作家 小林真一のブログ パパゲーノの華麗な生活

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2006-10-18 11:21:37 | 13 パパゲーノが考える会社のあり方


一昔前のハナシです。

阪神大震災から4日目だったか、六甲アイランド
にも救援物資が届きだし、ここまではボランティア
も来ないし、住民有志が手伝って荷おろしをやる
ことになった。

○○生命の課長職の人がマンション内に響くマイクで
放送をした。

「ただいま六甲アイランド小学校の講堂に、救援物資
が届きました。人手がありません。相当な重労働に
なると思われますが、有志の方々のご参加をお待ち
します」

聞いていて、この馬鹿野郎と思った。

このマンションには300戸がある。

三分の一が逃げたとしても、200人の壮年男子がいる。
相当な重労働なんてことを言ったら誰も来ないぞ。

そこで階段を600段以上降りて入ったら、案の状
14名しか集まっていない。それも壮年を過ぎた面々が
中心です。

二手に別れて、待機して物資を各個に配る組と、
小学校まで荷物を取りに行く組を編成し、ボクは取りに
行く方へ廻った。

そこにある物資を運ぶのかと思って行ったら、そうじゃなく
次から次へ物資が届く。トラックには運転手しか乗って
いないから、我々が荷おろしをやる。

何十棟ものマンションがあるのに、我々7名を含めて
15名ぐらいしか居ない。水が多く1個20キロはする
から、くたくたになった。確かに相当な重労働。

本土側の避難場所に、物資が十分廻りもう要らんとなって
最後にアイランドに来たとトラック運転手が言う。

全部終わったら辺りが真っ暗になっていた。
マンションの共有部分の床に7名がへたり込みモノも
言えない。

そのとき例のマイクの君がご挨拶。

「本日は本当にお疲れさまでした。どうやらワタシが
最年長と判断、それで指揮をとらせていただきました」

床に転がったまま言った。「あんたが最年長じゃないよ」

「いえ、ワタシはこう見えまして、昭和11年生まれ
もう58にもなります」

「それ見ろ、だから最年長じゃない」

これに他の人たちが反応し「それじゃもっと年長ですか?」

「ええ、昭和もヒトケタの9年です」

マイク君は慌てて「これは先輩でしたか、どうも失礼した
ようで。でもとてもそんな風にはお見受けしませんなぁ」

何が「こう見えて」だ。立派に60過ぎに見えてるよ。

寝転んだまま、「あんた失礼だが、人の使い方知らんな。
あんな時に相当な重労働覚悟でなんて言うヤツが居るか」

指揮官ならこう言うのだ。
「救援物資が届いた。みんな降りて来い」

余計なこと言わなかったら、150人は集まっただろう。
それから告げたらよい。「物資は小学校だ。取りに行こう」

そうした指揮を執ってこそ師団長・連隊長が勤まる。
あんたのは分隊長どまりだ。

この一件があって、そのときのメンバーから電車の中などで
「長老」と呼ばれだし、席を譲られたりもうタイヘン。

降りた600段以上を昇るのがまたタイヘンでした。
非常階段は真っ暗だし。エレベーターはみな安全確認が
出来ていないから停まっていたし。


           パパゲーノ




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