(01)
①{象の鼻、兎の鼻、馬の鼻}
②{象の耳、兎の耳、馬の耳}
③{象の耳、兎の耳、馬の耳}
であるならば、
① 鼻に関しては、象の鼻は長く、象以外(兎と馬)の鼻は長くはない。
② 耳に関しては、兎の耳は長く、兎以外(象と馬)の耳は長くはない。
③ 顏に関しては、馬の顔は長く、馬以外(象と兎)の顔は長くはない。
といふ「命題」は「真」である。
然るに、
(02)
① 鼻に関しては、象の鼻は長く、象以外(兎と馬)の鼻は長くはない。
② 耳に関しては、兎の耳は長く、兎以外(象と馬)の耳は長くはない。
③ 顏に関しては、馬の顔は長く、馬以外(象と兎)の顔は長くはない。
といふことは、要するに、
① 鼻は象が長い。
② 耳は兎が長い。
③ 顔は馬が長い。
といふ、ことである。
従って、
(01)(02)により、
(03)
「番号」を付け替へるとして、
① 鼻は象が長い。
② 鼻に関しては、象の鼻は長く、象以外(兎と馬)の鼻は長くはない。
に於いて、
①=② である。
然るに、
(04)
①{象の鼻、兎の鼻、馬の鼻}
②{象の耳、兎の耳、馬の耳}
③{象の耳、兎の耳、馬の耳}
といふ「3つの集合」ではなく、
①{象の鼻、兎の鼻、馬の鼻}
といふ「1つの集合」だけに「注目」するならば、
① 象の鼻が長い。
② 象の鼻は長く、象以外(兎と馬)の鼻は長くはない。
に於いて、
①=② である。
従って、
(01)~(04)により、
(05)
①{象、兎、馬}
といふ「集合」の、
①{象の鼻、兎の鼻、馬の鼻}
といふ「部分集合」に「注目」すれば、
① 象の鼻が長い。
といふことになり、
①{象、兎、馬}
といふ「集合」の、
①{象の鼻、兎の鼻、馬の鼻}
②{象の耳、兎の耳、馬の耳}
③{象の耳、兎の耳、馬の耳}
といふ「部分集合」に「注目」すれば、
② 鼻は象が長い。
といふことになる。
従って、
(06)
① 象の鼻が長い。
② 鼻は象が長い。
といふ「日本語」は、「命題」としては、両方とも、
③ 象の鼻は長く、象の鼻以外(兎の鼻、馬の鼻)は長くない。
といふ「意味」になる。
然るに、
(07)
① ∀y∃x{(象x&鼻yx)→長y&(~象x&鼻yx)→~長y}。
② ∀x∃y{(鼻xy&象y)→長x&(~象y&鼻xy)→~長x}。
といふ「述語論理」の「読み方(意味)」は、
① すべてのyとあるxについて{(xが象であって、yがxの鼻である)ならば、yは長く、(xが象でなくて、yがxの鼻である)ならば、yは長くない}。
② すべてのxとあるyについて{(xがyの鼻であって、yが象である)ならば、xは長く、(yが象でなくて、xがyの鼻である)ならば、xは長くない}。
となるものの、この場合は、「語順が異なる」だけで、「真理値」からすれば、
①=② である。
従って、
(06)(07)により、
(08)
① 象の鼻が長い。
② 鼻は象が長い。
といふ「日本語」は、それぞれ、
① ∀y∃x{(象x&鼻yx)→長y&(~象x&鼻yx)→~長y}。
② ∀x∃y{(鼻xy&象y)→長x&(~象y&鼻xy)→~長x}。
といふ「述語論理式」に、「対応」する。
然るに、
(09)
1 (1)∀y∃x{(象x&鼻yx)→長y&(~象x&鼻yx)→~長y} A
1 (2) ∃x{(象x&鼻bx)→長b&(~象x&鼻bx)→~長b} 1UE
3 (3) (象a&鼻ba)→長b&(~象a&鼻ba)→~長b A)
3 (4) (~象a&鼻ba)→~長b 3&E
5 (5) ∀x{(兎x→~象x)&∃y(鼻yx)} A
5 (6) (兎a→~象a)&∃y(鼻ya) 5UE
5 (7) 兎a→~象a 6&E
5 (8) ∃y(鼻ya) 6&E
9 (9) 鼻ba A
ア (ア) 兎a A
5 ア (イ) ~象a 7アMPP
59ア (ウ) ~象a&鼻ba 9イ&I
359ア (エ) ~長b 4ウMPP
359ア (オ) 鼻ba&~長b 9エ&I
359ア (カ) ∃y(鼻ya&~長b) オEI
35 ア (キ) ∃y(鼻ya&~長b) 89カEE
35 (ク) 兎a→∃y(鼻ya&~長b) アキCP
1 5 (ケ) 兎a→∃y(鼻ya&~長b) 23クEE
コ (コ) ∃x{兎x&∀y(鼻yx→ 長y)} A
サ (サ) 兎a&∀y(鼻ya→ 長y) A
サ (シ) 兎a サ&E
サ (ス) ∀y(鼻ya→ 長y) サ&E
サ (セ) 鼻ba→ 長b スUE
1 5 サ (ソ) ∃y(鼻ya&~長b) ケシMPP
タ(タ) 鼻ba&~長b A
タ(チ) 鼻ba タ&E
タ(ツ) ~長b タ&E
サタ(テ) 長b セチMPP
サタ(ト) ~長b&長b ツテ&I
1 5 サ (ナ) ~長b&長b ソタトEE
1 5 コ (ニ) ~長b&長b コサナEE
1 5 (ヌ) ~∃x{兎x&∀y(鼻yx→長y)} コニRAA
従って、
(09)により、
(10)
(ⅰ)∀y∃x{(象x&鼻yx)→長y&(~象x&鼻yx)→~長y}。然るに、
(ⅱ) ∀x{(兎x→~象x)&∃y(鼻yx)}。従って、
(ⅲ) ~∃x{ 兎x&∀y(鼻yx→長y)}。
といふ『推論』、すなはち、
(ⅰ)すべてのyとあるxについて{(xが象であって、yがxの鼻である)ならば、yは長く、(xが象でなくて、yがxの鼻である)ならば、yは長くない}。然るに、
(ⅱ) すべてのxについて{(xが兎であるならば、xは象ではなく)、あるyは(xの鼻である)}。従って、
(ⅲ) あるxが{ 兎であって、すべてのyについて、(yがxの鼻ならば、yは長い)}といふことはない。
といふ『推論』、すなはち、
(ⅰ)象の鼻が長い。然るに、
(ⅱ)兎は象ではないが、兎には鼻がある。従って、
(ⅲ)兎の鼻が長い、といふことはない。
といふ『推論』は、「妥当」である。
従って、
(07)~(10)により、
(11)
(ⅰ)鼻は象が長い。然るに、
(ⅱ)兎は象ではないが、兎には鼻がある。従って、
(ⅲ)兎の鼻が長い、といふことはない。
といふ『推論』も、「妥当」である。
(01)
(ⅰ)象は鼻が長い。然るに、
(ⅱ)兎は耳は長い。従って、
(ⅲ)兎は象ではない。
といふ『推論』は、「妥当」である。
然るに、
(02)
(ⅰ)象といふ動物のパーツ(部分)の中では、鼻は長く、 鼻以外は長くない。 然るに、
(ⅱ)兎といふ動物のパーツ(部分)の中では、耳は長いが、兎の耳は鼻ではない。従って、
(ⅲ)象が、兎であると「仮定」すると「矛盾」する。従って、
(〃)兎は象ではない。
といふ『推論(背理法)』は、「妥当」である。
従って、
(01)(02)により、
(03)
(ⅰ)象といふ動物のパーツ(部分)の中では、鼻は長く、 鼻以外は長くない。 然るに、
(ⅱ)兎といふ動物のパーツ(部分)の中では、耳は長いが、兎の耳は鼻ではない。従って、
(ⅲ)象が、兎であると「仮定」すると「矛盾」する。従って、
(〃)兎は象ではない。
といふ「推論(背理法)」が「妥当」であるが故に、
(ⅰ)象は鼻が長い。然るに、
(ⅱ)兎は耳は長い。従って、
(ⅲ)兎は象ではない。
といふ『推論』は、「妥当」である。
然るに、
(04)
1 (1) ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)} A
2 (2) ∀x{兎x→∃z(耳zx&~鼻zx&長z)} A
3 (3) ∃x(象x&兎x) A
1 (4) 象a→∃y(鼻ya&長y)&∀z(~鼻za→~長z) 1UE
2 (5) 兎a→∃z(耳za&~鼻za&長z) 2UE
6 (6) 象a&兎a A
6 (7) 象a 6&E
6 (8) 兎a 6&E
1 6 (9) ∃y(鼻ya&長y)&∀z(~鼻za→~長z) 47MPP
1 6 (ア) ∀z(~鼻za→~長z) 9&E
1 6 (イ) ~鼻ba→~長b アUE
2 6 (ウ) ∃z(耳za&~鼻za&長z) 58MPP
エ (エ) 耳ba&~鼻ba&長b A
エ (オ) ~鼻ba エ&E
エ (カ) 長b エ&E
1 6エ (キ) ~長b イオMPP
1 6エ (ク) 長b&~長b カキ&I
12 6 (ケ) 長b&~長b ウエクEE
123 (コ) 長b&~長b 36ケEE
12 (サ)~∃x(象x& 兎x) 3コRAA
シ (シ) ~(象a→~兎a) A
シ (ス) ~(~象a∨~兎a) シ含意の定義
シ (セ) 象a& 兎a ス、ド・モルガンの法則
シ (ソ) ∃x(象x& 兎x) セEI
12 シ (タ)~∃x(象x& 兎x)&∃x(象x& 兎x) サソ&I
12 (チ) ~~(象a→~兎a) シタRAA
12 (ツ) (象a→~兎a) チDN
テ(テ) 兎a A
テ(ト) ~~兎a テDN
12 テ(ナ) ~象a ツトMTT
12 (ニ) 兎a→~象a テナCP
12 (ヌ) ∀x(兎x→~象x) ニUI
従って、
(04)により、
(05)
(ⅰ)∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。然るに、
(ⅱ)∀x{兎x→∃z(耳zx&~鼻zx&長z)}。従って、
(ⅲ)∀x(兎x→~象x)。
といふ『推論』、すなはち、
(ⅰ)すべてのxについて{xが象であるならば、あるyは(xの鼻であって、長く)、すべてのzについて(zがxの鼻ではないならば、zは長くない)}。然るに、
(ⅱ)すべてのxについて{xが兎であるならば、あるzは(xの鼻ではないが、zは長い)}。従って、
(ⅲ)すべてのxについて(xが兎であるならば、xは象ではない)。
といふ『推論』、すなはち、
(ⅰ)象といふ動物のパーツ(部分)の中では、鼻は長く、 鼻以外は長くない。 然るに、
(ⅱ)兎といふ動物のパーツ(部分)の中では、耳は長いが、兎の耳は鼻ではない。従って、
(ⅲ)象が、兎であると「仮定」すると「矛盾」する。従って、
(ⅳ)兎は象ではない。
といふ『推論』は「妥当」である。
従って、
(01)~(05)により、
(06)
(ⅰ)象は鼻が長い。然るに、
(ⅱ)兎は耳は長い。従って、
(ⅲ)兎は象ではない。
といふ『推論』が、「妥当」であるならば、
(ⅰ)象といふ動物のパーツ(部分)の中では、鼻は長く、 鼻以外は長くない。 然るに、
(ⅱ)兎といふ動物のパーツ(部分)の中では、耳は長いが、兎の耳は鼻ではない。従って、
(ⅲ)象が、兎であると「仮定」すると「矛盾」する。従って、
(〃)兎は象ではない。
といふ『推論』は、「妥当」であり、
(ⅰ)象といふ動物のパーツ(部分)の中では、鼻は長く、 鼻以外は長くない。 然るに、
(ⅱ)兎といふ動物のパーツ(部分)の中では、耳は長いが、兎の耳は鼻ではない。従って、
(ⅲ)象が、兎であると「仮定」すると「矛盾」する。従って、
(〃)兎は象ではない。
といふ『推論』が、「妥当」であるならば、
(ⅰ)∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。然るに、
(ⅱ)∀x{兎x→∃z(耳zx&~鼻zx&長z)}。従って、
(ⅲ)∀x(兎x→~象x)。
といふ『推論』は、「妥当」である。
従って、
(01)(06)により、
(07)
(ⅰ)象は鼻が長い。然るに、
(ⅱ)兎は耳は長い。従って、
(ⅲ)兎は象ではない。
といふ『推論』は、
(ⅰ)∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。然るに、
(ⅱ)∀x{兎x→∃z(耳zx&~鼻zx&長z)}。従って、
(ⅲ)∀x(兎x→~象x)。
といふ『推論』に「他ならない」。
従って、
(07)により、
(08)
① 象は鼻が長い。
② ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
に於いて、
①=② である。
従って、
(08)により、
(09)
② 象は鼻が長い動物である。
③ ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)&動物x}。
③ すべてのxについて{xが象であるならば、あるyは(xの鼻であって、長く)、すべてのzについて(zがxの鼻ではないならば、zは長くなく)、その上、xは動物である}。
に於いて、
②=③ である。
従って、
(09)により、
(10)
③ 象は動物である。
④ ∀x{象x→動物x}。
④ すべてのxについて{xが象であるなら、xは動物である}。
に於いて、
③=④ である。
従って、
(09)(10)により、
(11)
「番号」を付け直すとして、
① 象は動物である。
② 象は鼻が長い。
③ 象は鼻が長い動物である。
といふ「日本語」は、それぞれ、
① ∀x{象x→動物x}。
② ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
③ ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)&動物x}。
といふ「述語論理式」に「対応」する。
然るに、
(11)により、
(12)
① 象は動物である。
② 象は鼻が長い。
③ 象は鼻が長い動物である。
