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二次元が好きだ!!

SSなどの二次創作作品の連載、気に入ったSSの紹介をします。
現在ストパン憑依物「ヴァルハラの乙女」を連載中。

IFの魔女「ヴァルハラの乙女1947 その2」

2021-04-07 23:17:33 | ヴァルハラの乙女

 

ワタシ・・・私は異世界TS転生者だ。
しかも「ストライクウィッチーズ」という物語の主要な人物、ゲルトルート・バルクホルンに転生した。

とはいえ、ウィッチであるこのを除けば特別際立った技能なんてなかった。
それよりも自分が転生者であると自覚した直後に、記憶と言語が混濁して色々大変だった。
しかも、いわゆる【原作知識】があっても【原作】にたどり着くまでの道中は文字通り手探りで模索するしかなく、

それでも今日まで無事戦争を生き残り、悲願であったネウロイを撃破。
ブリタニア、ガリア、ベルギガを経由してついに首都を解放し、故郷の奪還を成し遂げた。

だが、戦争が終わった先はどうすれば良いのか私は何も知らない。
転生者だから20歳を過ぎてもウィッチとして空を飛べる、なんて淡い期待も虚しく、
坂本少佐と同じくシールドで防げた筈の攻撃が貫通するなど、魔法力の減退は徐々に始まりつつあった。

ウィッチとして築き上げて来たこれまでの自分と別れを告げねばならない事態に対し、
私は何かと理由や言い訳をして現実逃避して来たが、ハンナとエーリカが私にこう述べた。

「バルクホルン中佐・・・いや、バルク、後は任せろ。
 昔、アンタが私を守ったように、今度は私が部隊の部下を、
 後輩魔女たちを守ってみせるさ・・・ハルトマンと一緒に、な」
 
「私だけじゃ、不安だろうけど。
 ハンナと一緒なら、トゥルーデだって安心でしょ?」

この時、私は悟った。
私がいなくとも、意思を継ぐ者はいる。
そして私の、ゲルトルート・バルクホルンがなすべき物語の役目は終わったのだと・・・。


 

 

 

 

 

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幕間の魔女「アフリカの魔女は語りけり」

2021-04-04 21:51:17 | ヴァルハラの乙女

最近、基地は奇妙な熱気で覆われている。
それはアフリカという土地柄で気温が暑い、という意味ではない。
高揚感、良い意味で皆が夢中に、そして熱心に一つの事象に対して注目していた。

「やあ、今日は出撃はないのか?」

出会うなりロンメル将軍がそう切り出した。

「残念ながらないわ、今のところ」

「そうか、それは残念だ。
 私はマルセイユが先に撃墜300機達成する方に賭けたんだ」

かつてマルセイユは1日17機撃墜という記録を打ち立て、驚かせたけど。
1944年になってからは、いよいよ前人未到の領域、撃墜数300機も夢ではなくなりつつあった。

現状、撃墜300機達成の一番槍をマルセイユ、ハルトマン、バルクホルンの3人で争っており、
誰が先に達成できるのか、ロンメル将軍のように最前線ではこれを賭けのネタにしている。

・・・とういうか、さあ。

「将軍閣下が賭け事に参加して良いのかしら?」

こっそり隠れてするならともかく、
こうも堂々と言うなんて軍規的にどーなのよ?

「何も問題ない、
 実をいうと軍主催でこの賭け事の胴元を担当しており、
 賭けで出た儲けは戦時国債や慈善事業の資金として運営される事が確定している。
 しかも皇帝陛下もこの賭けに参加されており、毎朝『今日の撃墜数は?』と尋ねるくらいだ」

カールスラント軍に皇帝陛下ェ・・・。
何というか、お堅いカールスラント人もやっぱり欧州人なのか、
こうしたイベントには本当ノリノリでするわよねぇ・・・文化の違いかしら?

