日本語の「は」と「が」について。

象は鼻が長い=∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
とりあえず「三上文法」を「批判」します。

(700)「対偶」と「必要条件」と「論語・雍也 一六」。

2020-08-30 16:00:55 | 訓読・論理学

―「昨日(令和02年08月29日)の記事」を書き直します。―
(01)
(a)
1  (1) A→ B A
 2 (2) A    A
  3(3)   ~B A
12 (4)    B 12MPP
123(5) ~B&B 34&I
1 3(6)~A    25RAA
1  (7)~B→~A 36CP
(b)
1  (1) ~B→~A A
 2 (2) ~B    A
  3(3)     A A
12 (4)    ~A 12MPP
123(5)  A&~A 34&I
1 3(6)~~B    25RAA
1 3(7)  B    6DN
1  (8)  A→ B 37CP
従って、
(01)により、
(02)
(a) A→ B
(b)~B→~A
に於いて、
(a)=(b)
であって、それ故、「対偶(Contrapositions)」は、「互いに、等しい」。
従って、
(02)により、
(03)
(a)「Aであるならば、Bである( A→ B)。」
(b)「Bでないならば、Aでない(~B→~A)。」
に於いて、
(a)=(b)
であって、それ故、「対偶(Contrapositions)」は、「互いに、等しい」。
然るに、
(04)
(a)「Aであるならば、Bである( A→ B)。」
(b)「Bでないならば、Aでない(~B→~A)。」
に於いて、
(a)=(b)
である。といふことは、
(c)「(Bでないならば、Aでない、が故に、)Aであるためには、Bでなければ、ならない。」
(d)「(Aであるならば、Bである、が故に、)Bでないためには、Aであっては、ならない。」
といふことを、「意味」してゐる。
従って、
(04)により、
(05)
(a)「Aであるならば、Bである( A→ B)。」
(b)「Bでないならば、Aでない(~B→~A)。」
に於いて、
(a)=(b)
であるが故に、
(c)「Aであるためには、Bであること」が、「必要」である。
(d)「Bでないためには、Aでないこと」が、「必要」である。
従って、
(05)により、
(06)
(a)「Aであるならば、Bである( A→ B)。」
(b)「Bでないならば、Aでない(~B→~A)。」
に於いて、
(a)=(b)
であるが故に、
(c)「Bであることは、Aであるため」の、「必要条件」である。
(d)「Aでないことは、Bでないため」の、「必要条件」である。
然るに、
(07)
(ⅰ)
① 不有祝鮀之佞、而有宋朝之美、難乎、免於今之世矣=
① 不〔有(祝鮀之佞)〕、而有(宋朝之美)、難乎、免(於今之世)矣⇒
① 〔(祝鮀之佞)有〕不、而(宋朝之美)有、難乎、(於今之世)免矣=
① 〔(祝鮀の佞)有ら〕ずして、而も(宋朝の美)有らば、難いかな、(今に世に)免るること=
① 〔(祝鮀のやうな弁舌が)有る〕のではなく、而も(宋朝のやうな美貌が)有るだけならば、難しいことだよ、(今の時世を)無事に送ることは。
(ⅱ)
② 不有祝鮀之佞、而有宋朝之美、難乎、免於今之世矣=
② 不〔有(祝鮀之佞)、而有(宋朝之美)〕、難乎、免(於今之世)矣⇒
② 〔(祝鮀之佞)有、而(宋朝之美)有〕不、難乎、(於今之世)免矣=
② 〔(祝鮀の佞)有りて、而も(宋朝の美)有ら〕ずんば、難いかな、(今の世矣)免るること=
② 〔(祝鮀のやうな弁舌が)有って、而も(宋朝のやうな美貌が)有る〕といふ、ことではないならば、難しいことだよ、(今の時世を)無事に送ることは。
然るに、
(08)
① の場合、-a+bであると訳すと「弁舌はなくて、ハンサムというのは、あぶない(ハンサムの上に弁舌を兼ねそなえてこそ、はじめてやってゆける)」ということになる。
② の場合、すなわち -(a+b)であると「弁舌があり、その上にハンサムでないかぎり、やってゆけない」ということになる。どちらが正しいか。
 実はどちらも意味が通じるのである。
① のほうは、古注といって、伝統的な解釈であるが、
② のほうは、新注といって、朱熹(朱子)の解釈なのである。
(二畳庵主人、漢文法基礎、1984年10月、325・326頁)
従って、
(07)(08)により、
(09)
① 不〔有(祝鮀之佞)〕、而有(宋朝之美)、難乎、免(於今之世)矣。
② 不〔有(祝鮀之佞)、而有(宋朝之美)〕、難乎、免(於今之世)矣。
に於いて、
① は「古注」であって、
② は「新注」である。
従って、
(09)により、
(10)
A=祝鮀のやうな弁舌が有る。
B=宋朝のやうな美貌が有る。
C=今の時世を無事に送ることは、難しい。
とするならば、
①  ~A&B →C
② ~(A&B)→C
といふ「論理式」は、
① 不〔有(祝鮀之佞)〕、而有(宋朝之美)、難乎、免(於今之世)矣。
② 不〔有(祝鮀之佞)、而有(宋朝之美)〕、難乎、免(於今之世)矣。
といふ「漢文」に「等しい」。
然るに、
(10)により、
(11)
①  ~A&B→C
の「対偶」は、
① ~C→~(~A&B)
である。
然るに、
(12)
(ⅰ)
1  (1)~C→~(~A&B) A
 2 (2)~C         A
12 (3)   ~(~A&B) 12MPP
12 (4)     A∨~B  3ド・モルガンの法則
12 (5)     ~B∨A  4交換法則
12 (6)      B→A  5含意の定義
1  (7)~C→  (B→A) 26CP
  3(8)~C&B       A
  3(9)~C         8&E
1 3(ア)      B→A  79MPP
  3(イ)   B       8&I
1 3(ウ)        A  アイMPP
1  (エ)~C&B→A     3ウCP
(〃)
1  (1)~C&B→A     3ウCP
 2 (2)~C         A
  3(3)   B       A
 23(4)~C&B       23&I
123(5)     A     14MPP
12 (6)   B→A     35CP
12 (7)  ~B∨A     6含意の定義
12 (8)  A∨~B     7交換法則
12 (9)~(~A&B)    8ド・モルガンの法則
1  (ア)~C→~(~A&B) 29CP
従って、
(11)(12)により、
(13)
①  ~A&B→C
の「対偶」である、
① ~C→~(~A&B)
といふ「論理式」は、
① ~C&B→A
といふ「論理式」に「等しい」。
然るに、
(14)
② ~(A&B)→C
の「対偶」は、
② ~C→~~(A&B)
といふ「論理式」であるが、
② ~C→~~(A&B)
といふ「論理式」は、「二重否定律(DN)」により、
② ~C→A&B
といふ「論理式」に、「等しい」。
従って、
(03)(13)(14)により、
(15)
①  ~A&B→ C
② ~(A&B)→C
といふ「論理式」は、それぞれ、
① ~C&→A
② ~C→A&
といふ「論理式」に、「等しい」。
従って、
(06)(10)(15)により、
(16)
① ~C&→A
② ~C→A&
に於いて、それぞれ、
①「今の時世で無事でゐることを易しくし、美貌があること」の「必要条件」は、「弁舌があること」である。
②「今の時世で無事でゐることを易しくすること」の「必要条件」は、「弁舌があることと、美貌があること」である。
従って、
(10)(16)により、
(17)
① 不〔有(祝鮀之佞)〕、而有(宋朝之美)、難乎、免(於今之世)矣。
② 不〔有(祝鮀之佞)、而有(宋朝之美)〕、難乎、免(於今之世)矣。
といふ「漢文」は、それぞれ、
①「(既に、美貌を備てゐる)宋朝が、今の時世で無事でゐることを易しくしたい」と思ふのであれば、「宋朝は、(祝鮀のやうな)弁舌を身に着ける、必要が有る。」
②「今の時世で無事でゐることを易しくしたいと、ある人が」思ふのであれば、「そのひとは、(祝鮀のやうな)弁舌と、(宋朝のような)美貌の、両方を、必用とする。」
といふ「意味」である。
従って、
(16)(17)により、
(18)
① 不〔有(祝鮀之佞)〕、而有(宋朝之美)、難乎、免(於今之世)矣。
② 不〔有(祝鮀之佞)、而有(宋朝之美)〕、難乎、免(於今之世)矣。
といふ「漢文」は、両方とも、「結論」としては、
①「弁舌も、美貌も、必要である。」
②「弁舌も、美貌も、必要である。」
といふ風に、述べてゐる。


(699)「二畳庵主人(加地伸行 先生)の論理」と「私の論理」は、「同じ」ではない(?)。

2020-08-28 17:52:19 | 訓読・論理学

(01)
(ⅰ)
1   (1) ~( A& B)  A
 2  (2) ~(~A∨~B)  A
  3 (3)   ~A      A
  3 (4)   ~A∨~B   3∨I
 23 (5) ~(~A∨~B)&
         (~A∨~B)  24&I
 2  (6)  ~~A      35RAA
 2  (7)    A      6DN
   8(8)      ~B   A
   8(9)   ~A∨~B   8∨I
 2 8(ア) ~(~A∨~B)&
         (~A∨~B)  29&I
 2  (イ)     ~~B   8アRAA
 2  (ウ)       B   イDN
 2  (エ)    A& B   7ウ&I
12  (オ) ~( A& B)&
         ( A& B)  1エ&I
1   (カ)~~(~A∨~B)  2オRAA
1   (キ)   ~A∨~B   カDN
(ⅱ)
1   (1) ~( A& B)  A
 2  (2) ~(~A∨~B)  A
  3 (3)   ~A      A
  3 (4)   ~A∨~B   3∨I
 23 (5) ~(~A∨~B)&
         (~A∨~B)  24&I
 2  (6)  ~~A      35RAA
 2  (7)    A      6DN
   8(8)      ~B   A
   8(9)   ~A∨~B   8∨I
 2 8(ア) ~(~A∨~B)&
         (~A∨~B)  29&I
 2  (イ)     ~~B   8アRAA
 2  (ウ)       B   イDN
 2  (エ)    A& B   7ウ&I
12  (オ) ~( A& B)&
         ( A& B)  1エ&I
 2  (カ)~~( A& B)  1オRAA
 2  (キ)    A& B   カDN
従って、
(01)により、
(02)
① ~( A& B)
②   ~A∨~B
に於いて、
①=② である(ド・モルガンの法則)。
然るに、
(03)
(ⅰ)
1  (1) ~(A& B)→C A
 2 (2)  ~A       A
 2 (3)  ~A∨~B    2∨I
 2 (4) ~(A& B)   3ド・モルガンの法則
12 (5)         C 14MPP
(ⅱ)
1  (1) ~(A& B)→C A
 2 (2)     ~B    A
 2 (3)  ~A∨~B    2∨I
 2 (4) ~(A& B)   3ド・モルガンの法則
12 (5)         C 14MPP
(ⅲ)
1  (1) ~(A& B)→C A
 2 (2)  ~A&~B    A
 2 (3)  ~A       2&E
 2 (4)  ~A∨~B    3∨I
 2 (5) ~(A& B)   4ド・モルガンの法則
12 (6)         C 15MPP
従って、
(03)により、
(04)
① ~(A&B)→C,~A   ├ C
② ~(A&B)→C,   ~B├ C
③ ~(A&B)→C,~A&~B├ C
といふ「連式(Sequents)」は、「3つ」とも「妥当」である。
然るに、
(05)
①  ~(A&B)⇔C は、
① {~(A&B)→C}&{C→~(A&B} に、「等しい」。
従って、
(05)により、
(06)
① ~(A&B)
といふ「論理式(双条件法)」は、
① ~(A&B)→C
といふ「論理式(条件法)」を「含んでゐる」。
従って、
(04)(05)(06)により、
(07)
① ~(A&B)⇔C,~A   ├ C
② ~(A&B)⇔C,   ~B├ C
③ ~(A&B)⇔C,~A&~B├ C
といふ「連式(Sequents)」は、「3つ」とも「妥当」である。
然るに、
(08)
(ⅳ)
1 (1) ~(A&B)⇔C            A
1 (2){~(A&B)→C}&{C→~(A&B} 1Df.⇔
1 (3)            C→~(A&B) 2&E
 2(4)                A&B  A
 2(5)             ~~(A&B) 4DN
12(6)           ~C        35MTT
従って、
(08)により、
(09)
④ ~(A&B)→C, A& B├ ~C
といふ「連式(Sequent)」は、「妥当」である。
従って、
(07)(09)により、
(10)
① ~(A&B)⇔C,~A   ├  C
② ~(A&B)⇔C,   ~B├  C
③ ~(A&B)⇔C,~A&~B├  C
④ ~(A&B)⇔C, A& B├ ~C
といふ「連式(Sequents)」は、「4つ」とも「妥当」である。
従って、
(10)により、
(11)
①「(Aであって、Bである)といふことでないならば、そのときに限って、Cである。」として、「Aでない。            」のであれば、Cである。
②「(Aであって、Bである)といふことでないならば、そのときに限って、Cである。」として、「      Bでない。」のであれば、Cである。
③「(Aであって、Bである)といふことでないならば、そのときに限って、Cである。」として、「Aでなくて、Bでない。」のであれば、Cである。
④「(Aであって、Bである)といふことでないならば、そのときに限って、Cである。」として、「Aであって、Bである。」のであれば、Cではない
といふ「推論」は、「4つ」とも「正しい」。
然るに、
(12)
A=弁舌がある。
B=ハンサムである。
C=やってゆけない。
従って、
(11)(12)により、
(13)
①「(弁舌があって、ハンサムである)といふことでないならば、そのときに限って、やってゆけない。」として、「弁舌がない。                      」のであれば、やってゆけない。
②「(弁舌があって、ハンサムである)といふことでないならば、そのときに限って、やってゆけない。」として、「       ハンサムでない。」のであれば、やってゆけない。
③「(弁舌があって、ハンサムである)といふことでないならば、そのときに限って、やってゆけない。」として、「弁舌がなくて、ハンサムでない。」のであれば、やってゆけない。
④「(弁舌があって、ハンサムである)といふことでないならば、そのときに限って、やってゆけない。」として、「弁舌があって、ハンサムである。」のであれば、はじめて、やってゆける
然るに、
(14)
そこで話をもとにもどしてみる。
① の場合、-a+bであると訳すと「弁舌はなくて、ハンサムというのは、あぶない(ハンサムの上に弁舌を兼ねそなえてこそ、はじめてやってゆける)」ということになる。
② の場合、すなわち -(a+b)であると「弁舌があり、その上にハンサムでないかぎり、やってゆけない」ということになる。
(二畳庵主人、漢文法基礎、1984年10月、325頁)
然るに、
(15)
「二畳庵主人(加地伸行 先生)」が言ふ所の、
①  -a+b
② -(a+b)
といふのは、
①  ~A&B
② ~(A&B)
といふ「論理式」のことを、言ふ。
従って、
(10)~(15)により、
(16)
「二畳庵主人(加地伸行 先生)」は、
④  ~A&B⇔C,A&B├ ~C
といふ「連式」が「妥当」であると、述べてゐて、
「私の場合」は、
④ ~(A&B)⇔C,A&B├ ~C
といふ「連式」こそが「妥当」であると、言ってゐる。
然るに、
(17)
(ⅳ)
1 (1) ~A&B⇔C           A
1 (2){~A&B→C}&{C→~A&B} 1Df.⇔
1 (3)          C→~A&B  2&E
 4(4)             A&B  A
 4(5)          ~~(A&B) 4DN
14(6)         ~C       24MTT
といふ「計算(?)」は。もちろん、「マチガイ」である。
従って、
(16)(17)により、
(18)
「二畳庵主人(加地伸行 先生)」は、
④ ~A&B⇔C,A&B├ ~C
といふ「連式」が「妥当」であると、述べてゐるが、
④ ~A&B⇔C,A&B├ ~C
といふ「連式」は、実際には、「妥当」ではない


