作家 小林真一のブログ パパゲーノの華麗な生活

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【 ふるさとが無い 】

2006-11-18 12:56:59 | 02 華麗な生活


生まれたのは、当時関東州と呼ばれ、満州国の
オレンジとは違って、日本本土並みに赤く塗ら
れていた大連です。

残念ながら記憶が全く無い。それも当たり前の
ことで、生後数ヶ月で奉天に移住している。

大連は遼東半島にあって、日本は日露戦争の
結果、ロシヤから統治権を譲渡された。
直接中国から奪ったわけじゃない。

この前、透析クリニックで、中三日を置く透析を
一度ぐらいやっても良いかと聞いたら、OKですよ
との答え。
中三日あったら、大連ぐらい簡単に行ける。
行けるけど大連も近代化をすすめる中国の代表
都市のひとつに数えられるから、ムカシの面影は
残っていないだろう。

山県通りという、山県有朋に因んだ町名も有る
はずがない。

ボクが知っている大連は、記憶じゃなく清岡卓行と
いう詩人が芥川賞を得た「アカシヤの大連」という
小説によってです。

その中に、アレキサンドリヤから東方に旅をして、
初めて目にするヨーロッパ。
それこそが大連との描写があって、ボクは幻の
生まれ故郷の地、大連を誇りに思って来ました。

エジプトのアレキサンドリヤからこっち、シンガポール
も香港もあれば、上海もある。
それらをさて置いての大連ですから。

もちろん戦前のハナシでのこと。

満州から引揚げとは名ばかり。
新たに移住したのが淡路島。
ここでの思い出には辛く、寒く、淋しく、ひもじい
事柄で占められていて、高校以外には懐かしさを
感じない。到底ふるさとの感慨が持てません。

ハンブルグとウイーンに住んで、どっちかと言えば
ウイーンへの郷愁が強い。

ふるさとはウイーンだと言えば格好が良すぎるだろうか。


                 パパゲーノ

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