まあ、最前線で戦う兵士にとって良い暇潰しになるし、
賭け事なんて取り締まってどうせやるだろうし、いっそ胴元になって、
儲けは国債とか慈善事業とか、ちゃんとしたのに使うというのは悪くない考えよね。
変に真面目な扶桑だと「けしからん!」と言い出す人間が出そうだから、なかなか出来ないわ、これは。

「へえ、将軍は私に賭けたのか?」

などなど話をしていたら話題の渦中にある人物、
ハンナ・ユスティーナ・マルセイユ、そのご本人が出てきた。
後頭部に髪を束ね、手は泥で汚れているから趣味の陶芸に打ち込んでいたのだろう。

「ああ、頼むよ。
 出来れば今すぐ飛んでネウロイを撃墜してもらえないか?」

「お断りだな、
 今日の私は非番で趣味に忙しいところなんだ」

ロンメル将軍の懇願に対してマルセイユはきっぱりと断った。
数年前なら将軍の命令、というよりも戦うのが趣味なところがあるから『ネウロイを撃墜する』ために即座に出撃。

そして見事にネウロイを殲滅し、
戦闘のストレスを発散するために飲酒喫煙を延々して健康を害しただろう。
しかし最近のマルセイユは元上官のバルクホルンから『戦う以外の趣味』を見つけるよう手紙で諭され、

華族出身の真美から茶道とか書道とか色々試したり、
それと部隊で焼き物をしている人間から陶芸を学んでそれらが趣味になった。
その影響でストレス発散にしていた飲酒喫煙を多少なりとも控えるようになった。

そのお陰で精神的に落ち着いただけでなく、
肉体的に健康が促進されて前よりもさらに撃墜ペースがグングン延びて今に至った。

マルセイユの飲酒喫煙について前から私も危惧していたけど、
止めようにも、止められなかったからバルクホルンには感謝しかない。
もっともバルクホルン自身は「なんでさ」「どうしてそうなった」と困惑しているようだけど・・・。

「まっ、将軍が焦らなくても問題ない。
 ネウロイは向こうから勝手にやって来る上に、
 私だって、これを機会にハルトマンとは決着をつけたいところだからな」

そう言いつつマルセイユは牛乳を一気に飲み干した。

「そう言えば、エーリカ・ハルトマンとは確か同期だったわよね」

ハルトマン、という人名を耳にした時。
従軍記者として初めてマルセイユと出会った際、
彼女が私へ一晩中語り明かした話をふと、思い出した。

「ああ、そうだ。
 私とハルトマンの因縁は5年前まで遡る。
 あの当時はハルトマンと訓練学校で主席を巡って争っていたな。
 いや、当時はそう思っていたが、私が一方的に突っかかっていただけだったな、今思えば・・・」

どこか遠くを見るような目でマルセイユが語る。
50年、60年生きる長い人生からすれば5年はたった5年だけど、
20歳で世代交代を強いられるウィッチからすれば「5年も昔」な話である。
しかも10歳、11歳に得た強烈な人生経験、戦争の思い出はずっと残るし、彼女からすれば遠い思い出だ。

「ど、同期だったのですか!?
 あのエーリカ・ハルトマンと!」

私は以前聞いた事があるから知っていたけど、
知らなかった周囲の面々は真美ほどではないが驚いていた。

「ん?マミは初耳だったが?
 よし、いい機会だから話そう。
 エーリカ・ハルトマンとは訓練学校で同期だけでなく、
 訓練学校では同じ部屋で同居し、初めて配属された部隊も同じ部隊、
 さらに所属していた中隊も同じ中隊で共に戦っていたんだ・・・昔の話だが」

そう懐かしそうにマルセイユが語った。
部隊だけでなく、所属していた中隊まで同じだから面白い縁よね。

「どんな中隊だったんですか?」

今日はティーガーが重整備中なので、
天幕に遊びに来たシャーロット・リューダー軍曹、シャーロットが手を上げて質問する。

「知りたいかシャーロット?マミ?
 ふふ、顔ぶれは豪勢だぞ、何せこの私がいた中隊だからな。
 中隊は戦闘航空団司令フーベルタ・フォン・ボニンが航空団長と中隊指揮を兼任し、
 教育係としてエディータ・ロスマン、さらに中隊長の副官にはゲルトルート・バルクホルンがいたからな、ふふん」

「え、あ、あれ?」

言われた意味を咀嚼しきれていない真美が困惑している。
まあ分からなくもない、割合ビックネームがポンポン飛び出しているから。
数年前はそうではなかったけど、今では全員統合戦闘航空団に所属しているエースたちなのだから。