(698)「二畳庵主人(加地伸行 先生)」の「(ド・モルガンの法則、に対する)誤解」について(Ⅱ)。

2020-08-27 18:48:27 | 訓読・論理学

(01)
遂に出た!二畳庵主人漢文法基礎
まだ現物を見ていませんが、幻の書と言われた漢文の解説本が復刊されました。
2chの漢文参考書スレには必ずといっていいほど登場する本。
そして古本では必ず1万円以上する!!
というのも、いわゆる受験参考書だったために一般に流布せず、従って、国会図書館にも蔵書がなければ、地域や大学図書館などにもほぼ蔵書がないというものでした。扱いとしては図録と同じですね。でも、最近は図録は図書館でも見かけるようになりました。知る人ぞ知る、『漢文法基礎』です。久々に「買い」の本が出ましたよ。本は買わない宣言しちゃいましたが、今年はこの1冊だけ買って打ち止めにしようとすら思ってます。たぶんあまり数を刷っていないででしょうから、学術文庫版も早晩、品切れになるかと思われます。買うなら今です(古田島洋介、FC2ブログ、古代中国箚記)。
(02)
豈以為非是、而不貴也
この傍線部分をどう読むかが問題である。
― 中略、―
そこで代数でいこう。「是」をa、「貴」をbとする。「豈」はどうなるかというと、これは反語表現マイナスで表せる。すると、
① -(-a)+(-b)、
② -(-a-b) の二つが考えられる。そこで括弧を解いてみよう。
① の場合、a-b となり、a・bにもとの意味を入れてみると「是、而不貴」である。訳してみると「(薄葬を)よろしいと考えるが、(薄葬を)尊重しない」というわけのわからないことになってしまって、アウト。
② の場合、-(-a-b)=a+b となるから「是、而貴」となる。訳してみると「(薄葬を)よろしいと考えて、尊重している」となって、墨家の立場をはっきりしめすことになる。
だからこの文章の場合、必ず②のように、「豈」(反語表現だから「不」は全体にかからねばならない。
二畳庵主人漢文法基礎、1984年10月、326・327頁改)
従って、
(02)により、
(03)
「二畳庵主人(加地信行 先生)」は、
① ~(~是&~貴)
②    是 貴
に於いて、
①=② である。
と、されてゐる。
然るに、
(04)
(ⅰ)
1   (1) ~(~是&~貴)         A
 2  (2) ~( 是∨ 貴)         A
  3 (3)    是             A
  3 (4)    是∨ 貴          3∨I
 23 (5) ~( 是∨ 貴)&( 是∨ 貴) 24&I
 2  (6)   ~是             35RAA
   7(7)       貴          A
   7(8)    是∨ 貴          7∨I
 2 7(9) ~( 是∨ 貴)&( 是∨ 貴) 27&I
 2  (ア)      ~貴          79RAA
 2  (イ)   ~是&~貴          7エ&I
12  (ウ) ~(~是&~貴)&(~是&~貴) 1イ&I
1   (エ)~~( 是∨ 貴)         2ウRAA
1   (オ)    是∨ 貴          1DN
(ⅱ)
1   (1)    是∨ 貴          A
 2  (2)   ~是&~貴          A
  3 (3)    是             A
 23 (4)   ~是             2
 23 (5)    是&~是          34&I
  3 (6) ~(~是&~貴)         25RAA
   7(7)       貴          A
 2  (8)      ~貴          2&E
 2 7(9)     貴&貴          78
   7(ア) ~(~是&~貴)         29RAA
1   (イ) ~(~是&~貴)         1367ア∨E
従って、
(04)により、
(05)
① ~(~是&~貴)
②    是 貴
に於いて、
①=② である(ド・モルガンの法則)。
従って、
(03)(04)(05)により、
(06)
「二畳庵主人(加地信行 先生)」は、
① ~(~是&~貴)
②    是 貴
に於いて、
①=② である。
と、されてゐるが、「ド・モルガンの法則」としては、
① ~(~是&~貴)
②    是 貴
に於いて、
①=② である。
従って、
(02)(06)により、
(07)
ド・モルガンの法則」に、「違反」してゐるが故に、
そこで代数でいこう。「是」をa、「貴」をbとする。「豈」はどうなるかというと、これは反語表現マイナスで表せる。すると、
① -(-a)+(-b)、
② -(-a-b) の二つが考えられる。そこで括弧を解いてみよう。
といふ、「二畳庵主人(加地信行 先生)」の「説明」は、「正しく」はない
然るに、
(08)
(ⅰ)
1  (1)~(~是&~貴)  A
 2 (2)  ~是      A
  3(3)     ~貴   A
 23(4)  ~是&~貴   23&I
123(5)~(~是&~貴)&
       (~是&~貴)  14&I
1 3(6) ~~是      25RAA
1 3(7)   是      6DN
1  (8)  ~貴→ 是   37CP
(ⅲ)
1  (1)  ~貴→ 是   A
 2 (2)  ~是&~貴   A
 2 (3)     ~貴   2&E
12 (4)      是   13MPP
 2 (5)  ~是      2&E
12 (6)  ~是&是    45&E
1  (7)~(~是&~貴)  26RAA
従って、
(08)により、
(09)
① ~(~是&~貴)
③     ~貴→ 是
に於いて、
①=③ である。
従って、
(06)(08)(09)により、
(10)
① ~(~是&~貴)
②    是∨ 貴
③   ~貴→ 是
に於いて、
①=②=③ であるが、因みに、
  ②=③ は、「含意の定義」である。
従って、
(06)(10)により、
(11)
ド・モルガンの法則」、並びに、「含意の定義」により、
① ~(~是&~貴)
②    是∨ 貴
③   ~貴→ 是
に於いて、
①=②=③ である。
然るに、
(02)により、
(12)
③ ~貴→是
といふことは、
③(薄葬)を「尊重しない」ならば、(薄葬)を「ベスト(The best)」とする。
といふ、ことである。
従って、
(11)(12)により、
(13)
① ~(~是&~貴)
といふことは、
①(薄葬)を「尊重しない」のに、(薄葬)を「ベスト(The best)」とする。
といふ、ことであるが、もちろん、このことは、「矛盾」である。
といふ、ことである。
然るに、
(14)
「翻訳(小林勝人、孟子、1968年、224頁)」だけを示すと、「次(15)」のやうになる。
(15)
聞けば、夷子は墨翟の説を信じているそうだ。あの学派では、葬式をなるべく手薄(質素)にして倹約するのが主義だというが、夷子もやはりこの薄葬主義で、天下の風俗を改革しようと考えておるに相違ない。だから、どうしてこれ(薄葬)を正しくないのだからといって尊重せぬ筈があろうか。ところが、私の腑に落ちないのは、夷子が自分の親を葬ったときには、たいそう手厚くしたとのことだ。それでは、つまり自分のふだん賤しんでいるやり方(儒家の厚葬主義)で、親に仕えたことになる。〔なんと矛盾したおかしな話ではないか。〕
然るに、
従って、
(02)(11)~(15)により、
(16)
① ~(~是&~貴)≡豈以為非是、而不貴也。
といふことは、
① 夷子は、自分の親の葬儀では、(薄葬)を「尊重しなかった」のに、その夷子が、(薄葬)を「ベスト(The best)」とする。
といふことは、「矛盾」である。
といふ、ことである。
然るに、
(11)(16)により、
(17)
仮に
① ~(~是&~貴)
②    是∨ 貴
③   ~貴→ 是
に於いて、
①=②=③ ではない、のであれば、
① ~(~是&~貴)≡豈以為非是、而不貴也。
といふことは、
① 夷子は、自分の親の葬儀では、(薄葬)を「尊重しなかった」のに、その夷子が、(薄葬)を「ベスト(The best)」とする。
といふことは、「矛盾」である。
といふ風には、言へない
然るに、
(07)により、
(18)
もう一度、確認すると、
「二畳庵主人(加地信行 先生)」は、「ド・モルガンの法則」を、「理解」してゐない
従って、
(01)(11)(16)(17)(18)により、
(19)
残念なことに
① ~(~是&~貴)。⇔
① 豈以為非是、而不貴也。⇔
① 夷子は、自分の親の葬儀では、(薄葬)を「尊重しなかった」のに、その夷子が、(薄葬)を「ベスト(The best)」とする。といふことは、「矛盾」である。
といふことが、「漢文法基礎幻の名著と言われた漢文の解説本)」には、書かれてはゐない


