自分の鎮守府のイベント後のイメージ
4月28日より発動された第十一号作戦。
カレー洋を打通しステビア海まで至る5段階にわたるもので、
連合艦隊を動員する今までないほどの大規模な戦いが始まり各地の鎮守府では溶ける資材に悲鳴の声を上げていた。
そしてここ昨年新たに設置された鎮守府、タウイタウイ泊地でもまた第十一号作戦に参加したが……。
「本日を以って我が鎮守府は第十一号作戦の作戦終了を宣言する。
損傷を受けた艦娘は順番に入渠せよ、バケツは使わないからゆっくりすると良い。
ただし第三艦隊に選抜された艦娘は遠征に出てもらうが、本次作戦参加者以外から選ぶ。
なお、その両者に用がない者は非番とし、外出許可を与える者には好きに外出すると良い、では解散」
提督の敬礼と同時に一斉に敬礼する艦娘。
提督は壇上から下がり、執務室の方へ歩いて行った。
提督の姿が見えなくなった後。
残った艦娘達は改めて作戦終了、外出許可の言葉をかみ締める。
その言葉に特にこれまで特に酷使されてきた軽巡洋艦娘、
駆逐艦娘の精鋭達が感情を爆発させて、爆発的な喚起の声を漏らした。
「やれやれ、さっさと消えてよかったな
あそこで居残ってネチネチ反省点だの説教を始めたらどうなったことやら」
廊下まで聞こえる喚起の声に嘆息する提督。
「別に立ったまま居眠りを始める奴が出るだけだぜ提督」
「そうですね、摩耶さん」
「なんだ摩耶、赤城お前ら付いて来たのか?」
振り返った先にいたのは空母「赤城」重巡洋艦「摩耶」であった。
「ああ、ちょっとばかり提督に聞きたいことがあるからさ」
「何でE1で辞めてしまうからだろ、摩耶、赤城?」
「……っ!!」
「…っっ!?」
どこから会話を切り出すか悩み、神妙な表情を浮かべていた摩耶。
それに対して、提督が摩耶が言わんとしていた事を的確に指摘した。
「…だったら話は早い!!
確かに提督は提督を始めて1ヶ月そこいらだし、
他の熟練提督と比べればウチの鎮守府は練度も不足している。
けど、それでもE1を突破しただろう、例えそれが丙でもあっても!!」
「そりゃどうも…」
摩耶の言葉に苦笑する提督。
第十一号作戦では甲、乙、丙の難易度が選択することが可能である。
当然甲を選びE6まで至れば報酬は高く、そして賞賛と名声を得られるだろう。
鎮守府を開いたばかりの提督は一番難易度が低い丙を選び、始めのE1で終了した。
「提督、今この鎮守府にいる空母は私以外は「飛鷹」「隼鷹」「蒼龍」「龍驤」の4人。
私も含めて誰も改まで至っていませんし、加賀さんや五航戦の2人のような強力な艦娘はいません。
けど、それでもE2は空母機動部隊が主力となる戦いです、駆逐艦や軽巡洋艦ばかりが活躍して納得がいきません!」
真剣な表情で提督に問い詰める赤城。
その視線は引き絞られた弓のごとく力が篭っていいる。
「…赤城さんも食うこと以外に真剣になるんだな」
「なっ!!提督私を何だと思っているのですか!!」
だがその返答はふざけたもので思わぬ切り替えし赤城が激怒する。
「実際そうだろ、特にボーキーとか。
前に蒼龍と一緒に食べつくしたじゃないか」
「うぐ」
前科を指摘されてたじろぐ赤城。
空母は弾薬、燃料を戦艦並みに消費する。
だが戦艦はボーキサイトを消費せず、対して空母はその多飯食らいである。
「冗談はさて置こう。
うん、ボクもE2に行ってみたいという気持ちはある。
けど資材も練度も何もかもが足りていない状況ではこれ以上進んでは駄目なんだ」
「おい、提督はアタシ達が信頼できない、つうわけか?」
不満と憤怒の感情を全身から噴出す摩耶。
彼女もまた駆逐艦と軽巡洋艦だけが活躍できたE1に参加できずフラストレーションが溜まっていた。
確かに未だレベル改に至っていないがこの鎮守府では最高レベルの重巡洋艦としてのプライドがある。
そして、怒りと同時に摩耶は自分を信頼できないと遠まわしに言われ失望を感じた。
「違う摩耶、赤城。それよりももっと大事なことがある。
皆が生きてこの鎮守府に帰ってくること、作戦よりもそれが一番大事なんだ」
提督の返答は摩耶たちを案じたものであった。
その気持ちは嬉しかったが摩耶と赤城はそれでも納得いかないという表情のままであった。
なぜなら自分達は艦娘、人の形をした兵器。
兵器の役割は戦うことであり、暁の水平線に勝利を刻むことだから。
「まだ納得していないとい表情だね。
今回はここまでだった、けど次のイベントはまだある。
その時こそこのしがない万年少将提督に勝利をもたらしてくれると信じているよ」
そんな2人の態度に苦笑を浮かべつつ言葉を綴る。
「では、またな」
そして複雑な感情を内心で抱いている2人を残し、提督はその場を後にした。