艦隊これくしょん×Fate/staynight
艦これ×Fateとかなり珍しいSSです。
海上戦闘の艦これで衛宮士郎がどう戦い、関わるのか今後に期待です。
衛宮士郎が眼を覚ました時、周囲は海で謎の少女を見つけた。
プロローグ――1
「え……え?」
黒い人型は徐々に大きくなり、次第に全体像が視えるようになる。
相変わらず頭はついて行ってくれないが、眼に映る情報は士郎の脳内に一つ一つ蓄積していった。
噴きだしている黒煙。
ボロボロの衣服。
身に着けた金属品。
小脇に抱えられているもう一人。
海を滑る少女。
……少女?
少女。
行している足取り(?)。
今にも倒れそうにフラフラとしている。
それでも此処を目指して進んでいる。
確かに此方を見据えて。
そして、その後方上空には猛スピードで後を追う黒い物体。
黒い、物体。
この後無茶な投影魔術で敵を追い払った主人公であった。
プロローグ――2
まる1日気絶した衛宮士郎は自分に助けられたという軽巡「木曽」、駆逐艦「望月」と出会う。
周囲は未だ敵の最中であるが、今の内に3人で脱出を試みる。
本当は、置いて行けと。そう言うつもりだった。
満足に動かぬ自分の身体では只のお荷物だ。
余計な重荷がいなければ彼女たちの生還確率は大きく上がるだろう。
無理をして死に損ないを連れて行く必要は無い。
勿論、死ぬことには抵抗がある。だがそれ以上に、
自分の為に誰かが危険な目にあうなんて嫌だった。そんなことは許せなかった。
他者の命を犠牲にしてまで生き残ることは、衛宮士郎の本意ではないのだから。
―――だが、そんなことは言えない。言えなかった。
恐怖心に囚われたからではない。都合の良い言い訳でもない。
ただ、ダメだと。それを言ってしまってはダメだと。
それだけを、思った。
…口に出さなかっただけでもこの自己犠牲主義者の衛宮士郎は進歩しているといえる
1-1
夜間密かに脱出を図る3人。
しかし、アイアンボトムサウンドの激戦地へ入ってしまい交戦。
衛宮士郎は海の上では木曽に背負われている状態で役に立たなかった。
「深海棲艦に対して肉弾戦って……馬鹿じゃないの?」
冷静な第三者の声。望月では無い。
ましてや士郎のでも無い。
呆気ない終わり方に一瞬とはいえ呆けていた三人だったが、反射的に声の方へと向いた。
黄土色の髪。木曾たちと同じくボロボロの服。小柄な体躯。そして眼。
意志の強そうな眼が印象的な少女が其処にはいた。
「全く……まぁいいわ」
「駆逐艦、満潮よ。……どうやらアンタ達も捨て艦みたいね」
いきなりシリアスきた(汗)
1-2
満潮と合流した衛宮士郎達は隠れ家へ入る。
そこには同じく捨て艦として見捨てられた艦娘達がいた。
「あの……誰、ですか?」
だが陸地に上がろうとしたところで声を掛けられた。満潮のではない、誰か別の声。
反射的に視線を向けると、其処には女の子がいた。煤けて穴も開いているセーラー服。
やはり、皆と同じくボロボロの様相だった。
陸地に手をかけつつ、木曾が答える。
「俺は軽巡洋艦・木曾だ。此方は駆逐艦の望月と、一般人の衛宮士郎。満潮に案内されて来た」
「み、満潮ちゃんに? じゃあ味方なの? でも、証拠が無いし……」
「……味方よ。だから銃口を下げなさい、磯波」
いつの間にかに戻ってきていた満潮が少女を窘めた。
良く見れば少女は右手に銃を持っている。引き金にはしっかりと指がかけられていた。
捨て艦駄目、絶対。
1-4
体力が消耗していた衛宮士郎は2日間も隠れ家で寝てしまう。
木曽たちの姿はなく、いたのは駆逐艦「叢雲」と名乗る少女であった。
そして、ついに深海棲艦に見つかったしまう。
「……あれ、は――――」
寒い。ただただ寒い。
それが外気温か、それとも怖れから為るものかは不明。
だが二人は。奇しくも二人は、同じ感情を胸に抱いていた。
そしてそれを打ち消すように、互いが互いを強く抱きしめていた。
互いに感じる体温だけが、目前の現実を現実として認識させてくれていたのだ。
叢雲の口から言葉が発せられ、瞬く間に虚空に霧散する。
――――軽空母ヌ級
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