日本語の「は」と「が」について。

象は鼻が長い=∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
とりあえず「三上文法」を「批判」します。

(334)「Pなので、QならばPである。」について。

2019-08-30 12:01:26 | 論理

(01)
1(1) P   A
1(2)~Q∨P 1∨I
1(3) Q→P 2含意の定義
従って、
(01)により、
(02)
① P├ P
② P├ ~Q∨P
③ P├  Q→P
といふ「連式(推論)」は、「正しい」。
従って、
(02)により、
(03)
P=阿部さんは日本人である。
Q=阿部さんは男性である。
とするならば、
① 阿部さんは日本人なので、阿部さんは日本人である。
② 阿部さんは日本人なので、阿部さんは男性でないか、阿部さんは日本人である。
③ 阿部さんは日本人なので、阿部さんが男性ならば、 阿部さんは日本人である。
といふ「連式(推論)」は、「正しい」。
然るに、
(04)
① 阿部さんは日本人なので、阿部さんは日本人である。
② 阿部さんは日本人なので、阿部さんは男性でないか、阿部さんは日本人である。
③ 阿部さんは日本人なので、阿部さんが男性ならば、 阿部さんは日本人である。
に於いて、
① については、明らかに、「正しく」、
② については、「昨日(令和元年08月29日)の記事」に書いた通りである。
然るに、
(05)
③ 阿部さんは日本人なので、阿部さんが男性ならば、阿部さんは日本人である。
については、直ちには、「正しい」とは、思へない。
然るに、
(06)
(ⅱ)
1     (1) ~Q∨ P   A
 2    (2)  Q&~P   A
  3   (3) ~Q      A
 2    (4)  Q      2&E
 23   (5) ~Q&Q    34&I
  3   (6)~(Q&~P)  25RAA
   7  (7)     P   A
 2    (8)    ~P   2&E
 2 7  (9)  P&~P   78&I
   7  (ア)~(Q&~P)  29RAA
1     (イ)~(Q&~P)  1367ア
    ウ (ウ)  Q      A
     エ(エ)    ~P   A
    ウエ(オ)  Q&~P   ウエ&I
1   ウエ(カ)~(Q&~P)&
          (Q&~P)  イオ&I
1   ウ (キ)   ~~P   エカRAA
1   ウ (ク)     P   キDN
1     (ケ)  Q→ P   ウクCP
(ⅲ)
1   (1)    Q→P   A
 2  (2) ~(~Q∨P)  A
  3 (3)   ~Q     A
  3 (4)   ~Q∨P   3∨I
 23 (5) ~(~Q∨P)&
         (~Q∨P)  24&I
 2  (6)  ~~Q     3RAA
 2  (7)    Q     6DN
   8(8)      P   A
   8(9)   ~Q∨P   8∨I
 2 8(ア) ~(~Q∨P)&
         (~Q∨P)  29&I
 2  (イ)     ~P   8アRAA
12  (ウ)      P   17MPP
12  (エ)   ~P&P   イウ&I
1   (オ)~~(~Q∨P)  2エRAA
1   (カ)   ~Q∨P   オDN
従って、
(06)により、
(07)
② ~Q∨P
③  Q→P
に於いて、
② ならば、③ であり、
③ ならば、② である。
従って、
(07)により、
(08)
② ~Q∨P
③  Q→P
に於いて、
②=③ である。
従って、
(02)(03)(04)(08)により、
(09)
① P├ P
② P├ ~Q∨P
③ P├  Q→P
に於いて、すなはち、