(697)「パースの法則(其のⅩ)」。

2020-08-26 18:59:18 | 論理

(01)
(ⅰ)
1   (1)  (P→Q)→P   A
 2  (2)  ~P∨Q      A
 2  (3)   P→Q      2含意の定義
12  (4)        P   13MPP
1   (5) (~P∨Q)→P   24CP
1   (6)~(~P∨Q)∨P   5含意の定義
  7 (7)~(~P∨Q)     A
  7 (8)  P&~Q      7ド・モルガンの法則
  7 (9)  P         8&E
   ア(ア)        P   A
1   (イ)        P   679アア∨E
    (ウ)((P→Q)→P)→P 1イCP
(ⅱ)
1  (1) P∨(P&~Q)    A
 2 (2) P            A
  3(3)    P&~Q     A
  3(4)    P         3&E
1  (5)    P         12234∨E
   (6)(P∨(P&~Q))→P 15CP
従って、
(01)により、
(02)
①((P→ Q)→P)→P
②(P∨(P&~Q))→P
に於いて、
① は、「恒真式(トートロジー)」であって、
② も、「恒真式(トートロジー)」である。
然るに、
(03)
(ⅰ)
1  (1)   (P→Q)→P A
1  (2)  ~(P→Q)∨P 1含意の定義
 3 (3)  ~(P→Q)   A
 3 (4) ~(~P∨Q)   3含意の定義
 3 (5)  (P&~Q)   4ド・モルガンの法則
 3 (6)P∨(P&~Q)   5∨I
  7(7)         P A
  7(8)P∨(P&~Q)   7∨I
1  (9)P∨(P&~Q)   23678∨E
(ⅱ)
1  (1)P∨(P&~Q) A
 2 (2)P        A
 2 (3)~(P→Q)∨P 2∨I
  4(4)   P&~Q  1&E
  4(5)   P     4&E
  4(6)~(P→Q)∨P 5∨I
1  (7)~(P→Q)∨P 12346∨E
1  (8) (P→Q)→P 7含意の定義
従って、
(03)により、
(04)
①((P→Q)→P)
②(P∨(P&~Q))
に於いて、
①=② である。
従って、
(02)(03)(04)により、
(05)
①((P→Q)→P)
②(P∨(P&~Q))
に於いて、
①=② であるが故に、「必然的」に、
①((P→Q)→P) →P
②(P∨(P&~Q))→P
に於いても、
①=② である。
(06)
(ⅲ)
1   (1)  (P→~Q)→P   A
 2  (2)  ~P∨~Q      A
 2  (3)   P→~Q      2含意の定義
12  (4)         P   13MPP
1   (5) (~P∨~Q)→P   24CP
1   (6)~(~P∨~Q)∨P   5含意の定義
  7 (7)~(~P∨~Q)     A
  7 (8)   P& Q      7ド・モルガンの法則
  7 (9)   P         8&E
   ア(ア)         P   A
1   (イ)         P   679アア∨E
    (ウ)((P→~Q)→P)→P 1イCP
(ⅳ)
1  (1) P∨(P&Q)    A
 2 (2) P          A
  3(3)    P&Q     A
  3(4)    P       3&E
1  (5)    P       12234∨E
   (6)(P∨(P&Q))→P 15CP
従って、
(06)により、
(07)
③((P→~Q)→P)→P
④  (P∨(P&Q))→P
に於いて、
③ は、「恒真式(トートロジー)」であって、
④ も、「恒真式(トートロジー)」である。
然るに、
(08)
(ⅲ)
1  (1)  (P→~Q)→P A
1  (2) ~(P→~Q)∨P 1含意の定義
 3 (3) ~(P→~Q)   A
 3 (4)~(~P∨~Q)   3含意の定義
 3 (5)  (P& Q)   4ド・モルガンの法則
 3 (6)P∨(P& Q)   5∨I
  7(7)         P A
  7(8)P∨(P& Q)   7∨I
1  (9)(P→~Q)→P   23678∨E
(ⅳ)
1  (1)P∨(P& Q)  A
 2 (2)P         A
 2 (3)~(P→~Q)∨P 2∨I
  4(4)   P& Q   1&E
  4(5)   P      4&E
  4(6)~(P→~Q)∨P 5∨I
1  (7)~(P→~Q)∨P 12346∨E
1  (8) (P→~Q)→P 7含意の定義
従って、
(08)により、
(09)
③((P→~Q)→P)
④ (P∨(P&Q))
に於いて
③=④ である。
従って、
(07)(08)(09)により、
(10)
③((P→~Q)→P)
④  (P∨(P&Q))
に於いて
③=④ であるが故に、「必然的」に、
③((P→~Q)→P)→P
④  (P∨(P&Q))→P
に於いて、
③=④ である。
従って、
(02)(05)(07)(10)により、
(11)
①((P→ Q)→P) →P
② (P∨(P&~Q))→P
③((P→~Q)→P) →P
④  (P∨(P& Q))→P
に於いて、
① は、「恒真式(トートロジー)」であって、
② も、「恒真式(トートロジー)」であって、
③ も、「恒真式(トートロジー)」であって、
④ も、「恒真式(トートロジー)」であって、
尚且つ、
①=② であって、
③=④ である。
従って、
(11)により、
(12)
「日本語」で言ふと、
①((PならばQである)ならばP)ならばPである。
②(Pであるか、または、(Pであって、Qでない)か、または、その両方である)ならば、Pである。
③((PならばQでない)ならばP)ならばPである。
④(Pであるか、または、(Pであって、Qである)か、または、その両方である)ならば、Pである。
に於いて、
① は、「恒真式(トートロジー)」であって、
② も、「恒真式(トートロジー)」であって、
③ も、「恒真式(トートロジー)」であって、
④ も、「恒真式(トートロジー)」であって、
尚且つ、
①=② であって、
③=④ である。
然るに、
(12)により、
(13)
①((PならばQである)ならばP)ならばPである。
③((PならばQでない)ならばP)ならばPである。
に於いて、
① は、「恒真式(トートロジー)」であって、
③ も、「恒真式(トートロジー)」である。
といふことは、
①((Pならば、Qであろうと、Qでなかろうと、)いづれにせよ、P)ならばPである。
といふことに、他ならない。
従って、
(13)により、
(14)
①((PならばQである)ならばP)ならばPである。
といふ「パースの法則」は、その実、
①((Pならば、Qであろうと、Qでなかろうと、)いづれにせよ、P)ならばPである。
といふ「法則」である。といふ、ことになるし、
①((Pならば、Qであろうと、Qでなかろうと、)いづれにせよ、P)ならばPである。
といふことは、当然、「恒真式(トートロジー)」である。
然るに、
(15)
②(Pであるか、または、(Pであって、Qでない)か、または、その両方である)ならば、Pである。
④(Pであるか、または、(Pであって、Qである)か、または、その両方である)ならば、Pである。
といふことも、当然、「恒真式(トートロジー)」である。
従って、
(11)~(15)により、
(16)
①((P→ Q)→P)→P
③((P→~Q)→P)→P
といふ「パースの法則」が、「恒真式(トートロジー)」である。
といふことは、「当然」である。


(696)「漢文の基本構造」の「表示法」。

2020-08-25 13:59:53 | 漢文の文法

(01)
漢語文法の基礎となっている文法的関係として、次の四つの関係(構造)をあげることができる。
(一)主述構造  主語―述語
(二)修飾構造 修飾語―被修飾語
(三)補足構造 叙述語―補足語
(四)並列構造 並列語―並列語
(鈴木直治、中国語と漢文、1975年、281・282頁改)
従って、
(01)により、
(02)
① 我非必欲以美田養妻子者。
といふ「漢文」を、
① 我*非必欲以美田養妻子者。
と書くならば、
① 我* は、「主語*」である。
同じく、
(01)により、
(03)
① 我*非必+欲以美+田養妻子+者。
と書くならば、
① +以 は、「+被修飾語」であって、
① +田 は、「+被修飾語」であって、
① +者 は、「+被修飾語」である。
然るに、
(04)
① 我非必欲以美田養妻子者也=
① 我非[必欲〔以(美田)養(妻子)〕者]也⇒
① 我[必〔(美田)以(妻子)養〕欲者]非也=
① 我は[必ずしも〔(美田を)以て(妻子を)養はんと〕欲する者に]非ざる也。
然るに、
(05)
 漢語における語順は、国語と大きく違っているところがある。すなわち、その補足構造における語順は、国語とは全く反対である。しかし、訓読は、国語の語順に置きかえて読むことが、その大きな原則となっている。それでその補足構造によっている文も、返り点によって、国語としての語順が示されている(鈴木直治、中国語と漢文、1975年、296頁)。
従って、
(01)(04)(05)により、
(06)
① 我*非[必+欲〔以(美+田)養(妻子)〕+者]也。
と書くならば、
①[ 〔 ( )( ) 〕 ] は「補足構造」である。
然るに、
(01)(06)により、
(07)
① 我*非[必+欲〔以(美+田)養(妻・子)〕+者]也。
と書くならば、
① ・子 は「・並列語」である。
従って、
(01)~(07)により、
(08)
① 我非必欲以美田養妻子者。
といふ「漢文」を、
① 我*非[必+欲〔以(美+田)養(妻・子)〕+者]也。
と書くならば、その中には、
(一)主述構造  主語―述語
(二)修飾構造 修飾語―被修飾語
(三)補足構造 叙述語―補足語
(四)並列構造 並列語―並列語
といふ「構造」が、四つとも、示されてゐる。
然るに、
(09)
② 君子不以其所以養人者害人=
② 君子不{以[其所‐以〔養(人)〕者]害(人)}⇒
② 君子{[其〔(人)養〕所‐以者]以(人)害}不=
② 君子は{[其の〔(人を)養ふ〕所‐以の者]以て(人を)害せ}不。
に於いて、
②「所‐以」は、「複合語」であって、「複合語」といふ「カテゴリー」は、
(一)主述構造  主語―述語
(二)修飾構造 修飾語―被修飾語
(三)補足構造 叙述語―補足語
(四)並列構造 並列語―並列語
といふ「四つ」の中には無い。
そのため、
(10)
「複合語」を表す「記号」として、「‐(接続線)」を導入する。
従って、
(08)~(10)により、
(11)
② 君子不以其所以養人者害人=
② 君+子*不{以[其+所‐以〔〔養(人)〕+者]害(人)}。
である。
(12)
③ 欲呼張良与倶去=
③ 欲〔呼(張良)与倶去〕=
③ 欲〔呼(張良)与(張良)倶去〕=
③ 〔(張良)呼(張良)与倶去〕欲=
③ 〔(張良を)呼びて(張良)と倶に去らんと〕欲す。
従って、
(12)により、
(13)
③ 欲呼張良与倶去。
の場合は、
③ 欲呼張良与張良倶去。
の、     張良 が、「省略」されてゐる。
従って、
(08)(12)(13)の場合は、
(14)
③ 欲呼張良与倶去。
の場合は、
③ 欲〔呼(張良)与(##)倶+去〕。
といふ風に、書くことにする。
(15)
④ 所謂、致知在格物者、言欲致吾之知、在物而窮其理也=
④ 所‐謂、致(知)在〔格(物)〕者、言[欲〔致(吾之知)〕、在〔即(物)而窮(其理)〕]也=
④ 所‐謂、(知)致〔(物)格〕在者、[〔(吾之知)致〕欲、〔(物)即而(其理)窮〕在]言也=
④ 所‐謂、(知を)致し〔(物に)格るに〕在りトハ、[〔(吾ノ知を)致さんと〕欲すれば、〔(物に)即きテ(其の理を)窮はむる〕在るを]言ふ也。
従って、
(15)により、
(16)
④「者」=「トハ」。
④「之」=「ノ」。
④「而」=「テ」。
であるものの、これらの「助詞」は、「太字で、書く」ことにする。
従って、
(08)(10)(16)により、
(17)
④ 所謂、致知在格物者、言欲致吾之知、在物而窮其理也=
④ 所‐謂、致(知)在〔格(物)〕、言[欲〔致(吾知)〕、在〔即(物)窮(其+理)〕]也。
従って、
(01)~(17)により、
(18)
例へば、
① 我非必欲以美田養妻子者。
② 君子不以其所以養人者害。
③ 欲呼張良与張良倶去。
④ 所謂、致知在格物者、言欲致吾之知、在物而窮其理也。
といふ「漢文の基本構造」は、例へば、
① 我*非[必+欲〔以(美+田)養(妻・子)〕+者]也。
② 君+子*不{以[其+所‐以〔〔養(人)〕+者害(人)}。
③ 欲〔呼(張良)与(##)倶+去〕。
④ 所‐謂、致(知)在〔格(物)〕、言[欲〔致(吾知)〕、在〔即(物)窮(其+理)〕]也。
といふ風に、表すことが、出来る。
(19)
【君子】クンシ ① 徳の高い立派な人。
【コ】シ    ② 男子の通稱。
(大修館、大漢和辞典)
従って、
(19)により、
(20)
君子=君(立派な)+子(男子)
である。
従って、
(01)(21)により、
(21)
君子=君(立派な)+子(男子)
君子=君(修飾語)+子(被修飾語)
であるが、
形容詞(修飾語)+名詞(被修飾語)
だけでなく、
 副詞(修飾語)+動詞(被修飾語)
の場合も、
(二)修飾構造 修飾語―被修飾語
であるため、「注意」が、必要である。