といふ「日本語」に於ける、
① 象は
② 象は
③ 象は
といふ「主語(主辞)」は、3つとも、「述語論理的」には、
① ∀x{象x→
② ∀x{象x→
③ ∀x{象x→
であって、「区別」は無い。
従って、
(13)
① 象は動物である。
に於ける、
① 象は が「主語」であるならば、
① 象は動物である。
② 象は鼻が長い。
③ 象は鼻が長い動物である。
といふ「日本語」に於ける、
① 象は
② 象は
③ 象は
は、3つとも、「主語(主辞)」である。
然るに、
(14)
「象は鼻が長い」はどれが主辞がわからないから、このままでは非論理的な構造の文である、と言う人がもしあった(沢田『入門』二九ペ)とすれば、その人は旧『論理学』を知らない人であろう、これはこのままで、
象は 鼻が長い。
主辞 賓辞
とはっきりしている。速水式に簡単明リョウである。意味も、主辞賓辞の関係も小学生にもわかるはずの文である。これに文句をつけたり、それを取り次いだりするのは、人々が西洋文法に巻かれていることを語る以外の何物でもない。このまま定理扱いしてもよろしい。そしてこの定理の逆は真でないとして、鼻の長いもの例に、鞍馬山の天狗だの、池の尾の禅珍内供だのを上げるのも一興だろう。それでおしまいである(三上章、日本語の論理、1963年、13・14頁)。
従って、
(13)(14)により、
(15)
三上章 による、
象は 鼻が長い。
主辞 賓辞
とはっきりしている。 といふ「意見」は、「述語論理的」には、「正しい」。
然るに、
(16)
といふ「タイトル」が示してゐる通り、に、三上章先生は、固より、「(日本語に於ける)主語」といふモノを、認めない。
(01)
①{象の鼻、兎の鼻、馬の鼻}
②{象の耳、兎の耳、馬の耳}
③{象の耳、兎の耳、馬の耳}
であるならば、
① 鼻に関しては、象の鼻は長く、象以外(兎と馬)の鼻は長くはない。
② 耳に関しては、兎の耳は長く、兎以外(象と馬)の耳は長くはない。
③ 顏に関しては、馬の顔は長く、馬以外(象と兎)の顔は長くはない。
といふ「命題」は「真」である。
然るに、
(02)
① 鼻に関しては、象の鼻は長く、象以外(兎と馬)の鼻は長くはない。
② 耳に関しては、兎の耳は長く、兎以外(象と馬)の耳は長くはない。
③ 顏に関しては、馬の顔は長く、馬以外(象と兎)の顔は長くはない。
といふことは、要するに、
① 鼻は象が長い。
② 耳は兎が長い。
③ 顔は馬が長い。
といふ、ことである。
従って、
(01)(02)により、
(03)
「番号」を付け替へるとして、
① 鼻は象が長い。
② 鼻に関しては、象の鼻は長く、象以外(兎と馬)の鼻は長くはない。
に於いて、
①=② である。
然るに、
(04)
1 (1)∀x∃y{(鼻xy&象y)→長x&(~象y&鼻xy)→~長x} A
1 (2) ∃y{(鼻ay&象y)→長a&(~象y&鼻ay)→~長a} 1UE
3 (3) (鼻ab&象b)→長a&(~象b&鼻ab)→~長a A
3 (4) (~象b&鼻ab)→~長a 3&E
5 (5) ∀y{(兎y→~象y)&∃x(鼻xy)} A
5 (6) (兎b→~象b)&∃x(鼻xb) 5UE
5 (7) 兎b→~象b 6&E
8 (8) 兎b A
58 (9) ~象b 78MPP
5 (ア) ∃x(鼻xb) 6&E
イ (イ) 鼻ab A
58イ (ウ) ~象b&鼻ab 9イ&I
358イ (エ) ~長a 4ウMPP
358イ (オ) 鼻ab&~長a イエ&I
358イ (カ) ∃x(鼻xb&~長x) オEI
358 (キ) ∃x(鼻xb&~長x) アイカEE
35 (ク) 兎b→∃x(鼻xb&~長x) 8キCP
1 5 (ケ) 兎b→∃x(鼻xb&~長x) 23クEE
コ (コ) ∃y{兎y&∀x(鼻xy→ 長x)} A
サ (サ) 兎b&∀x(鼻xb→ 長x) A
サ (シ) 兎b シ&E
1 5 サ (ス) ∃x(鼻xb&~長x) ケシMPP
サ (セ) ∀x(鼻xb→ 長x) サ&E
ソ(ソ) 鼻ab&~長a A
サ (タ) 鼻ab→ 長a セUE
ソ(チ) 鼻ab ソ&E
サソ(ツ) 長a タチMPP
ソ(テ) ~長a ソ&E
サソ(ト) 長a&~長a ツテ&I
1 5 サ (ナ) 長a&~長a サソトEE
1 5 コ (ニ) 長a&~長a コサナEE
1 5 (ヌ) ~∃y{兎y&∀x(鼻xy→ 長x)} コニRAA
従って、
(04)により、
(05)
(ⅰ)∀x∃y{(鼻xy&象y)→長x&(~象y&鼻xy)→~長x}。然るに、
(ⅱ) ∀y{(兎y→~象y)&∃x(鼻xy)}。従って、
(ⅲ) ~∃y{ 兎y&∀x(鼻xy→ 長x)}。
といふ『推論』、すなはち、
(ⅰ)すべてのxとあるyについて{(xがyの鼻であって、yが象である)ならば、xは長く、(yが象でなくて、xがyの鼻である)ならば、xは長くない}。然るに、
(ⅱ) すべてのyについて{(yが兎であるならば、yは象ではなく)、あるxは(yの鼻である)}。従って、
(ⅲ) すべてのyについて{ yが兎であるならば、あるxは(yの鼻であって、長くない)}。
(ⅲ) あるyは{ 兎であって、(xがyの鼻ならば、xは長い)}といふそのやうなyは存在しない。
といふ『推論』、すなはち、
(ⅰ)鼻は象が長く、象以外の鼻は長くない。然るに、
(ⅱ)兎は象ではないが、兎には鼻がある。 従って、
(ⅲ)鼻の長い兎はゐない。
といふ『推論』は「妥当」である。
然るに、
(01)(05)により、
(06)
① 鼻に関しては、象の鼻は長く、象以外(兎と馬)の鼻は長くはない。
② 耳に関しては、兎の耳は長く、兎以外(象と馬)の耳は長くはない。
③ 顏に関しては、馬の顔は長く、馬以外(象と兎)の顔は長くはない。
といふ「命題」は「真」である。
といふことからすれば、
(ⅰ)鼻は象が長く、象以外の鼻は長くない。
(ⅱ)兎は象ではないが、兎には鼻がある。
(ⅲ)鼻の長い兎はゐない。
といふ「命題」は「真」である。
従って、
(01)~(06)により、
(07)
「番号」を付け替へるとして、
① 鼻は象が長い。
② 鼻に関しては、象の鼻は長く、象以外の鼻は長くはない。
③ ∀x∃y{(鼻xy&象y)→長x&(~象y&鼻xy)→~長x}。
④ すべてのxとあるyについて{(xがyの鼻であって、yが象である)ならば、xは長く、(yが象でなくて、xがyの鼻である)ならば、xは長くない}。
に於いて、
①=②=③=④ である。
然るに、
(08)
(ⅰ)論理式または命題関数において、量記号が現れる任意の箇所の作用範囲(スコープ)は、問題になっている変数が現れる少なくとも2つの箇所を含むであろう(その1つの箇所は量記号そのもののなかにある);
(論理学初歩、E.J.レモン、竹尾 治一郎・浅野 楢英 訳、1973年、183頁改)
然るに、
(07)(08)により、
(09)
③ ∀x∃y{(鼻xy&象y)→長x&(~象y&鼻xy)→~長x}。
に於いて、
③ ∀xと、 鼻x の「作用範囲(スコープ」は、
③ ∃y{(鼻xy&象y)→長x&(~象y&鼻xy)→~長x}。
であるものの、このことは、
① 鼻は(象が長い)。
に於ける、
① 鼻は の「作用範囲(スコープ」が、
① (象が長い)
であるといふことを、「示してゐる」。
然るに、
(10)
これに対して三上は、日本語には主語はない、とする。「象は」は、テーマを提示する主題であり、これから象についてのことを述べますよというメンタルスペースのセットアップであり、そのメンタルスペースのスコープを形成する働きをもつと主張する(この場合は「長い」までをスコープとする)〔三上文法! : wrong, rogue and log〕。
従って、
(09)(10)により、
(11)
「象は」は、テーマを提示する主題であり、これから象についてのことを述べますよというメンタルスペースのセットアップであり、そのメンタルスペースのスコープを形成する働きをもつと主張する。
といふ「説明」は、「必ずしも、マチガイ」ではない。
然るに、
(12)
三上章は、おそらく、
① 鼻は象が長い。
② 鼻に関しては、象の鼻は長く、象以外の鼻は長くはない。
③ ∀x∃y{(鼻xy&象y)→長x&(~象y&鼻xy)→~長x}。
④ すべてのxとあるyについて{(xがyの鼻であって、yが象である)ならば、xは長く、(yが象でなくて、xがyの鼻である)ならば、xは長くない}。
に於いて、
①=②=③=④ である。
といふことに、「気付いてゐない」し、「主語であること」と、「主題であることは」は、「必ずしも、矛盾」しない。
(13)
「象であること」と「動物であること」は、もちろん、「矛盾」しないものの、私には、「三上章の説明」は、
「象ではなくて、動物である(動物であるから、象ではない)」。
といふ「論法」と「ほとんど同じ」であるように、思へて、ならない。
(01)
「象は鼻が長い。」という文の主語に関する話題です。皆様はいかがお考えでしょうか、この文の主語は「象」だと思われますか、「鼻」だと思われますか。非常に簡単な文ではあるのですが、実はこの文は大正時代から文法的な論争が繰り返されていて、現時点でも明確な結論が出ていない問題なのです。歴史で邪馬台国のあった場所が「畿内説」「九州説」に分かれて議論が繰り返されているのと同じような印象を持っています(象は鼻が長い - 早稲田アカデミー)。
然るに、
(02)
― 何年もの間、繰り返し書いてゐるものの、―
(1)∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}
(2)∀x{兎x→∃z(耳zx&~鼻zx&長z)}
(3)∃x(象x&兎x)
といふ「論理式(Well formed formulae)」は、「日本語」に「翻訳」すると、
(1)すべてのxについて{xが象であるならば、あるyは(xの鼻であって、長く)、すべてのzについて(zがxの鼻ではないならば、zは長くない)}。
(2)すべてのxについて{xが兎であるならば、あるzは(xの鼻ではなくて、zは長い)}。
(3) あるxについて(xは象であって、xは兎である)。
といふ「意味」である。
然るに、
(03)
次の「計算(Predicate calculus)」は、「妥当」である。
1 (1) ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)} A
2 (2) ∀x{兎x→∃z(耳zx&~鼻zx&長z)} A
3 (3) ∃x(象x&兎x) A
1 (4) 象a→∃y(鼻ya&長y)&∀z(~鼻za→~長z) 1UE
2 (5) 兎a→∃z(耳za&~鼻za&長z) 2UE
6 (6) 象a&兎a A
6 (7) 象a 6&E
6 (8) 兎a 6&E
1 6 (9) ∀z(~鼻za→~長z) 47MPP
1 6 (ア) ~鼻ba→~長b 9UI
2 6 (イ) ∃z(耳za&~鼻za&長z) 58MPP
ウ (ウ) 耳ba&~鼻ba&長b A
ウ (エ) ~鼻ba ウ&E
ウ (オ) 長b ウ&E
1 6ウ (カ) ~長b アエMPP
1 6ウ (キ) 長b&~長b オカ&I
12 6 (ク) 長b&~長b イウキEE
123 (ケ) 長b&~長b 36クEE
12 (コ)~∃x(象x&兎x) 3ケRAA
従って、
(03)により、
(04)
(1)∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。然るに、
(2)∀x{兎x→∃z(耳zx&~鼻zx&長z)}。従って、
(コ)~∃x(象x&兎x)。
といふ「推論」は、「妥当」である。
然るに、
(05)
(ⅰ)
1 (1)~∃x(象x& 兎x) A
2 (2) 象a& 兎a A
2 (3) ∃x(象x& 兎x) 2EI
12 (4)~∃x(象x& 兎x)&
∃x(象x& 兎x) 13&I
1 (5) ~(象a& 兎a) 24RAA
6 (6) 象a A
7 (7) 兎a A
67 (8) 象a& 兎a 67&I
1 67 (9) ~(象a& 兎a)&
(象a& 兎a) 58&I
1 6 (ア) ~兎a 79RAA
1 (イ) 象a→~兎a 6アCP
1 (ウ) ∀x(象x→~兎x) 1UI
(ⅱ)
1 (1) ∀x(兎x→~象x) A
2 (2) ∃x(象x& 兎x) A
1 (3) 兎a→~象a 1UE
4 (4) 象a& 兎a A
4 (5) 兎a 4&E
1 4 (6) ~象a 35MPP
4 (7) 象a 4&E
1 4 (8) 象a&~象a 67&I
4 (9)~∀x(兎x→~象x) 18RAA
2 (ア)~∀x(兎x→~象x) 249EE
12 (イ) ∀x(兎x→~象x)&
~∀x(兎x→~象x) 1ア&I
1 (ウ)~∃x(象x& 兎x) 2イRAA
従って、
(05)により、
(06)
① ~∃x(象x& 兎x)
② ∀x(象x→~兎x)
に於いて、すなはち、
① (象であって、兎であるといふ、そのやうなx)は存在しない。
② すべてのxについて(xが象であるならば、xは兎ではない)。
に於いて、
①=② である。
従って、