① 阿部さんは日本人なので、阿部さんは日本人である。
② 阿部さんは日本人なので、阿部さんは男性でないか、阿部さんは日本人である。
③ 阿部さんは日本人なので、阿部さんが男性ならば、 阿部さんは日本人である。
に於いて、
①と② が、「正しい」のであれば、③ も「正しい」と、せざるを得ないし、
①と② は、「正しい」。
然るに、
(10)
1  (1)      P   A
1  (2)   ~Q∨P   1∨I
1  (3)    Q→P   2含意の定義
 4 (4)    Q     A
14 (5)      P   34MPP
14 (6)    P&Q   45&I
1  (7) Q→(P&Q)  46CP
  8(9) Q→~P     A
  8(ア)~Q∨~P     9含意の定義
  8(イ)~P∨~Q     ア交換法則
  8(ウ)  ~(P&Q)  イ、ド・モルガンの法則
1 8(エ)~Q        7ウMTT
1  (オ)(Q→~P)→~Q 7エCP
従って、
(09)(10)により、
(11)
① P├ P
② P├ ~Q∨P
③ P├  Q→P
に於いて、すなはち、
① 阿部さんは日本人なので、阿部さんは日本人である。
② 阿部さんは日本人なので、阿部さんは男性でないか、阿部さんは日本人である。
③ 阿部さんは日本人なので、阿部さんが男性ならば、 阿部さんは日本人である。
に於いて、
① が「正しく」、
② も「正しく」、
③ も「正しい」のであれば、
④ P├  Q→(P&Q)
⑤ P├(Q→~P)→~Q
に於いて、すなはち、
④ 阿部さんは日本人なので、阿部さんが男性であるならば、阿部さんは、日本人であって、男性である。
⑤ 阿部さんは日本人なので(阿部さんが男性であるならば、阿部さんは、日本人でないのあれば)阿部さんは男性ではない。
に於いて、
④ は「正しく」、
⑤ も「正しい」。
然るに、
(12)
④ 阿部さんは日本人なので、阿部さんが男性であるならば、阿部さんは、日本人であって、男性である。
に関しては、明らかに、「正しい」。
然るに、
(13)
⑤(阿部さんが男性であるならば、阿部さんは日本人でない。)にも拘らず、 阿部さんは日本人である。
とするならば、
⑤ 阿部さん、男性では、あり得ない。
従って、
(13)により、
(14)
⑤ 阿部さんは日本人なので(阿部さんが男性であるならば、阿部さんは、日本人でないのあれば)阿部さんは男性ではない。
に関しても、明らかに、「正しい」。
従って、
(11)~(14)により、
(15)
① P├ P
② P├ ~Q∨P
③ P├  Q→P
④ P├   Q→(P&Q)
⑤ P├ (Q→~P)→~Q
に於いて、すなはち、
① 阿部さんは日本人なので、阿部さんは日本人である。
② 阿部さんは日本人なので、阿部さんは男性でないか、阿部さんは日本人である。
③ 阿部さんは日本人なので、阿部さんが男性ならば、 阿部さんは日本人である。
④ 阿部さんは日本人なので、阿部さんが男性であるならば、阿部さんは、日本人であって、男性である。
⑤ 阿部さんは日本人なので(阿部さんが男性であるならば、阿部さんは、日本人でないのあれば)阿部さんは男性ではない。
に於いて、「5つの連式(推論)」は、すべて、「正しい」。
従って、
(16)により、
(17)
③ P├ Q→P
③ 阿部さんは日本人なので、阿部さんが男性ならば、阿部さんは日本人である。
といふ、「一見、非常識で、受け入れがたい連式(推論)」も、「論理学)」には、「正しい」と、せざるを得ない。
従って、
(18)
③ 阿部さんは日本人なので、阿部さんが男性ならば、阿部さんは日本人である。
といふ「連式(推論)」を、「是認」しないのであれば、
③ P├ Q→P
に於ける、「→」といふ「記号(演算子)」は、「日本語」で言ふ、「ならば」といふ「意味」ではない。
といふ、ことになる。