(695)「返り点」が表し得る「順番」について。

2020-08-24 09:49:44 | 返り点、括弧。

(01)
「(学校で習ふ)返り点」は、
(ⅰ)レ 一レ 上レ 甲レ 天レ
(ⅱ)一 二 三 四 五 六 七 八 九 十 ・・・・・・
(ⅲ)上 中 下
(ⅳ)甲 乙 丙 丁 戊 己 庚 辛 壬 癸
(ⅴ)天 地 人
であるが、以下では、
(ⅲ)上 中 下
(ⅳ)甲 乙 丙 丁 戊 己 庚 辛 壬 癸
の「順番」を変へて、
(ⅰ)レ 一レ 上レ 甲レ 天レ
(ⅱ)一 二 三 四 五 六 七 八 九 十 ・・・・・・
(ⅲ)甲 乙 丙 丁 戊 己 庚 辛 壬 癸
(ⅳ)上 中 下
(ⅴ)天 地 人
であるとする。
ただし、
(02)
「説明の便宜」のために、
(ⅰ)レ 一レ 上レ 甲レ 天レ
(ⅱ)一 二 三 四 五 六 七 八 九 十 ・・・・・・
(ⅲ)甲 乙 丙 丁 戊 己 庚 辛 壬 癸
(ⅳ)上 中 下 
(ⅴ)天 地 人 
(ⅵ)元 亨 利 貞
とするが、
(ⅵ)元 亨 利 貞
に関しては、「ウィキペディア」を参照した。
(03)
(ⅰ)レ 一レ 上レ 甲レ 天レ
に於ける、
(ⅰ)  一レ 上レ 甲レ 天レ
に関しては、「一二・甲乙・上下・天地 点」であるとし、
 「レ点」を挟んで返る際には、
「一二点」を用ひ、
「一二点」を挟んで返る際には、
「甲乙点」を用ひ、
「甲乙点」を挟んで返る際には、
「上下点」を用ひ、
「上下点」を挟んで返る際には、
「天地点」を用ひ、
「天地点」を挟んで返る際には、
「元亨点」を用ひる。
とする。
然るに、
(04)
① □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □一レ □ □甲レ □ □上レ □ □天レ
② □ □ □ □ □ □ □ □ □
従って、
(03)(04)
(05)
① 地 下 乙 二 レ 一レ 甲レ 上レ 天レ
② 利 人 下 丙 二 一 乙 甲 中 上 地 天 亨 元
に於いて、
①=② である。
従って、
(02)(05)により、
(06)
① 人 地 下 中 丙 乙 三 二 レ 一レ 甲レ 上レ 天レ
② 貞 利  人  下 丁 丙 二 一 乙 甲 中 上 地 天 亨 元
に於いて、
①=② である。
従って、
(02)(06)により、
(07)
(ⅰ)レ 一レ 上レ 甲レ 天レ
(ⅱ)一 二 三 四 五 六 七 八 九 十 ・・・・・・
(ⅲ)甲 乙 丙 丁 戊 己 庚 辛 壬 癸
(ⅳ)上 中 下 #
(ⅴ)天 地 人 間
(ⅵ)元 亨 利 貞
に於いて、
(ⅰ)レ 一レ 上レ 甲レ 天レ
は、実際には、「不要」である。
従って、
(01)(02)(07)により、
(08)
(ⅰ)レ 一レ 上レ 甲レ 天レ
(ⅱ)一 二 三 四 五 六 七 八 九 十 ・・・・・・
(ⅲ)甲 乙 丙 丁 戊 己 庚 辛 壬 癸
(ⅳ)上 中 下
(ⅴ)天 地 人
といふ「返り点」が表し得る「順番」は、
(ⅱ)一 二 三 四 五 六 七 八 九 十 ・・・・・・
(ⅲ)甲 乙 丙 丁 戊 己 庚 辛 壬 癸
(ⅳ)上 中 下 #
(ⅴ)天 地 人 間
(ⅵ)元 亨 利 貞
に「等しい」。
然るに、
(09)
少なくとも私は、
(ⅰ)人 地 天レ
(〃)貞 利 亨 元
といふ「返り点」を、「見たこと」が無い。
従って、
(08)(09)により、
(10)
(ⅰ)一 二 三 四 五 六 七 八 九 十 ・・・・・・
(ⅱ)甲 乙 丙 丁 戊 己 庚 辛 壬 癸
(ⅲ)上 中 下
(ⅳ)天 地 人
を用ひて、示し得る「順番」が、「返り点」が示し得る「順番」であって、
(ⅰ)を挟んで返る場合には、(ⅱ)を用ひ、
(ⅱ)を挟んで返る場合には、(ⅲ)を用ひ、
(ⅲ)を挟んで返る場合には、(ⅳ)を用ひる。
といふことを、『ルール』とする。
従って、
(10)により、
(11)
例へば、
③ 人 □ □ 下 丙 二 □ 一 乙 □ 甲 中 上 二 □ 一 □ 地 □ 天。
に於いて、
③ 人   下 丙 二  一 乙  甲 中 上 二  一  地  天
といふ「13文字」が、「返り点が、付いてゐる漢字」であって、
③  □ □    □   □     □  □  □
といふ「7文字」が、「返り点が、付いてゐない漢字」であるならば、
③ は、『ルール』を、満たしてゐる。
然るに、
(12)
1= 1
2= 2
3= 3
4= 4
5= 5
6= 6
7= 7
8= 8
9= 9
A=10
B=11
C=12
D=13
E=14
F=15
に於いて、
「1~9」は、「一桁の10進数」であって、
「1~F」は、「一桁の16進数」である。
従って、
(12)により、
(13)
「1~9」は、「一桁の10進数」であって、
「1~K」は、「一桁の21進数」である。
従って、
(11)(12)(13)により、
(14)
③ 人 □ □ 下 丙 二 □ 一 乙 □ 甲 中 上 二 □ 一 □ 地 □ 天。
に於ける、「返り点」に換へて、
③「20個の漢字」に対して、「訓読語順」に従って、直接、
③「1~K(一桁の21進数)」を、「振り分ける」ことが出来る。
然るに、
(15)
③ 人{□□下[丙〔二(□一)乙(□甲)〕中(上)]二(□一)□地(□天)}。
人{ }⇒{ }人
下[ ]⇒[ ]下
丙〔 〕⇒〔 〕丙
二( )⇒( )二
乙( )⇒( )乙
二( )⇒( )二
地( )⇒( )地
といふ「移動」を行ふと、
③ 人{□□下[丙〔二(□一)乙(□甲)〕中(上)]二(□一)□地(□天)}⇒
③ {□□[〔(□一)二(□甲)乙〕丙(上)中]下(□一)二□(□天)地}人。
といふ「語順」を、得ることが出来る。
従って、、
(14)(15)により、
(16)
③ 人{□□下[丙〔二(□一)乙(□甲)〕中(上)]二(□一)□地(□天)}⇒
④ {□□[〔(□一)二(□甲)乙〕丙(上)中]下(□一)二□(□天)地}人。
に於いて、
④ {□□[〔(□一)二(□甲)乙〕丙(上)中]下(□一)二□(□天)地}人。
の場合は、
④ {12[〔(34)5(67)8〕9(A)B]C(DE)FG(HI)J}K。
といふ、「(20個の、21進数の、)昇べき順」に「対応」する。
然るに、
(17)
④ {12[〔(34)5(67)8〕9(A)B]C(DE)FG(HI)J}K=
④ {□□[〔(□一)二(□甲)乙〕丙(上)中]下(□一)二□(□天)地}人。
に於いて、
{ }K⇒K{ }
[ ]C⇒C[ ]
〔 〕9⇒9〔 〕
( )5⇒5( )
( )8⇒8( )
( )F⇒F( )
( )J⇒J( )
といふ「移動」を行ふと、
④ {12[〔(34)5(67)8〕9(A)B]C(DE)FG(HI)J}K⇒
③ K{12C[9〔5(34)8(67)〕B(A)]F(DE)GJ(HI)}=
③ 人{□□下[丙〔二(□一)乙(□甲)〕中(上)]二(□一)□地(□天)}。
従って、
(11)~(17)により、
(18)
1= 1
2= 2
3= 3
4= 4
5= 5
6= 6
7= 7
8= 8
9= 9
A=10
B=11
C=12
D=13
E=14
F=15
G=16
H=17
I=18
J=19
K=20
であるとして、
③ 人 □ □ 下 丙 二 □ 一 乙 □ 甲 中 上 二 □ 一 □ 地 □ 天。
といふ「返り点」は、
③ K 1 2 C 9 5 3 4 8 6 7 B A F D E G J H I。
といふ、「訓読順番」を、示してゐる。
然るに、
(18)により、
(19)
③ K 1 2 C 9 5 3 4 8 6 7 B A F D E G J H I。
に於いて、
③ Kと                        J の間には、
③ Kよりも「大きい数」は無く
③      Cと          B の間にも、
③      Cよりも「大きい数」は無く、
③             9と    8 の間にも、
③             9よりも「大きい数」は無く、
③                5と 4 の間にも、
③        5よりも「大きい数」は無く、
③                        8と  7 の間にも、
③                        8よりも「大きい数」は無く、
③                     Fと E の間にも、
③                                        Fよりも「大きい数」は無く、
③                           Jと  I の間にも、
③                                                    Jよりも「大きい数」は無い。
従って、
(11)~(19)により、
(20)
(ⅰ)一 二 三 四 五 六 七 八 九 十 ・・・・・・
(ⅱ)甲 乙 丙 丁 戊 己 庚 辛 壬 癸
(ⅲ)上 中 下
(ⅳ)天 地 人
といふ「返り点」に於いて、
(ⅰ)を挟んで返る場合には、(ⅱ)を用ひ、
(ⅱ)を挟んで返る場合には、(ⅲ)を用ひ、
(ⅲ)を挟んで返る場合には、(ⅳ)を用ひる。
といふ『ルール』に従ふ限り、「返り点」が示し得る「順番」の中には、例へば、
 2<3>1
 2<3 4>1
 2<4 3>1
 B<C>A
 B<C D>A
 B<D C>A
といふ「順番」は無い。
cf.
「A B C D」は、「(アルファベットではなく)4つの、一桁の、n進数」。
従って、
(20)により、
(21)
① 文読漢。
② 文読不漢。
③ 文不読漢。
に対して、
① 文
② 文
③ 文
といふ「返り点・モドキ」を付けて、
① 漢文を読む。
② 漢文を読まず。
③ 漢文を読まず。
といふに、「訓読」されることは無いものの、固より、
①  読(漢文)。
② 不〔読(漢文)〕。
といふ「漢文」は、「漢文」であるが、
① 文(読〔漢)〕。
② 文(読〔不[漢)〕]。
③ 文(不[読〔漢)〕]。
といふ「それ」は、「漢文」ではない
従って、
(07)~(21)により、
(22)
(ⅰ)レ 一レ 上レ 甲レ 天レ
(ⅱ)一 二 三 四 五 六 七 八 九 十 ・・・・・・
(ⅲ)上 中 下
(ⅳ)甲 乙 丙 丁 戊 己 庚 辛 壬 癸
(ⅴ)天 地 人
といふ「(現行の)返り点」であれ、
(ⅰ)一 二 三 四 五 六 七 八 九 十 ・・・・・・
(ⅱ)甲 乙 丙 丁 戊 己 庚 辛 壬 癸
(ⅲ)上 中 下
(ⅳ)天 地 人
といふ「返り点」であれ、いづれにせよ、例へば、
 2<3>1
 2<3 4>1
 2<4 3>1
 B<C>A
 B<C D>A
 B<D C>A
といふ「順番」に対しては、「返り点」を「付けること」が、出来ない


(694)「(レ点を含む)現行の返り点」は「読みづらい」。

2020-08-23 13:04:53 | 返り点、括弧。

(01)
① 吾得事之
〔説明〕「兄事」から「得」へ、「2文字」からであるので 点 ではなく を使う。
(志村和久、漢文早わかり、1982年、15頁改)
然るに、
(02)
「兄事」といふ「2文字」を、「1語」として「扱ふ」ための「接続線(‐)」である。
従って、
(01)(02)により、
(03)
「兄‐事」といふ「2文字」を、「1語」と見做すのであれば、
① 吾得事之 ではなく、
① 吾得事之 でなければ、ならない。
(04)
レ点が下の字の左肩につけるものであることを知らないと、「為一レ欺」の場合に「一レ」の形になることが説明できない。また、「為人所」というような、誤った返り点をつけるものがある。レ点は下の字に属するものであることを知っていない専門家もいる。
(原田種成、私の漢文講、1995年、42頁)
然るに、
(05)
② 為人所一レ
③ 為人所
に於いて、
②=③ であるし、
② 二 一レ
③ 三 二 一
に於いて、
② よりも、
③ の方が、「分かり易い」。
然るに、
(06)
④ 知 我 不 小 節 而 恥 功 名 不上レ 于 天 下 也。
然るに、
(07)
⑤ 知 我 不 小 節 而 恥 功 名 不 于 天 下 也。
である。
従って、
(06)(07)により、
(08)
④ 知 我 不 小 節 而 恥 功 名 不上レ 于 天 下 也。
⑤ 知 我 不 小 節 而 恥 功 名 不 于 天 下 也。
に於いて、
④=⑤ であるし、
 レ 二 一  上レ  
 三 二 一     
に於いて、
④ よりも、
⑤ の方が、「はるかに、分かり易い」。
然るに、
(09)

(10)

従って、
(07)~(10)により、
(11)
(ⅰ)レ 一レ 上レ 甲レ 天レ
(ⅱ)一 二 三 四 五 六 七 八 九 十 ・・・・・・
(ⅲ)上 中 下
(ⅳ)甲 乙 丙 丁 戊 己 庚 辛 壬 癸
(ⅴ)天 地 人
または、
(ⅱ)一 二 三 四 五 六 七 八 九 十 ・・・・・・
(ⅲ)上 中 下
の「順番」を「逆」にした、
(ⅰ)レ 一レ 上レ 甲レ 天レ
(ⅱ)一 二 三 四 五 六 七 八 九 十 ・・・・・・
(ⅲ)甲 乙 丙 丁 戊 己 庚 辛 壬 癸
(ⅳ)上 中 下
(ⅴ)天 地 人
に於いて、
(ⅰ)レ点
は、「除くこと」が出来るし、その方が、「返り点」としては、「分かり易い」。