(03)~(06)により、
(07)
1 (1) ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)} A
2 (2) ∀x{兎x→∃z(耳zx&~鼻zx&長z)} A
3 (3) ∃x(象x&兎x) A
1 (4) 象a→∃y(鼻ya&長y)&∀z(~鼻za→~長z) 1UE
2 (5) 兎a→∃z(耳za&~鼻za&長z) 2UE
6 (6) 象a&兎a A
6 (7) 象a 6&E
6 (8) 兎a 6&E
1 6 (9) ∀z(~鼻za→~長z) 47MPP
1 6 (ア) ~鼻ba→~長b 9UI
2 6 (イ) ∃z(耳za&~鼻za&長z) 58MPP
ウ (ウ) 耳ba&~鼻ba&長b A
ウ (エ) ~鼻ba ウ&E
ウ (オ) 長b ウ&E
1 6ウ (カ) ~長b アエMPP
1 6ウ (キ) 長b&~長b オカ&I
12 6 (ク) 長b&~長b イウキEE
123 (ケ) 長b&~長b 36クEE
12 (コ)~∃x(象x&兎x) 3ケRAA
12 (サ)∀x~(象x&兎x) コ量化子の関係
12 (シ) ~(象a&兎a) サUE
ス (ス) 象a A
セ(セ) 兎a A
スセ(ソ) 象a&兎a スセ&I
12 スセ(タ) ~(象a&兎a)&(象a&兎a) シソ&I
12 ス (チ) ~兎a セタRAA
12 (ツ) 象a→~兎a スチCP
12 (テ)∀x(象x→~兎x) ツUI
といふ『計算(Predicate calculus)』は、「妥当」であるものの、この『計算』を、『計算(07)』とする。
従って、
(07)により、
(08)
(1)象は鼻が長い。
(2)兎は鼻ではなく、耳が長い。
(3)象は兎ではない。
といふ「日本語」が、
(1)∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}
(2)∀x{兎x→∃z(耳zx&~鼻zx&長z)}
(3)∀x(象x→~兎x)
といふ「意味」、すなはち、
(1)すべてのxについて{xが象であるならば、あるyは(xの鼻であって、長く)、すべてのzについて(zがxの鼻ではないならば、zは長くない)}。
(2)すべてのxについて{xが兎であるならば、あるzは(xの鼻ではないが、zは長い)}。
(3)すべてのxについて(xが象であるならば、xは兎ではない)。
といふ「意味」であるならば、そのときに限って、
(1)象は鼻が長い。 然るに、
(2)兎は鼻ではなく、耳が長い。従って、
(3)象は兎ではない。
といふ『推論』は、「妥当」である。
然るに、
(09)
沢田充茂の『現代論理学入門』(一九六ニ年)には楽しい解説が載っています。
・・・・・・たとえば「象は鼻が長い」というような表現は、象が主語なのか、鼻が主語なのかはっきりしないから、このままではその論理的構造が明示されていない。いわば非論理的な文章である、というひともある。しかしこの文の論理的な構造をはっきりと文章にあらわして「すべてのxについて、もしそのxが象であるならば、yなるものが存在し、そのyは鼻であり、xはyを所有しており、このyは長い」といえば・・・・・・たとえば動物園で象をはじめて見た小学生が、父親にむかってこのような文章で話しかけたとすれば、その子供は論理的であるといって感心されるまえに社会人としての常識をうたがわれるにきまっている。常識(すなはち共通にもっている情報)でわかっているものはいちいち言明の中にいれないで、いわば暗黙の了解事項として、省略し、できるだけ短い記号の組み合せで、できるだけ多くの情報を伝えることが日常言語の合理性の一つである。・・・・・・
(山崎紀美子、日本語基礎講座―三上文法入門、2003年、214頁)
然るに、
(09)により、
(10)
(1)すべてのxについて、もしそのxが象であるならば、yなるものが存在し、そのyは鼻であり、xはyを所有しており、このyは長い。
といふことは、
(1)すべてのxについて{xが象であるならば、あるyは(xの鼻であって、長い)}。
といふことであり、
(1)すべてのxについて{xが象であるならば、あるyは(xの鼻であって、長い)}。
といふことは、
(1)∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)}。
といふ「論理式」に相当し、
(1)∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
といふ「論理式」には、相当しない。
従って、
(08)(09)(10)により、
(11)
沢田先生による、
(1)∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)}。然るに、
(2)兎は鼻ではなく、耳が長い。従って、
(3)象は兎ではない。
といふ『推論』は、
(1)が「誤訳」であるが故に、「妥当」ではなく、
私による、
(1)∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。然るに、
(2)兎は鼻ではなく、耳が長い。従って、
(3)象は兎ではない。
といふ『推論』こそが、「妥当」である。
従って、
(07)(11)により、
(12)
沢田先生が、
(1)象は鼻が長い。 然るに、
(2)兎は鼻ではなく、耳が長い。従って、
(3)象は兎ではない。
といふ『推論』を「妥当」とするのであれば、沢田先生は、
(1)象は鼻が長い。
といふ「日本語」を、
(1)∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}
といふ風に、「翻訳」せざるを得ない。
然るに、
(07)(12)により、
(13)
(1)象は鼻が長い。 然るに、
(2)兎は鼻ではなく、耳が長い。従って、
(3)象は兎ではない。
といふ『推論』が「妥当」でないはずが無いし、『計算(07)』も「妥当」でないはずが無い。
従って、
(02)~(13)により、
(14)
① 象は鼻が長い。
② ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
③ すべてのxについて{xが象であるならば、あるyは(xの鼻であって、長く)、すべてのzについて(zがxの鼻ではないならば、zは長くない)}。
に於いて、
①=②=③ であって、尚且つ、
④ 象は兎ではない。
⑤ ∀x(象x→~兎x)。
⑥ すべてのxについて(xが象であるならば、xは兎ではない)。
に於いて、
④=⑤=⑥ である。
従って、
(14)により、
(15)
① 象は鼻が長い。
④ 象は兎ではない。
に於ける、
① 象は
④ 象は
は、両方とも、
② ∀x{象x→
⑤ ∀x(象x→
といふ「意味」、すなはち、
③ すべてのxについて{xが象であるならば、
⑥ すべてのxについて(xが象であるならば、
といふ「意味」になる。
然るに、
(16)
② ∀x{象x→P}
⑤ ∀x(象x→Q}
といふ「論理式」は、「形式として、正しい」。
然るに、
(17)
② ∀x{象x→P}
⑤ ∀x(象x→Q}
に於いて、
② P=∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)
⑤ Q=~兎x
といふ「代入(substitution)」を行った「結果」が、それぞれ、
② ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
⑤ ∀x(象x→~兎x)。
である、といふ風に、「解すること」が出来る。
然るに、
(18)
これに対して三上は、日本語には主語はない、とする。「象は」は、テーマを提示する主題であり、これから象についてのことを述べますよというメンタルスペースのセットアップであり、そのメンタルスペースのスコープを形成する働きをもつと主張する(この場合は「長い」までをスコープとする)〔三上文法! : wrong, rogue and log〕。
(19)
③ すべてのxについて{xが象であるならば、
⑥ すべてのxについて(xが象であるならば、
といふ「言ひ方」は、
③ これから象についてのことを述べますよ。
⑥ これから象についてのことを述べますよ。
といふ「言ひ方」に、「ほとんど、等しい」。
然るに、
(20)
一階述語論理は、数学のほぼ全領域を形式化するのに十分な表現力を持っている。実際、現代の標準的な集合論の公理系 ZFC は一階述語論理を用いて形式化されており、数学の大部分はそのように形式化された ZFC の中で行うことができる。すなわち、数学の命題は一階述語論理の論理式によって記述することができ、そのように論理式で記述された数学の定理には ZFC の公理からの形式的証明 (formal proof) が存在する。このことが一階述語論理が重要視される理由の一つである。この他にペアノ算術のように単独で形式化する理論もある(ウィキペディア)。
従って、
(14)~(20)により、
(21)
「英語」ではなく、
② ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
⑤ ∀x(象x→~兎x)。
といふ「数学語(普遍語)」を「基準」にするならば、
① 象は鼻が長い。
④ 象は兎ではない。
に於ける、
① 象は
④ 象は
に、「区別」は無い。
従って、
(01)(21)により、
(22)
「常識(習慣)」として、
④ 象は兎ではない。
に於ける「象は」が、「主語」であるならば、
① 象は鼻が長い。
に於ける「象は」も、「主語」である。
(01)
1 (1)∀x∃y{(鼻xy&象y)→長x&(~象y&鼻xy)→~長x} A
1 (2) ∃y{(鼻ay&象y)→長a&(~象y&鼻ay)→~長a} 1UE
3 (3) (鼻ab&象b)→長a&(~象b&鼻ab)→~長a A
3 (4) (~象b&鼻ab)→~長a 3&E
5 (5) ∀y{兎y→~象y&∃x(鼻xy)} A
5 (6) 兎b→~象b&∃x(鼻xb) UE
7 (7) 兎b A
57 (8) ~象b&∃x(鼻xb) 67MPP
57 (9) ~象b 8&E
57 (ア) ∃x(鼻xb) 8&E
イ(イ) 鼻ab A
57イ(ウ) ~象b&鼻ab 9イ&I
357イ(エ) ~長a 4ウMPP
357イ(オ) 鼻ab&~長a イエ&I
357イ(カ) ∃x(鼻xb&~長x) オEI
357 (キ) ∃x(鼻xb&~長x) アイカEE
35 (ク) 兎b→∃x(鼻xb&~長x) 7キCP
1 5 (ケ) 兎b→∃x(鼻xb&~長x) 23クEE
1 5 (コ) ∀y{兎y→∃x(鼻xy&~長x)} ケUI
従って、
(01)により、
(02)
(ⅰ)∀x∃y{(鼻xy&象y)→長x&(~象y&鼻xy)→~長x}。然るに、
(ⅱ) ∀y{ 兎y→~象y&∃x(鼻xy)}。従って、
(ⅲ) ∀y{ 兎y→∃x(鼻xy&~長x)}。
といふ『推論』、すなはち、
(ⅰ)すべてのxとあるyについて{(xがyの鼻であって、yが象である)ならば、xは長く、(yが象でなくて、xがyの鼻である)ならば、xは長くない}。然るに、
(ⅱ) すべてのyについて{ yが兎であるならば、yは象ではなく、あるxは(yの鼻である)}。従って、
(ⅲ) すべてのyについて{ yが兎であるならば、あるxは(yの鼻であって、長くない)}。
といふ『推論』は「妥当」である。
然るに、
(03)
1 (1)∀x∃y{(鼻xy&象y)→長x&(~象y&鼻xy)→~長x} A
1 (2) ∃y{(鼻ay&象y)→長a&(~象y&鼻ay)→~長a} 1UE
3 (3) (鼻ab&象b)→長a&(~象b&鼻ab)→~長a A
3 (4) (鼻ab&象b)→長a 3&E
5 (5) ∀y{兎y→∃x(鼻xy&~長x)} A
5 (6) 兎b→∃x(鼻xb&~長x) 5UE
7 (7) 兎b A
57 (8) ∃x(鼻xb&~長x) 67MPP
9(9) 鼻ab&~長a A
9(ア) 鼻ab 9&E
9(イ) ∃x(鼻xb) 9EI
57 (ウ) ∃x(鼻xb) 89イEE
9(エ) ~長a 9&E
3 9(オ) ~(鼻ab&象b) 4エMTT
3 9(カ) ~鼻ab∨~象b オ、ド・モルガンの法則
3 9(キ) 鼻ab→~象b カ、含意の定義
3 9(ク) ~象b アキMPP
3579(ケ) ~象b&∃x(鼻xb) ウク&I
357 (コ) ~象b&∃x(鼻xb) 89ケEE
35 (サ) 兎b→~象b&∃x(鼻xb) 7コCP
35 (シ) ∀y{兎y→~象y&∃x(鼻xy)} サUI
1 5 (ス) ∀y{兎y→~象y&∃x(鼻xy)} 23シEE
従って、
(03)により、
(04)
(ⅰ)∀x∃y{(鼻xy&象y)→長x&(~象y&鼻xy)→~長x}。然るに、
(ⅱ) ∀y{ 兎y→∃x(鼻xy&~長x)}。従って、
(ⅲ) ∀y{ 兎y→~象y&∃x(鼻xy)}。
といふ『推論』、すなはち、
(ⅰ)すべてのxとあるyについて{(xがyの鼻であって、yが象である)ならば、xは長く、(yが象でなくて、xがyの鼻である)ならば、xは長くない}。然るに、
