日本語の「は」と「が」について。

象は鼻が長い=∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
とりあえず「三上文法」を「批判」します。

(481)「素朴・対偶論」と「二重否定の除去」と「パースの法則」。

2020-01-26 15:11:32 | 論理

(01)
① Pであるならば、Qである。
② Pであって、  Qでない。といふことはない
に於いて、
①=② である。
然るに、
(02)
Pであって、Qでない。
③ Qでなくて、Pである
に於いて、
②=③ である。
cf.
交換法則(commutative law)」といふ。
従って、
(02)により、
(03)
② Pであって、Qでない。といふことはない。
Qでなくて、Pである。といふことはない。
に於いて、
②=③ である。
然るに、
(04)
③ Qでなくて、  Pである。といふことはない
④ Qでないならば、Pでない。
に於いて、
③=④ である。
従って、
(01)~(04)により、
(05)
① Pであるならば、Qである。
② Pであって、  Qでない。といふことはない。
③ Qでなくて、  Pである。といふことはない。
④ Qでないならば、Pでない。
に於いて、
①=②=③=④ である。
従って、
(06)
① Pであるならば、Qである。
④ Qでないならば、Pでない
に於いて、
①=④ であるものの、「以上の論証」を、「素朴・対偶論」とする。
然るに、
(07)
① Pであるならば、Qである。
② Pであって、  Qでない。といふことはない
に於いて、
①=② である。
といふことは、
① Qである。
② Qでない。といふことはない
に於いて、
①=② である。
といふ、ことである。
然るに、
(08)
① Qである。
② Qでない。といふことはない
に於いて、
①=② である。
といふことを、「論理学の用語」では、「二重否定除去」といふ。
従って、
(01)~(08)により、
(09)
二重否定の除去」を「否定」するのであれば、「素朴・対偶論」を「否定」することになる。
然るに、
(10)
直観主義論理学者」ではない、「(私のやうな)普通の人」は、「素朴・対偶論」を「否定」しない
従って、
(09)(10)により、
(11)
「(私のやうな)普通の人」は、「二重否定除去」を「否定」しない
然るに、
(12)
(ⅰ)
1  (1)  P→ Q   A
 2 (2)  P&~Q   A
 2 (3)  P      2&E
12 (4)     Q   13MPP
 2 (5)    ~Q   2&E
12 (6)  Q&~Q   45&I
1  (7)~(P&~Q)  26RAA
(ⅱ)
1  (1)~(P&~Q)  A
1  (2) ~P∨ Q   1ド・モルガンの法則
1  (3)  Q∨~P   2交換法則
1  (4)~(~Q&P)  3ド・モルガンの法則
(ⅲ)
1  (1)~(~Q&P)  A
 2 (2)  ~Q     A
  3(3)     P   A
 23(4)  ~Q&P   23&I
123(5)~(~Q&P)&
       (~Q&P)  14&I
12 (6)    ~P   35RAA
1  (7) ~Q→~P   26CP
然るに、
(12)により、
(13)
(ⅰ)(ⅱ)(ⅲ)に於いて、
  P=~Q
  Q=~P
といふ「代入(Substitution)」を行ふと、
(14)
(ⅳ)
1  (1)  ~Q→ ~P   A
 2 (2)  ~Q&~~P   A
 2 (3)  ~Q       2&E
12 (4)      ~P   13MPP
 2 (5)     ~~P   2&E
12 (6)  ~P&~~P   45&I
1  (7)~(~Q&~~P)  26RAA
(ⅴ)
1  (1)~(~Q&~~P)  A
1  (2) ~~Q∨ ~P   1ド・モルガンの法則
1  (3)  ~P∨~~Q   2交換法則
1  (4)~(~~P&~Q)  3ド・モルガンの法則
(ⅵ)
1  (1)~(~~P&~Q)  A
 2 (2)  ~~P      A
  3(3)      ~Q   A
 23(4)  ~~P&~Q   23&I
123(5)~(~~P&~Q)&
       (~~P&~Q)  14&I
12 (6)     ~~Q   35RAA
1  (7) ~~P→~~Q   26CP
然るに、
(14)により、
(15)
(ⅳ)(ⅴ)(ⅵ)に於いて、
二重否定除去」を行ふと、
(ⅳ)
1  (1) ~Q→~P  A
 2 (2)  ~Q&P  A
 2 (3)  ~Q    2&E
12 (4)    ~P  13MPP
 2 (5)     P  2&E
12 (6)  ~P&P  45&I
