二次元が好きだ!!

SSなどの二次創作作品の連載、気に入ったSSの紹介をします。
現在ストパン憑依物「ヴァルハラの乙女」を連載中。

Dead Space×とある魔術の禁書目録 黄泉川-Ⅱ

2011-02-12 22:39:43 | 習作SS
「一体何があったんじゃん・・・・。」


黄泉川がテレポートされ辿りついた場所は第22学区の入管施設にあたる所だった。
いつもなら白い蛍光灯に清潔な床が彼女を出迎えていたが今日は違った。


「・・・・・・・・・。」


床のタイルは剥がれ、コンクリートの地がむき出し。
天井は換気扇の蓋が外され、電球は半ば消えかかってしまっている。


そして床や壁に広がる血の海。


なぜかあるはずの死体はなく。
ただそこで何かがあったことだけは証明していた。


「皆あわてて出ていったみたいね。
 ここの監視カメラによるとここの警備分隊は中の方へ向かったようよ。」


ケンドラ・ダニエルズ、
と名乗る技師がパソコンのログをあさりながら呟く。
今回の事件を調査するために派遣された技術班の一員で、黄泉川の護衛対象である。

眼の前に広がる惨場に対しても思いのほか早く適応し、
現在は手始めにセキュリティシステムにログインして調査している。


「中、つまりこの忌々しい隔壁の向こうか。」


黄泉川の上司にして救援部隊の指揮官、ザック・ハモンドは忌々しげに言う。
確かにテレポートによって続々とフランスでデビューを果たした駆動鎧を含め人員は次々にやってくる。
その結果周辺には100名以上の人間に10数体の駆動鎧と頼もしい限りである。

が、テレポートされたのは第22学区の玄関口まで。
またもや破壊不可能な隔壁が彼らを拒んでいた。


「なら、代わりにエレベーターを動かせ。」

「動力が死んでいる、無理ね。」

「それなら動力系統を切り替えろ!!
 いいか、皆が協力すればこのくらい、すぐに解決できる。
 黄泉川、そっちの端末のディスプレイを表示しろ。」

「あいあい、わかったじゃん。」


黄泉川はハモンドが指差した防弾ガラスで隔てられている別の部屋に入る。
端末のディスプレイを表示する位なら技師でもなんでもない彼女にもできるのですぐに表示された。


『よくありませんね。
 学区全体に何らかの損傷を負っています。』

『軌道車両<トラムステーション>システムも動かないか。探索が難しくなりそうだ。』


ハモンドと別の技師は今後のありかたについてあーでもない。
こーでもないと議論を交わす。


(やっぱりフランスといいこのあいだの22学区のテロといい最近おかしいじゃん。)


黄泉川はぼんやるとそれを見つつ、ここ数カ月の間に起こった事件を思い浮かべる。
そのどれもが学園都市と関係があるもので、どんな事件でもまるで『事前に予測』して。
最大限被害を押さえたり情報封鎖をこの都市は行ってきた。


(今回は特に嫌な予感がする。
 特力研の『あの光景』をまた見ることになりそうじゃん。)


内部に人間を処分するための焼却炉があると噂され、
実際はそれ以上だったのを目撃することになった施設の名を思い出す。

 
(しかも、私の感がさっきから警戒しっぱなしじゃん。それが『早く逃げろ』なんてらしくないじゃん。)


いつもなら飄々としているのに、
逃げること前提の思考などまったくもってらしくない。

そう黄泉川は吐き捨てすて、 
 


ウゥ―――ン。
        ウゥ―――ン!!


部屋がオレンジ色に染まり警報があたりに響きわたる。


『一体なに!!』

『落ち着け、ろ過システムの再起動で自動隔壁が作動したにちがいない。全員落ち着け!!』


ケンドラがこのにいる全員の気持ちを叫び、
ハモンドがそれを沈め、それがうまく伝わったみたいで救援隊は混乱したがすぐに警戒態勢に映る。
黄泉川も部屋を出て駆動鎧などがいるガラスの向こう側に行こうとしたが、


ごん
  ゴン
    ごん  


『何なの?聞こえた?』

『よくわからん・・・一体なんだ?』

無線越しに伝わるケンドラとハモンドの緊張。
天井から聞こえた音に黄泉川は足をとめる。


(まずいじゃん!!この感覚、ここに人間はいてはいけない。)


かつて特力研の捜査で出くわした
『人間だったものたち』が襲ってきた姿と黄泉川は今をダブらせる。


バキン!! 


『何だ!!』

『わからない!!何かがここにいるわ!!』


別の部屋にいたから見てしまった。
天井から落ちてきた『奴』に。


(ここはすでに――――。)


『奴』はゆるり、後ろに気付かない一人にカマキリのような鎌を上げる。


(奴らの狩場だった―――。)


地獄の釜が開いた。
コメント
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