(01)
① 象は、鼻は長い。
③ 象は鼻、は長い。
に於いて、「文節」として「正しい」のは、
① であって、
③ ではない。
従って、
(01)により、
(02)
① Pは、QはRである。
③ PはQ、はRである。
に於いて、「文節」として「正しい」のは、
① であって、
③ ではない。
従って、
(02)により、
(03)
① PはQはRである。
であるならば、
① Pは、QはRである。
といふ「区切り(文節)」はあっても、
③ PはQ、はRである。
といふ「区切り(文節)」はない。
然るに、
(04)
① Pは、QはRである。
③ PはQ、はRである。
といふ「日本語」は、
① Pならば、QならばRである。
③ PならばQ、ならばRである。
といふ風に、解することが、出来る。
然るに、
(05)
「ならば」は、「→(論理演算子)」であって、尚且つ、
括弧は、論理演算子のスコープ(scope)を明示する働きを持つ。スコープは、論理演算子の働きが及ぶ範囲のことをいう。
(産業図書、数理言語学辞典、2013年、四七頁:命題論理、今仁生美)
従って、
(04)(05)により、
(06)
① Pは、QはRである。
③ PはQ、はRである。
といふ「日本語」、すなはち、
① Pならば、QならばRである。
③ PならばQ、ならばRである。
といふ「日本語」は、
① P→(Q→R)
③(P→Q)→R
といふ風に、書くことが出来る。
然るに、
(07)
(ⅰ)
1 (1) P→(Q→R) A
2(2) P& Q A
2(3) P 2&E
12(4) Q→R 13MPP
2(5) Q 2&E
12(6) R 45MPP
1 (7)(P&Q)→R 26CP
(ⅱ)
1 (1) (P&Q)→R A
1 (2)~(P&Q)∨R 1含意の定義
3 (3)~(P&Q) A
3 (4)~P∨~Q 3ド・モルガンの法則
3 (5)~P∨~Q ∨R 4∨I
6 (6) R A
6 (7)~P∨~Q ∨R 6∨I
1 (8)~P∨~Q ∨R 23567∨I
1 (9)~P∨(~Q∨R) 8結合法則
1 (ア) P→(~Q∨R) 9含意の定義
イ(イ) P A
1 イ(ウ) (~Q∨R) アイMPP
1 イ(エ) Q→R ウ含意の定義
1 (オ) P→( Q→R) イエCP
(ⅲ)
1 (1) (P→Q)→R A
1 (2) ~(P→Q)∨R 1含意の定義
3 (3) ~(P→Q) A
4 (4) ~P∨Q A
4 (5) P→Q 4含意の定義
34 (6) ~(P→Q)&
(P→Q) 35&I
3 (7)~(~P∨Q) 46RAA
3 (8)~(~P∨Q)∨R 7∨I
5(9) R A
5(ア)~(~P∨Q)∨R 9∨I
1 (イ)~(~P∨Q)∨R 1385ア∨E
1 (ウ) (~P∨Q)→R イ含意の定義
(ⅳ)
1 (1)(~P∨Q)→R A
2(2) P→Q A
2(3) ~P∨Q 2含意の定義
12(4) R 13MPP
1 (5) (P→Q)→R 24CP
従って、
(07)により、
(08)
① P→(Q→R)
② (P&Q)→R
③ (P→Q)→R
④(~P∨Q)→R
に於いて、
①=② であって、
③=④ である。
然るに、
(09)
② (P&Q)→R
④(~P∨Q)→R
に於いて、すなはち、
②(Pであって、Qである)ならばRである。
④(Pでないか、Qである)ならばRである。
に於いて、
②=④ ではない。
従って、
(08)(09)により、
(10)
① P→(Q→R)
③(P→Q)→R
に於いて、すなはち、
① Pならば(QならばRである)。
③(PならばQ)ならばRである。
に於いて、
①=③ ではない。
従って、
(04)(10)により、
(11)
① Pは(QはRである)。
③(PはQ)はRである。
に於いて、
①=③ ではない。
従って、
(01)(02)(11)により、
(12)
① 象は鼻は長い。⇔
① 象は、鼻は長い。⇔
① 象は(鼻は長い)。
といふ「等式」が成立する。
従って、
(04)(05)(12)により、
(13)
① 象は(鼻は長い)。
といふ「日本語」に於いて、
① 象は の「意味」は、
① (鼻は長い)に、「及んでゐる(スコープしてゐる)」。
然るに、
(14)
① 鼻は長い。
に於いて、
① 鼻は の「意味」は、
① 長い に、「及んでゐる(スコープしてゐる)」。
従って、
(04)(13)(14)により、
(15)
① 鼻は(長い)。
である。
従って、
(12)~(15)により、
(16)
① 象は鼻は長い。
といふ「日本語」には、
① 象は{鼻は(長い)}。
といふ「括弧(スコープ)」があることになる。
然るに、
(17)
① 象は{鼻は(長い)}。
に於ける、
① 鼻は(長い)。
に於いて、
① 鼻は 「主語」であり、
① (長い)は 「述語」である。
従って、
(16)(17)により、
(18)
① 象は{鼻は(長い)}。
に於いて、
① 象は は「主語」であり、
① {鼻は(長い)}は 「述語」である。
従って、
(16)(17)(18)により、
(19)
① 象は鼻は長い。
といふ「日本語」には、
① 象は{鼻は(長い)}。
といふ「括弧(スコープ)」があるが故に、
① 象は鼻は長い。
といふ「日本語」は、「二重主語文」である。