作家 小林真一のブログ パパゲーノの華麗な生活

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【 浅田次郎のエッセイで知ること 】

2007-06-16 18:59:39 | 02 華麗な生活


作家・浅田次郎のエッセイ集「勇気凛々ルリの色」を
読んでいたら、昭和46年の電話事情が明らかになった。

携帯電話など無くて当然だが、まだテレフォン・カード
もなく、百円玉が使用できる公衆電話も無かったとある。
1971年の日本の電話事情は、まだそんなものだった
のかと、改めて通信関係の発展の凄さを思い知る。

彼はその年、陸上自衛隊に入隊する。初任給が1万5千
1百円で、世間の5分の1か6分の1であったとある。

ということは、一般の初任給は7万5千円から9万円程
であったことになる。ボクの初任給は1万3千2百円で
1957年のことだった。池田所得倍増内閣があったが
14年間で7倍とは凄い。それに応じて諸物価も騰がっ
たことになるが。

同じ年の年末に、ボクは最初の海外勤務を終えて、本社
の課長に任じられた。はて給料が幾らだったのか覚えて
いない。ハンブルグでは3千マルク程度であった。日本
円に換算して27万円になる。当時の海外勤務者の待遇
は良かった。

浅田次郎のエッセイは週刊現代に連載されたもので、始
まったのが1994年だった。このエッセイによると、
「鉄道員」の初版が2万5千部で、それがエッセイ連載
中に90万部まで増刷されたとある。彼にとって、あの
連載エッセイは、無名作家から人気作家へのサクセス・
ストーリーを兼ねる結果となっている。

エッセイはその書き手によって、書かれた時代のことが
分る点が素晴らしい。自らは日記を残していないから、
小林信彦、倉本聡、井上ひさし等、ジェネレーションを
同じくする作家たちの作品で、過ぎ去った時代を思い出
すのである。浅田次郎ははるかに若い人であるが。

                         パパゲーノ

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