1  (7)~(~Q&P) 26RAA
(ⅴ)
1  (1)~(~Q&P)  A
1  (2)  Q∨~P   1ド・モルガンの法則
1  (3) ~P∨ Q   2交換法則
1  (4)~(P&~Q)  3ド・モルガンの法則
(ⅵ)
1  (1)~(P&~Q)  A
 2 (2)  P      A
  3(3)    ~Q   A
 23(4)  P&~Q   23&I
123(5)~(P&~Q)&
       (P&~Q)  14&I
12 (6)     Q   35RAA
1  (7)  P→ Q   26CP
従って、
(12)~(15)により、
(16)
①      P→  Q ≡Pであるならば、Qである。
②  ~(P&~Q)≡Pであって、  Qでない。といふことはない。
③ ~(~Q& P)≡Qでなくて、  Pである。といふことはない。
④    ~Q→~P ≡Qでないならば、Pでない。
に於いて、
①⇒②⇒③⇒④ であって、尚且つ、
④⇒③⇒②⇒① である。
従って、
(05)(06)(17)により、
(17)
二重否定除去」により、
① Pであるならば、Qである。
② Pであって、  Qでない。といふことはない。
③ Qでなくて、  Pである。といふことはない。
④ Qでないならば、Pでない。
に於いて、
①=②=③=④ である。
といふ「素朴・対偶論」は、「命題計算」としても、「正しい」。
然るに、
(18)
証明論的な視点から見ると、直観主義論理は古典論理の制限であって排中律や二重否定除去が公理として許容されないものである。排中律や二重否定除去はいくつかの論理式に対しては個別に証明できることがあるけれども、古典論理のように普遍的に成立することはない(ウィキペディア)。
従って、
(17)(18)により、
(19)
あるいは、「直観主義論理」に於いては、「素朴・対偶論」は、「否定されるのかも、知れない
然るに、
(20)
多くの古典論理の恒真式は直観主義的には証明できない。排中律 P∨~ だけでなくパースの法則 ((P→~Q)→P)→P や二重否定除去 ~~P→P などがその例である(ウィキペディア)。
然るに、
(21)
「昨日(令和02年01月26日)の記事」にも書いた通り、
(ⅰ)
1  (1)    P→P        TI(同一律:PならばPである。)
   (2)   ~P∨P        1含意の定義 
3  (3)   ~P          A
3  (4)   ~P∨Q        3∨I
3  (5)    P→Q        4含意の定義
3  (6)   (P→Q)&~P    34&I
3  (7)~(~(P→Q)∨ P)   6ド・モルガンの法則
 8 (8)   (P→Q)→ P    A
 8 (9)  ~(P→Q)∨ P    8含意の定義
38 (ア)~(~(P→Q)∨ P)&
       (~(P→Q)∨ P)   79&I
3  (イ) ~((P→Q)→ P)   8アRAA
3  (ウ) ~((P→Q)→ P)∨P イ∨I
  エ(エ)      P        A
  エ(オ) ~((P→Q)→ P)∨P エ∨I
   (カ) ~((P→Q)→ P)∨P 13ウエカ∨E
   (キ)  ((P→Q)→ P)→P カ含意の定義
   (〃)  ((PならばQ)ならばPならば)Pである。 カ含意の定義
然るに、
(22)
系Ⅰ:任意の連式は、それがトートロジー的であるときまたそのときに限って導出可能である。
(E.J.レモン、論理学初歩、竹尾治一郎・浅野楢英 訳、1973年、114頁)
従って、
(21)(22)により、
(23)
①((P→~Q)→P)→P
①((PならばQ)ならばPならば)Pである。
といふ「パースの法則の式」は、「恒真式(トートロジー)」である。
然るに、
(24)
(ⅱ)
1    (1)   ((P→Q)→P)→P A
 2   (2)            ~P A
12   (3)  ~((P→Q)→P)   12MTT
  4  (4)   ~(P→Q)∨P    A 
  4  (5)    (P→Q)→P    4含意の定義
124  (6)  ~((P→Q)→P)&
           ((P→Q)→P)   35&I
12   (7) ~(~(P→Q)∨P)   46RAA(背理法)
12   (8)    (P→Q)&~P   7ド・モルガンの法則
12   (9)     P→Q       8&E
12   (ア)     ~Q→~P            9の対偶
12   (イ)          ~P   8&E
12   (ウ)      ~~Q∨~P   イ∨I
12   (エ)       ~Q→~P   ウ含意の定義