(ⅱ) すべてのyについて{ yが兎であるならば、あるxは(yの鼻であって、長くない)}。従って、
(ⅲ) すべてのyについて{ yが兎であるならば、yは象ではなく、あるxは(yの鼻である)}。
といふ『推論』は「妥当」である。
従って、
(02)(04)により、
(05)
(ⅰ)鼻は象が長く、象以外の鼻は長くない。然るに、
(ⅱ)兎は象ではないが、兎には鼻がある。 従って、
(ⅲ)兎の鼻は長くない。
といふ『推論』は「妥当」であって、
(ⅰ)鼻は象が長く、象以外の鼻は長くない。然るに、
(ⅱ)兎の鼻は長くない。従って、
(ⅲ)兎は象ではないが、兎には鼻がある。
といふ『推論』も「妥当」である。
然るに、
(06)
①{象の鼻、兎の鼻、馬の鼻}
②{象の耳、兎の耳、馬の耳}
③{象の顔、兎の顔、馬の顔}
であるならば、
① 鼻は象が長い。
② 耳は兎が長い。
③ 顔は馬が長い。
然るに、
(07)
①{象の鼻、兎の鼻、馬の鼻}
②{象の耳、兎の耳、馬の耳}
③{象の顔、兎の顔、馬の顔}
であるならば、
① 鼻は象が長く、象以外の鼻は長くない。
② 耳は兎が長く、兎以外の耳は長くない。
③ 顔は馬が長く、馬以外の顔は長くない。
従って、
(07)により、
(08)
①{象の鼻、兎の鼻、馬の鼻}
②{象の耳、兎の耳、馬の耳}
③{象の顔、兎の顔、馬の顔}
であるならば、
① すべてのxとあるyについて{(xがyの鼻であって、yが象である)ならば、xは長く、(yが象でなくて、xがyの鼻である)ならば、xは長くない}。
② すべてのxとあるyについて{(xがyの耳であって、yが兎である)ならば、xは長く、(yが兎でなくて、xがyの耳である)ならば、xは長くない}。
③ すべてのxとあるyについて{(xがyの顏であって、yが馬である)ならば、xは長く、(yが馬でなくて、xがyの顏である)ならば、xは長くない}。
従って、
(02)(04)(08)により、
(09)
①{象の鼻、兎の鼻、馬の鼻}
②{象の耳、兎の耳、馬の耳}
③{象の顔、兎の顔、馬の顔}
であるならば、
① ∀x∃y{(鼻xy&象y)→長x&(~象y&鼻xy)→~長x}。
② ∀x∃y{(耳xy&兎y)→長x&(~兎y&耳xy)→~長x}。
③ ∀x∃y{(顏xy&馬y)→長x&(~馬y&顏xy)→~長x}。
従って、
(06)~(09)により、
(10)
① 鼻は象が長い。
② 耳は兎が長い。
③ 顔は馬が長い。
といふ「日本語」は、
① ∀x∃y{(鼻xy&象y)→長x&(~象y&鼻xy)→~長x}。
② ∀x∃y{(耳xy&兎y)→長x&(~兎y&耳xy)→~長x}。
③ ∀x∃y{(顏xy&馬y)→長x&(~馬y&顏xy)→~長x}。
といふ「構造(シンタックス)」をしてゐる。
然るに、
(01)(03)により、
(11)
1(1)∀x∃y{(鼻xy&象y)→長x&(~象y&鼻xy)→~長x} A
1(2) ∃y{(鼻ay&象y)→長a&(~象y&鼻ay)→~長a} 1UE
1(3)∀x∃y{(鼻xy&象y)→長x&(~象y&鼻xy)→~長x} 1UI
従って、
(02)(04)(10)(11)により、
(12)
① ∀x∃y{(鼻xy&象y)→長x&(~象y&鼻xy)→~長x}。⇔
① すべてのxとあるyについて{(xがyの鼻であって、yが象である)ならば、xは長く、(yが象でなくて、xがyの鼻である)ならば、xは長くない}。
に於いて、
① ∀x の「作用範囲(Scope)」は、
① ∃y{(鼻xy&象y)→長x&(~象y&鼻xy)→~長x}。⇔
① あるyについて{(xがyの鼻であって、yが象である)ならば、xは長く、(yが象でなくて、xがyの鼻である)ならば、xは長くない}。
である。
従って、
(10)(11)(12)により、
(13)
① 鼻は象が長い。
② 耳は兎が長い。
③ 顔は馬が長い。
に於いて、
① 鼻は
② 耳は
③ 顔は
といふ「語」は、それぞれ、
① 鼻は象が長い。
② 耳は兎が長い。
③ 顔は馬が長い。
といふ「文の全体」に、「掛かってゐる(作用を及ぼしてゐる)」。
従って、
(13)により、
(14)
① 鼻は
② 耳は
③ 顔は
といふ「語」は、
① 鼻は象が長い。
② 耳は兎が長い。
③ 顔は馬が長い。
といふ「文」の、「主語(Subject)」ではなく、「主語(main word)」である。
(01)
1 (1) ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)} A
2 (2) ∀x{兎x→∃z(耳zx&~鼻zx&長z)} A
3 (3) ∃x(象x&兎x) A
1 (4) 象a→∃y(鼻ya&長y)&∀z(~鼻za→~長z) 1UE
2 (5) 兎a→∃z(耳za&~鼻za&長z) 2UE
6 (6) 象a&兎a A
6 (7) 象a 6&E
6 (8) 兎a 6&E
1 6 (9) ∀z(~鼻za→~長z) 47MPP
1 6 (ア) ~鼻ba→~長b 9UI
2 6 (イ) ∃z(耳za&~鼻za&長z) 58MPP
ウ (ウ) 耳ba&~鼻ba&長b A
ウ (エ) ~鼻ba ウ&E
ウ (オ) 長b ウ&E
1 6ウ (カ) ~長b アエMPP
1 6ウ (キ) 長b&~長b オカ&I
12 6 (ク) 長b&~長b イウキEE
123 (ケ) 長b&~長b 36クEE
12 (コ)~∃x(象x&兎x) 3ケRAA
12 (サ)∀x~(象x&兎x) コ量化子の関係
12 (シ) ~(象a&兎a) サUE
ス (ス) 象a A
セ (セ) 兎a A
スセ (ソ) 象a&兎a スセ&I
12 スセ (タ) ~(象a&兎a)&(象a&兎a) シソ&I
12 ス (チ) ~兎a セタRAA
12 (ツ) 象a→~兎a スチCP
テ(テ) 兎a A
テ(ト) ~~兎a テDN
12 テ(ナ) ~象a ツトMTT
12 (ニ) 兎a→~象a テナCP
12 (ヌ)∀x(兎x→~象x) ニUI
従って、
(01)により、
(02)
(ⅰ)∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。然るに、
(ⅱ)∀x{兎x→∃z(耳zx&~鼻zx&長z)}。従って、
(ⅲ)∀x(兎x→~象x)。
といふ『推論』、すなはち、
(ⅰ)すべてのxについて{xが象であるならば、あるyは(xの鼻であって、長く)、すべてのzについて(zがxの鼻ではないならば、zは長くない)}。然るに、
(ⅱ)すべてのxについて{xが兎であるならば、あるzは(xの鼻ではないが、zは長い)}。従って、
(ⅲ)すべてのxについて(xが兎であるならば、xは象ではない)。
といふ『推論』、すなはち、
(ⅰ)象は鼻が長い。然るに、
(ⅱ)兎の耳は鼻ではないが、長い。従って、
(ⅲ)兎は象ではない。
といふ『推論』は「妥当」である。
従って、
(02)により、
(03)
① 象は鼻が長い。
② ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
③ すべてのxについて{xが象であるならば、あるyは(xの鼻であって、長く)、すべてのzについて(zがxの鼻ではないならば、zは長くない)}。
に於いて、
①=②=③ である。
然るに、
(03)により、
(04)
① 象は鼻が長い。
② ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
③ すべてのxについて{xが象であるならば、あるyは(xの鼻であって、長く)、すべてのzについて(zがxの鼻ではないならば、zは長くない)}。
に於いて、「象」と「鼻」を「交換」すると、
④ 鼻は象が長い。
⑤ ∀x{鼻x→∃y(象yx&長y)&∀z(~象zx→~長z)}。
⑥ すべてのxについて{xが鼻であるならば、あるyは(xの象であって、長く)、すべてのzについて(zがxの象ではないならば、zは長くない)}。
然るに、
(04)により、
(05)
③{(xの鼻)&(x=象)}⇔{(xの鼻)=(象の鼻)}
⑥{(xの象)&(x=鼻)}⇔{(xの象)=(鼻の象)}
然るに、
(05)により、
(06)
③(象の鼻)といふ「日本語」に対して、
⑥(鼻の象)といふ「日本語」は、「意味不明」である。
従って、
(04)(05)(06)により、
(07)
① 象は鼻が長い。
② ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
④ 鼻は象が長い。
⑤ ∀x{鼻x→∃y(象yx&長y)&∀z(~象zx→~長z)}。
に於いて、
①=② であるが、
④=⑤ ではない。
然るに、
(08)
1 (1)∀x∃y{(鼻xy&象y)→長x&(~象y&鼻xy)→~長x} A
1 (2) ∃y{(鼻ay&象y)→長a&(~象y&鼻ay)→~長a} 1UE
3 (3) (鼻ab&象b)→長a&(~象b&鼻ab)→~長a A
3 (4) (~象b&鼻ab)→~長a 3&E
5 (5) ∀y{(兎y→~象y)&∃x(鼻xy)} A
5 (6) (兎b→~象b)&∃x(鼻xb) UE
5 (7) 兎b→~象b 6&E
8 (8) 兎b A
58 (9) ~象b 78MPP
5 (ア) ∃x(鼻xb) 6&E
イ(イ) 鼻ab A
58イ(ウ) ~象b&鼻ab 9イ&I
358イ(エ) ~長a 4ウMPP
358イ(オ) 鼻ab&~長a イエ&I
358イ(カ) ∃x(鼻xb&~長x) オEI
358 (キ) ∃x(鼻xb&~長x) アイカEE
35 (ク) 兎b→∃x(鼻xb&~長x) 8キCP
35 (ケ) ∀y{兎y→∃x(鼻xy&~長x)} クUI
1 5 (コ) ∀y{兎y→∃x(鼻xy&~長x)} 23ケEE
従って、
(08)により、
(09)
(ⅰ)∀x∃y{(鼻xy&象y)→長x&(~象y&鼻xy)→~長x}。然るに、
(ⅱ) ∀y{(兎y→~象y)&∃x(鼻xy)}。従って、
(ⅲ) ∀y{ 兎y→∃x(鼻xy&~長x)}。
といふ『推論』、すなはち、
(ⅰ)すべてのxとあるyについて{(xがyの鼻であって、yが象である)ならば、xは長く、(yが象でなくて、xがyの鼻である)ならば、xは長くない}。然るに、
(ⅱ) すべてのyについて{(yが兎であるならば、yは象ではなく)、あるxは(yの鼻である)}。従って、
(ⅲ) すべてのyについて{ yが兎であるならば、あるxは(yの鼻であって、長くない)}。
といふ『推論』、すなはち、
(ⅰ)鼻は象が長く、象以外の鼻は長くない。然るに、
(ⅱ)兎は象ではないが、兎には鼻がある。 従って、
(ⅲ)兎の鼻は長くない。
といふ『推論』は「妥当」である。
然るに、
(10)
{(象の鼻、兎の鼻、馬の鼻)、(象の耳、兎の耳、馬の耳)、(象の顔、兎の顔、馬の顔)}
であるならば、
(ⅰ)鼻は象が長い(象以外の鼻は長くない)。
(ⅱ)耳は兎が長い(兎以外の耳は長くない)。
(ⅲ)顔は馬が長い(馬以外の顔は長くない)。
従って、
(01)~(10)により、
(11)
① 象は鼻が長い。
② 鼻は象が長い。
③ ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
④ ∀x∃y{(鼻xy&象y)→長x&(~象y&鼻xy)→~長x}。
に於いて、
①=③ であって、
②=④ である。
(01)
①{P }ならば{Pである}。
②{P&Q}ならば{Pである}。
といふ「演繹推理」に於いて、
① ならば、② である。
従って、
(01)により、
(02)
演繹推理では、前提を追加しても結論は不変である。結論は前提に含まれるものだけを導出するため、
新前提を加えても、これらによって結論が変わるわけではないからである。
(岩波全書、論理学入門、1979年、156頁)
然るに、
(03)
(a)
1 (1)∀x{象x→∀z(~鼻zx→~長z)} A
2 (2)∀x{兎x→∃z(~鼻zx& 長z)} A
3 (3)∃x(象x&兎x) A
1 (4) 象a→∀z(~鼻za→~長z)} 1UE
2 (5) 兎a→∃z(~鼻za& 長z)} 2UE
6 (6) 象a&兎a A
6 (7) 象a 6&E
6 (8) 兎a 6&E
1 6 (9) ∀z(~鼻za→~長z) 47MPP
2 6 (ア) ∃z(~鼻za& 長z) 58MPP
1 6 (イ) ~鼻ba→~長b 9UE
ウ (ウ) ~鼻ba& 長b A
ウ (エ) ~鼻ba ウ&E
1 6ウ (オ) ~長b イエMPP
ウ (カ) 長b ウ&E
1 6ウ (キ) ~長b&長b オア&I
12 6 (ク) ~長b&長b アウキEE
123 (ケ) ~長b&長b 36クEE
12 (コ)~∃x(象x&兎x) 3ケRAA
12 (サ)∀x~(象x&兎x) コ量化子の関係
12 (シ) ~(象a&兎a) サUE
ス (ス) 象a A
セ(セ) 兎a A
スセ(ソ) 象a&兎a スセ&I
12 スセ(タ) ~(象a&兎a)&(象a&兎a) シソ&I
12 ス (チ) ~兎a セRAA