(693)「返り点」に対する「括弧」の「読み方」。

2020-08-22 15:20:30 | 返り点、括弧。

(01)
①( )
②〔 〕
③[ ]
④{ }
⑤〈 〉
に於いて、
① は「括弧」。
② も「括弧」。
③ も「括弧」。
④ も「括弧」。
⑤ も「括弧」。
であるとする。
(02)
①( 
②〔 
③[ 
④{ 
⑤〈 
に於いて、
① は「括 」。
② も「括 」。
③ も「括 」。
④ も「括 」。
⑤ も「括 」。
であるとする。
(03)
①  )
②  〕
③  ]
④  }
⑤  〉
に於いて、
① は「 弧」。
② も「 弧」。
③ も「 弧」。
④ も「 弧」。
⑤ も「 弧」。
であるとする。
(04)
① 我非〈必不{求[以〔解(中国語)法〕解(漢文)]}者〉也。
に於いて、
① 非 は「」。
① 不 も「」。
① 求 も「」。
① 以 も「」。
① 解 も「」。
① 解 も「」。
であるとする。
(05)
② 我〈必{[〔(中国語)解法〕以(漢文)解]求}不者〉非也。
に於いて、
② 非 は「」。
② 不 も「」。
② 求 も「」。
② 以 も「」。
② 解 も「」。
② 解 も「」。
であるとする。
従って、
(04)(05)
(06)
① 我非〈必不{求[以〔解(中国語)法〕解(漢文)]}者〉也。
に於いて、
① 非〈 〉⇒〈 〉非
① 不{ }⇒{ }不
① 求[ ]⇒[ ]求
① 以〔 〕⇒〔 〕以
① 解( )⇒( )解
① 解( )⇒( )解
といふ「移動」を行った「結果」として、
② 我〈必{[〔(中国語)解法〕以(漢文)解]求}不者〉非也。
といふ「語順」を得る
といふことは、
① 我非〈必不{求[以〔解(中国語)法〕解(漢文)]}者〉也。
に於いて、それぞれの、
②「」を、「」に「移動する」。
といふことに、他ならない。
然るに、
(07)
① 我非〈必不{求[以〔解(中国語)法〕解(漢文)]}者〉也。
に於いて、
① 非 は、〈 〉のを「読んだ直後に読む」。
① 不 は、{ }のを「読んだ直後に読む」。
① 求 は、[ ]のを「読んだ直後に読む」。
① 以 は、〔 〕のを「読んだ直後に読む」。
① 解 は、( )のを「読んだ直後に読む」。
① 解 は、( )のを「読んだ直後に読む」。
といふことは、
② 我〈必{[〔(中国語)解法〕以(漢文)解]求}不者〉非也。
といふ「語順」を、「からへ読む。」といふことに、「等しい」。
従って、
(01)~(07)により、
(08)
① 我非〈必不{求[以〔解(中国語)法〕解(漢文)]}者〉也。
といふ「語順」を、
② 我は〈必ずしも{[〔(中国語を)解する法を〕以て(漢文を)解せんことを]求め}不る者に〉非ざる也。
といふ、「訓読語順で読む。」といふことは、
 (ⅰ)
 「以外は、「(普通に、)からへ読む。」
 (ⅱ)
 「」は、「括弧」を「読んだ直後に読む。」
といふことに、他ならない。
従って、
(08)により、
(09)
 (ⅰ)
 「以外は、「(普通に、)からへ読む。」
 (ⅱ)
 「」は、「括弧」を「読んだ直後に読む。」
といふ『ルール』に「従ふこと」によって、例へば、
① 我非〈必不{求[以〔解(中国語)法〕解(漢文)]}者〉也。
といふ「語順」は、
② 我は〈必ずしも{[〔(中国語を)解する法を〕以て(漢文を)解せんことを]求め}不る者に〉非ざる也。
といふ、「訓読語順」で読むことが出来る。
然るに、
(10)
この漢語文法の基礎となっている文法的関係として、次の四つの関係(構造)をあげることができる。
(一)主述構造 主語―述語
(二)修飾構造 修飾語―被修飾語
(三)補足構造 叙述語―補足語
(四)並列構造 並列語―並列語
(鈴木直治、中国語と漢文、1975年、281・282頁改)
然るに、
(11)
 漢語における語順は、国語と大きく違っているところがある。すなわち、その補足構造における語順は、国語とは全く反対である。しかし、訓読は、国語の語順に置きかえて読むことが、その大きな原則となっている。それでその補足構造によっている文も、返り点によって、国語としての語順が示されている(鈴木直治、中国語と漢文、1975年、296頁)。
従って、
(09)(10)(11)により、
(12)
① 我非〈必不{求[以〔解(中国語)法〕解(漢文)]}者〉也。
に於ける、
 (ⅱ)
 「」は、「括弧の中」を「読んだ直後に読む。」
に於いて、
 「」といふのは、
(三)補足構造 叙述語―補足語
で謂ふ所の、
 「叙述語」である。
といふ、ことになる。
従って、
(09)~(12)により、
(13)
① 我非必不求以解中国語法解漢文者也=
① 我非必不中国語漢文也=
① 我非〈必不{求[以〔解(中国語)法〕解(漢文)]}者〉也⇒
② 我は〈必ずしも{[〔(中国語を)解する法を〕以て(漢文を)解せんことを]求め}不る者に〉非ざる也。
といふ「漢文訓読」に於ける、
①〈 { [ 〔 ( ) 〕( ) ] } 〉
②〈 { [ 〔 ( ) 〕( ) ] } 〉
といふ「括弧」は、
(a)「漢文」の補足構造
(b)「国語」の補足構造
(c)「漢文訓読」の語順
といふ、「3つの事柄」を、表してゐる。
従って、
(13)により、
(14)
③ 我非必不求以解語法解文者也=
③ 我非必不語法上レ文者也=
③ 我非〈必不{求[以〔解(語)法〕解(文)]}者〉也⇒
④ 我は〈必ずしも{[〔(語を)解する法を〕以て(文を)解せんことを]求め}不る者に〉非ざる也。
といふ「漢文訓読」に於ける、
③〈 { [ 〔 ( ) 〕( ) ] } 〉
④〈 { [ 〔 ( ) 〕( ) ] } 〉
といふ「括弧」も、
(a)「漢文」の補足構造
(b)「国語」の補足構造
(c)「漢文訓読」の語順
といふ、「3つの事柄」を、表してゐる。
従って、
(13)(14)により、
(15)
① 我非必不求以解中国語法解漢文者也。
③ 我非必不求以解語法解文者也。
といふ「漢文」に於いて、両者の「補足構造」は、
①〈 { [ 〔 ( ) 〕( ) ] } 〉
③〈 { [ 〔 ( ) 〕( ) ] } 〉
といふ風に、「等しい」ものの、両者の「返り点」は、
① 地 レ 丙 下 二 一 上 乙 甲 天
③ 乙 レ 下 二 レ   一 上レ  甲
といふ風に、「等しく」はない
然るに、
(16)
① 我非必不中国語漢文也。
③ 我非必不也。
であるため、
① 地 レ 丙 下 二 一 上 乙 甲 天
③ 乙 レ 下 二 レ   一 上レ  甲
といふ「返り点(レ点あり)」は、
① 地 丁 丙 下 二 一 上 乙 甲 天
③ 地 丁 丙 下 二 一 上 乙 甲 天
といふ「返り点(レ点なし)」に、「置き換へ」が可能である。
然るに、
(17)
① 地〈丁{丙[下〔二(一)上〕乙(甲)]}天〉
に於いて、
① 地〈 〉⇒〈 〉地
① 丁{ }⇒{ }丁
① 丙[ ]⇒[ ]丙
① 下〔 〕⇒〔 〕下
① 二( )⇒( )ニ
① 乙( )⇒( )乙
といふ「移動」を行ふと、
① 地〈丁{丙[下〔二(一)上〕乙(甲)]}天〉⇒
① 〈{[〔(一)二上〕下(甲)乙]丙}丁天〉地=
①    一 二 上 下 甲 乙 丙 丁 天 地。
従って、
(14)~(17)により、
(18)
① 地 丁 丙 下 二 一 上 乙 甲 天
③ 地 丁 丙 下 二 一 上 乙 甲 天
といふ「返り点(レ点なし)」を、
① 地 レ 丙 下 二 一 上 乙 甲 天
③ 乙 レ 下 二 レ   一 上レ  甲
といふ「返り点(レ点あり)」に、「置き換へ」た。
といふ風に、「理解」するならば、その限りに於いて
① 地 レ 丙 下 二 一 上 乙 甲 天
③ 乙 レ 下 二 レ   一 上レ  甲
といふ「返り点(レ点あり)」であっても、
(a)「漢文」の補足構造
(b)「国語」の補足構造
(c)「漢文訓読」の語順
といふ、「3つの事柄」を、表してゐる。


(692)「日本語」と「命題計算」で考へる「ド・モルガンの法則」と「千里の馬」。

2020-08-21 18:42:35 | 訓読・論理学

(01)
①(Pであって、尚且つ、Qである)といふことはない。
といふことは、
②(PとQが、同時に「真(本当)」になる)といふことはない。
といふことである。
然るに、
(02)
②(PとQが、同時に「真(本当)」になる)といふことはない。
といふことは、
②  Pでないか、または、Qでないか、または、Pでも、Qでもない。
といふことである。
然るに、
(03)
②(PとQが、同時に「真(本当)」になる)といふことはない。
といふことは、
③  Pが「真(本当)」であるならば、Qは「偽(ウソ)」であり、
④  Qが「真(本当)」であるならば、Pは「偽(ウソ)」である。
といふことである。
然るに、
(04)
③  Pが「真(本当)」であるならば、Qは「偽(ウソ)」であり、
④  Qが「真(本当)」であるならば、Pは「偽(ウソ)」である。
といふことは、
③  Pであるならば、Qではなく、
④  Qであるならば、Pではない。
といふことである。
従って、
(01)~(04)により、
(05)
日本語」で考へれば、「簡単に分る」通り、
①(Pであって、尚且つ、Qである)といふことはない。
②  Pでないか、または、Qでないか、または、Pでも、Qでもない。
③  Pであるならば、Qでない。
④  Qであるならば、Pでない。
に於いて
①=②=③=④ である。
従って、
(05)により、
(06)
「命題計算」の「記号」で書くと、
① ~(P& Q)
②   ~P∨~Q
③   P→~Q
④   Q→~P
に於いて
①=②=③=④ である。
然るに、
(07)
(ⅰ)
1   (1) ~( P& Q)         A
 2  (2) ~(~P∨~Q)         A
  3 (3)   ~P             A
  3 (4)   ~P∨~Q          3∨I
 23 (5) ~(~P∨~Q)&(~P∨~Q) 24&I
 2  (6)  ~~P             35RAA
 2  (7)    P             6DN
   8(8)      ~Q          A
   8(9)   ~P∨~Q          8∨I
 2 8(ア) ~(~P∨~Q)&(~P∨~Q) 28&I
 2  (イ)     ~~Q          8アRAA
 2  (ウ)       Q          イDN
 2  (エ)    P& Q          7ウ&I
12  (オ) ~( P& Q)&( P& Q) 1エ&I
1   (カ)~~(~P∨~Q)         2オRAA
1   (キ)   ~P∨~Q          1DN
(ⅱ)
1   (1)   ~P∨~Q          A
 2  (2)    P& Q          A
  3 (3)   ~P             A
 23 (4)    P             2
 23 (5)   ~P& P          34&I
  3 (6)  ~(P& Q)         25RAA
   7(7)      ~Q          A
 2  (8)       Q          2&E
 2 7(9)    ~Q&Q          78
   7(ア)  ~(P& Q)         29RAA
1   (イ)  ~(P& Q)         1367ア∨E
然るに、
(08)
(ⅰ)
1  (1)~(P& Q)  A
 2 (2)  P      A
  3(3)     Q   A
 23(4)  P& Q   23&I
123(5)~(P& Q)&
       (P& Q)  14&I
12 (6)    ~Q   35RAA
1  (7)  P→~Q   26CP
(ⅲ)
1  (1)  P→~Q   A
 2 (2)  P& Q   A
 2 (3)  P      2&E
12 (4)    ~Q   13MPP
 2 (5)     Q   2&E
12 (6)  ~Q&Q   45&I
1  (7)~(P& Q)  26RAA
然るに、
(09)
(ⅰ)
1  (1)~(P& Q)  A
 2 (2)     Q   A
  3(3)  P      A
 23(4)  P& Q   23&I
123(5)~〔P& Q〕&
       〔P& Q〕  14&I
12 (6) ~P      35RAA
1  (7)  Q→~P   26CP
(ⅳ)
1  (1)  Q→~P   A
 2 (2)  P& Q   A
 2 (3)     Q   2&E
12 (4)    ~P   13MPP
 2 (5)  P      2&E
12 (6)  P&~P   45&I
1  (7)~(P& Q)  26RAA
従って、
(05)~(09)により、
(10)
① ~(P& Q)≡(Pであって、尚且つ、Qである)といふことはない。
②   ~P∨~Q ≡ Pでないか、または、Qでないか、または、その両方である。
③   P→~Q  ≡ Pであるならば、Qでない。
④   Q→~P ≡ Qであるならば、Pでない。
に於いて、
日本語」で考へても、「命題論理」で計算しても、
①=②=③=④ である。
然るに、
(11)
(ⅰ)
1 (1)Q    A
 2(2)Q→~P A
12(3)  ~P 12MPP
従って、
(11)により、
(12)
① Q,Q→~P├ ~P
といふ「連式(Sequent)」は、「妥当」である。
然るに、
(10)により、
(13)
「番号」を付け直すと、
①   Q→~P ≡ Qであるならば、Pでない。
② ~(P& Q)≡(Pであって、尚且つ、Qである)といふことはない。
に於いて、
①=② である。
従って、
(12)(13)により、
(14)
① Q,  Q→~P ├ ~P
② Q,~(P& Q)├ ~P
といふ「連式(Sequents)」は、「妥当」である。
従って、
(14)により、
(15)
「~」=「不」
「&」=「而」
「Q」=「食馬(馬を養ふ)。」
「P」=「知其能千里(その能の千里なるを知る)。」
とするならば、
① 食馬、不(知其能千里而食)。故、不(知其能千里)。
といふ「連式(Sequent)」は、「妥当」である。
然るに、
(16)
② 食馬者、不其能千里
② 馬を食ふ者は、其の能の千里なるを知りて食はず。
② 馬の飼い主は、自分の馬が千里も走る能力があることを知って飼うことをしない。
(旺文社、漢文の基礎、1973年、153・154頁改)
然るに、
(17)
言ふまでもなく、
②(馬を食ふ者は、馬を食ふ
従って、
(15)(16)(17)により、
(18)
② 食馬者、不(知其能千里而食)。故に、不(知其能千里)。
といふ「連式(Sequent)」は、「妥当」である。
従って、
(16)(17)(18)により、
(19)
② 馬を食ふ者は、其の能の千里なるを知りて食はず。故に、其の能の千里なるを知らず。
といふ「連式(Sequent)」は、「妥当」である。
従って、
(16)(19)により、
(20)
② 食馬者、不其能千里
といふ「漢文」は、
馬を養ふ者は、其の能の千里なるを知らずに馬を養ふ
といふ、「意味」になる。
然るに、
(21)
① 食馬者、不其能千里
② 知其能千里而食食。
この ①・② の読み方を書き下し文になおすと、どちらも「その能の千里なるを知ってしかし食わず」であって同じである。だから書き下し文を見ただけでは、①か②か どちらかという判断はできない。
それでは、意味はどうなるかと、全く違うのである。すなわち、次のようになる。
①「その(馬の)働きが一日に千里も走れるのを知らないし、それ相応に飼育しない
②「その(馬の)働きが一日に千里も走れるほどであることを知っておりながら、〈それ相応に飼育しない〉」
(二畳庵主人、漢文法基礎、1984年10月、390頁)
然るに、
(22)
①「その(馬の)働きが一日に千里も走れるのを知らないし、それ相応に飼育しない
②「其の能の千里なるを知らずに、馬を養ふ。」
に於いて、
①=② ではない。
従って、
(20)(21)(22)により、
(23)
① 食馬者、不其能千里
といふ「漢文」は、
②「其の能の千里なるを知らずに、馬を養ふ。」
といふ「意味」であって、
①「その(馬の)働きが一日に千里も走れるのを知らないし、それ相応に飼育しない
といふ「意味」でない。
然るに、
(21)(23)により、
(24)
①「その(馬の)働きが一日に千里も走れるのを知らないし、それ相応に飼育しない
から、
①「それ相応に」といふ「副詞句を除くと、
①「馬を飼育する者は、その(馬の)働きが一日に千里も走れるのを知らないし、飼育しない。」
といふことになる。
然るに、
(25)
①「馬を飼育する者は、馬を、飼育しない。」
といふのは、「矛盾」である。
従って、
(24)(25)により、
(26)
①「馬を飼育する者は、馬を、飼育しない。」
といふ「矛盾」を「糊塗する」する上で、
①「馬を飼育する者は、その(馬の)働きが一日に千里も走れるのを知らないし、それ相応に飼育しない」
といふ「訳文」から、
①「それ相応に」といふ「副詞句」を除くことは、出来ない


