日本語の「は」と「が」について。

象は鼻が長い=∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
とりあえず「三上文法」を「批判」します。

(630)「命題論理」と「象は鼻は長い」と「二重主語」。

2020-05-29 13:36:59 | 象は鼻は長い、論理学

(01)
① 象は、鼻は長い。
③ 象は鼻、は長い。
に於いて、「文節」として「正しい」のは、
① であって、
③ ではない。
従って、
(01)により、
(02)
① Pは、QはRである。
③ PはQ、はRである。
に於いて、「文節」として「正しい」のは、
① であって、
③ ではない。
従って、
(02)により、
(03)
① PはQはRである。
であるならば、
① Pは、QはRである。
といふ「区切り(文節)」はあっても、
③ PはQ、はRである。
といふ「区切り(文節)」はない
然るに、
(04)
① Pは、QはRである。
③ PはQ、はRである。
といふ「日本語」は、
① Pならば、QならばRである。
③ PならばQ、ならばRである。
といふ風に、解することが、出来る。
然るに、
(05)
「ならば」は、「→(論理演算子)」であって、尚且つ、
括弧は、論理演算子のスコープ(scope)を明示する働きを持つ。スコープは、論理演算子の働きが及ぶ範囲のことをいう。
(産業図書、数理言語学辞典、2013年、四七頁:命題論理、今仁生美)
従って、
(04)(05)により、
(06)
① Pは、QはRである。
③ PはQ、はRである。
といふ「日本語」、すなはち、
① Pならば、QならばRである。
③ PならばQ、ならばRである。
といふ「日本語」は、
① P→(Q→R)
③(P→Q)→R
といふ風に、書くことが出来る。
然るに、
(07)
(ⅰ)
1 (1) P→(Q→R) A
 2(2) P& Q    A
 2(3) P       2&E
12(4)    Q→R  13MPP
 2(5)    Q    2&E
12(6)      R  45MPP
1 (7)(P&Q)→R  26CP
(ⅱ)
1   (1) (P&Q)→R  A
1   (2)~(P&Q)∨R  1含意の定義
 3  (3)~(P&Q)    A
 3  (4)~P∨~Q     3ド・モルガンの法則
 3  (5)~P∨~Q ∨R  4∨I
  6 (6)       R  A
  6 (7)~P∨~Q ∨R  6∨I
1   (8)~P∨~Q ∨R  23567∨I
1   (9)~P∨(~Q∨R) 8結合法則
1   (ア) P→(~Q∨R) 9含意の定義
   イ(イ) P        A
1  イ(ウ)   (~Q∨R) アイMPP
1  イ(エ)     Q→R  ウ含意の定義
1   (オ) P→( Q→R) イエCP
(ⅲ)
1   (1)  (P→Q)→R A
1   (2) ~(P→Q)∨R 1含意の定義
 3  (3) ~(P→Q)   A
  4 (4)  ~P∨Q    A
  4 (5)   P→Q    4含意の定義
 34 (6) ~(P→Q)&
         (P→Q)   35&I
 3  (7)~(~P∨Q)   46RAA
 3  (8)~(~P∨Q)∨R 7∨I
   5(9)        R A
   5(ア)~(~P∨Q)∨R 9∨I
1   (イ)~(~P∨Q)∨R 1385ア∨E
1   (ウ) (~P∨Q)→R イ含意の定義
(ⅳ)
1 (1)(~P∨Q)→R A
 2(2)  P→Q    A
 2(3) ~P∨Q    2含意の定義
12(4)       R 13MPP
1 (5) (P→Q)→R 24CP
従って、
(07)により、
(08)
①   P→(Q→R)
② (P&Q)→R
③ (P→Q)→R
④(~P∨Q)→R
に於いて、
①=② であって、
③=④ である。
然るに、
(09)
② (P&Q)→R
④(~P∨Q)→R
に於いて、すなはち、
②(Pであって、Qである)ならばRである。
④(Pでないか、Qである)ならばRである。
に於いて、
②=④ ではない
従って、
(08)(09)により、
(10)
①  P→(Q→R)
③(P→Q)→R
に於いて、すなはち、
①  Pならば(QならばRである)。
③(PならばQ)ならばRである。
に於いて、
①=③ ではない
従って、
(04)(10)により、
(11)
① Pは(QはRである)。
③(PはQ)はRである。
に於いて、
①=③ ではない
従って、
(01)(02)(11)により、
(12)
① 象は鼻は長い。⇔
① 象は、鼻は長い。⇔
① 象は(鼻は長い)。
といふ「等式」が成立する。
従って、
(04)(05)(12)により、
(13)
① 象は(鼻は長い)。
といふ「日本語」に於いて、
① 象は の「意味」は、
①   (鼻は長い)に、「及んでゐる(スコープしてゐる)」。
然るに、
(14)
①    鼻は長い。
に於いて、
①    鼻は の「意味」は、
①           長い に、「及んでゐる(スコープしてゐる)」。
従って、
(04)(13)(14)により、
(15)
①    鼻は(長い)。
である。
従って、
(12)~(15)により、
(16)
① 象は鼻は長い。
といふ「日本語」には、
① 象は{鼻は(長い)}。
といふ「括弧(スコープ)」があることになる。
然るに、
(17)
① 象は{鼻は(長い)}。
に於ける、
①    鼻は(長い)。
に於いて、
①    鼻は 「主語」であり、
①      (長い)は 「述語」である。
従って、
(16)(17)により、
(18)
① 象は{鼻は(長い)}。
に於いて、
① 象は は「主語」であり、
①     {鼻は(長い)}は 「述語」である。
従って、
(16)(17)(18)により、
(19)
① 象は鼻は長い。
といふ「日本語」には、
① 象は{鼻は(長い)}。
といふ「括弧(スコープ)」があるが故に、
① 象は鼻は長い。
といふ「日本語」は、「二重主語文」である。