12 (ツ) 象a→~兎a スチCP
12 (テ)∀x(象x→~兎x) ツUI
(b)
1 (1) ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)} A
2 (2) ∀x{兎x→∃z(耳zx&~鼻zx&長z)} A
3 (3) ∃x(象x&兎x) A
1 (4) 象a→∃y(鼻ya&長y)&∀z(~鼻za→~長z) 1UE
2 (5) 兎a→∃z(耳za&~鼻za&長z) 2UE
6 (6) 象a&兎a A
6 (7) 象a 6&E
6 (8) 兎a 6&E
1 6 (9) ∀z(~鼻za→~長z) 47MPP
1 6 (ア) ~鼻ba→~長b 9UI
2 6 (イ) ∃z(耳za&~鼻za&長z) 58MPP
ウ (ウ) 耳ba&~鼻ba&長b A
ウ (エ) ~鼻ba ウ&E
ウ (オ) 長b ウ&E
1 6ウ (カ) ~長b アエMPP
1 6ウ (キ) 長b&~長b オカ&I
12 6 (ク) 長b&~長b イウキEE
123 (ケ) 長b&~長b 36クEE
12 (コ)~∃x(象x&兎x) 3ケRAA
12 (サ)∀x~(象x&兎x) コ量化子の関係
12 (シ) ~(象a&兎a) サUE
ス (ス) 象a A
セ(セ) 兎a A
スセ(ソ) 象a&兎a スセ&I
12 スセ(タ) ~(象a&兎a)&(象a&兎a) シソ&I
12 ス (チ) ~兎a セタRAA
12 (ツ) 象a→~兎a スチCP
12 (テ)∀x(象x→~兎x) ツUI
従って、
(01)(02)(03)により、
(04)
『演繹推理では、前提を追加しても結論は不変である。』
といふ「理由」により、
① ∀x{象x→∀z(~鼻zx→~長z)}。然るに、
② ∀x{兎x→∃z(~鼻zx& 長z)}。従って、
③ ∀x(象x→~兎x)。
といふ「推論」は、「事実上」、
④ ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。然るに、
⑤ ∀x{兎x→∃z(耳zx&~鼻zx&長z)}。従って、
⑥ ∀x(象x→~兎x)。
といふ「推論」に、「等しい」。
従って、
(04)により、
(05)
① すべてのxについて{xが象であるならば、すべてのzについて(zがxの鼻ではないならば、zは長くない)}。
② すべてのxについて{xが兎であるならば、あるzは(xの鼻ではないが、zは長い)}。
③ すべてのxについて(xが象であるならば、xは兎ではない)。
といふ「推論」は、「事実上」、
④ すべてのxについて{xが象であるならば、あるyは(xの鼻であって、長く)、すべてのzについて(zがxの鼻ではないならば、zは長くない)}。
⑤ すべてのxについて{xが兎であるならば、あるzは(xの耳であって、長いが、zは鼻ではない)}。
⑥ すべてのxについて(xが象であるならば、xは兎ではない)。
といふ「推論」に、「等しい」。
従って、
(02)(04)(05)により、
(06)
④ 象は鼻が長い。 然るに、
⑤ 兎の耳は長いが、耳は鼻ではない。従って、
⑥ 象は兎ではない。
といふ「推論」は、「事実上」、
① 象は、鼻以外は長くない。然るに、
② 兎は、鼻以外が長い。従って、
③ 象は兎ではない。
といふ「推論」に、「等しい」。
従って、
(06)により、
(07)
④ 象は鼻が長い。 然るに、
⑤ 兎の耳は長いが、耳は鼻ではない。従って、
⑥ 象は兎ではない。
といふ「推論」が「妥当」であるならば、
④ 象は鼻が長い。
といふ「日本語」は、「必然的」に、
① 象は、鼻以外は長くない。
といふ「意味」を「含意」する。
然るに、
(08)
④ 象は鼻が長い。 然るに、
⑤ 兎の耳は長いが、耳は鼻ではない。従って、
⑥ 象は兎ではない。
といふ「推論」は「妥当」である。
従って、
(07)(08)により、
(09)
④ 象は鼻が長い。
といふ「日本語」は、「必然的」に、
① 象は鼻以外は長くない。
といふ「意味」を「含意」する。
従って、
(04)(05)(09)により、
(10)
① 象は鼻が長い。⇔
① 象は鼻は長く、鼻以外は長くない。⇔
① ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。⇔
① すべてのxについて{xが象であるならば、あるyは(xの鼻であって、長く)、すべてのzについて(zがxの鼻ではないならば、zは長くない)}。
といふ「等式」が、「成立」する。
(01)
(ⅰ)太陽系は、地球が第三惑星である。然るに、
(ⅱ) 火星は、地球ではない。 従って、
(ⅲ)太陽系は、地球は第三惑星であって、火星は第三惑星ではない。
といふ「推論」は「妥当」である。
然るに、
(02)
① 第一惑星は、一つしかないし、
② 第二惑星も、一つしかないし、
③ 第三惑星も、一つしかないし、
④ 第四惑星も、一つしかないし、
⑤ 第五惑星は、一つしかないし、
⑥ 第六惑星も、一つしかないし、
⑦ 第七惑星も、一つしかないし、
⑧ 第八惑星も、一つしかない。
従って、
(02)により、
(03)
③ 第三惑星は、一つしかない。
といふ「理由」により、
(ⅰ)太陽系は、地球が第三惑星である。
といふ「日本語」を、
(ⅰ)太陽系 地球 第三惑星。
といふ『漢文』に「翻訳」したとしても、
(ⅰ)太陽系は、地球が、(唯一の)第三惑星である。
といふ「意味」になる。
cf.
主語・述語の順で並べられた文章で、述語の上に置かれる語が一つの主語だけでなく、
漢 兵 盛。
に於ける、
漢 兵
のやうに、(二つの)主語が重なっている場合がある。
(西田太一郎、漢文の語法、1980年、120頁改)
然るに、
(04)
1 (1)∀x{太陽系x→∃y[地球y&惑星yx&~∃z(z≠y&惑星zx)]} A
1 (2) 太陽系a→∃y[地球y&惑星ya&~∃z(z≠y&惑星za)] 1UE
3 (3) 太陽系a A
13 (4) ∃y[地球y&惑星ya&~∃z(z≠y&惑星za)] 23MPP
5 (5) 地球b&惑星ba&~∃z(z≠b&惑星za) A
5 (6) 地球b&惑星ba 5&E
5 (7) 地球b 6&E
5 (8) 惑星ba 6&E
5 (9) ~∃z(z≠b&惑星za) 5&E
5 (ア) ∀z~(z≠b&惑星za) 9量化子の関係
5 (イ) ~(c≠b&惑星ca) アUE
5 (ウ) ~c≠b∨~惑星ca イ、ド・モルガンの法則
5 (エ) c≠b→~惑星ca ウ含意の定義
オ (オ) ∃z(火星z&~地球z) A
カ (カ) 火星c&~地球c オUE
カ (キ) 火星c カ&E
カ (ク) ~地球c キ&E
5 カ (ケ) 地球b&~地球c 7ク&I
コ(コ) c=b A
5 カコ(サ) 地球b&~地球b ケコ=E
5 カ (シ) c≠b コサRAA
5 カ (ス) ~惑星ca エシMPP
5 カ (セ) 火星c&~惑星ca キス&I
5 カ (ソ) ∃z(火星z&~惑星za) セEI
5オ (タ) ∃z(火星z&~惑星za) オカソEE
5 (チ) ∃y(地球y&惑星ya) 6EI
5オ (ツ) ∃y(地球y&惑星ya)&∃z(火星z&~惑星za) タチ&I
13 オ (テ) ∃y(地球y&惑星ya)&∃z(火星z&~惑星za) 45ツEE
1 オ (ト) 太陽系a→∃y(地球y&惑星yx)&∃z(火星z&~惑星zx) 3テCP
1 オ (ナ)∀x{太陽系x→∃y(地球y&惑星yx)&∃z(火星z&~惑星zx)} トUI
従って、
(04)により、
(05)
(ⅰ)∀x{太陽系x→∃y[地球y&惑星yx&~∃z(z≠y&惑星zx)]}。然るに、
(ⅱ)∃z(火星z&~地球z)。従って、
(ⅲ)∀x{太陽系x→∃y(地球y&惑星yx)&∃z(火星z&~惑星zx)}。
といふ「推論」、すなはち、
(ⅰ)すべてのxについて{xが太陽系であるならば、あるyは[地球であって、xの惑星であって、あるzが(y以外であって、xの惑星である)といふことはない]}。
(ⅱ)あるz(火星であって、地球ではない)。従って、
(ⅲ)すべてのxについて{xが太陽系であるならば、あるyは(地球であって、xの惑星であって)、あるzは(火星であって、xの惑星でない)}。
といふ「推論(の形式)」は、「妥当」である。
従って、
(01)~(05)により、
(06)
(ⅰ)太陽系 地球 惑星。
といふ『漢文』に「相当」する、
(ⅰ)太陽系は、地球が惑星である。
といふ「日本語」が、
(ⅰ)∀x{太陽系x→∃y[地球y&惑星yx&~∃z(z≠y&惑星zx)]}。
(〃)すべてのxについて{xが太陽系であるならば、あるyは[地球であって、xの惑星であって、あるzが(y以外であって、xの惑星である)といふことはない]}。
といふ「意味」であるならば、
(ⅰ)太陽系は、地球が惑星である。
といふ「日本語」は、
(ⅰ)太陽系は、地球以外は惑星でない。
といふ、「意味」になる。
然るに、
(07)
(ⅰ)太陽系 地球 惑星。
に於ける、「地球」を、「殊更に、大きな声」で「発音」したとすれば、
(ⅰ)太陽系 地球 惑星。
といふ「漢文」は、
(ⅰ)太陽系は、地球以外は惑星ではない。
といふ「意味」になったに、「違ひない」。
然るに、
(08)
① 地球は(清音)
② 地球が(濁音)
である。
然るに、
(09)
清音の方は、小さくきれいで速い感じで、コロコロと言うと、ハスの上を水玉がころがるような時の形容である。ゴロゴロと言うと、大きく荒い感じで、力士が土俵でころがる感じである(金田一春彦、日本語(上)、1988年、131頁)。もし濁音を発音するときの物理的・身体的な口腔の膨張によって「濁音=大きい」とイメージがつくられているのだとしたら、面白いですね。この仮説が正しいとすると、なぜ英語話者や中国語話者も濁音に対して「大きい」というイメージを持っているか説明がつきます(川原繁人、音とことばの不思議な世界、2015年、13頁)。
従って、
(08)(09)により、
(10)
① 地球は(清音)
② 地球が(濁音)
であれば、
② の方が、「心理的な音量」が、「大きい」。
従って、
(07)(10)により、
(11)
「我々の先人」が、例へば、
(ⅰ)太陽系 地球 第三惑星。
といふ『漢文』を、
(ⅰ)太陽系は、地球以外は第三惑星でない。
(〃)∀x{太陽系x→∃y[地球y&第三惑星yx&~∃z(z≠y&第三惑星zx)]}。
といふ風に「訳したかった」のであれば、その場合は、
(ⅰ)太陽系は 地球は 第三惑星である。
とはせずに、
(ⅰ)太陽系は 地球が 第三惑星である。
といふ風に、「訳した」はずであり、次第に、「そうした訳」が、「定着」していった。
といふに、「推測」出来る。
(01)
1 (1)∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)} A
2 (2)∀x{象x→∃z(耳zx&~鼻zx)} A
1 (3) 象a→∃y(鼻ya&長y)&∀z(~鼻za→~長z) 1UE
2 (4) 象a→∃z(耳za&~鼻za) 2UE
5 (5) 象a A
1 5 (6) ∃y(鼻ya&長y)&∀z(~鼻za→~長z) 35MPP
1 5 (7) ∃y(鼻ya&長y) 6&E
1 5 (8) ∀z(~鼻za→~長z) 6&E
1 5 (9) ~鼻ca→~長c 8UE
25 (ア) ∃z(耳za&~鼻za) 45MPP
イ(イ) 耳ca&~鼻ca A
イ(ウ) 耳ca イ&E
イ(エ) ~鼻ca イ&E
1 5イ(オ) ~長c 9エMPP
1 5イ(カ) 耳ca&~長c エオ&I
1 5イ(キ) ∃z(耳za&~長z) カEI
125 (ク) ∃z(耳za&~長z) アイキEE
125 (ケ) ∃y(鼻ya& 長y)&∃z(耳za&~長z) 7ク&I
12 (コ) 象a→∃y(鼻ya& 長y)&∃z(耳za&~長z) 5ケCP
12 (サ)∀x{象x→∃y(鼻yx& 長y)&∃z(耳zx&~長z)} コUI
(02)
1 (1) ∀x{象x→∃y(鼻yx& 長y)&∃z(耳zx&~長z)} A
2 (2) ∃x{象x&∀y(鼻yx→~長y)∨∀z(耳zx→ 長z)} A
1 (3) 象a→∃y(鼻ya& 長y)&∃z(耳za&~長z) 1UE
4 (4) 象a&∀y(鼻ya→~長y)∨∀z(耳za→ 長z) A
4 (5) 象a 4&E
1 4 (6) ∃y(鼻ya& 長y)&∃z(耳za&~長z) 35MPP
4 (7) ∀y(鼻ya→~長y)∨∀z(耳za→ 長z) 4&E
1 4 (8) ∃y(鼻ya& 長y) 6&E
9 (9) ∀y(鼻ya→~長y) A
ア (ア) 鼻ba& 長b A
9 (イ) 鼻ba→~長b 9UE
9 (ウ) 鼻ba ア&E
9ア (エ) ~長b イウMPP
ア (オ) 長b ア&E
9ア (カ) ~長b&長b エオ&I
1 4 (キ) ∃z(耳za&~長z) 6&E
ク (ク) ∀z(耳za→ 長z) A
ケ(ケ) 耳ba&~長b A
ク (コ) 耳ba→ 長b クUE
ケ(サ) 耳ba ケ&E
クケ(シ) 長b コサMPP