まずはフーベルタ・フォン・ボニン。
第503統合戦闘航空団、通称「タイフーンウィッチーズ」の副司令として現在も活躍しているウィッチだ。
1943年の末に一度ヘルシンキで会ったことがあるが「空中で指揮する資格は階級よりも撃墜数」と豪語し、
「フォン」の名があるように生まれは貴族だけど、油汚れた上着を常に羽織ってる現場第一主義者である。

流石に現在はウィッチとしてアガリを迎えた年齢のため、
直接戦闘するよりも調整や相談役といった仕事に従事しているようだけど、
それでも現場第一主義者なのに変わりなく、なかなか好感が持てる人物なのを知っている。

次にエディータ・ロスマン。
撃墜数は確か90機程度とリベリオンやブリタニアのウィッチと比較すれば大エースクラスの撃墜数だが、
撃墜数100機なウィッチが大勢所属するカールスラント空軍では目立った撃墜数ではない。

しかし、それ以上に彼女が称賛される理由は、
カールスラントのエースたち・・・彼女たちの言葉を借りるならば、
エクスペルテ(腕利き)として絶賛されるのは人を育てる事に長けているからだ。
彼女の教えを受けた生徒は悉くウィッチとして大成することで、とても有名な人物である。

ヒスパニア戦役以来のベテランウィッチで、
今は第502統合戦闘航空団、通称「ブレイブウィッチーズ」に所属しており、
グンドュラ・ラル少佐によれば呼び寄せるのにあの手この手の『裏技』を使用したそうだ。
つまり、『裏技』を使わねば決して統合戦闘航空団に来る事がない貴重な人材と周囲から認められ、尊敬される人物である。

その証拠にロスマンについて、
普段は唯我独尊なマルセイユも彼女については「先生」と尊敬を込めて呼ぶくらいだ。
マルセイユ自身もだけどライバル視しているエーリカ・ハルトマンも彼女に育てられ、
2人揃ってついに世界の頂点までたどり着けたのだから、本当世の中は色んなウィッチ、色んな人がいるわよね・・・

最後にゲルトルート・バルクホルン。
マルセイユの元上官であり、撃墜数300機の先陣争いに参加しているエースウィッチだ。
しかも単に強いだけでなく試作機や兵器の試験運用が担当できる程度に技量が熟達している。
最近は「究極のレシプロストライカーユニット」なんて言われているTa‐152を使用して戦果を挙げているのが有名である。

さらに、世界初の統合戦闘航空団。
通称「ストライクウィッチーズ」の設立に関して隊長のヴィルケ中佐、
戦闘隊長の坂本少佐に隠れがちだが、設立当初から部隊の運営と補佐役をこなした影の主役でもあり、
しかも原隊では飛行隊司令、すなわちマルセイユと同じ撃墜王でありながら3個中隊を指揮する能力も認められている凄いウィッチだ。

そして、そんな彼女とは実は面識がある。
出会いは私が一度空を諦め、記者として活動していた数年前のブリタニアである。

今でこそ少佐だが当時は中尉だったグンドュラ・ラルへのインタビューをしている最中、
戦友であるラルの見舞いに来たのが私と彼女との出会いであり、私の戦歴を知っていたのもあるけど、
カールスラント人にも関わらず、扶桑語が扶桑人とそう変わらない水準で会話できたから当時はすごく驚いた。

久々に母国語で会話できたら思わず熱心にアレコレ話をして、
その際アフリカ行きの船がなかなか見つからないから、いっそ、オラーシャにでも行こうかなぁー。
なんて口にしたらバルクホルンは何故か慌てて、オラーシャに行くなんて勿体ない。

それよりも如何にマルセイユが素晴らしいか、マルセイユは凄いぞぉ・・・。
などと言いだして同席していたラル中尉が少し引くほど延々と語っていたなぁ・・・。

ともかく彼女は人一倍マルセイユに会うよう私に強く勧め、
アフリカ行きの船便を彼女の上官が有する伝手を通じて手配までしてくれた。

アフリカに来たお陰で私は再び空を目指すようになり、充実した今があると断言できるから彼女には感謝している。
今も彼女と繋がった縁は途切れておらず、手紙を通じて愚痴を零したり、有益な情報や物資の交換をしている。