12   (オ)   (~Q→~P)&
           (~Q→~P)     アエ&I
12   (カ)   (~Q→~P)     オ&E
1    (キ)~P→(~Q→~P)     2カCP
1    (〃) Pでないならば(~Q→~P)。
(ⅲ)
1    (1) ~P→(~Q→~P)   A
 2   (2)    (P→ Q)→P  A
 2   (3)   ~(P→ Q)∨P  2含意の定義
  4  (4)   ~(P→ Q)    A
   5 (5)    ~Q→~P     A
   5 (6)     P→ Q     5の対偶
  45 (7)   ~(P→ Q)&
            (P→ Q)    46&I
  4  (8)  ~(~Q→~P)    57RAA
    9(9)           P  A
    9(ア)         ~~P  9DN
   59(イ)   ~~Q        5アMTT
   59(ウ)     Q        イDN
   5 (エ)     P→ Q     9ウCP
  45 (オ)   ~(P→ Q)&
            (P→ Q)    4エ&I
  4  (カ)  ~(~Q→~P)    5オRAA
 2   (キ)  ~(~Q→~P)    3489カ∨E
12   (ク)~~P           1キMTT
12   (ケ)  P           クDN
1    (コ)((P→Q)→P)→P   2ケCP
従って、
(24)により、
(25)
「昨日(令和02年01月26日)の記事」にも書いた通り、
①((P→Q)→P)→P
①((PならばQ)ならばPならば)Pである。
の「対偶(Contraposition)」は、
② ~P→(~Q→~P)
②  Pでないならば(Qでないならば、Pでない。)
である。
然るに、
(26)
①((P→Q)→P)→P
②  ~P→(~Q→~P)
に於いて、
Q=~Q
といふ「代入(Substitution)」を行ふと、
③((P→~Q)→P)→P
④  ~P→(~~Q→~P)
然るに、
(27)
二重否定除去」により、
④  ~P→(Q→~P)
といふ「式」に、「等しい」。
然るに、
(28)
恒真式(トートロジー)」といふ、「言葉の意味」からしても、
代入の規則
一つの恒真式のなかの命題変項を他の命題変項、または論理式でおきかえることによって得られた式は同じく恒真式である(沢田允、現代論理学入門、1962年、173頁)。
といふことは、「当然」である。
従って、
(26)(27)(28)により、
(29)
①((P→ Q)→P)→P
②  ~P→(~Q→~P)
③((P→~Q)→P)→P
④  ~P→( Q→~P)
に於いて、
①=② は、「対偶」であって、「恒真式(トートロジー)」であって、
③=④ は、「対偶」であって、「恒真式(トートロジー)」である。
然るに、
(30)
② ~P→(~Q→~P
④ ~P→( Q→~P)
といふ「式」、すなはち、
② Pでないならば(Qでないならば、Pでない)。
④ Pでないならば(Qであるならば、Pでない)。
といふ「命題」が、両方とも、「恒真式(トートロジー)」である。
といふことは、
② Pでないならば(Qであらうと、Qでなからうと、Pでない)。
といふ「命題」が、「恒真式(トートロジー)」である。
といふ、ことになる。
然るに、
(31)
わさわざ、示す「必要」はないものの、
1  (1)    P→P        TI(同一律:PならばPである。)
   (2)   ~P∨P        1含意の定義 
3  (3)   ~P          A
3  (4)   ~P∨Q        3∨I
3  (5)    P→Q        4含意の定義
3  (6)   (P→Q)&~P    34&I
3  (7)~(~(P→Q)∨ P)   6ド・モルガンの法則
 8 (8)   (P→Q)→ P    A
 8 (9)  ~(P→Q)∨ P    8含意の定義
38 (ア)~(~(P→Q)∨ P)&
       (~(P→Q)∨ P)   79&I
3  (イ) ~((P→Q)→ P)   8アRAA
3  (ウ) ~((P→Q)→ P)∨P イ∨I
  エ(エ)      P        A
  エ(オ) ~((P→Q)→ P)∨P エ∨I
   (カ) ~((P→Q)→ P)∨P 13ウエカ∨E
   (キ)  ((P→Q)→ P)→P カ含意の定義
   (〃)  ((PならばQ)ならばPならば)Pである。 カ含意の定義
に対して、敢へて
Q=~Q
といふ「代入(Substitution)」を行ふと、
1  (1)    P→P         TI(同一律:PならばPである。)
