作家 小林真一のブログ パパゲーノの華麗な生活

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【 世にも不思議なオペレッタ 】

2006-08-30 22:05:57 | 02 華麗な生活

去年の2月〔ニューオペラシアター神戸〕の公演 がアルカイックホールで行われ、6日のマチネー に行きました。 いつもと違って開演20分前に漸く入場が許され たら、ロビーではすでに弦楽四重奏がアイネクライネ を演奏しており、今日の舞台に立つであろう8名の バレエダンサーが、ハプスブルグ調の赤いドレスを まとい、仮面をかぶって踊っていました。 ファルケに扮した男性が待機していてナニゴトかが 始まりそうな雰囲気がする。 と、今日の特別出演者〔池乃めだか〕がフロッシュ の扮装で酔っ払いの風体で現われる。わめきながら ダンサーたちに襲い掛かり抱きつく。こころは吉本 新喜劇そのものです。給仕の衣装の3人が取り押さ え、ファルケが観衆に呼びかける。 「酔っ払いは取り押さえました。さあ皆さんお席に お着きください」 こうして誠に不思議なオペレッタ「こうもり」が 始まりました。序曲も無しに幕が開いたら、舞台は まだ片付いていないし、オルロフスキー公爵の晩餐 会に招待されたとおぼしき衣装の二人組みが次々と 舞台を通りすぎる。 ファルケが登場し今日のオケを指揮する井村誠貴も マエストロ・イムラスキーという役で花道から登場 します。ファルケとの短いやりとりがあってここで 漸く序曲が始まった。 驚いたことにピットではなく、舞台の奥に5段高く しつらえた壇上にオーケストラのメンバーが陣取っ ていて、特に女性団員はそのまま舞台に立ってよ さそうなハプスブルグ調の衣装を身につけています。 相当に意表をつく演出でした。(演出:井原広樹) 二幕が始まって公爵のパーティーの場面となり、 オーケストラがそのままパーティーのための楽団 として参加している形となる。23組がワルツを 踊り、例の8名が場面場面で出てくる。オケの メンバーも舞台衣装だから、その華やかなこと。 最大80名を超える彩やかな出演者の動きは、本場 フォルクスオパーを凌ぐだろう。 三幕の主役といっていいフロッシュを池乃めだか が演じるのが今日の呼び物の一つだったが、吉本 から幾ら賛助金が出たのか、ちょっと露出度が多す ぎたのでは。本職の喜劇役者だから、それなりに 面白いけど、2階正面最前列のボクの席まで台詞 が良く聞こえない。 本来は歌なんか唄わないフロッシュだが、めだか が歌いたかったのか「帰れソレント」を歌い意表 をついた。ケチをつけるわけではないが、声量は 無いし所詮は素人芸。 まあオペラ歌手と比較するのが間違いで、めだか 健闘と称えることにしておきます。 二幕のフイナーレを飾るのに欠かせないはずの ポルカ「雷鳴と稲妻」の縦列ダンスが割愛されて いて、ボク的には不満が残るところ。あのダンス こそが、このオペレッタのハイライト。 相当に体力を消耗するダンスを踊り終えて、全員 が倒れこむのを、公爵の一喝でアンコールに挑む のが楽しみだったのに。 こうして、世にも不思議なオペレッタ「こうもり」 を、変わっちゃいるけど楽しんだ。                  パパゲーノ



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