近年、全国的に小学校の体育の授業で取り入れられているタグラグビー。
個人差や男女差が顕在化しにくく、運動が苦手な子も参加しやすいゲームで、大きな運動量を確保できることなどが人気の理由です。
小学校の授業でタグラグビーを教える先生たちを対象とした研修会を開催することのできる「タグラグビーエデュケーター」。
この「タグラグビーエデュケーター」資格を取得するための講習会が富良野市で開催され参加してきました。

講師は東京学芸大学教育学部の鈴木教授。

話が理論的で分かりやすい。




実技を交えての半日、内容の濃い講習会でした。
以下、自分用メモとして
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■小学校の体育授業の現状とタグラグビーの可能性
小学校の体育の授業において、ボールゲームは他の運動に比べて多くの子どもに人気があり、一見するとみんな嬉々としてやっているように見えるが、よく目を凝らしてみるとゲームに参加できない子どもがいる。(ボールにほとんど触れない、得点なんてしたことがない、隅っこでポツンと立っているだけの子)
1980年半ば以降、放課後の外遊びの時間が量的に減少、ファミコンゲームの登場によって遊びの質が変化した。結果として運動が苦手な子が増加した。
一方、バスケやサッカーなど学校外で習熟する場が広がり、ボールゲームを含め運動が上手な子と苦手な子の「二極化」が進んでいる。
小学校の教育現場において先生方は、埋め難い個人差、男女差に日々悩まれている。
この問題解決には二つの方向性があり、
①これまでのポートボールやバスケットボール、ラインサッカーなどをさらに工夫して教えていくこと。
②これまで小学校で教えてこなかった新しいボールゲームの可能性を検討してみること。
タグラグビーへの注目は後者の取組として顕在化している。
タグラグビーが単に身体接触がないというラグビーの阻害要因を取り除いたことだけで小学校の体育で教える運動にふさわしいとはいえない。
今日のボールゲームの授業をめぐる問題に悩む先生方に大いに役立ててもらえる魅力があるからこそ、多くの学校で実践されるようになってきた。
第1の魅力は、低学年の鬼遊びから直接結びついていて、低学年→中学年の学習をつながりやすいものにできる点。タグラグビーはまさにボールを抱えて逃げる鬼ごっこであり、鬼遊びの発展として取組みやすいゲームと言えること。
第2の魅力は、運動が苦手な子も含め、どの子も今持っている力で楽しむやさしい学習を導きやすいこと。ボールゲームが苦手な子は後ろや隅っこに引っこみがちになるが、ボールを前に投げられないタグラグビーでは、パスが後ろ後ろに回ってきて結果的に苦手な子にもボールが回ってくる。ボールを持ったら前に走るだけ。得点方法はゴールにシュートするなどの特別な技術はいらず、広いゴールゾーンのどこに逃げ込んでも得点になる。
ボール操作のしやすさ(パス)の点でいえば、360度どこでもパスができるポートボールよりタグラグビーの方がパスの成功率が高くなることが研究で分かっている。結果として、多くの子がボールを手にすることになる。
東京学芸大学教育学部の研究では、このほかにもボールをキャッチした後の動作のしやすさ、得点のしやすさ、総得点の違いによる児童数の割合、運動が得意な子と苦手な子の運動量の比較など、多岐にわたるデータに基づき、タグラグビーは、個人差や男女差が顕在化しにくく、運動が苦手な子も参加しやすいゲームとしている。
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■小学校の学習指導要領解説におけるタグラグビーの例示
2011年4月から完全実施されている現在の学習指導要領をよりよく理解するための手引きとして文部科学省から出された学習指導要領解説にボール運動(ゴール型)の例として、バスケットボール、サッカーなどと並んでタグラグビーが例示された。
【1、2年生】
ゲーム(鬼遊び)の例として タグやフラッグを取ったりすること
【3、4年生】
ゴール型ゲームの例として ポートボール、ミニサッカーなどと並んでタグラグビーが例示
【5、6年生】
ボール運動(ゴール型)の例として バスケットボール、サッカーなどと並んでタグラグビーが例示
このようにタグラグビーは小3~6年生までのゲーム、ボール運動の中で必ず教えなければならない「ゴール型」の運動の1つとして例示された。
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■タグラグビーエデュケーターの役割
タグラグビーには、小学校教育現場の問題解決に役立ててもらえる魅力がある。
タグラグビーエデュケーターは、その魅力を小学校の先生方に明確に伝え、その魅力を生かした授業を具体化していくための正しい指導方法を教授する役割を担う。
研修会を受講することで、小学校の体育授業及びその他の活動において、タグラグビーを教えるために必要な知識と指導能力を身につけたいと望む教員を想定する。
日本ラグビーフットボール協会では、小学生にタグラグビーを指導するための基礎的知識と実技指導能力を習得した者として「タグラグビーティーチャー認定証」を付与している。
これらは、日本の学校体育の授業をよりよくしようとする取組であり、ラグビーの普及はその結果としてある。
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富良野市、北広島市、北見市などではすでに小学校の体育の授業に取り入れられているタグラグビー。
全国の政令指定都市での普及率は約50%程度だといいいます。(福岡市では8割以上)
小樽ラグビーフットボール協会もタグラグビーの普及に取り組んでいます。
■参考リンク
・ タグラグビー面白い(北海道新聞記事)
・ タグラグビーオフィシャルウェブサイト(日本ラグビーフットボール協会)
個人差や男女差が顕在化しにくく、運動が苦手な子も参加しやすいゲームで、大きな運動量を確保できることなどが人気の理由です。
小学校の授業でタグラグビーを教える先生たちを対象とした研修会を開催することのできる「タグラグビーエデュケーター」。
この「タグラグビーエデュケーター」資格を取得するための講習会が富良野市で開催され参加してきました。