   (2)   ~P∨P         1含意の定義 
3  (3)   ~P           A
3  (4)   ~P∨~Q        3∨I
3  (5)    P→~Q        4含意の定義
3  (6)   (P→~Q)&~P    34&I
3  (7)~(~(P→~Q)∨ P)   6ド・モルガンの法則
 8 (8)   (P→~Q)→ P    A
 8 (9)  ~(P→~Q)∨ P    8含意の定義
38 (ア)~(~(P→~Q)∨ P)&
       (~(P→~Q)∨ P)   79&I
3  (イ) ~((P→~Q)→ P)   8アRAA
3  (ウ) ~((P→~Q)→ P)∨P イ∨I
  エ(エ)      P         A
  エ(オ) ~((P→~Q)→ P)∨P エ∨I
   (カ) ~((P→~Q)→ P)∨P 13ウエカ∨E
   (キ)  ((P→~Q)→ P)→P カ含意の定義
   (〃)  ((Pならば~Q)ならばPならば)Pである。 カ含意の定義
といふ、ことになる。
従って、
(22)(23)(31)により、
(32)
①((P→ Q)→P)→P
①((PであるならばQである)ならばPであるならば)Pである。
といふ「パースの法則の式」は、「恒真式(トートロジー)」であるが故に、「代入の規則」により、
②((P→~Q)→P)→P
②((PであるならばQでない)ならばPであるならば)Pである。
といふ「式」は、「恒真式(トートロジー)」である。
然るに、
(33)
①((P→ Q)→P)→P
②((P→~Q)→P)→P
といふ「式」、すなはち、
①((PであるならばQである)ならばPであるならば)Pである。
②((PであるならばQでない)ならばPであるならば)Pである。
といふ「命題」が、両方とも、「恒真式(トートロジー)」である。
といふことは、
①((PであるならばQであらうと)なからうとPであるならば)Pである。
といふ「命題」が、「恒真式(トートロジー)」である。
といふ、ことになる。
従って、
(29)~(33)により、
(34)
①((P→Q)→P)→P
②  ~P→(~Q→~P)
といふ「パースの法則の式」と、その「対偶」は、
①((Pであるならば、Qであらうと)なからうとPであるならば)Pである
②   Pでないならば(Qでなからうと、Qであらうと、Pでない)。
といふ「命題」である。
といふ、ことになる。
然るに、
(35)
①((Pであるならば、Qであらうと)なからうとPであるならば)Pである。
②   Pでないならば(Qでなからうと、Qであらうと、Pでない)。
といふ「命題」は、「少しも、変ではなく、尚且つ、明らかに、正しい」。
従って、
(19)(20)(35)により、
(36)
あるいは、
直観主義論理」に於いては、「素朴・対偶論」は、「否定」されるのかも、知れないし、その上、
直観主義論理」を用ひる限り、「少しも、変ではなく、尚且つ、明らかにである命題」が「恒真式(トートロジー)」である。
といふことも、「証明不能」である。
といふ、ことになる。
(37)
「直観主義論理」といふのは、もしかしたら、「不要」なのではと、思はれる。


(480)「パースの法則」の「対偶」は「普通」である。

2020-01-26 05:59:44 | 論理

(01)
排中律や二重否定の除去と等価な命題のひとつで、変なものとして、パースの法則があります。
任意の命題P, Qについて、
((P→Q)→P)→P
が成り立つ
『「PならばQ」ならばP』ならばP
なんか、パズルのような命題ですね。
(排中律、二重否定の除去、パースの法則 - Qiita)
従って、
(01)により、
(02)
①((P→Q)→P)→P  
①((PならばQ)ならばPならば)Pである。 
といふ「恒真式(トートロジー)」を「パースの法則」といふ。
然るに、
(03)
1  (1)    P→P        TI(同一律PならばPである。)
   (2)   ~P∨P        1含意の定義(であって、排中律。) 
3  (3)   ~P          A
3  (4)   ~P∨Q        3∨I
3  (5)    P→Q        4含意の定義
3  (6)   (P→Q)&~P    34&I
3  (7)~(~(P→Q)∨ P)   6ド・モルガンの法則
 8 (8)   (P→Q)→ P    A
 8 (9)  ~(P→Q)∨ P    8含意の定義
38 (ア)~(~(P→Q)∨ P)&
       (~(P→Q)∨ P)   79&I
3  (イ) ~((P→Q)→ P)   8アRAA
3  (ウ) ~((P→Q)→ P)∨P イ∨I
  エ(エ)      P        A