(333)「選言導入の規則」は「少しも、不自然ではない」(其の?)。

2019-08-29 16:08:47 | 論理

(01)
「今日は雨が降っている。 故に、今日は雨が降っているか、もしくは寒い。」
「阿部さんは日本人である。故に、阿部さんは日本人であるか、阿部さんは男性でない。」
といふ「推論」を、我々は、普段、行はない。
然るに、
(02)
例(選言導入
以下の推論について考えます。
今日は雨が降っている。ゆえに、今日は雨が降っているか、もしくは寒い。
命題変数 P,Qを、
P=今日は雨が降っている。
Q=今日は寒い。
とおくと、先の推論は、
P ∴ P∨Q
と定式化されます。選言導入より、これは妥当な推論です。
(Webサイト:WIIS)
従って、
(01)(02)により、
(03)
「阿部さんは日本人である。故に、阿部さんは男性でないか、阿部さんは日本人である。」
「今日は雨が降っている。 故に、今日は雨が降っているか、もしくは寒い。」
といふ「選言導入」といふ「推論」を、我々は、普段、行はない。
然るに、
(04)
P=阿部は日本人である。
Q=阿部は男性である。
とするならば、
① P├ Q→(P&Q)
② 阿部さんは日本人なので、阿部さんが男性であるならば、阿部さんは、日本人であって、男性である。
に於いて、
①=② である。
然るに、
(05)
① P├ Q→(P&Q)
1 (1)     P  A
1 (2)  ~Q∨P  1∨I
1 (3)   Q→P  2含意の定義
 4(4)   Q    A
14(5)     P  34MPP
14(6)   P&Q  45&I
1 (7)Q→(P&Q) 46CP
従って、
(04)(05)により、
(06)
① P├ Q→(P&Q)
② 阿部さんは日本人なので、阿部さんが男性であるならば、阿部さんは、日本人であって、男性である。
に於いて、
①=② であって、
① は、「命題計算(propositional calculus)」として「妥当」であって、
② は、「常識」として「正しい」。
然るに、
(03)により、
(07)
1 (1)     P  A
1 (2)  ~Q∨P  1∨I
といふ「2行」は、「阿部さんは日本人である。故に、阿部さんは男性でないか、阿部さんは日本人である。」
といふ「推論(選言導入)」に、相当する。
従って、
(05)(06)(07)により、
(08)
① 阿部さんは日本人である。故に、阿部さんは男性でないか、阿部さんは日本人である(選言導入)。
② 阿部さんは日本人なので、阿部さんが男性であるならば、阿部さんは、日本人であって、男性である。
に於いて、
① といふ「推論」が「正しくない」であれば、
② といふ「結論」も「正しくない」。
といふ、ことになる。
然るに、
(09)
1 (1)     P  A
1 (2)  ~Q∨P  1∨I
といふ「2行が意味する所」からすれば、「Pが真であることは、確実である。」
然るに、
(10)
「∨」といふ「演算子」の「働き」により、
「~Q∨P」に於いて、「Pが真である」ならば、「~Qはが真であっても、真でなくとも」、
「~Q∨P」自体は、「必ずである。」
従って、
(09)(10)により、
(11)
1 (1)     P  A
1 (2)  ~Q∨P  1∨I
といふ「2行が意味する所」は、「Pは真であるが、~Qは真であるかも知れないし、真でないかも知れない。」
といふ、ことになる。
従って、
(07)~(11)により、
(12)
1 (1)     P  A
1 (2)  ~Q∨P  1∨I
といふ「2行が意味する所」は、
① 阿部さんは日本人である。故に、阿部さんは男性でないか、阿部さんは日本人である(選言導入)。
といふ「意味」ではなく、
② 阿部さんは日本人であるのだから、阿部さんは日本人の男性でないか、男性であるかの、どちらかである(選言導入)。
といふ「意味」に取るのが、「正しい」。
然るに、
(04)により、
(13)
② 阿部さんは日本人であるのだから、阿部さんは日本人の男性でないか、男性であるかの、どちらかである。
といふことは、
① P├ Q→(P&Q)
といふこと、すなはち、
② 阿部さんは日本人なので、阿部さんが男性であるならば、阿部さんは、日本人であって、男性である。
といふことに、他ならず、それ故、
① P├ Q→(P&Q)
1 (1)     P  A
1 (2)  ~Q∨P  1∨I
1 (3)   Q→P  2含意の定義
 4(4)   Q    A
14(5)     P  34MPP
14(6)   P&Q  45&I
1 (7)Q→(P&Q) 46CP
といふ、「命題計算(propositional calculus)」は、「正しい」。
従って、
(02)(14)により、
(15)
① 今日は雨が降っている。ゆえに、今日は雨が降っているか、もしくは寒い。
とするのではなく
② 今日は雨が降っている。ゆえに、今日は雨が降っている寒いかどうかは分からない
とするのが、「正しい」。