ケ(ス) ~長b ケ&E
クケ(ソ) ~長b&長b シス&I
1 4 ア ケ(タ) ~長b&長b 79カクケ∨E
1 4 ケ(チ) ~長b&長b 8アタEE
1 4 (ツ) ~長b&長b キケチEE
12 (テ) ~長b&長b 24ツEE
1 (ト)~∃x{象x&∀y(鼻yx→~長y)∨∀z(耳zx→ 長z)} 2テRAA
従って、
(01)(02)により、
(03)
① ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。然るに、
② ∀x{象x→∃z(耳zx&~鼻zx)}。 従って、
③ ∀x{象x→∃y(鼻yx& 長y)&∃z(耳zx&~長z)}。従って、
④ ~∃x{象x&∀y(鼻yx→~長y)∨∀z(耳zx→ 長z)}。
といふ「推論」、すなはち、
① すべてのxについて{xが象であるならば、あるyは(xの鼻であって、長く)、すべてのzについて(zがxの鼻でないならば、zは長くない)}。然るに、
② すべてのxについて{xが象であるならば、あるzは(xの耳であって、鼻ではない)}。従って、
③ すべてのxについて{xが象であるならば、あるyは(xの鼻であって、長く)、あるzは(xの耳であって、長くない)}。従って、
④ あるxが{象であって、すべてのyについて(yがxの鼻であるならば、yは長くないか)、または、すべてのzについて(zがxの耳であるならば、zは長い)}といふことはない。
といふ「推論」、すなはち、
① 象は、鼻は長いが、鼻以外は長くない。然るに、
② 象は、鼻は耳ではない。 従って、
③ 象は、鼻は長いが、耳は長くない。 従って、
④ 象であって、鼻が長くないか、耳が長い、といふことはない。
といふ「推論」は、「妥当」である。
従って、
(03)により、
(04)
① 象は、鼻は長いが、鼻以外も長い。然るに、
② 象は、鼻は耳ではない。 従って、
③ 象は、鼻は長いが、耳は長くない。 従って、
④ 象であって、鼻が長くないか、耳が長い、といふことはない。
といふ「推論」は、「妥当」でない。
然るに、
(05)
① 象は、鼻が長い。 然るに、
② 象は、鼻は耳ではない。 従って、
③ 象は、鼻は長いが、耳は長くない。従って、
④ 象であって、鼻が長くないか、耳が長い、といふことはない。
といふ「推論」は、「妥当」である。
従って、
(03)(04)(05)により、
(06)
① 象は、鼻は長いが、鼻以外は長くない。
② 象は、鼻は長いが、鼻以外も長い。
③ 象は、鼻が長い。
に於いて、
①=② ではなくて、
①=③ である。
令和5年4月29日、毛利太。
(01)
① 象は動物である。
② 象には鼻がある。
③ 象の鼻は動物の鼻である。
といふ「日本語」は、
① ∀x(象x→動物x)。
② ∀x{象x→∃y(鼻yx)}。
③ ∀x{象x→∃y(鼻yx&動物x)}。
といふ「論理式」、すなはち、
① すべてのxについて(xが象であるならば、xは動物である)。
② すべてのxについて{xが象であるならば、あるyは(xの鼻である)}。
③ すべてのxについて{xが象であるならば、あるyは(xの鼻であって、xは動物である)}。
といふ「論理式」に「相当」する。
然るに、
(02)
1 (1)∀x(象x→動物x) A
2 (2)∀x(象x→∃y(鼻yx)} A
1 (3) 象a→動物a 1UE
2 (4) 象a→∃y(鼻ya) 2UE
5 (5) 象a A
1 5 (6) 動物a 35MPP
125 (7) ∃y(鼻ya) 46MPP
8(8) 鼻ba A
1258(9) 鼻ba&動物a 68&I
1258(ア) ∃y(鼻ya&動物a) 9EI
125 (イ) ∃y(鼻ya&動物a) 78アEE
12 (ウ) 象a→∃y(鼻ya&動物a) 5イCP
12 (エ)∀x{象x→∃y(鼻yx&動物x)} ウUI
従って、
(01)(02)により、
(03)
① 象は動物である。然るに、
② 象には鼻がある。従って、
③ 象の鼻は動物の鼻である。
といふ「推論」は、「妥当」である。
従って、
(01)(02)(03)により、
(04)
① 象は動物である。
② ∀x(象x→動物x)。
に於いて、
①=② である。
然るに、
(05)
① 象は鼻が長い(が、鼻以外は長くない)。
② 兎は耳は長い(が、耳は、鼻ではない)。
③ 象は兎ではない。
といふ「日本語」は、
① ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
② ∀x{兎x→∃z(耳zx&長z&~鼻zx)}。
③ ∀x(象x→~兎x)。
といふ「論理式」、すなはち、
① すべてのxについて{xが象であるならば、あるyは(xの鼻であって、長く)、すべてのzについて(zがxの鼻ではないならば、zは長くない)}。
② すべてのxについて{xが兎であるならば、あるzは(xの耳であって、長いが、zは鼻ではない)}。
③ すべてのxについて(xが象であるならば、xは兎ではない)。
といふ「論理式」に「相当」する。
然るに、
(06)
1 (1) ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)} A
2 (2) ∀x{兎x→∃z(耳zx&~鼻zx&長z)} A
3 (3) ∃x(象x&兎x) A
1 (4) 象a→∃y(鼻ya&長y)&∀z(~鼻za→~長z) 1UE
2 (5) 兎a→∃z(耳za&~鼻za&長z) 2UE
6 (6) 象a&兎a A
6 (7) 象a 6&E
6 (8) 兎a 6&E
1 6 (9) ∀z(~鼻za→~長z) 47MPP
1 6 (ア) ~鼻ba→~長b 9UI
2 6 (イ) ∃z(耳za&~鼻za&長z) 58MPP
ウ (ウ) 耳ba&~鼻ba&長b A
ウ (エ) ~鼻ba ウ&E
ウ (オ) 長b ウ&E
1 6ウ (カ) ~長b アエMPP
1 6ウ (キ) 長b&~長b オカ&I
12 6 (ク) 長b&~長b イウキEE
123 (ケ) 長b&~長b 36クEE
12 (コ)~∃x(象x&兎x) 3ケRAA
12 (サ)∀x~(象x&兎x) コ量化子の関係
12 (シ) ~(象a&兎a) サUE
ス (ス) 象a A
セ(セ) 兎a A
スセ(ソ) 象a&兎a スセ&I
12 スセ(タ) ~(象a&兎a)&(象a&兎a) シソ&I
12 ス (チ) ~兎a セタRAA
12 (ツ) 象a→~兎a スチCP
12 (テ)∀x(象x→~兎x) ツUI
従って、
(05)(06)により、
(07)
① 象は鼻が長い(が、鼻以外は長くない)。然るに、
② 兎は耳は長い(が、耳は、鼻ではない)。従って、
③ 象は兎ではない。
といふ「推論」は、「妥当」である。
従って、
(07)により、
(08)
① 象は鼻が長い。然るに、
② 兎は耳は長い。従って、
③ 象は兎ではない。
といふ「推論」は、「妥当」であるならば、
① 象は鼻が長い。
② 兎は耳は長い。
といふ「日本語」は、
① 象は鼻が長い(が、鼻以外は長くない)。然るに、
② 兎は耳は長い(が、耳は、鼻ではない)。従って、
といふ「日本語」に「等しい」。
然るに、
(09)
① 象は鼻が長い。然るに、
② 兎は耳は長い。従って、
③ 象は兎ではない。
といふ「推論」は、「妥当」である。
従って、
(08)(09)により、
(10)
① 象は鼻が長い。
といふ「日本語」は、
① 象は鼻が長い(が、鼻以外は長くない)。 といふ「日本語」に「等しい」。
従って、
(05)(10)により、
(11)
① 象は鼻が長い。
② ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
に於いて、
①=② である。
従って、
(04)(11)により、
(12)
① 象は動物である。
① 象は鼻が長い。
といふ「日本語」は、
② ∀x(象x→動物x)。
② ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
といふ「論理式」に「相当」する。
従って、
(12)により、
(13)
① 象は動物である。
① 象は鼻が長い。
といふ「日本語」に於ける、
① 象は
① 象は
は、「両方」とも、
② ∀x(象x→
② ∀x{象x→
といふ風に、すなはち、
① すべてのxについて、xが象であるならば、
① すべてのxについて、xが象であるならば、
といふ風に、「翻訳」出来る。
従って、
(14)
① 象は動物である。に於ける、
① 象は が、「主語」であるならば、
① 象は鼻が長い。 に於ける、
① 象は も、「主語」である。
然るに、
(15)
① すべてのxについて、xが象であるならば、
① すべてのxについて、xが象であるならば、
といふことは、敢へて、言ふと、
① 象についていうと、
① 象についていうと、
といふことである。
然るに、
(16)
1 「象は鼻が長い」という例文
三上章は『象は鼻が長い』という本を書いて、日本語には主語がないと主張しました。
「象は鼻が長い」という文の「象は」というのは主語ではなく、主題なのだという主張でした。助詞「は」がつく語は主題になります。
「は」は文の区切りになるようです。
「象は鼻が長い」の「象は」という主題は、「象についていうと」という意味になります。「象は」のあとに主題についての解説が続くというのが、この文の構造のようです。
(投稿日: 2017-02-08 作成者: 丸山有彦)
従って、
(15)(16)により、
(17)
① 象は動物である。に於ける、
① 象は が、「主題」であるならば、
① 象は鼻が長い。 に於ける、
① 象は も、「主題」である。
従って、
(12)(14)(17)により、
(18)
② ∀x(象x→動物x)。
② ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
といふ「論理式」に「相当」する所の、
① 象は動物である。
① 象は鼻が長い。
といふ「日本語」に於ける、
① 象は
① 象は
①「主語」であると言へば、「主語」であるし、
①「主題」であると言へば、「主題」である。
(01)
1 (1)∀x{仏国x→∃y[(巴里y&首都yx)&∀z(首都zx→z=y)]} A
2 (2)∃z(里昂z&~巴里z) A
1 (3) 仏国a→∃y[(巴里y&首都ya)&∀z(首都za→z=y)] 1UE
4 (4) 里昂c&~巴里c A
4 (5) 里昂c 4&E
4 (6) ~巴里c 4&E
7 (7) 仏国a A
1 7 (8) ∃y[(巴里y&首都ya)&∀z(首都za→z=y)] 37MPP
9 (9) (巴里b&首都ba)&∀z(首都za→x=b) A
9 (ア) 巴里b&首都ba 9&E
9 (イ) 巴里b ア&E
9 (ウ) ∀z(首都za→z=b) 9&E
9 (エ) 首都ca→c=b ウUE
オ(オ) c=b A
9オ(カ) 巴里c イオ=E
4 9オ(キ) ~巴里c&巴里c 6カ&I
4 9 (ク) c≠b オキRAA
4 9 (ケ) ~首都ca エクMTT
4 9 (コ) 里昂c&~首都ca 5ケ&I
4 9 (サ)∃z(里昂z&~首都za) コEI
1 47 (シ)∃z(里昂z&~首都za) 89サEE
12 7 (ス)∃z(里昂z&~首都za) 24シEE
12 (セ) 仏国a→∃z(里昂z&~首都za) 7スCP
12 (ソ)∀x{仏国x→∃z(里昂z&~首都zx)} セUI
従って、
(01)により、
(02)
① ∀x{仏国x→∃y[(巴里y&首都yx)&∀z(首都zx→z=y)]}。然るに、
② ∃z(里昂z&~巴里z)。従って、
③ ∀x{仏国x→∃z(里昂z&~首都zx)}。
といふ「推論」、すなはち、
① すべてのxについて{xがフランスであるならば、あるyは[(パリであり、yはxの首都であり)、すべてのzについて(zがxの首都であるならば、zはyと「同一」である)]}。然るに、
② あるzは(リヨンであってパリではない)。従って、
③ すべてのxについて{xがフランスであるならば、あるzは(リヨンであって、xの首都ではない)}。
といふ「推論」、すなはち、
① フランスは、パリが首都である。然るに、
② リヨンはパリではない。従って、
③ フランスは、リヨンは首都ではない。
といふ「推論」は、「妥当」である。
従って、
(02)により、
(03)
① フランスは、パリが首都である。
といふことは、
① パリが、フランスの、唯一の首都(the capital)である。
といふことに、「他ならない」。
然るに、
(04)
① パリが、フランスの、唯一の首都(the capital)である。
といふことは、
② フランスの首都=パリ。
といふことに、「他ならない」。
然るに、
(05)
② フランスの首都=パリ。
といふことは、
③ パリ=フランスの首都。
といふことに、「他ならない」。
従って、
(05)により、
(06)
「数学」で言ふ、「交換法則」により、
① Paris is the capital of France.