以上、回想終了。
話を聞いていた周囲の様子を伺うとしよう。

「全員、名が知られている有名人っ・・・!」
「ほ、ほわ~~~、昔から凄かったんですね!」
「ひ、ひぇーーー!天上人ばかっかり~~~っ!?」

シャーロットと真美、古子が実に分かりやすい感情表現を披露している。

「ティナと出会って間もない時。
 当時も同じことをティナから聞きましたが、
 今ではその時とは随分違った意味合いを帯びるようになりましたね」

付き合いの長いライーサが苦笑と一緒に語る。

当時、といっても僅か数年前に過ぎないが、
マルセイユが口にした人物は皆まだまだ有名ではなかった。

しかし今ではシャーロットや古子のような反応を皆するようになった。
その事についてライーサが「違った意味合い」と端的に指摘している。

「ふふーん。
 凄いだろシャーロット、マミ、ルコ。
 いいぞー、もっと私を褒めろー、崇めろ~、そして崇拝しろ~」

若手のウィッチから純粋な好意を向けられたマルセイユがこれ以上ない程ドヤ顔を浮かべ、
訳の分からぬ間に「マルセイユ万歳、万歳!」と絶賛したり、拍手が始まったりと賑やかになる。

そんな風に大騒ぎしている年下のウィッチ達を見ていると思わずにやけそうになる。
なんだか発想が年寄りくさい感情だけど、まあウィッチとしては年寄りだから、かもね・・・。

私がウィッチとして名を挙げた扶桑海事変は1937年、
1944年の今から遡れば7年も昔の話であるし、もしも7年前の私に、

『アガリを迎えた扶桑人ウィッチがカールスラント人と共に北アフリカで怪異と戦っている』

なんて現状を言っても扶桑海事変当時の自分は絶対信じないだろし、
未だ空を飛べている喜びよりも「まだ戦争は続いているの?」と困惑するに違いない。

しかも扶桑海事変当時よりマシとはいえ、
理不尽と不条理が徒党を組んでいる軍隊に未だ所属しているのに対して呆れるかもしれない。

でも、今の私はこの生活に満足している。
もしもその時の私に会えたらこう言うつもりだ。

確かに毎日悩んでいるし、
色々忙しいし大変だけどやりがいはある。
でも国籍、人種は違えど、年下のウィッチを助け、戦えるなんて、
なかなか出来ない素敵な仕事だし、何よりも空を飛ぶことはいつまでたっても楽しいから、と。

そんな素敵な仕事と楽しみを彼女、ゲルトルート・バルクホルンは作ってくれた。
もしもあの時、アフリカへ行かずオラーシャへ言っていたら私は従軍記者のままだったかもしれない。

あの時、ブリタニアで彼女と出会ったお陰で今がある。
だから彼女のために、私自身のために、飛べなくなるその最後の日まで飛び続けるつもりだ。

国籍、年齢は違えど同じウィッチ。
愉快で素敵な仲間たちと共にありたい、そう私は願っている。




 

 

 

 

 




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IFの魔女「ヴァルハラの乙女1947」

2021-03-30 20:50:31 | ヴァルハラの乙女

 

「え、あ、――――・・・?」

行きつけのカフェで唐突に出された目の前の代物について理解が追い付く。
これが何を意味するかは世界が変われど、意味合いはまったく同じである。

「結婚を申し込みたい」

どこぞの少佐と自動手記人形のように、
言葉を教えてもらい、生きるための道しるべを示してくれた人物からそう切り出された。

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幕間の魔女「ゲルトルート・バルクホルンのパーソナルマーク」

2021-03-19 07:34:45 | ヴァルハラの乙女





原隊である第52戦闘航空団の部隊章「翼を生やした剣」と、
「ネウロイのコアを噛み砕くジャーマンポインター」が描かれており、俗に復讐の猟犬と言われている。
同じ復讐者であるグンドュラ・ラルのパーソナルマーク「翼を生やした剣を咥える狼」とデザインがよく似ている。

