小樽のパパの子育て日記

日々のできごとを徒然なるままに2006年から書いて18年目になりました。
ヤプログから2019年9月に引越し。

五輪の舞台「負の遺産」 雑感

2018-01-05 05:06:06 | インポート
昨日の北海道新聞朝刊3面に並んで掲載されていた二つの記事を興味深く読んだ。
-------------
ソース:北海道新聞

◎五輪の舞台「負の遺産」 98年長野そり会場休止へ 老朽化で維持費重く

1998年長野五輪・パラリンピックから間もなく20年、全国を沸かせた舞台は一様に老朽化し、維持管理費が膨らんでいる。中でもボブスレー・リュージュ会場「スパイラル」(長野市)は、所有する長野市が今季限りでの製氷休止を決め、冬季スポーツ施設としての機能は止まる。2026年大会の招致に向け、既存施設の活用で競技会場の確保を目指す札幌市には、準備段階での経費削減だけでなく、将来の負担や活用策まで考慮し、「負の遺産」を残さない計画をまとめる必要がありそうだ。
 「いろいろな思いはある。でも、利用者数や維持管理を考えれば仕方ないとしか言えない」。17年12月下旬、長野市のスパイラル。リュージュで06年トリノ五輪に出場した戸城正貴さん(37)=札幌市在住=はコース脇で、合宿中の女子中学生らを指導しながら寂しそうに語った。



■当時は「最新鋭」
スパイラルは五輪に合わせ、長野市街から車で約40分の山あいに101億円かけて建設された。コースは総延長1700メートルで標高差113メートル。金属パイプに不凍液を流す当時最新鋭の冷却システムを備え、パイプの総延長は約80キロという。
施設内を歩くと20年の月日が至る所で感じられる。コントロールルームのモニターはブラウン管。カメラ28カ所のうち1カ所は壊れたままだ。コースの擁壁は一部がはがれ落ち、水銀灯の照明も弱々しい。
10人の市職員が選手の輸送やコース整備などに当たっていた。夏を含めての常駐職員は3人。その一人の風間慶一さん(61)は「20年もたつといろいろ傷んで大変だよ。改修費もどんどん膨らんでいる」と話す。

■20年間で55億円
長野五輪では運営費に1139億円、施設整備費1363億円が費やされたほか、新幹線や高速道路などのインフラ整備には1兆2910億円が投じられた。信州大の橋本純一教授は「(計画が)バブル時代だったこともあり、維持管理費などを考えずに建設された施設が多い」と指摘する。
長野市によるとスパイラルの維持管理費は、老朽箇所の改修を含めて年間約2億円。国のナショナルトレーニングセンターの指定を受け、年間約1億円の収入があるが、それも本年度で打ち切り。新年度以降も現状のまま施設を維持すると、市の負担は20年間で55億9千万円に達するという。
スパイラルを巡っては、五輪前から採算性が心配されていた。国内のそり人口は150人ほど。16年度の利用者は見学を含めて延べ6千人どまりだ。

■国は支援「困難」
市は一般市民の利用促進に向け、欧州の事例などを参考にレジャー用ボブスレーを導入し、近くのスキー場に運営委託することも検討した。しかし、構造上の問題から一般向けとしての安全確保が難しいと分かって、レジャー利用は断念。運営委託も立ち消え、市内の五輪施設6カ所で唯一、市が直営で維持してきた。
「市民に利用されない施設を市民の税金により負担することは特に考慮すべき事項である」。14年度の市の外部監査ではこんな指摘を受けた。また、現在38万人の長野市の人口は減少傾向。市は15年にまとめた「公共施設マネジメント指針」で、20年間で公共施設の延べ床面積を2割減らす目標を掲げた。
長野市は昨年1月、施設存続に向けて、スパイラルの国有化や全面支援を国に要望。しかし「困難」との回答を受け、製氷休止に至った。解体にも13億5千万円が必要なため、市は施設は壊さず維持する方針。冬季スポーツの拠点としては使わなくなり、今後に向けて小型無人機「ドローン」のレース場など、別の形での活用を模索している。