(691)「二畳庵主人(加地伸行 先生)」の「(ド・モルガンの法則、に対する)誤解」について。

2020-08-21 15:16:33 | 訓読・論理学

(01)
「漢文」とはなにか
受験参考書をはるかに超え出たZ会伝説の名著、待望の新版! ― 中略 ―、
基礎とはなにか。二畳庵先生が考える基礎ということばは、基礎医学とか、基礎物理研究所といったことばで使われているような意味なんだ。(中略)基礎というのは、初歩的知識に対して、いったいそれはいかなる意味をもっているのか、ということ。つまりその本質を反省することなのである。初歩的知識を確認したり、初歩的知識を覚える、といったことではなく、その初歩的知識を材料にして、それのもっている本質を根本的に反省するということなのだ。――<本書より>
※本書は1984年10月に増進会出版社より刊行された『漢文法基礎』(新版)を大幅に改訂したものです。
(02)
(ⅰ)
1  (1)~〔P& Q〕  A
 2 (2)     Q   A
  3(3)  P      A
 23(4)  P& Q   23&I
123(5)~〔P& Q〕&
       〔P& Q〕  14&I
12 (6) ~P      35RAA
1  (7)  Q→~P   26CP
(ⅱ)
1  (1)  Q→~P   A
 2 (2)  P& Q   A
 2 (3)     Q   2&E
12 (4)    ~P   13MPP
 2 (5)  P      2&E
12 (6)  P&~P   45&I
1  (7)~〔P& Q〕  26RAA
従って、
(02)により、
(03)
① ~〔P& Q〕≡〔Pであって、尚且つ、Qである〕といふことはない。
②  〔Q→~P〕≡〔Qであるならば、Pでない。〕
に於いて、
①=② である。
然るに、
(04)
① ~〔P& Q〕≡(Pであって、尚且つ、Qである)といふことはない。
②   Q→~P ≡ Qであるならば、Pでない。
に於いて、
「~」=「不」
「P」=「知(其能千里)」
「&」=「而」
「Q」=「食(養ふ)」
「→」=「ならば
であるとする。
cf.
」は「養う」の「意味」である。
従って、
(03)(04)により、
(05)
① 不〔知(其能千里)而食〕。
② 食ならば不〔知(其能千里)〕。
に於いて、
①=② である。
然るに、
(06)
① 不〔知(其能千里)而食〕。
② 食ならば不〔知(其能千里)〕。
に於いて、
不〔 〕⇒〔 〕不
知( )⇒( )知
といふ「移動」を行ひ、「平仮名」を加へると、
① 〔(其の能の千里なるを)知りて食は〕ず。
② 食ふならば〔(其の能の千里なるを)知ら〕ず。
に於いて、
①=② である。
然るに、
(07)
① 食馬者、不其能千里
① 馬を食ふ者は、其の能の千里なるを知りて食はず。
① 馬の飼い主は、自分の馬が千里も走る能力があることを知って飼うことをしない。
(旺文社、漢文の基礎、1973年、153・154頁改)
然るに、
(08)
言ふまでもなく、
②(馬を食ふ者は、馬を)食ふ
従って、
(06)(07)(08)により、
(09)
① 食馬者、不知其能千里而食。
といふ「漢文」は、
馬を養ふ者は、其の能の千里なるを知らずに馬を養ふ
といふ、「意味」になる。
然るに、
(10)
① 食馬者、不其能千里
② 知其能千里而食食。
この ①・② の読み方を書き下し文になおすと、どちらも「その能の千里なるを知ってしかし食わず」であって同じである。だから書き下し文を見ただけでは、①か②か どちらかという判断はできない。
それでは、意味はどうなるかと、全く違うのである。すなわち、次のようになる。
①「その(馬の)働きが一日に千里も走れるのを知らないし、それ相応に飼育しない
②「その(馬の)働きが一日に千里も走れるほどであることを知っておりながら、〈それ相応に飼育しない〉」
(二畳庵主人、漢文法基礎、1984年10月、390頁)
然るに、
(11)
①「その(馬の)働きが一日に千里も走れるのを知らないし、それ相応に飼育しない
といふのであれば、
① 食馬者、知其能千里而_食。
ではなく、
① 食馬者、不知其能千里而不食
でなければ、ならない。
然るに、
(07)(10)により、
(12)
「原文」は、
① 食馬者、不知其能千里而不食
ではなく、
① 食馬者、知其能千里而_食。
である。
従って、
(10)(11)(12)により、
(13)
① 食馬者、不其能千里
であれば、
①「その(馬の)働きが一日に千里も走れるのを知らないし、それ相応に飼育しない
といふ「意味」になるといふ、「二畳庵主人(加地伸行 先生)」の「説明」は、「マチガイ」である。
(14)
(ⅲ)
1  (1)~(P∨Q)       A
 2 (2)  P          A
 2 (3)  P∨Q        2∨I
12 (4)~(P∨Q)&(P∨Q) 13&I
1  (5) ~P          24RAA
  6(6)    Q        A
  6(7)  P∨Q        6∨I
1 6(8)~(P∨Q)&(P∨Q) 17&I
1  (9)   ~Q        68RAA
1  (ア)~P&~Q        59&I
(ⅳ)
1   (1)  ~P&~Q   A
 2  (2)   P∨ Q   A
1   (3)  ~P      1&E
  4 (4)   P      A

1 4 (5)  ~P&P    34&I
  4 (6)~(~P&~Q)  15RAA
1   (7)     ~Q   1&E
   8(8)      Q   A
1  8(9)   ~Q&Q   78&I
   8(ア)~(~P&~Q)  19RAA
 2  (イ)~(~P&~Q)  2468ア∨E
12  (ウ) (~P&~Q)&
       ~(~P&~Q)  1イ&I
1   (エ) ~(P∨ Q)  2ウRAA
従って、
(14)により、
(15)
③ ~(P∨ Q)≡(Pであるか、または、Qである)といふことはない
④  ~P&~Q ≡ Pでもないし、Qでもない。
に於いて、
③=④ である(ド・モルガンの法則)。
従って、
(15)により、
(16)
③(字を書くか、または、書を読まない)といふことはない
④ 字も書かなければ、 書も読まない
に於いて、
③=④ である。
然るに、
(17)
④ 字も書かなければ、書も読まない
といふのであれば、「漢文」は、
字、書。
であって、
字読一レ書。
ではない。
然るに、
(18)
入門編で述べたもっと簡単な例でいうと、たとえば、
③ 書字不書。
④ 不字読一レ書。
③ は「字は書くけれども、本は読まない。」
④ は「字も書かなければ、書も読まない。」ということで、ここでも「」の管到のちがいがよくでている。
(二畳庵主人、漢文法基礎、1984年10月、390頁)
従って、
(17)(18)により、
(19)
「二畳庵主人(加地伸行 先生)」は、要するに、
字、書。
といふ「漢文」と、
字読一レ書。
といふ「漢文」とを、「混同」していて、このことは、
③ ~(P& Q)≡(Pであって、尚且つ、Qである)といふことはない。
④  ~P&~Q ≡ Pでもないし、Qでもない。
に於いて、
③=④ である(「ド・モルガンの法則」ではない)。
と、見做してゐる
といふことに、「等しい」。
然るに、
(20)
(ⅰ)
1   (1) ~( P& Q)         A
 2  (2) ~(~P∨~Q)         A
  3 (3)   ~P             A
  3 (4)   ~P∨~Q          3∨I
 23 (5) ~(~P∨~Q)&(~P∨~Q) 24&I
 2  (6)  ~~P             35RAA
 2  (7)    P             6DN
   8(8)      ~Q          A
   8(9)   ~P∨~Q          8∨I
 2 8(ア) ~(~P∨~Q)&(~P∨~Q) 28&I
 2  (イ)     ~~Q          8アRAA
 2  (ウ)       Q          イDN
 2  (エ)    P& Q          7ウ&I
12  (オ) ~( P& Q)&( P& Q) 1エ&I
1   (カ)~~(~P∨~Q)         2オRAA
1   (キ)   ~P∨~Q          1DN
(ⅱ)
1   (1)   ~P∨~Q          A
 2  (2)    P& Q          A
  3 (3)   ~P             A
 23 (4)    P             2
 23 (5)   ~P& P          34&I
  3 (6)  ~(P& Q)         25RAA
   7(7)      ~Q          A
 2  (8)       Q          2&E
 2 7(9)    ~Q&Q          78
   7(ア)  ~(P& Q)         29RAA
1   (イ)  ~(P& Q)         1367ア∨E
従って、
(20)により、
(21)
① ~(P& Q)≡(Pであって、尚且つ、Qである)といふことはない。
②  ~P∨~Q ≡ Pでないか、または、Qでないか、または、その両方である。
に於いて、
①=② である(ド・モルガンの法則)。
従って、
(19)(21)により、
(22)
「番号」を付け直すと、
① ~(P& Q)≡(Pであって、尚且つ、Qである)といふことはない。
②  ~P∨~Q ≡ Pでないか、または、Qでないか、または、その両方である。
③  ~P&~Q ≡ Pでもないし、Qでもない。
に於いて、「ド・モルガンの法則」としては、
①=② こそが「正しい」ものの、
「二畳庵主人(加地伸行 先生)」の場合は、
①=③ である。
といふ風に、「誤解」してゐる。

(690)「漢文」に「括弧は有らざる可からず」。

2020-08-20 11:01:10 | 返り点、括弧。

(01)
(ⅰ)
1  (1)~〔P& Q〕  A
 2 (2)  P      A
  3(3)     Q   A
 23(4)  P& Q   23&I
123(5)~〔P& Q〕&
       〔P& Q〕  14&I
12 (6)    ~Q   35RAA
1  (7)  P→~Q   26CP
(ⅱ)
1  (1)  P→~Q   A
 2 (2)  P& Q   A
 2 (3)  P      2&E
12 (4)    ~Q   13MPP
 2 (5)     Q   2&E
12 (6)  ~Q&Q   45&I
1  (7)~〔P& Q〕  26RAA
従って、
(01)により、
(02)
① ~〔P& Q〕
②     P→~Q 
に於いて、
①=② である。
といふことは、「論理(学)的」に、「正しい」。
然るに、
(03)
① ~〔P& Q〕
②     P→~Q 
といふ「論理式」は、
① 不〔P而Q〕
② 苟P則不Q
といふ「漢文」に、「相当」する。
従って、
(02)(03)により、
(04)
① 不〔P而Q〕
② 苟P則不Q
に於いて、
①=② である。
然るに、
(05)
P=為(児孫)
Q=買(美田)
とする。
従って、
(04)(05)により、
(06)
① 不〔為(児孫)而買(美田)〕。
② 苟為(児孫)則不〔買(美田)〕。
に於いて、
①=② である。
然るに、
(07)
① 不〔為(児孫)而買(美田)〕。
② 苟為(児孫)則不〔買(美田)〕。
に於いて、
① 而 と、
② 則 は、「省略」出来る。
従って、
(07)に於いて、
(08)
① 不〔為(児孫)買(美田)〕。
② 苟為(児孫)不〔買(美田)〕。
に於いて、
①=② である。
然るに、
(09)
① 不〔為(児孫)買(美田)〕。
② 苟為(児孫)不〔買(美田)〕。
に於いて、
□〔 〕⇒〔 〕□
□( )⇒( )□
といふ「移動」を行ひ、「平仮名」を加へると、
それぞれ、
①〔(児孫の)為に(美田を)買は〕不。
② 苟くも(児孫の)為ならば〔(美田を)買は〕不。
といふ「訓読」になる。
然るに、
(10)
漢語における語順は、国語と大きく違っているところがある。すなわち、その補足構造における語順は、国語とは全く反対である。しかし、訓読は、国語の語順に置きかえて読むことが、その大きな原則となっている。それでその補足構造によっている文も、返り点によって、国語としての語順が示されている(鈴木直治、中国語と漢文、1975年、296頁)。
従って、
(09)(10)により、
(11)
① 不〔為(児孫)而買(美田)〕。⇔
①〔(児孫の)為に(美田を)買は〕不。
② 苟為(児孫)則不〔買(美田)〕。⇔
② 苟くも(児孫の)為ならば〔(美田を)買は〕不。
に於ける、
①〔( )( )〕
①〔( )( )〕
②( )〔( )〕
②( )〔( )〕
といふ「括弧」は、それぞれ、
① ②「漢文補足構造」と、同時に、
① ②「訓読補足構造」と、同時に、「訓読語順」を、表してゐる。
然るに、
(01)~(08)により、
(12)
① 不〔為(児孫)買(美田)〕。
② 苟為(児孫)不〔買(美田)〕。
に於いて、
①=② である。
といふことは、
(ⅰ)
1  (1)~〔P& Q〕  A
 2 (2)  P      A
  3(3)     Q   A
 23(4)  P& Q   23&I
123(5)~〔P& Q〕&
       〔P& Q〕  14&I
12 (6)    ~Q   35RAA
1  (7)  P→~Q   26CP
(ⅱ)
1  (1)  P→~Q   A
 2 (2)  P& Q   A
 2 (3)  P      2&E
12 (4)    ~Q   13MPP
 2 (5)     Q   2&E
12 (6)  ~Q&Q   45&I
1  (7)~〔P& Q〕  26RAA
といふ「命題計算(propositional calculus)」として、「正しい」。
然るに、
(13)
① 児孫の為に、美田を買はず。
② 苟くも(仮にも)、児孫の為ならば美田を買はない。
に於いて、
①=② である。
といふことは、「日本語」として、「正しい」。
従って、
(10)~(13)により、
(14)
(ⅰ)漢文も、日本語も、「論理な言語」である。
(ⅱ)漢文補足構造における語順は、国語とは全く反対である。
といふ「2つの命題」が「」であるならば、
① 不為児孫買美田。
② 苟為児孫不買美田。
といふ「漢文」には、
① 不〔為(児孫)買(美田)〕。
② 苟為(児孫)不〔買(美田)〕。
といふ「括弧」が、無ければ、ならない。