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幕間の魔女「優しいの巨人の夢」

2021-03-16 22:43:26 | ヴァルハラの乙女

1947年 某月某日 カールスラント カイザーベルク郊外

戦争が終わった晴れた冬の朝、巨人が目を覚ました。
意識は既に覚醒していたが、カールスラントでも北の端。

すぐ隣にオラーシャやスオムスなど、
冬の寒さについて定評がある国と近い場所にある故郷。

カイザーベルク郊外の冬は寒く、
体温で温まったベットから出る気力がまるで湧かない。
おまけに今は軍から退いたのもあって猶更慌てて起きる気力が沸かない。

いや、理由はそれだけでない。
自分の胸を枕に寝ている愛しい人を起こしたくないからだ、と巨人は呟く。

「んー・・・」

栗毛の少女、いやかつては少女と言われた女が眠っていた。
ウィッチとして現役の時よりも丸みを帯びたとはいえ、未だ鍛え引き締まった肉体と四肢。
戦争で作った怪我の痕こそあるが、寝間着越しに伝わる彼女の肌は滑らかで、柔らかく、温かい。

それにしても「んー」と唸っている様子はまるで犬のようである。
思えば20歳を過ぎてからウィッチとして戦う技能、シールドが張れなくなり、
さらに少女から女となっても未だ律儀に仕えている使い魔も犬、猟犬だったな、と巨人。

もとい、ゴトフリード・ノルディング・フォン・バルクホルンは思った。

「・・・・・・・・・」

『小さなトゥルーデ』の愛称で呼んでいた時のように頭を撫でる。
愛情表現についてかつてはこの程度の関係であったが今ではさらに踏み込んだ関係ーーーー。

婚姻関係を結んで自分の妻となった彼女、ゲルトルート・バルクホルン
いや今はゲルトルート・『フォン』・バルクホルンをゴトフリードは優しく撫でた。

彼女との出会いは父親が新しい家族として2人の姉妹を引き取った時から始まった。
姓が貴族の証である「フォン」がないのを除けば同じ「バルクホルン」から分かるように、
「フォン」の称号を捨てた遠い親戚、遠戚筋に当たり、その縁で引き取ったとゴトフリードは父から聞いた。

元々妹が1人いたが、ここにさらに妹が2人増えた。
血の繋がりのない幼い2人の姉妹にゴトフリードは何をすべきは理解していた。
すなわち両親から自分がされ、妹にしたように身寄りのない2人の姉妹を愛することだ。

交通事故の衝撃か姉のゲルトルートは言葉を上手く話せず、
内に籠る傾向があり、夜中に泣いていた事もあった。
しかし、ゴトフリードが根気よく言葉を教えたら直ぐに話せるようになった。

そして、家族とも仲が良くなり、
ゴトフリードの手助けを受けつつ勉強してウィッチの士官学校へ入学した。

妹のクリスティーネは両親にベッタリだったのを覚えている。
何せ自分とフェリラ、さらに実の姉ゲルトルートの3人が軍隊へ行ったため、
その分クリスティーネには両親の愛情、子供3人分の愛情がたっぷり注がれたからである。

「どうして私たちの子供は揃いも揃って軍隊へ行ってしまうのか?」

そう冗談半分嘆いた父親の姿も今でも思い出せる。

だが、それも遠い過去の話。
父親は予備役の招集で故郷カイザーベルクの要塞司令官に任命されて、
軍隊は好きではなかった果たすべき義務は知っていたので最後の1人まで戦って戦死。

裕福な中産階級の次女にすぎなかった母親だったが、
避難せず夫婦と供にありたいと願ったため軍の補助部隊に志願し父親と共に戦死。
妹のフェリラは陸軍のウィッチ部隊に所属していたが、ベルリンの攻防戦で戦死。
もっとも幼かったクリスティーネは乗船していた避難船がネウロイの襲撃に遭遇して死亡。

結局生き残った家族はゴトフリードとゲルトルートのみ。
親戚筋も代々が勇武をもって知られるバルクホルンの家系なだけにことごとく戦死してしまった。

例外は父親の弟、ゴトフリードが軍隊へ行く原因である叔父のエーベルトだけである。
もっとも、その叔父も勇武の代償にネウロイの瘴気を浴びたせいで年々死の気配を強めている。