② The capital of France is Paris.
といふ「英文(命題)」は、両方とも、「真」である。
然るに、
(07)
E.J.レモンは、
① Paris is the capital of France.
② The capital of France is Paris.
③ Socrates is the philosopher who tauto Plato.
④ The philosopher who tauto Plato is Socrates.
等に於ける「is」を、「"is" of identity」と呼び、竹尾・浅野 先生は、「同一性の"である"」といふ風に「訳してゐる」。
cf.
(E.J.レモン 著、論理学初歩、竹尾治一郎・浅野楢英 訳、1973年、205頁)
然るに、
(08)
よく知られているように、「私が理事長です」は語順を変え、
理事長は、私です。 と直して初めて主辞賓辞が適用されるのである。また、かりに大倉氏が、
タゴール記念会は、私が理事長です。
と言ったとすれば、これは主辞「タゴール記念会」を品評するという心持ちの文である。
(三上章、日本語の論理、1963年、40・41頁)
従って、
(07)(08)により、
(09)
⑤ タゴール記念会は、私が理事長です。
⑥ タゴール記念会は、理事長は私です。
に於ける「です」は、竹尾・浅野 先生が所謂、「同一性の"です"」である。
(01)
(ⅰ)
1 (1) ∀x∀y(Fx&Fy→ x=y) A
1 (2) ∀y(Fa&Fy→ a=y) 1UE
1 (3) Fa&Fb→ a=b 2UE
4(4) ~(~Fa∨~Fb) A
4(5) Fa&Fb 4ド・モルガンの法則
14(6) a=b 35MPP
1 (7) ~(~Fa∨~Fb)→a=b 46CP
1 (8) ~Fa∨~Fb∨(a=b) 7含意の定義
1 (9) ∀y{~Fa∨~Fy∨(a=y)} 8UI
1 (ア)∀x∀y{~Fx∨~Fy∨(x=y)} 9UI
(ⅱ)
1 (1)∀x∀y{~Fx∨~Fy∨(x=y)} A
1 (2) ∀y{~Fa∨~Fy∨(a=y)} 1UE
1 (3) ~Fa∨~Fb∨(a=b) 2UE
1 (4) ~(~Fa∨~Fb)→a=b 3含意の定義
5(5) Fa&Fb A
5(6) ~(~Fa∨~Fb) 5ド・モルガンの法則
15(7) a=b 46MPP
1 (8) Fa&Fb→ a=b 57CP
1 (9) ∀y(Fa&Fy→ a=y) 8UI
1 (ア) ∀x∀y(Fx&Fy→ x=y) 9UI
従って、
(01)により、
(02)
① ∀x∀y(Fx&Fy→x=y)
② ∀x∀y{~Fx∨~Fy∨(x=y)}
に於いて、すなはち、
① すべてのxとyについて(xがFであって、yもFであるならば、xとyは「同一」である)。
② すべてのxとyについて{xはFでないか、yはFでないか、または、xとyは「同一」である}。
に於いて、
①=② である。
然るに、
(02)により、
(03)
② すべてのxとyについて{xはFでないか、yはFでないか、または、xとyは「同一」である}。
といふのであれば、
② Fであるモノの「個数」は、「0個、または、1個である」。
従って、
(02)(03)により、
(04)
① ∀x∀y(Fx&Fy→x=y)
② ∀x∀y{~Fx∨~Fy∨(x=y)}
であるならば、両方とも、
① Fであるモノの「個数」は、「0個、または、1個」である。
② Fであるモノの「個数」は、「0個、または、1個」である。
従って、
(04)により、
(05)
① ∀x∀y(Fx&Fy→x=y)
の「否定」である、
① ~∀x∀y(Fx&Fy→x=y)
であるならば、
① Fであるモノの「個数」は、「2個以上」である。
然るに、
(06)
(ⅰ)
1 (1)~∀x∀y(Fx&Fy→x=y) A
1 (2)∃x~∀y(Fx&Fy→x=y) 1量化子の関係
1 (3)∃x∃y~(Fx&Fy→x=y) 2量化子の関係
4 (4) ∃y~(Fa&Fy→a=y) A
5(5) ~(Fa&Fb→a=b) A
5(6) ~{~(Fa&Fb)∨a=b} 5含意の定義
5(7) Fa&Fb&(a≠b) 6ド・モルガンの法則
5(8) ∃y{Fa&Fy&(a≠y)} 7EI
4 (9) ∃y{Fa&Fy&(a≠y)} 458EE
4 (ア) ∃x∃y{Fx&Fy&(x≠y)} 9EI
4 (イ) ∃x∃y{Fx&Fy&(x≠y)} アEI
1 (ウ) ∃x∃y{Fx&Fy&(x≠y)} 34イEE
(ⅱ)
1 (1) ∃x∃y{Fx&Fy&(x≠y)} A
2 (2) ∃y{Fa&Fy&(a≠y)} A
3(3) Fa&Fb&(a≠b) A
3(4) ~{~(Fa&Fb)∨a=b} 3ド・モルガンの法則
3(5) ~(Fa&Fb→a=b) 4含意の定義
3(6) ∃y~(Fa&Fb→a=b) 5EI
2 (7) ∃y~(Fa&Fy→a=y) 236EE
2 (8)∃x∃y~(Fx&Fy→x=y) 7EI
1 (9)∃x∃y~(Fx&Fy→x=y) 128EE
1 (ア)∃x~∀y(Fx&Fy→x=y) 9量化子の関係
1 (イ)~∀x∀y(Fx&Fy→x=y) ア量化子の関係
従って、
(06)により、
(07)
① ~∀x∀y(Fx&Fy→ x=y)
② ∃x∃y{Fx&Fy&(x≠y)}
に於いて、
①=② である。
従って、
(05)(06)(07)により、
(08)
① ~∀x∀y(Fx&Fy→ x=y)
② ∃x∃y{Fx&Fy&(x≠y)}
であるならば、両方とも、
① Fであるモノの「個数」は、「2個以上」である。
② Fであるモノの「個数」は、「2個以上」である。
然るに、
(09)
① Fであるモノの「個数」は、「2個以上」である。
② Fであるモノの「個数」は、「2個以上」である。
といふことは、
① 性質Fをもつ少なくとも2つの対象が存在する。
② 性質Fをもつ少なくとも2つの対象が存在する。
といふことである。
従って、
(08)(09)により、
(10)
② ∃x∃y{Fx&Fy&(x≠y)}
ではなく、
③ ∃x∃y(Fx&Fy)
であるならば、
① 性質Fをもつ少なくとも2つの対象が存在する。
といふことには、ならない。
然るに、
(11)
142 ∃x(Fx)├ ∃x∃y(Fx&Fy)
1 (1) ∃x(Fx) A
2(2) Fa A
2(3) Fa&Fa 22&I
2(4) ∃y(Fa&Fy) 3EI
2(5)∃x∃y(Fa&Fy) 4EI
1 (6)∃x∃y(Fa&Fy) 125EE
(この結果は事実上、強化して相互導出可能にすることができる。)この連式の妥当性から、
ひとつだけの対象がFをもっているならば、∃x∃y(Fx&Fy)ということが帰結する。
(E.J.レモン著、論理学初歩、竹尾治一郎・浅野楢英、1973年、210頁)
従って、
(10)(11)により、
(12)
① 性質Fをもつ少なくとも2つの対象が存在する。
といふことを、「示したい」のであれば、
② ∃x∃y{Fx&Fy&(x≠y)}
といふ「論理式」を、
③ ∃x∃y(Fx&Fy)
といふ風に、「書き換へ」ては、ならない。
然るに、
(13)
∀z(Fz→z=x∨z=y)
といふことは、
{a,b,c}が{変域(ドメイン)」であるとして、
① Fa&Fb
② Fa&Fc
③ Fb&Fc
といふことは、有り得ても、
④ Fa&Fb&Fc
⑤ Fa&Fc&Fb
⑥ Fb&Fc&Fa
といふことは、「有り得ない」。
といふ「意味」である。
従って、
(12)(13)により、
(14)
ところで、Fをもつ正確に2つのものが存在すると言いたいならば、幾つかの道が開かれている。
恐らく最も簡単なのはつぎのように書くことであろう。
(19)∃x∃y{Fx&Fy&(x≠y)&∀z(Fz→z=x∨z=y)}
(E.J.レモン著、論理学初歩、竹尾治一郎・浅野楢英、1973年、212頁)
従って、
(14)により、
(15)
① ∃x∃y{Fx&Fy&(x≠y)&∀z(Fz→z=x∨z=y)}
を「書き換へる」と、
② ∃y∃z[y≠z&私y&彼z&理事yx&理事zx&∀u(理事ux→u=y∨u=z)]
といふ「命題関数」は、すなはち、
② あるyとあるzについて[yとzは同一ではなく、yは私、zは彼であって、yはxの理事であって、zもxの理事であって、すべてのuについて(uがxの理事であるならば、uはyであるか、または、zである)]。
といふ「命題関数」は、
② xの理事は、私と彼だけある。
といふ、「意味」になる。
従って、
(15)により、
(16)
③ ∀x{T会の会員x→∃y∃z[y≠z&私y&彼z&理事yx&理事zx&∀u(理事ux→u=y∨u=z)]}。
といふ「命題」、すなはち、
③ すべてのxについて{xがタゴール記念会の会員であるならば、あるyとあるzについて[yとzは同一ではなく、yは私、zは彼であって、yはxの理事であって、zもxの理事であって、すべてのuについて(uがxの理事であるならば、uはyであるか、または、zである)]}。
といふ「命題」は、
③ タゴール記念会は、私と彼だけが理事である。
といふ、「意味」になる。
(01)
1 (1)∀x{T会の会員x→∃y∃z[y≠z&私y&彼z&理事yx&理事zx&∀u(理事ux→u=y∨u=z)]} A
1 (2) T会の会員a→∃y∃z[y≠z&私y&彼z&理事ya&理事za&∀u(理事ua→u=y∨u=z)] 1UE
3 (3) T会の会員a A
13 (4) ∃y∃z[y≠z&私y&彼z&理事ya&理事za&∀u(理事ua→u=y∨u=z)] 23MPP
5 (5) ∃z[b≠z&私b&彼z&理事ba&理事za&∀u(理事ua→u=b∨u=z)] A
6 (6) b≠c&私b&彼c&理事ba&理事ca&∀u(理事ua→u=b∨u=c) A
6 (7) 私b 6&E
6 (8) 彼c 6&E
6 (9) ∀u(理事ua→u=b∨u=c) 6&E
6 (ア) 理事da→d=b∨d=c 9UE
9 (9)∃z(汝z&~私z&~彼z) A
ア (ア) 汝d&~私d&~彼d A
ア (イ) 汝d ア&E
ア (ウ) ~私d ア&E
ア (エ) ~彼d ア&E
オ (オ) d=b A
6 オ (カ) 私d 7オ=
6 アオ (キ) ~私d&私d ウカ&I
6 ア (ク) d≠b オキRAA
ケ(ケ) d=c A
ア ケ(コ) ~彼c エケ=
6 ア ケ(サ) ~彼c&彼c 8コ&I
6 ア (シ) d≠c ケサRAA
6 ア (ス) d≠b&d≠c クシ&I
6 ア (セ) ~(d=b∨d=c) ス、ド・モルガンの法則
69 (シ) ~(d=b∨d=c) 9アセEE
5 9 (ス) ~(d=b∨d=c) 56シEE
13 9 (ソ) ~(d=b∨d=c) 45スEE
13 69 (タ) ~理事da アソMTT
135 9 (チ) ~理事da 56タEE
13 9 (ツ) ~理事da 45チEE
13 9ア (テ) 汝d&~理事da イツ&I
13 9ア (ト)∃z(汝z&~理事za) テEI
13 9 (ナ)∃z(汝z&~理事za) 9アトEE
1 9 (ニ) T会の会員a→∃z(汝z&~理事za) 3ナCP
1 9 (ヌ)∀x(T会の会員x→∃z(汝z&~理事zx)} ニUI
従って、
(01)により、
(02)
(ⅰ)∀x{T会の会員x→∃y∃z[y≠z&私y&彼z&理事yx&理事zx&∀u(理事ux→u=y∨u=z)]}。然るに、
(ⅱ)∃z(汝z&~私z&~彼z)。従って、
(ⅲ)∀x(T会の会員x→∃z(汝z&~理事zx)}。
といふ「推論」、すなはち、
(ⅰ)すべてのxについて{xがタゴール記念会の会員であるならば、あるyとあるzについて[yはzではなく、yは私であって、zは彼であって、yはxの理事であって、zもxの理事であって、すべてのuについて(uがxの理事であるならば、uはyであるか、または、zである)]}。然るに、
(ⅱ)あるzは(汝であって、私ではなく、彼でもない)。従って、
(ⅲ)すべてのxについて(xがタゴール記念会の会員であるならば、あるzは(汝であって、尚且つ、xの理事ではない)。
といふ「推論」、すなはち、
(ⅰ)タゴール記念会は、私と彼が理事である。然るに、
(ⅱ)あなた(汝)は、私ではないし、彼でもない。従って、
(ⅲ)タゴール記念会は、あなたは、理事ではない。
といふ「推論」は、「妥当」である。
然るに、
(03)
(ⅰ)タゴール記念会は、私と彼が理事である。然るに、
(ⅱ)あなた(汝)は、私ではないし、彼でもない。従って、
(ⅲ)タゴール記念会は、あなたは、理事ではない。
といふ「推論」が「妥当」である。
といふことは、
① タゴール記念会は、私と彼が理事である。