(689)「漢文」に於ける「補足構造」と「括弧」。

2020-08-19 17:04:05 | 「漢文訓読」と「括弧」。

(01)
① 我不〔有(兄弟)〕。
に於いて、
不〔 〕⇒〔 〕不
有( )⇒( )有
といふ「移動」を行ひ、「平仮名」を加へると、
① 我不〔有(兄弟)〕⇒
① 我〔(兄弟)有〕不=
① 我に〔(兄弟)有ら〕不=
① 私には、兄弟がゐない。
従って、
(01)により、
(02)
(ⅰ)
「左」から「右」へ読みつつ、
(ⅱ)
① 不 は、〔 〕の中を「読んだ直後に読む」。
① 有 は、( )の中を「読んだ直後に読む」。
ならば、
① 我に〔(兄弟)有ら〕ず。
といふ、「語順」になる。
然るに、
(03)
漢語における語順は、国語と大きく違っているところがある。すなわち、その補足構造における語順は、国語とは全く反対である。しかし、訓読は、国語の語順に置きかえて読むことが、その大きな原則となっている。それでその補足構造によっている文も、返り点によって、国語としての語順が示されている(鈴木直治、中国語と漢文、1975年、296頁)。
従って、
(01)(02)(03)により、
(04)
① 我不〔有(兄弟)〕。
① 我に〔(兄弟)有ら〕ず。
に於ける、
①〔 ( ) 〕
①〔 ( ) 〕
といふ「括弧」は、
①「漢文補足構造」と、同時に、
①「訓読補足構造」と、同時に、「訓読語順」を、表してゐる。
従って、
(04)により、
(05)
① 我不〔有(兄弟)〕⇒
① 我に〔(兄弟)有ら〕ず。
といふ「漢文・訓読」に於いて、「(漢文と訓読の)語順」こそ、「異なる」ものの、「(漢文と訓読の)補足構造自体は、「同じ」である。
然るに、
(06)
① 我 不  〔 有 (  兄弟  )〕。
① I don't〔have(brothers)〕.
のやうに、「語順」が「同じ」であるならば、「補足構造(シンタックス)」は「同じ」である。
然るに、
(07)
② I have(nobrothers).
に於いて、
have( )⇒( )have
 no〔 〕⇒〔 〕no
といふ「移動」を行ひ、「英単語」を、「翻訳」すると、
② I have(nobrothers)
② I (brothers)haveno=
② 私には(兄弟が)ゐない。
然るに、
(08)
① I don'thave(brothers).
② I have(nobrothers).
に於ける、
( )
②(  )
に於いて、
① は、「括弧」であるが、
② は、「括弧」ではない
加へて、
(09)
① I don'thavebrothers.
② I havenobrothers.
に於ける、
① 三 二 一
② 二  一
に於いて、
① は、「返り点」であるが、
② は、「返り点」ではない
(10)
「返り点」は、「縦書き」であれば、「下から上へ、返る点」であるため、
「横書き」であれば、「(二)から、(三)へ戻る点」は、「返り点」ではない
従って、
(03)~(10)により、
(11)
「番号」を付け直すと、
① 我 不 〔 有  ( 兄弟  )〕。
② I don't〔have(brothers)〕.
③ 我に〔(兄弟)有ら〕ず。
④ I have(no〔brothers)〕.
に於いて、「補足構造」に関しては、
( )
( )
( )
であるため、
①=②=③ であって、
唯一
④(  )
だけが、「他の3つ」と、「同じ」ではない
従って、
(11)により、
(12)
語順が異なること」は、「補足構造(シンタックス)が異なる」ための、「必要条件」であるが、
語順が異なること」は、「補足構造(シンタックス)が異なる」ための、「十分条件」ではない
然るに、
(13)
語順異なること」よりも、
構造異なること」の方が、「重大」なはずである。
従って、
(14)
語順が異なる」ことは、敢へて、言ふと、
構造が異なる」ことに比べれば、「どうでも良い」。
然るに、
(15)
そして重野の講演を後れること七年、文化大学の講師を務めていたイギリス人チャンバレン氏も一八八六年『東洋学芸雑誌』第六一号に「支那語読法ノ改良ヲ望ム」を発表し、「疑ハシキハ日本人ノ此支那語通読スル伝法ナリ、前ヲ後ニ変へ、下ヲ上ニ遡ラシ、本文ニ見へザル語尾ヲ附シ虚辞ヲ黙シ、若クハ再用スル等ハ、漢文ヲ通読スルコトニアランヤ。寧ロ漢文ヲ破砕シテ、其片塊ヲ以テ随意ニ別類ノ一科奇物ヲ増加セリト云フヲ免カレンヤ。」「畢竟日本語ハ日本ノ言序アリ、英語ハ英ノ語次存スルコトは皆々承知セリ、唯支那語ニノミ治外法権ヲ許ルサズシ権内ニ置クハ何ソヤ」(「訓読」論 東アジア漢文世界と日本語、中村春作・市來津由彦・田尻祐一郎・前田勉 共編、2008年、50頁)。
従って、
(14)(15)により、
(16)
「畢竟日本語日本言序アリ、英語ハ英ノ語次存スルコトは皆々承知セリ、唯支那語ニノミ治外法権ヲ許ルサズシ権内ニ置クハ何ソヤ」
といふ風に「主張」してゐる、イギリス人チャンバレン氏は、私に言はせれば、「どうでも良い」ことに、「拘泥」してゐる。
然るに、
(17)
数年前、ある言語学教育関連の新聞の連載のコラムに、西洋文化研究者の発言が載せられていた。誰もが知る、孟浩然の『春眠』「春眠暁を覚えず・・・・・・」の引用から始まるそのコラムでは、なぜ高校の教科書にいまだに漢文訓読があるのかと疑問を呈し、「返り点」をたよりに「上がったり下がったりしながら、シラミつぶしに漢字にたどる」読み方はすでに時代遅れの代物であって、早くこうした状況から脱するべきだと主張する。「どこの国に外国語母国語の語順で読む国があろう」かと嘆く筆者は、かつては漢文訓読が中国の歴史や文学を学ぶ唯一の手段であり「必要から編み出された苦肉の知恵であった」かもしれないが、いまや中国語を日本にいても学べる時代であり「漢文訓読を卒業するとき」だと主張するのである(「訓読」論 東アジア漢文世界と日本語、中村春作・市來津由彦・田尻祐一郎・前田勉 共編、2008年、1頁)。
従って、
(16)(17)により、
(18)
「どこの国に外国語母国語の語順で読む国があろう」かと、
嘆く筆者(西洋文化研究者)は、私に言はせれば、「どうでも良い」ことに、「拘泥」してゐる。
(19)
⑤ 是以大學始教、必使學者即凡天下之物、莫不因其已知之理、而益窮之、以求至乎其極。
といふ「純粋漢文(大學、伝五章)」を、「機械翻訳」に掛けると、
⑤ 大学によって初めて教えて、必ず学者のすなわちすべての天下の物、モーがそれのためもう知らない道理を使って、益貧乏なこれ、乎のそれに至るためにきわめて。
となってしまひ、「わけが分からない」。
従って、
(19)により、
(20)
このことは、例へば、
⑤ 是以大學始教、必使學者即凡天下之物、莫不因其已知之理、而益窮之、以求至乎其極。
といふ「純粋漢文」を、
⑤ Shì yǐ dàxué shǐ jiào, bì shǐ xuézhě jí fán tiānxià zhī wù, mòbù yīn qí yǐ zhīzhī lǐ, ér yì qióng zhī, yǐ qiú zhì hū qí jí.
といふ風に、「北京語」で「音読出来たとしても、「意味自体」は、「チンプンカンプン」である。
といふことを、示してゐる。
従って、
(21)
⑤ 是以大學始教、必使學者即凡天下之物、莫不因其已知之理、而益窮之、以求至乎其極。
といふ「漢文」を、「補足構造」に従って、
⑤ 是以、大學始敎、必使〈學者即(凡天下之物)、莫{不[因(其已知之理)、而益極(之)、以求〔至(乎其極)〕]}〉⇒
⑤ 是以、大學始敎、必〈學者(凡天下之物)即、{[(其已知之理)因、而益(之)極、以〔(乎其極)至〕求]不}莫〉使=
⑤ 是を以て、大學の始敎は、必ず〈學者をして(凡そ天下の物に)即きて、{[(其の已に知るの理に)因って、益々(之を)極め、以て〔(其の極に)至るを〕求め]不るを}莫から〉使む=
⑤ そのため、大學の敎へを始める際には、必ず〈學者をして(凡そ天下の物に)即いて、{[(その學者がすでに知っているの理に)依って、益々(これを)極め、以て〔(その極点に)至ることを〕求め]ないことが}無いやうに〉させる。
といふ風に「訓読」する「読み方」が、
⑤ 是以大學始教、必使學者即凡天下之物、莫不因其已知之理、而益窮之、以求至乎其極。
といふ「漢文」を、
⑤ Shì yǐ dàxué shǐ jiào, bì shǐ xuézhě jí fán tiānxià zhī wù, mòbù yīn qí yǐ zhīzhī lǐ, ér yì qióng zhī, yǐ qiú zhì hū qí jí.
といふ風に「音読」する「読み方」よりも、「劣ってゐる」はずが無い


(688)「漢文の語順」の「例外」。

2020-08-18 13:52:13 | 漢文の文法

(01)
① 雨降。(雨降る)
(笠間書院、漢文の語法と故事成語、2005年、32頁改)
然るに、
(02)
① 雨降。
② 降雨。
に於いて、「普通」は、
① ではなく、
② である。
然るに、
(03)
② 天降雨=天、雨を降らす。
に於いて、
② 天(主語
を「省略」すると、
② 降雨。
となる。
cf.
天(2)天にいます最高の神(学研、新版 漢字源、1999年、1543頁)。
(04)
③ 小人之学、入乎耳(小人の学は耳よる入る)。
に於いて、
③「乎」は「前置詞(from)」である。
(05)
④ 病従口入(病は口より入る)。
に於いて、
④「従」は「前置詞(from)」である。
従って、
(04)(05)により、
(06)
③ 小人之学、入乎耳(小人の学は耳よる入る)。
の「語順」に合はせるのであれば、
④ 病従口入(病は口より入る)。
ではなく、
④ 病入従口(病は口より入る)。
でなければ、ならない。
(07)
⑤「人を知らず」は「不」であるが、
⑤「己を知らず」は「不」である。
(岩波全書、漢文入門、1957年、23頁改)
従って、
(08)
⑤ 不知(己を知らず)。
である以上、
⑤ 不如(己に如かず)。
でなければ、ならない。
然るに、
(09)
「論語、学而」の場合は、何故か、
⑤ 不如(己に如かず)。
ではなく
⑥ 不如(己に如かず)。
である。
(10)
⑦ 如雪(雪の如し)。
は、「(転倒のない)普通の語順」である。
然るに、
(11)
」「」などの疑問代名詞(が補語)であるときは、例外もあるけれども、一般的にいって、その語順轉倒し、「事(何をか事とす)」となる。
(岩波全書、漢文入門、1957年、23頁改)
従って、
(10)(11)により、
(12)
⑦ 如何(いかん)。
の、何」は、「転倒」されて、
如(いかん)。
となる。
然るに、
(13)
如(いかん)  ⇔ どうであるか(どのやうか)。
に対して、
⑨ 如(いかんせん)⇔ どうするか(いかにするか)。
である。
従って、
(13)により、
(14)
如(いかん)      ⇔ どうであるか(どのやうか)。
⑨ 如之(これをいかんせん)⇔ これをどうするか(これを、いかにするか)。
といふ、ことになる。
然るに、
(15)
コ・ラ・ム 「如」と「如」の違い ―
状況・程度などを問うときは「何如」を、手段・方法などを問うときは「如何」を用いる。しかし、混用されこともあり、文の前後関係から判断する必要がある。
(桐原書店、【基礎から解釈へ】漢文必携、2004年、47頁)
(11)により、
(16)
もう一度、確認すると、
「英語」と同様、「何(What)、誰(Who)」は、「普通」は「前置強調)」される。
然るに、
(17)
⑩ 孰爲夫子(論語、微子)。
に於いて、
 孰=Who
 為=is
夫子=the teacher
である。
従って、
(17)により、
(18)
爲夫子(だれをか夫子となす)。
の場合は、そのまま、
Who is the teacher?
である。
然るに、
(19)
⑪ 子為(論語、微子)。
の「語順」は、
⑪ You are who?
であって、
Who are you?
ではない。
従って、
(17)(18)(19)により、
(20)
⑩ 誰先生か(誰爲夫子)。
⑪ あなた誰か(子為誰)。
に於いて、
⑩ の「誰」は「前値(強調)」され、
⑪ の「誰」は「前値(強調)」されない。
従って、
(11)(20)により、
(21)
確かに、
「何」「誰」などの疑問代名詞(が補語である場合)の「転倒(前置)」には、「例外」が有る。
(22)
⑫ 復不得兎=
⑫ 復不兎=
⑫ 復不〔得(兎)〕⇒
⑫ 復〔(兎)得〕不=
⑫ 復た〔(兎を)得〕ず。
の場合は、
⑫「1度目は、兎を得ることが出来ず」、
⑫「2度目も、兎を得ることが出来なかった」。
といふ「意味」である。
然るに、
(23)
⑬ 不復得兎=
⑬ 不復得一レ兎=
⑬ 不〔復得(兎)〕=
⑬ 〔復(兎)得〕不⇒
⑬ 〔復た(兎を)得〕ず。
の場合は、
⑬「1度目は、兎を得ることが出来たが」、
⑬「2度目は、兎を得ることが出来なかった」。
といふ「意味」である。
従って、
(24)
⑫ 復不得兎(復た兎を得ず)。
⑬ 不復得兎(復た兎を得ず)。
の場合は、「訓読」をすれば「同じ」であるが、「語順」が「異なる」ことによって、「意味」も変はって来る。
ただし、
(25)
⑫ 復兎(兎を得ざること、復たなり)。
⑬ 不兎(兎を得ること、復たはならず)。
といふ風に「訓読」すれば、「訓読・語順・意味」は、すべて、「同じ」ではない
(26)
⑭ 看雁還。
であるならば、
⑭ 看雁還(雁を看て、私は還る)。
なのかも、知れないし、
⑭ 看雁還(私は、雁が還って行くのを看る)。
なのかも、知れない。
然るに、
(27)
⑮ 看雁返(雁を看て還る)。
であれば、
⑮ 看雁還(私は、雁が還って行くのを看る)。
といふ「意味」では、有り得ない
従って、
(28)
⑭ 看雁還(雁を看て、私は還る)。
であって、
⑭ 看雁還(私は、雁が還って行くのを看る)。
ではない
といふことを、ハッキリさせたい場合は、
⑮ 看雁還(雁を看て還る)。
といふ風に、書くことになる。
(29)
⑯ 越与呉戦、大敗。
⑰ 越与呉戦、大敗
に於いて、
⑯ 越、呉と戦ひ、大敗す。    ⇒ 負けたは、勝ったのは呉。
⑰ 越、呉と戦ひ、大ひに之を敗る。⇒ 負けたは呉、勝ったのは
であると、加藤徹先生が、述べてゐる(白文攻略 漢文ひとり学び、2013年、39頁)。
(30)
質問者:cake-2009質問日時:2009/11/09 19:31回答数:1件
ラテン語は英語の10倍難しいと聞いたのですが、本当ですか? 難しいという感覚は主観的なものなので、人によって違うかもしれませんが…
No.1ベストアンサー
回答者: Oubli 回答日時:2009/11/09 22:13
 動詞は直接法が6時制、接続法が4時制あり、1~3人称、単数と複数でそれぞれ6形に語尾変化し、能動相と受動相も語尾変化で区別されます(他に命令法や分詞もあります)。語尾変化の体系は第一活用から第四活用まであります(単語によって決まる)。
 名詞は6つの格、単数と複数で語尾変化し、男性・女性・中性のどれかに決まっており、語尾変化の体系は第一変化から第五変化まであります(単語によって決まる)。形容詞も名詞に似た感じで変化します。  要するに、日本語で動詞+助動詞+主語の人称・数、名詞+助詞+文法性・数といった情報が語尾変化によって1語に凝縮されており、しかもその変化体系が均一ではありません。もちろん私はラテン語をマスターしていませんが、文法をひととおりみてみると、フランス語の動詞活用やドイツ語の格変化はかなり簡易化されており、英語にいたっては児戯に等しいことが解ると思います。主観的には10倍どころではありません(教えて!goo)。
といふこと(語形変化)は、「ラテン語」には有っても、「漢文」には、一切無い
従って、
(31)
語順こそ」が、「漢文文法」である。
といふ風に、言へないこともない。