  エ(オ) ~((P→Q)→ P)∨P エ∨I
   (カ) ~((P→Q)→ P)∨P 13ウエカ∨E
   (キ)  ((P→Q)→ P)→P カ含意の定義
   (〃)  ((PならばQ)ならばPならばPである。 カ含意の定義
然るに、
(04)
系Ⅰ:任意の連式は、それがトートロジー的であるときまたそのときに限って導出可能である。
(E.J.レモン、論理学初歩、竹尾治一郎・浅野楢英 訳、1973年、114頁)
従って、
(02)(03)(04)により、
(05)
①((P→Q)→P)→P
①((PならばQ)ならばPならば)Pである。
といふ「パースの法則」は、確かに、「恒真式(トートロジー)」である。
然るに、
(06)
(ⅰ)
1  (1) P→ Q A
 2 (2) P    A
  3(3)   ~Q A
12 (4)    Q 12MPP
123(5) ~Q&Q 34&I
1 3(6)~P    25RAA
1  (7)~Q→~P 36CP
(ⅱ)
1  (1) ~Q→~P A
 2 (2) ~Q    A
  3(3)     P A
12 (4)    ~P 12MPP
123(5)  P&~P 34&I
1 3(6)~~Q    25RAA
1 3(7)  Q    6DN
1  (8)  P→ Q 37CP
従って、
(06)により、
(07)
①  P→ Q≡PであるならばQである。
② ~Q→~P≡QでないならばPでない。
に於いて、
①=② であるものの、この「等式」を、「対偶(Contraposition)」といふ。
然るに、
(08)
数学では、元の命題「AならばB」の証明が難しくても、その対偶「BでないならAでない」の証明は比較的易しい場合がある。「AならばB」と「BでないならAでない」との真偽は一致するので、このようなときには対偶「BでないならAでない」のほうを証明すれば「AならばB」を証明できる(対偶論法)。(ウィキペディア)
従って、
(05)~(08)により、
(09)
①((P→Q)→P)→P  
①((PならばQ)ならばPならば)Pである。
といふ「パースの法則」の「対偶」を「計算」すれば、「その対偶」は、「パースの法則」に「等しく」、『「その対偶」の対偶』は、
①((P→Q)→P)→P  
①((PならばQ)ならばPならば)Pである。
といふ「パースの法則」に「等しい」。
然るに、
(10)
(ⅰ)
1    (1)   ((P→Q)→P)→P A
 2   (2)            ~P A
12   (3)  ~((P→Q)→P)   12MTT
  4  (4)   ~(P→Q)∨P    A 
  4  (5)    (P→Q)→P    4含意の定義
124  (6)  ~((P→Q)→P)&
           ((P→Q)→P)   35&I
12   (7) ~(~(P→Q)∨P)   46RAA(背理法)
12   (8)    (P→Q)&~P   7ド・モルガンの法則
12   (9)     P→Q       8&E
12   (ア)     ~Q→~P            9の対偶
12   (イ)          ~P   8&E
12   (ウ)      ~~Q∨~P   イ∨I
12   (エ)       ~Q→~P   ウ含意の定義
12   (オ)   (~Q→~P)&
           (~Q→~P)     アエ&I
12   (カ)   (~Q→~P)     オ&E
12   (キ)~P→(~Q→~P)     2カCP
(ⅱ)
1    (1) ~P→(~Q→~P)   A
 2   (2)    (P→ Q)→P  A
 2   (3)   ~(P→ Q)∨P  2含意の定義
  4  (4)   ~(P→ Q)    A
   5 (5)    ~Q→~P     A
   5 (6)     P→ Q     5の対偶
  45 (7)   ~(P→ Q)&
            (P→ Q)    46&I
  4  (8)  ~(~Q→~P)    57RAA
    9(9)           P  A
    9(ア)         ~~P  9DN
   59(イ)   ~~Q        5アMTT
   59(ウ)     Q        イDN
   5 (エ)     P→ Q     9ウCP
  45 (オ)   ~(P→ Q)&
            (P→ Q)    4エ&I
  4  (カ)  ~(~Q→~P)    5オRAA
 2   (キ)  ~(~Q→~P)    3489カ∨E
12   (ク)~~P           1キMTT
12   (ケ)  P           クDN