② タゴール記念会は、私と彼以外は理事ではない。
③ タゴール記念会の理事は、彼と私である。
に於いて、
①=②=③ である。
といふことに、「他ならない」。
(01)
「私」は、「私」だけである。
従って、
(01)により、
(02)
「私」以外は、「私」ではない。
従って、
(02)により、
(03)
① 理事長は私です。
と言ふのであれば、
② 私以外に理事長はゐない。
然るに、
(04)
よく知られているように、「私が理事長です」は語順を変え、
理事長は、私です。
と直して初めて主辞賓辞が適用されるのである。また、かりに大倉氏が、
タゴール記念会は、私が理事長です。
と言ったとすれば、これは主辞「タゴール記念会」を品評するという心持ちの文である。
(三上章、日本語の論理、1963年、40・41頁)
従って、
(03)(04)により、
(05)
① タゴール記念会は、理事長は私です。
② タゴール記念会は、私以外に理事長はゐない。
③ タゴール記念会は、私が理事長です。
に於いて、
①=②=③ である。
然るに、
(06)
1 (1)∀x{T会の会員x→∃y[私y&理事長yx&∀z(理事長zx→y=z)]} A
1 (2) T会の会員a→∃y[私y&理事長ya&∀z(理事長za→y=z)] 1UE
3 (3) T会の会員a A
13 (4) ∃y[私y&理事長ya&∀z(理事長za→y=z)] 23MPP
5 (5) 私b&理事長ba&∀z(理事長za→b=z) A
5 (6) 私b&理事長ba 5&E
5 (7) ∀z(理事長za→b=z) 5&E
5 (8) 理事長ca→b=c 7UE
9 (9) ∃z(小倉z&~私z) A
ア (ア) 小倉c&~私c A
ア (イ) 小倉c ア&E
ア (ウ) ~私c ア&E
エ(エ) b=c A
アエ(オ) ~私b ウエ=E
5 (カ) 私b 6&E
5 アエ(キ) ~私b&私b オカ&I
5 ア (ク) b≠c エキRAA
5 ア (ケ) ~理事長ca 8クMTT
5 ア (コ) 小倉c&~理事長ca イケ&I
5 ア (サ) ∃z(小倉z&~理事長za) コEI
59 (シ) ∃z(小倉z&~理事長za) 9アサEE
13 9 (ス) ∃z(小倉z&~理事長za) 45シEE
1 9 (セ) T会の会員a→∃z(小倉z&~理事長za) 3スCP
1 9 (ソ)∀x{T会の会員x→∃z(小倉z&~理事長zx)} セUI
従って、
(05)(06)により、
(07)
(ⅰ)∀x{T会の会員x→∃y[私y&理事長yx&∀z(理事長zx→y=z)]}。然るに、
(ⅱ)∃z(小倉z&~私z)。従って、
(ⅲ)∀x{T会の会員x→∃z(小倉z&~理事長zx)}。
といふ「推論」、すなはち、
(ⅰ)すべてのxについて{xがタゴール記念会の会員であるならば、あるyは[私であって、理事長であって、すべてのzについて(zがxの理事長であるならば、y=zである)]}。然るに、
(ⅱ)あるzは(小倉であって、私ではない)。従って、
(ⅲ)すべてのxについて{xがタゴール記念会の会員であるならば、あるzは(小倉であって、小倉はxの理事長ではない)}。
といふ「推論」、すなはち、
(ⅰ)タゴール記念会は、私が理事長です。然るに、
(ⅱ)小倉氏は私ではない。従って、
(ⅲ)タゴール記念会は、小倉氏は理事長ではない。
といふ「推論」は、「妥当」である。
従って、
(05)(07)により、
(08)
① タゴール記念会は、理事長は私です。
② タゴール記念会は、私以外に理事長はゐない。
③ タゴール記念会は、私が理事長です。
④ ∀x{T会の会員x→∃y[私y&理事長yx&∀z(理事長zx→y=z)]}。
に於いて、
①=②=③=④ である。
然るに、
(09)
④ ∀x{T会の会員x→∃y[私y&理事長yx&∀z(理事長zx→y=z)]}。
といふことは、
④ 私∈タゴール記念会の理事長。
ではなく、
④ 私=タゴール記念会の理事長。
といふことである。
然るに、
(10)
「理事長」でなく、
「理事」は「一人だけ」ではなく、「二人以上ゐる」とするならば、
⑤ 私は理事です。
とは言へても、
④ 私が理事です。
とは、言へない。
然るに、
(11)
「理事」は「一人だけ」ではなく、 「理事」は「二人以上ゐる」とするならば、
⑤ 私∈理事。
であったとしても、
④ 私=理事。
ではない。
従って、
(08)~(11)により、
(12)
① タゴール記念会は、理事長は私です。
② タゴール記念会は、私以外に理事長はゐない。
③ タゴール記念会は、私が理事長です。
といふ「日本語」は、
④ タゴール記念会の理事長=私。
④ 私=タゴール記念会の理事長。
といふ「等式」が「真(本当)」である。
といふことを、「示している」。
従って、
(13)
④ 私=タゴール記念会の理事長。
④ タゴール記念会の理事長=私。
といふ「等式」が「真(本当)」である。
といふことを、「示したい」場合には、
① タゴール記念会は、理事長は私です。
② タゴール記念会は、私以外に理事長はゐない。
③ タゴール記念会は、私が理事長です。
といふ風に、言ふことになる。
従って、
(01)~(13)により、
(14)
① 私はAです(私∈A)。
② 私はAです(私=A)。
といふ「2通リ」があって、
② 私はAです(私=A)。
である場合に、
② 私=A
といふ「等式」を「強調(確認)」したい場合であれば、
① 私はAです。
とは言はずに、
② 私がAです(Aは私です)。
といふ風に、言ふことになる。
(01)
8.2 日本語文法を見直して作文する
8.2.3 「象は鼻が長い」の文法論争
表題の文は、名詞二つ、助詞二つ、形容詞一つで構成されています。普通に読めば違和感を起こしませんが、それは文の意味論(semantics)の方を感覚的に理解しているからです。
したがって、「鼻は象が長い」「象の鼻は長い」と言い換えても、正しく理解されます。
従って、
(01)により、
(02)
① 鼻は象が長い。
② 象の鼻は長い。
に於いて、
①=② である。
然るに、
(03)
② 象の鼻は長い。
③ 象の鼻が長い。
に於いて、
②=③ であるとは、「思へない」。
然るに、
(04)
{象、兎、馬}が{変域}であるならば、
① 鼻は象が長く、
② 耳は兎が長く、
③ 顔は馬が長い。
然るに、
(05)
{象、兎、馬}が{変域}であるならば、
① 象の鼻が長く、
② 兎の耳が長く、
③ 馬の顔が長い。
然るに、
(06)
1 (1)∀x∃y{(象x&鼻yx→長y)&(~象x&鼻yx→~長y)} A
2 (2)∀x∃y(兎x→~象x&鼻yx) A
1 (3) ∃y{(象a&鼻ya→長y)&(~象a&鼻ya→~長y)} 1UE
4 (4) (象a&鼻ba→長b)&(~象a&鼻ba→~長b) A
4 (5) ~象a&鼻ba→~長b 4&E
2 (6) ∃y(兎a→~象a&鼻ya) 2UE
7 (7) 兎a→~象a&鼻ba A
8(8) 兎a A
78(9) ~象a&鼻ba 78MPP
4 78(ア) ~長b 59MPP
78(イ) 鼻ba 9&E
4 78(ウ) 鼻ba&~長b アイ&I
4 7 (エ) 兎a→鼻ba&~長b 8ウCP
4 7 (オ) ∃y(兎a→鼻ya&~長y) エEI
24 (カ) ∃y(兎a→鼻ya&~長y) 67オEE
12 (キ) ∃y(兎a→鼻ya&~長y) 34カEE
12 (ク) ∀x∃y(兎x→鼻yx&~長y) キUI
従って、
(06)により、
(07)
(ⅰ)∀x∃y{(象x&鼻yx→長y)&(~象x&鼻yx→~長y)}。然るに、
(ⅱ)∀x∃y(兎x→~象x&鼻yx)。従って、
(ⅲ)∀x∃y(兎x→鼻yx&~長y)。
といふ「推論」、すなはち、
(ⅰ)すべてのxとあるyについて{(xが象であって、yがxの鼻であるならば、yは長く)、(xが象ではなく、yがxの鼻であるならば、yは長くない)}。然るに、
(ⅱ)すべてのxとあるyについて( xが兎であるならば、xは象ではなく、yはxの鼻である)。従って、
(ⅲ)すべてのxとあるyについて( xが兎であるならば、yはxの鼻であって、yは長くない)。
といふ「推論」、すなはち、
(ⅰ)象の鼻は長く、象以外の鼻は長くない。然るに、
(ⅱ)兎は象ではないが、兎に鼻がある。従って、
(ⅲ)兎の鼻は長くない。
といふ「推論」は、「妥当」である。
然るに、
(08)
(ⅰ)鼻は象が長い。然るに、
(ⅱ)兎は象ではないが、兎に鼻がある。従って、
(ⅲ)兎の鼻は長くない。
といふ「推論」は、「妥当」である。
従って、
(07)(08)により、
(09)
① 鼻は象が長い。⇔
② 象の鼻は長く、象以外の鼻は長くない。⇔
③ ∀x∃y{(象x&鼻yx→長y)&(~象x&鼻yx→~長y)}。⇔
④ すべてのxとあるyについて{(xが象であって、yがxの鼻であるならば、yは長く)、(xが象ではなく、yがxの鼻であるならば、yは長くない)}。
といふ「等式」が、「成立」する。
然るに、
(10)
1 (1) ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)} A
2 (2) ∀x{兎x→∃z(耳zx&~鼻zx&長z)} A
3 (3) ∃x(象x&兎x) A
1 (4) 象a→∃y(鼻ya&長y)&∀z(~鼻ax→~長z) 1UE
2 (5) 兎a→∃z(耳za&~鼻za&長z) 2UE
6 (6) 象a&兎a A
6 (7) 象a 6&E
6 (8) 兎a 6&E
1 6 (9) ∃y(鼻ya&長y)&∀z(~鼻za→~長z) 47MPP
1 6 (ア) ∀z(~鼻za→~長z) 9&E
1 6 (イ) ~象ba→~長b アUE
1 6 (ウ) 象ba∨~長b イ含意の定義
1 6 (エ) ~(~象ba& 長b) ウ、ド・モルガンの法則
1 6 (オ) ∀z~(~象za& 長z) エUI
1 6 (エ) ~∃z(~象za& 長z) オ量化子の関係
2 6 (オ) ∃z(耳za&~鼻za&長z) 57MPP
カ(カ) 耳ba&~鼻ba&長z A
カ(キ) ~鼻ba&長b カ&E
カ(ク) ∃z(~鼻ba&長b) キEI
2 6 (ケ) ∃z(~鼻ba&長b) オカクEE
12 6 (コ) ∃z(~鼻za&長z)&~∃z(~鼻za&長z) エケ&I
123 (サ) ∃z(~鼻za&長z)&~∃z(~鼻za&長z) 36コEE
12 (シ)~∃x(象x&兎x) 3サRAA
12 (ス)∀x~(象x&兎x) シ量化子の関係
12 (セ) ~(象a&兎a) スUE
12 (ソ) ~象a∨~兎a セ、ド・モルガンの法則
12 (タ) 象a→~兎a ソ、含意の定義
12 (チ)∀x(象x→~兎x) タUI
従って、
(10)により、
(11)
① ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。然るに、
② ∀x{兎x→∃z(耳zx&~鼻zx&長z)}。従って、
③ ∀x(象x→~兎x)。
といふ「推論」、すなはち、
① すべてのxについて{xが象であるならば、あるyは(xの鼻であり、長く)、すべてのzについて(zがxの鼻でないならば、zは長くない)}。然るに、
② すべてのxについて{xが兎であるならば、あるzは(xの耳であって、鼻ではないが、長い)}。従って、
③ すべてのxについて(xが象ならば、xは兎ではない)。
といふ「推論」、すなはち、
① 象は、鼻は長く、鼻以外は長くない。然るに、
② 兎の耳は、鼻ではないが、長い。従って、
③ 兎は象ではない。
といふ「推論」は、「妥当」である。
然るに、
(12)
① 象は鼻が長い。然るに、
② 兎の耳は長いが、耳は鼻ではない。従って、
③ 兎は象ではない。
といふ「推論」は、「妥当」である。
従って、
(11)(12)により、
(13)
① 象は鼻が長い。⇔
② 象は鼻は長く、鼻以外は長くない。⇔
③ ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。⇔
④ すべてのxについて{xが象であるならば、あるyは(xの鼻であり、長く)、すべてのzについて(zがxの鼻でないならば、zは長くない)}。
といふ「等式」が、「成立」する。
従って、
(09)(13)により、
(14)
① 鼻は象が長い。
② 象は鼻が長い。
③ 象の鼻は長く、象以外の鼻は長くない。
④ 象は鼻は長く、鼻以外は長くない。
に於いて、
①=③ であって、
②=④ である。
従って、
(14)により、
(15)
① BはAがCである。
② AはBがCである。
③ AのBはCであり、A以外のBはCではない。
④ AはBはCであり、B以外はCではない。
に於いて、
①=③ であって、
②=④ である。