小樽のパパの子育て日記

日々のできごとを徒然なるままに2006年から書いて17年目になりました。
ヤプログから2019年9月に引越し。

生活困窮で所得税滞納、口座の給与差し押さえは「違法」

2019年12月10日 05時35分02秒 | 小樽
草津税務署が、給料振込日の2日後に、滞納者の預金口座の残高全額を差し押さえた事案。
一審大津地裁判決では、滞納者側が全面敗訴したが、大阪高裁判決は、給料の差押禁止額を超える預金の差押えを違法とし、国側逆転敗訴。
ただし、国賠請求は認めず。
国側は上告および上告受理申立をせず、判決は確定。

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生活困窮で所得税滞納、口座の給与差し押さえは「違法」 大阪高裁、国税に全額返還判決
出典:京都新聞

給与が振り込まれた2日後に口座預金を差し押さえたのは違法だとして、野洲市の50代男性が国に対し、約2万4千円の返還を求めた訴訟の控訴審判決が10日までに大阪高裁であり、中村也寸志裁判長は一審判決を一部取り消し、国側に全額の返還を命じた。同種の訴訟に詳しい弁護士は「振り込み数日後の預金を財産ではなく給与とみなし、差し押さえを違法とした判決は全国初とみられ、画期的だ」としている。判決は9月26日付。
「どうやって生きていけばいいんや」。原告の男性は、差し押さえられ、残高が0円になった自身の口座預金を見て絶句した。過去の事業の失敗で借金があり、所持金は財布に残った数千円だけになった。
次の給料日まで苦しい生活が続き、友人に借金したり、白米と漬物だけの質素な食事を続けたりして、やりくりした。男性は「自分のようにレールを外れた人間を救うのが国ではないのか。今回の判決が同じ立場の人の救いになってほしい」と訴える。
国税徴収法などの法律は、給与や年金、生活保護などの差し押さえを生活保障の観点から原則認めていない。しかし、銀行などの預金は「一般財産」とされ、差し押さえの対象になる。
このため、「給与は振り込まれた瞬間、財産としての預金になる」という法解釈で、税務署や自治体が入金当日に「狙い撃ち」のように差し押さえることが全国で相次いできた。勝俣弁護士は「滞納者は生活が困窮している人が多く、実態に目を背けた法解釈で差し押さえることは、生存権を脅かすことになる」と話す。
一方、2013年以降、入金当日の差し押さえを違法とする判決が全国で出始めた。さらに今回は、原告男性が入金額を一部引き出した後の預金も給与と同等と認め、差し押さえの違法性を指摘した。
 勝俣弁護士は「給与が預金になれば差し押さえるというのは常識的におかしい」とした上で、「今回の事例は氷山の一角で、泣き寝入りした人も多いだろう。判例が積み重なり、行政の現場に影響していくことを期待する」と強調した。

口座振り込み2日後に税務署が差し押さえ
判決や代理人弁護士によると、2016年2月15日、残高1円の男性の口座に勤務先の会社から給与約19万円が振り込まれた。男性は所得税約17万円を滞納しており、2日後に生活費などを引き出した後の残高全約10万円を草津税務署に差し押さえられた。男性は、最低限の生活保障のために国税徴収法で定められた金額以上の差し押さえは違法だとして、同年12月に大津地裁に提訴した。
一審大津地裁判決は、「振り込まれた給与は、差し押さえ禁止に該当しない『預金』にあたる」とし、差し押さえは適法とした。男性は控訴し、国側は控訴棄却を求めていた。
控訴審の判決理由で中村裁判長は、口座は給与の受け取り用で、振り込みから2日経過しても給与と実質的に同じだと指摘。税務署は事実上の給与だと把握していたとし、同法で定められた金額を超える分の差し押さえについては違法と認定した。

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銀行などの預金は「一般財産」とされ、差押禁止財産には当たらないとの解釈が一般的でしたが、給与振込後、数日経過して口座に残っている預金も財産ではなく給与と判断されました。
全国の地方自治体にも影響のある判決かもしれません。

国の逆転敗訴とされていますが、判決文を読むと、控訴費用の負担割合は、第1審、2審を通じ、控訴人が59/60、被控訴人(国)が1/60となっています。
控訴人は、24,404円を国から支払ってもらったとしても、裁判費用でトータル赤字になってしまうと思うのですが、これは誰が負担するのでしょうか。
弁護士さんたちが有名税として被っているのかなあ。


判決文をネットで探しまくり、ようやく見つけました。

判決 大阪高等裁判所令和元年9月26日判決・大津地方裁判所平成31年2月7日判決


大阪高等裁判所

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高等裁判所があるのは、札幌、仙台、東京、名古屋、大阪、広島、高松、福岡の全国8箇所。
高松って必要なのかな?
8都市の中ではどうしても見劣りしてしまう。



ちなみに、海上保安庁は第11管区まであるが、四国の海は、神戸にある第5管区と広島にある第6管区で管轄している。
そう考えると、高松高裁管轄分は、大阪高裁と広島高裁とで分担できそう。
(距離から言えば、広島〜高知で約250km。福岡高裁は那覇地方裁判所まで所管するが、福岡〜那覇間は1,000km以上だ)

昨年、高松に行って高松高裁の実物をみたら、えらく大きな建物だった。
これを無くすとなったら、地元はカンカンだろうし、まあ、無くせないから必要なのだろうな。