の大人に接していたせいだろうか、物怖じしない。

今回の滞在で普段全く使わない tutoyer を要求されることがあり苦労したが、この若者も vouvoyer には抵抗があったらしく、私若いんだから tu でいいよ、と言っていた。これをうまく使わないと、フランス人は違和感を感じるのだろうが、その感覚がまだぴんとこない。

コメント
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