講師は東京学芸大学教育学部の鈴木教授。

話が理論的で分かりやすい。




実技を交えての半日、内容の濃い講習会でした。
以下、自分用メモとして
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■小学校の体育授業の現状とタグラグビーの可能性
小学校の体育の授業において、ボールゲームは他の運動に比べて多くの子どもに人気があり、一見するとみんな嬉々としてやっているように見えるが、よく目を凝らしてみるとゲームに参加できない子どもがいる。(ボールにほとんど触れない、得点なんてしたことがない、隅っこでポツンと立っているだけの子)
1980年半ば以降、放課後の外遊びの時間が量的に減少、ファミコンゲームの登場によって遊びの質が変化した。結果として運動が苦手な子が増加した。
一方、バスケやサッカーなど学校外で習熟する場が広がり、ボールゲームを含め運動が上手な子と苦手な子の「二極化」が進んでいる。
小学校の教育現場において先生方は、埋め難い個人差、男女差に日々悩まれている。
この問題解決には二つの方向性があり、
①これまでのポートボールやバスケットボール、ラインサッカーなどをさらに工夫して教えていくこと。
②これまで小学校で教えてこなかった新しいボールゲームの可能性を検討してみること。
タグラグビーへの注目は後者の取組として顕在化している。
タグラグビーが単に身体接触がないというラグビーの阻害要因を取り除いたことだけで小学校の体育で教える運動にふさわしいとはいえない。
今日のボールゲームの授業をめぐる問題に悩む先生方に大いに役立ててもらえる魅力があるからこそ、多くの学校で実践されるようになってきた。
第1の魅力は、低学年の鬼遊びから直接結びついていて、低学年→中学年の学習をつながりやすいものにできる点。タグラグビーはまさにボールを抱えて逃げる鬼ごっこであり、鬼遊びの発展として取組みやすいゲームと言えること。
第2の魅力は、運動が苦手な子も含め、どの子も今持っている力で楽しむやさしい学習を導きやすいこと。ボールゲームが苦手な子は後ろや隅っこに引っこみがちになるが、ボールを前に投げられないタグラグビーでは、パスが後ろ後ろに回ってきて結果的に苦手な子にもボールが回ってくる。ボールを持ったら前に走るだけ。得点方法はゴールにシュートするなどの特別な技術はいらず、広いゴールゾーンのどこに逃げ込んでも得点になる。
ボール操作のしやすさ(パス)の点でいえば、360度どこでもパスができるポートボールよりタグラグビーの方がパスの成功率が高くなることが研究で分かっている。結果として、多くの子がボールを手にすることになる。
東京学芸大学教育学部の研究では、このほかにもボールをキャッチした後の動作のしやすさ、得点のしやすさ、総得点の違いによる児童数の割合、運動が得意な子と苦手な子の運動量の比較など、多岐にわたるデータに基づき、タグラグビーは、個人差や男女差が顕在化しにくく、運動が苦手な子も参加しやすいゲームとしている。
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■小学校の学習指導要領解説におけるタグラグビーの例示
2011年4月から完全実施されている現在の学習指導要領をよりよく理解するための手引きとして文部科学省から出された学習指導要領解説にボール運動(ゴール型)の例として、バスケットボール、サッカーなどと並んでタグラグビーが例示された。
【1、2年生】
ゲーム(鬼遊び)の例として タグやフラッグを取ったりすること
【3、4年生】
ゴール型ゲームの例として ポートボール、ミニサッカーなどと並んでタグラグビーが例示
【5、6年生】
ボール運動(ゴール型)の例として バスケットボール、サッカーなどと並んでタグラグビーが例示
このようにタグラグビーは小3~6年生までのゲーム、ボール運動の中で必ず教えなければならない「ゴール型」の運動の1つとして例示された。
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■タグラグビーエデュケーターの役割
タグラグビーには、小学校教育現場の問題解決に役立ててもらえる魅力がある。
タグラグビーエデュケーターは、その魅力を小学校の先生方に明確に伝え、その魅力を生かした授業を具体化していくための正しい指導方法を教授する役割を担う。
研修会を受講することで、小学校の体育授業及びその他の活動において、タグラグビーを教えるために必要な知識と指導能力を身につけたいと望む教員を想定する。
日本ラグビーフットボール協会では、小学生にタグラグビーを指導するための基礎的知識と実技指導能力を習得した者として「タグラグビーティーチャー認定証」を付与している。
これらは、日本の学校体育の授業をよりよくしようとする取組であり、ラグビーの普及はその結果としてある。
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富良野市、北広島市、北見市などではすでに小学校の体育の授業に取り入れられているタグラグビー。
全国の政令指定都市での普及率は約50%程度だといいいます。(福岡市では8割以上)
小樽ラグビーフットボール協会もタグラグビーの普及に取り組んでいます。
■参考リンク
・ タグラグビー面白い(北海道新聞記事)
・ タグラグビーオフィシャルウェブサイト(日本ラグビーフットボール協会)