■他の施設は明るい材料も 15年ぶりW杯/カーリングの拠点に

長野五輪・パラリンピックでは、10の競技施設が新設された。スパイラルのように維持費が重荷となるケースが多い半面、競技拠点や集客施設として有効活用されている施設もある。
長野市は新設の6施設を抱え、総事業費計979億円のうち487億円を市債で賄った。償還は本年度で終わる。6施設の維持管理費は2016年度で計13億円。開催から約20年、負担がのしかかり続けている。
例えばスピード会場「エムウエーブ」はコンサートなどで安定した収益もあるが、維持に毎年度3億8800万円がかかる。将来は大規模修繕も必要だ。
白馬村の白馬ジャンプ競技場は五輪直後の98年度で53万人が訪れたが近年は7万人程度。16年度は管理費が8400万円かかった。
一方で明るい材料も。白馬では県と村が15、16年度に4億6千万円かけ大改修を実施。結果、今年2月にW杯複合のジャンプが15年ぶりに行われることになった。
カーリング会場だった軽井沢町は競技拠点に発展した。五輪練習会場の「スカップ軽井沢」はその後も活用。13年には約21億円かけ新たなカーリング施設を建てた。地域挙げての育成活動が実り、男子のSC軽井沢クラブは平昌五輪出場の切符を手にした。軽井沢町は「長野五輪をきっかけにカーリング文化が根付いた」と胸を張る。

---

◎札幌市は「手稲山」案 五輪そり会場 長野活用にも含み

2026年札幌五輪・パラリンピックの招致計画で札幌市は、そり会場について、1972年大会で使われた旧手稲山ボブスレー競技場(手稲区)を再建する案を示している。秋元克広市長は競技人口の少なさ、建設費、維持費の高さを踏まえ国立としての整備を国に要請。経費削減の観点から長野市のスパイラル活用にも含みを持たせている。
手稲山競技場はサッポロテイネスキー場そばに70年完成。日本初のボブスレーの正式競技場で全長1563メートル。撤去予定だったが競技関係者の要請でしばらく存続し、老朽化から2000年に閉鎖された。
札幌市は26年五輪のそり会場整備費を、仮設も含め178億円とみる。大会後はスキー場と一体の施設として市民や観光客も利用できるようにしたい考え。
秋元市長は既存施設活用の観点から、そり会場について「国際オリンピック委員会(IOC)と協議する。札幌にこだわらない」とも話し、国の支援を前提にスパイラルでの分散開催を否定しない姿勢も見せる。
スパイラルは改修を行えばコースとして再活用できる。ただ、必要な費用は正確に見積もられておらず、26年大会で活用を目指す場合の負担の枠組みも今後の検討課題だ。長野市の加藤久雄市長も活用について「多額の整備費が見込まれる。特段の事情が必要」と述べるにとどめている。
IOCは、26年大会のそり会場について、スパイラルや、18年冬季大会がある韓国・平昌(ピョンチャン)での分散開催も容認する構えを見せている。そり会場の計画が今後どのように決まってゆくかは、経費節減をうたう札幌五輪の構想で注目すべきポイントの一つだ。

-----

他人事とは思えない記事である。
小樽市にもかつて同様の施設である望洋台シャンツェがあったからだ。
望洋台シャンツェは、平成11年に開催された第54回国民体育大会冬季大会に向けて、平成5~10年度にかけて約15億円を投じて整備された。
平成19年までは各種ジャンプ大会が開催されたものの、市や小樽スキー連盟の財政負担が重荷となり、同シャンツェでの大会開催は難しくなる。
その後、使用していない期間にも電気設備の保守点検など維持管理費が年間約40万円かかっていたため、平成28年3月31日をもって条例廃止に至る。
しかし、現在もなお除却費用が捻出できず、スタートハウスや飛形審判等などの施設撤去のめどは立っていない。

記事を読んで改めて思う。
競技人口の少ないスポーツ施設の維持管理に多額の税金を投じることへの市民合意をどう取りつけるのか。
オリンピックという国家的な行事に一市町村としてどこまで関わるべきか、あるいは、国と自治体との負担割合はいかにあるべきか。
人口減少に伴って過疎化が進行し財政難にあえぐ道内の自治体にとって共通の悩みである。







最新の画像もっと見る

コメントを投稿