1    (コ)((P→Q)→P)→P   2ケCP
従って、
(06)(09)(10)により、
(11)
①((P→Q)→P)→P 
②  ~P→(~Q→~P)
に於いて、
①=② は、「対偶」である。
然るに、
(12)
①((P→Q)→P)→P 
②  ~P→(~Q→~P)
に於いて、
Q=~Q
といふ「代入(Substuitution)」を行ふと、
③((P→~Q)→P)→P 
④  ~P→(~~Q→~P)
に於いて、
③=④ は、「対偶」である。
然るに、
(13)
「二重否定律(DN)」により、
④ ~~Q は、
④     Q に「等しい」。
従って、
(12)(13)により、
(14)
③((P→~Q)→P)→P 
④  ~P→(Q→~P)
に於いて、
③=④ は、「対偶」である。
然るに、
(15)
代入の規則
一つの恒真式のなかの命題変項を他の命題変項、または論理式でおきかえることによって得られた式は同じく恒真式である。
(沢田允、現代論理学入門、1962年、173頁)
従って、
(03)(04)(05)(11)~(15)により、
(16)  
①((P→Q)→P)→P 
②  ~P→(~Q→~P)
③((P→~Q)→P)→P 
④  ~P→( Q→~P)
は、四つとも「恒真式(トートロジー)」であって、
①=② は「対偶」であり、
③=④ は「対偶」である。
従って、
(02)(16)により、
(17)
①((P→Q)→P)→P  
①((PならばQ)ならばPならば)Pである。
といふ「命題」は、その「対偶」で「読む」ならば、
② ~P→(~Q→~P)
④  ~P→(  Q→~P)
⑤ Pでないならば(Qでなからうと、Qであらうと、いづれにせよ、Pでない。)
といふ「意味」になる。
従って、
(09)(17)により、
(18)
①((PならばQ)ならばPならば)Pである。
といふ「命題」は「恒真式(トートロジー)」である。といふ「パースの法則」は、
⑤ Pでないならば(Qでなからうと、Qであらうと、いづれにせよ、Pでない。)
といふ「命題」は、「恒真式(トートロジー)」である。といふ「法則」である。
(19)
② ~P→(~Q→~P)
が「偽」であるために、
② ~偽→(~Q→~P)
でなければ、ならない。
然るに、
(20)
② ~偽→(~Q→~P)
であるならば、
② ~偽→(~Q→~偽)
である。
然るに、
(21)
② ~偽→(~Q→~偽)
であるならば、
②  真→(~Q→  真)
である。
然るに、
(22)
②  真→(~Q→ 真)
であれば、
②  真→(~真→ 真)
であるか、
②  真→(~偽→ 真)
である。
然るに、
(23)
②  真→(~真→ 真)
②  真→(~偽→ 真)
であるならば、
②   真→( 偽→ 真)
②  真→( 真→ 真)
である。
然るに、
(24)
「真理表(Truth table)」により、
②   真→( 偽→ 真)
②  真→( 真→ 真)
は、両方とも「真」である。
従って、
(19)~(24)により、
(25)
② ~P→(~Q→~P)
の場合は、
②   真→( → 真)
②  真→( → 真)
は、両方とも「」であって、それ故、
 であろうと、
 であろうと、「恒に」である。
従って、
(17)(18)(25)により、
(26)
①((PならばQ)ならばPならば)Pである。
といふ「命題」を、「対偶」で読む限り、「パースの法則」とは、
⑤ Pでないならば(Qでなからうと、Qであらうと、いづれにせよ、Pでない。)
といふ「命題」は、「恒真式(トートロジー)」である。といふ「法則」であって、尚且つ、
⑤ Pでないならば(Qでなからうと、Qであらうと、いづれにせよ、Pでない。)
といふ「命題」は「恒真式(トートロジー)」である。
然るに、
(27)
①((P→Q)→P)→P  
①((PならばQ)ならばPならば)Pである。
といふ「命題」の、「対偶」である所の、
②  ~P→(~Q→~P)
② Pでないならば(Qでなからううと、Qであらうと、いづれにせよ、Pでない。)
といふ「命題」は、「少しも、変ではなく、尚且つ、明らかに、本当)である。」
従って、
(01)(27)により、
(28)
「排中律や二重否定の除去と等価な命題のひとつで、変なものとして、パースの法則があります。」
といふは言ふものの、私自身は、
①((P→Q)→P)→P  
①((PならばQ)ならばPならば)Pである。
といふ「命題」、すなはち、
②  ~P→(~Q→~P)
② Pでないならば(Qでなからうと、Qであらうと、いづれにせよ、Pでない。)
といふ「命題」は、少しも「変である」とは、思はない
(29)
「排中律や二重否定の除去と等価な命題」といふ「言ひ方」に関しては、「それがどういふ意味」なのか、私には、分からない。
令和02年01月25日、毛利太。