人間が食べて燃料としてカロリーを発するのは、三大栄養素と呼ばれる
炭水化物(糖質・でんぷん質)・脂肪・タンパク質だけに限られています。
炭水化物と脂肪は、共に炭素・水素・酸素の三原子から成り、
タンパク質にだけ、三原子に加えて窒素が参加しています。
炭水化物と脂肪の分解は、分子量が少ないので、分解・吸収も比較的に
単純に出来ます。
ただし燃料として先ず燃えるのは炭水化物の方で、脂肪は言わば予備燃料
の位置づけになります。
いったん身体に付いた脂肪が、なかなか取れないのも、この為と言って良い
でしょう。人間の本来の主食が穀物であるのと関係があります。
炭水化物は1グラムが燃えると4キロカロリーを発し、脂肪は1グラムで9キロカロリー
にもなる熱を発生させるのも、如何にも予備燃料に相応しいことと言えましょう。
タンパク質になると、消化・吸収も窒素を含んだ分だけ、分子量も高くなり、
そのままでは人体の消化器官は消化・吸収が出来ません。
だから胃の中で、ペプシンという分解酵素で、アミノ酸という小さな分子量の
物質に変える必要が出てきます。
分解されてアミノ酸に形を変えてから、初めて消化・吸収が出来るのですが、
タンパク質を摂る主目的が、身体の中の60兆個の細胞が毎日壊れていくのを、
補給・充足することにあり、燃料に廻るとしても、余程のカロリー源不足の場合
に限られます。
言い換えれば栄養失調の人以外は、タンパク質を燃料には使いません。
「からだの科学」と題する、このシリーズでは、タンパク質が最も複雑で説明が
難しいテーマになっています。
人体は毎日体重の千分の一を失っていると、説明すれば御納得されるでしょうか。
ヒフ細胞は垢や抜け毛となり、胃腸の粘膜細胞は、排便時にこすり取られるなど、
60キロの体重の方は、60グラムの細胞を失っているのだとご記憶を願います。
次回は酵素と補酵素の説明に入ります。
触媒と酵素の違い、工場での化学変化と体内での化学変化の違い。
それをお話ししましょう。
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