戦争で大勢知り合いが死に、過ごせるはずだった青春も全て戦争で浪費された。
しかし、祖国を、故郷をついに取り戻すことに成功し、ネウロイは駆逐され、戦争は終わった。

戦後の身の振り方についてゴトフリード、
それにゲルトルートも軍人として数々の栄光と名誉を手に入れたので軍に残ることもできたが、

軍縮で少なくなったポストを巡る戦後の軍内部の権力闘争が嫌になった点。
加えて元々軍人になる気がなかったのでゴトフリードは軍から退くことを決断。

ゲルトルートも魔女として寿命を迎えた結果。
本人曰く「物語の役目を終えた」ので同じく軍から退くことを決断した。

その後は2人で故郷の復興事業に参加し、
失われた平和な時間を取り戻すかのように楽しい時間を過ごし、
互いに恋し、恋人として過ごした結果―――とうとう結婚し、夫婦となって今に至る。

「・・・それにしても若い、というよりも幼い、か」

何せ年齢については10歳以上差がある。
ゲルトルートはようやく20歳を過ぎたばかりであるが、
対してゴトフリードは元々厳つい顔だった上に戦陣暮らしの結果、
年齢以上に老成してしまい、見た目の歳の差については10歳では収まらない事態になった。
・・・娶った相手が親子どころか下手をすれば祖父と孫ぐらい歳に差があるメレンティン参謀長には敵わないが。

とにかく、歳の差について部下や知人からその点についてアレコレ弄られ、
ウィッチとして有名すぎるゲルトルートはマスメディアからガリア文学の「美女と野獣」に登場する人物。
野獣に嫁いだヒロイン、ラ・ベルに例えられ好奇な視線や低俗極まりない事を色々言われたが・・・今は静かである。

「・・・・・・んっ、おはようございます」
「おはよう、トゥルーデ」

眠りから覚めた犬のようにゲルトルートが目を開く。
仕草の一つ一つが成長しても昔と変わらず、愛らしかった。
なので再度頭を撫で、片方の手は別の場所を撫でる。

「で、朝から嫁のお尻を撫でるのは一体全体どういうお考えで?」
「わたしの魔女が魅力的すぎるのが悪い」

初めてではないが未だ羞恥心が強いので頬赤くしたトゥルーデが「このスケベ・・・」と呟きつつ睨む。
だが、ゴトフリードはトゥルーデは本気で嫌がっている訳でなく、実は期待しているのを知っていた。

ワンピース型の寝間着をたくし上げ、今度はそっと太ももを撫でる。
墜落して派手にできた切り傷の跡を特に念入りに、じっくり優しく撫でる。

「~~~~~・・・・っ!!?
 朝からとか、せめて暗くして・・・」

「瞼を閉じたまま景勝地にでかける趣味はない、わたしには」

頬どころか耳まで赤くしたトゥルーデが顔を隠して唸る。
優しく、そして愛されている実感が嬉しくて、恥ずかしいから顔を隠して唸る。

「トゥルーデ・・・いいかい?」

じっくり、尻や太ももへのスキンシップを終えた後。
今度は上半身への攻勢を開始すべくゴトフリードは幼く若い妻の肩に手を添える。

「う、うん・・・」

慣れない快楽に戸惑いつつ、
期待感に満ち、緊張した様子でトゥルーデは頷く。

「じ、実は少し期待していたから、その、えっと。
 今日もたっぷり可愛がってほ、ほしいワン・・・ワタ、私の旦那様」

どうもトゥルーデは緊張しすぎて頭のネジが外れたようだ。
彼女は媚びるような性格でないし、そのつもりではないのはゴトフリードも承知している。

「――――――――――――――――。」

なのだが男性の雄を刺激するに十分すぎた。
ゴトフリードは無言でトゥルーデの寝間着を脱がし、一気に攻勢に打って出た。

戦争が終わった晴れた冬の朝。
青春を取り戻すかのように2人は互いに激しく求め合った。
何度も主導権を奪い、奪われ、新しい家族を求めて愛し合う光景はまるで夢のようで―――――。

「・・・・・・・・・」

事実、夢オチだった
先ほどの光景は夢であった、遺憾ながら。

その事実と共に厳しい現実をゴトフリードは再認識した。
虚脱と解放感が合体した感覚と一緒に眼が覚めてしまい、現状を確かめる。

まず時代は1944年。
残念なことにネウロイとの戦争はまだまだ続いている。

次に場所はオラーシャの農村の一軒屋。
今は指揮する独立戦闘装甲団《バルクホルン》の本部拠点となっている。

電気はなく部屋の明かりはランプのみ、
すきま風は常に吹き付けられ、歩けば床は常に軋む、などと粗末な家だがこれでも東部戦線。
オラーシャの戦いにおいて十分贅沢なのは数年の戦陣暮らしで身に染みていた・・・。