(687)「敢・敢不・不敢・不敢不」について。<br>

2020-08-17 14:29:36 | 漢文の文法

(01)
[三] 借虎威(戦國策)
① 虎求百獸而食之得狐。
② 狐曰子無敢食我也。
③ 天帝使我長百獸。
④ 今子食我是逆天帝命也。
⑤ 子以我爲不信吾爲子先行。
⑥ 子隨我後觀。
⑦ 百獸之見我而敢不走乎。
従って、
(01)により、
(02)
「括弧」を付けると、
① 虎求(百獸)而食(之)得(狐)。
② 狐曰子無〔敢食(我)〕也。
③ 天帝使〔我長(百獸)〕。
④ 今子食(我)是逆(天帝命)也。
⑤ 子以(我)爲〔不(信)〕吾爲(子)先行。
⑥ 子隨(我後)觀。
⑦ 百獸之見(我)而敢不(走)乎。
従って、
(02)により、
(03)
□( )⇒( )□
□〔 〕⇒〔 〕□
といふ「移動」を行ふと、
① 虎(百獸)求而(之)食(狐)得。
② 狐曰子〔敢(我)食〕無也。
③ 天帝〔我(百獸)長〕使。
④ 今子(我)食是(天帝命)逆也。
⑤ 子(我)以〔(信)不〕爲吾(子)爲先行。
⑥ 子(我後隨)觀。
⑦ 百獸之(我)見而敢(走)不乎。
従って、
(03)により、
(04)
「平仮名」を加へると、
① 虎(百獸を)求めて(之を)食ひ(狐を)得たり。
② 狐曰く子〔敢へて(我を)食ふこと〕無かれ。
③ 天帝〔我をして(百獸に)長たら〕使む。
④ 今子(我を)食はば是(天帝の命に)逆ふなり。
⑤ 子(我を)以て〔(信なら)ずと〕爲さば吾(子の)爲に先行せん。
⑥ 子(我が後に隨ひて)觀よ。
⑦ 百獸の(我を)見て敢へ(走ら)ざらんや。
然るに、
(05)
【走】ス(呉)、ソウ(漢)
②《動詞》にげる(にぐ)、速足でにげる。
(学研、漢和大辞典、1978年、1269頁)
従って、
(01)~(05)により、
(06)
「文脈」と、「走」の「意味」からすると、
(ⅱ)敢不走乎。
といふ「漢文(反語)」は、
(〃)(逃げたいが、逃げたいといふ気持ちを、押しとどめて、)逃げない。といふことは、出来るだらうか(、いや、出来ない)。
といふ、「意味」である。
従って、
(06)により、
(07)
①  敢 走。⇔(逃げたくないが、逃げたくないといふ気持ちを、押しとどめて、)逃げる。
②  敢不走。⇔(逃げたいが、  逃げたいといふ  気持ちを、押しとどめて、)逃げない。
③ 不敢 走。⇔(逃げたくないが、逃げたくないといふ気持ちを、押しとどめて、)逃げる。 といふことが出来ない。
④ 不敢不走。⇔(逃げたいが、  逃げたいといふ  気持ちを、押しとどめて、)逃げない。といふことが出来ない。
従って、
(07)により、
(08)
①  敢 走。⇔(逃げたくないが、逃げたくないといふ気持ちを、押しとどめて、)逃げる。
②  敢不走。⇔(逃げたいが、  逃げたいといふ  気持ちを、押しとどめて、)逃げない。
③ 不敢 走。⇔(逃げたくないが、逃げたくないといふ気持ちを、押しとどめて、)逃げる。 といふことが出来ない。⇔ 逃げない。
④ 不敢不走。⇔(逃げたいが、  逃げたいといふ  気持ちを、押しとどめて、)逃げない。といふことが出来ない。⇔ 逃げる。
従って、
(08)により、
(09)
「結果」だけからすると、
①  敢 走。⇔ 逃げる。
②  敢不走。⇔ 逃げない。
③ 不敢 走。⇔ 逃げない。
④ 不敢不走。⇔ 逃げる。
であるものの、
①  敢 走。⇔(逃げたくないが、逃げたくないといふ気持ちを、押しとどめて、)逃げる。
④ 不敢不走。⇔(逃げたいが、  逃げたいといふ  気持ちを、押しとどめて、)逃げない。といふことが出来ない。⇔ 逃げる。
であって、
②  敢不走。⇔(逃げたいが、  逃げたいといふ  気持ちを、押しとどめて、)逃げない。
③ 不敢 走。⇔(逃げたくないが、逃げたくないといふ気持ちを、押しとどめて、)逃げる。 といふことが出来ない。⇔ 逃げない。
であるため、「内容」としては、「同じ」ではない。
然るに、
(10)
③ 昆弟妻嫂、側目不敢視
③ 兄弟や妻や兄嫁は目をそらし、まともに見ることができなかった
(三省堂、明解古典学習シリーズ18、1973年、92頁)
従って、
(08)(09)(10)により、
(11)
①  敢
②  敢不

敢不
に於ける、
③ 不
④ 不
には、
③ ・・・・・といふことが(は)出来ない
④ ・・・・・といふことが(は)出来ない
といふ「意味」が、「含まれてゐる」。
然るに、
(12)
④ ・・・・・といふわけにはいかない
のであれば、
④ ・・・・・といふことは出来ない
従って、
(11)(12)
(13)
③ 不敢加兵於趙(敢へて、兵を趙に加へず)。
④ 不敢不一レ告(敢へて、告げずんばあらず)。
といふ「漢文」は、「簡単に言ふ」と、それぞれ、
③(趙を攻めたいが、勇気が足りず、)趙を攻める。というふことが出来ない
④(告げずに済むことではないので、)告げない。といふわけにはいかない
といふ、「意味」である。
然るに、
(14)
Ken dare not try again.
ケンは再度試みる勇気がない。 - Tanaka Corpus
He dare not say so to your face.発音を聞く例文帳に追加
彼は君に向かってそう言う勇気は有るまい - 斎藤和英大辞典
従って、
(13)(14)により、
(15)
敢」は、「dare not」に、似てゐる


(686)「必不仁」と「不必仁」の「述語論理」。

2020-08-17 11:05:51 | 漢文・述語論理

(01)
①  ∀x(Fx→ Gx)≡すべてxについて、xがFならば、xはGである。≡すべてのFはGである(全部肯定)。
②  ∀x(Fx→~Gx)≡すべてxについて、xがFならば、xはGでない。≡すべてのFはGでない(全部否定)。
③ ~∀x(Fx→ Gx)≡(すべてのFがGである。)といふわけではない(部分否定)。
④ ~∀x(Fx→~Gx)≡(すべてのFがGでない。)といふわけではない(部分肯定)。
然るに、
(02)
(a)
1(1) ∀x(Fx→ Gx) A
1(2)    Fa→~Ga  1UE
1(3)   ~Fa∨ Ga  2含意の定義
1(4)  ~(Fa&~Ga) 3ド・モルガンの法則
1(5)∀x~(Fx&~Gx) 4UI
1(6)~∃x(Fx&~Gx) 5量化子の関係
(b)
1(1)~∃x(Fx&~Gx) A
1(2)∀x~(Fx&~Gx) 1量化子の関係
1(3)  ~(Fa&~Ga) 1UE
1(4)   ~Fa∨ Ga  3ド・モルガンの法則
1(5)    Fa→ Ga  4ド・モルガンの法則
1(6) ∀x(Fx→~Gx) 5UI
従って、
(02)により、
① ∀x(Fx→ Gx)≡~∃x(Fx&~Gx)≡(Fであって、Gでないx)は存在しない≡GでないFは、存在しない(全部肯定)。
② ∀x(Fx→~Gx)≡~∃x(Fx& Gx)≡(Fであって、Gであるx)は存在しない≡GであるFは、存在しない(全部否定)。
然るに、
(03)
(c)
1 (1)~∀x(Fx→Gx) A
1 (2)∃x~(Fx→Gx) 1量化子の関係
 3(3)  ~(Fa→Ga) A
 3(4) ~(~Fa∨Ga) 3含意の定義
 3(5)   Fa&~Ga  4ド・モルガンの法則
 3(6)∃x(Fx&~Gx) 5EI
1 (7)∃x(Fx&~Gx) 136EE
(d)
1 (1)∃x(Fx&~Gx) A
 2(2)   Fa&~Ga  A
 2(3) ~(~Fa∨Ga) 2ド・モルガンの法則
 2(4)  ~(Fa→Ga) 3含意の定義
 2(5)∃x~(Fx→Gx) 4EI
1 (6)∃x~(Fx→Gx) 125EE
1 (7)~∀x(Fx→Gx) 6量化子の関係
従って、
(03)により、
(04)
③ ~∀x(Fx→ Gx)≡∃x(Fx&~Gx)≡(Fであって、Gでないx)が存在する≡GでないFが、存在する(部分否定)。
④ ~∀x(Fx→~Gx)≡∃x(Fx& Gx)≡(Fであって、Gであるx)が存在する≡GであるFが、存在する(部分肯定)。
従って、
(02)(04)により、
(05)
①  ∀x(Fx→ Gx)≡~∃x(Fx&~Gx)≡(Fであって、Gでないx)は存在しない≡GでないFは、存在しない(全部肯定)。
②  ∀x(Fx→~Gx)≡~∃x(Fx& Gx)≡(Fであって、Gであるx)は存在しない≡GであるFは、存在しない(全部否定)。
③ ~∀x(Fx→ Gx)≡ ∃x(Fx&~Gx)≡(Fであって、Gでないx)が存在する ≡GでないFが、存在する (部分否定)。
④ ~∀x(Fx→~Gx)≡ ∃x(Fx& Gx)≡(Fであって、Gであるx)が存在する ≡GであるFが、存在する (部分肯定)。
然るに、
(06)
「漢文の教科書」等で、取り上げられるのは、専ら、
②  ∀x(Fx→~Gx)≡~∃x(Fx& Gx)≡(Fであって、Gであるx)は存在しない≡GであるFは、存在しない(全部否定)。
③ ~∀x(Fx→ Gx)≡ ∃x(Fx&~Gx)≡(Fであって、Gでないx)が存在する ≡GでないFが、存在する (部分否定)。
である。
然るに、
(07)
② 勇者必不仁。⇔
② 勇者は必ず仁ならず。
といふことは、
② ∀x(勇者x→~仁x)⇔
② すべてのxについて(xが勇者であるならば、xは仁ではない)。
といふことに、他ならない。
(08)
③ 勇者不必仁。⇔
③ 勇者は必ずしも仁ならず。
といふことは、
③ ~∀x(勇者x→仁x)⇔
③ すべてのxについて(xが勇者であるならば、xは仁ではある)。といふわけではない。
といふことに、他ならない。
従って、
(07)(08)により、
(09)
② 勇者必不仁。 ≡ ∀x(勇者x→~仁x)≡~∃x(勇者x& 仁x)
③ 勇者不必仁。≡~∀x(勇者x→ 仁x)≡ ∃x(勇者x&~仁x)
といふ「等式」が、成立する。