染みていた、の単語でゴトフリードは気づく、
濡れた股間の感触について如何なる生理現象が発生したのか思い出して赤面する。

どうやら股間の分身は夢の中でしっかり役割を果たしたようだ。
下着の処理の事を考えると、間抜けで、情けなく、さらに赤面する。
もしも何時ものよう従兵に下着の洗濯を頼めば暇な兵たちから弄られるネタを提供してしまうだろう。

「こうなったのも、全て叔父上が悪い・・・」

フロイト博士も大爆笑間違いなし、そんな夢に頭を抱える。
大声で喚きつつ、ベットの上でのたうち回りたい衝動に駆られるがゴトフリードはなんとか抑える。

軍隊へ入隊した原因である人物を好くべきなのか、
それとも憎むべきなのか今だ分からないが卑怯とは遠く、好感が持てる人物である。
士官候補生時代は叔父が指揮する騎兵連隊で、叔父なりに色々面倒を見て貰った面倒見の良さ。

さらに卑怯な振る舞いとは無縁の人物で、
戦争初頭において勇武を誇るバルクホルンの血のせいで負傷し、
悪くはなるが良くはならないのは、年々悪化する体調が語っていた。

付け加えるならば父親の弟であるので資産や家督、各種権利を奪おうと思えば奪えるはずだが、
そんな事をせずゴトフリードとゲルトルートの後見人を勤めていることから善人であることに疑いの余地はない。

しかし、だ。
善人ゆえに、善人だからこそ始末に負えない。
軍隊へ行くよう勧め、士官学校への受験を断れなくしたのも善意である。
父親と同様に庭いじり、それと読書三昧な日々を望んでいた本人の意思とは無関係にである。

そして最近は「小さなトゥルーデ」もとい、
ゲルトルート・バルクホルンと書面上だけでも構わないから結婚、
あるいは許嫁になるようにまったくの親心、善意で言っているあたり始末に負えない。

自分を兄として慕うゲルトルートと結婚する可能性。
それを提示されたせいであんな夢を見てしまったに違いない、そうゴトフリードは結論を下す。

だがしかし、だ。
将来もしもあの子が他の誰かと結ばれる未来が訪れた時。
素直にそれを祝福する自分が――――想像できなかったので誤魔化すように紙煙草をくわえて吸う。

ウィッチは美人であるのは常識であるが、
ゲルトルート・バルクホルンへの印象は「小さなトゥルーデ」と呼んだように、
10歳以上の年齢が離れた血の繋がりのない小さくて可愛い妹、という印象で長らく止まっていた。

しかし最近気づけば年齢相応の美女。
そして世界でも有数の勇武を誇るウィッチまで成長していた。
しかも自分だけでなく、かつて指揮していた中隊の部下2人と一緒にである。

おまけに部下もウィッチとして前々から注目を浴びていた有名人である。
1人はその美貌と神秘的戦闘技術から「北アフリカの星」と称賛されるハンナ・ユスティーナ・マルセイユ。
もう1人は愛らしく、幼い外見とは裏腹に確実にネウロイを撃墜する「黒い悪魔」ことエーリカ・ハルトマン。
そんな2人と一緒に撃墜数250機超の世界の頂点に至り、前人未到の300機を目指して記録を更新しつつあった。

だからゴトフリードはかつて小さなトゥルーデ、
と可愛がった義理の妹が成し遂げた偉業に軍人として、身内として非常に誇らしく感じている。

しかし、そんな彼女の幸福について、特に将来について考えると心中穏やかでない感情。
一瞬、嫉妬に囚われた感情について数々の言い訳を考えてみるが、
軍隊で覚えたニコチンとタールが気分を落ち着かせ、素直な感情を吐露する勇気をようやく得る。

「叔父上は相変わらず始末におえないが――――」

紫煙を吐き出し、
少尉候補生になってから面食らった昔のように、
生まれて初めて得た感情と戸惑い、迷いつつも元騎兵将校らしく結論を口にする。

「わたしが小さなトゥルーデに惹かれているのは否定できない・・・」

海を隔てた先のブリタニアにいるゲルトルートに優しい巨人は想いを馳せた。


 

 

 

 

 

 

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