(332)「交換法則(Ⅱ)」の「具体例」。

2019-08-28 11:54:03 | 論理

(01)
①(東京都民か埼玉県民)(東京都民か埼玉県民)
②(東京都民か埼玉県民)
に於いて、
①=② である。
cf.
冪等律(idempotence)。
然るに、
(02)
②(東京都民か埼玉県民)
③(東京都民か  男性
に於いて、
②=③ ではない。
従って、
(01)(02)により、
(03)
①(東京都民か埼玉県民)で(東京都民か埼玉県民)
③(東京都民か埼玉県民)で(東京都民か  男性
に於いて、
①=③ ではない。
然るに、
(04)
①  東京都民=東京都民の男性と、東京都民の女性。
②  埼玉県民=埼玉県民の男性と、埼玉県民の女性。
であるため、
③(東京都民  男性)の中には、
①  東京都民の男性は、含まれるし、
①  東京都民の女性は、含まれるし、
②  埼玉県民の男性も、含まれるが、
②  埼玉県民の女性は、含まれない
従って、
(01)~(04)により、
(05)
①(東京都民か埼玉県民)で(東京都民か埼玉県民)
ではなく、
③(東京都民か埼玉県民)(東京都民か  男性
であるならば、
②  埼玉県民の男性は、含まれるが、
②  埼玉県民の女性は、含まれない
従って、
(05)により、
(06)
③(東京都民か埼玉県民)(東京都民か  男性
④  東京都民の男性と、東京都民の女性と、埼玉県民の男性
に於いて、
③=④ である、
然るに、
(07)
⑤  東京都民か(埼玉県民で男性
⑥  東京都民の男性と、東京都民の女性と、埼玉県民の男性
に於いて、
⑤=⑥ である。
従って、
(06)(07)により、
(08)
③(東京都民か埼玉県民)(東京都民か  男性
⑤  東京都民か(埼玉県民で男性
に於いて、
③=⑤ である。
従って、
(08)により、
(09)
「番号」を付け直すと、
①  東京都民か(埼玉県民で男性
②(東京都民か埼玉県民)(東京都民か  男性
に於いて、
①=② である。
従って、
(10)
「記号」で書くと、
①  東∨(埼∧男)
②(東∨埼)∧(東∨男)
に於いて、
①=② である。
然るに、
(11)
(ⅰ)
1  (1) 東∨(埼∧男)    A
 2 (2) 東          A
 2 (3) 東∨埼        2∨I
 2 (4) 東∨男        2∨I
 2 (5)(東∨埼)∧(東∨男) 23∧I
  6(6)    埼∧男     A
  6(7)    埼       6∧E
  6(8)      男     6∧E
  6(9) 東∨埼        7∨I
  6(ア)       東∨男  8∨I
  6(イ)(東∨埼)∧(東∨男) 9ア∧I
1  (ウ)(東∨埼)∧(東∨男) 1245イ∨E
(ⅱ)
1 (1) (東∨埼)∧(東∨男) A
1 (2)  東∨埼        1∧E
1 (3)~~東∨埼        2DN
1 (4) ~東→埼        3含意の定義
1 (5)        東∨男  1∧E
1 (6)      ~~東∨男  5DN
1 (7)       ~東→男  6含意の定義
 2(8) ~東          A
12(9)    埼        48M東東
12(ア)          男  78M東東
12(イ)    (埼∧男)    9ア∧I
1 (ウ) ~東→(埼∧男)    8イC東
1 (エ)~~東∨(埼∧男)    ウ含意の定義
1 (オ)  東∨(埼∧男)    エDN
従って、
(10)(11)により、
(12)
①  東∨(埼∧男)
②(東∨埼)∧(東∨男)
に於いて、すなはち、
① その人は東京都民か(埼玉県民で男性)である。       ⇔ 東京都民か埼玉県人であるが、女性ではない
② その人は(東京都民か埼玉県民)で(東京都民か男性)である。⇔ 東京都民か埼玉県人であるが、女性ではない
に於いて、
①=② である。
といふことは、「命題計算(Propositional calculation)」としても、「正しい」。
然るに、
(13)
①  東∨(埼∧男)
②(東∨埼)∧(東∨男)
といふ「命題」に関する「式」は、
①  東∪(埼∩男)
②(東∪埼)∩(東∪男)
といふ「集合」に関する「式」に、相当する。
従って、
(13)により、
(14)
①  A∪(B∩C)
②(A∪B)∩(A∪C)
に於いて、
①=② である。
とする、「集合」に関する「等式(分配法則)」も、「正しい」し、さらに言へば、
③  A∩(B∪C)
④(A∩B)∪(A∩C)
に於いて、
③=④ である。
とする、「集合」に関する「等式(分配法則)」も、「正しい」。
(15)
(ⅰ)
1  (1) A∪(B∩C)    A
 2 (2) A          A
 2 (3) A∪B        2選言導入
 2 (4) A∪C        2選言導入
 2 (5)(A∪B)∩(A∪C) 23連言導入
  6(6)    B∩C     A
  6(7)    B       6連言除去
  6(8)      C     6連言除去
  6(9) A∪B        7選言導入
  6(ア)       A∪C  8選言導入
  6(イ)(A∪B)∩(A∪C) 9ア連言導入
1  (ウ)(A∪B)∩(A∪C) 1245イ選言除去
(ⅱ)
1 (1) (A∪B)∩(A∪C) A
1 (2)  A∪B        1連言除去
1 (3)~~A∪B        2DN
1 (4) ~A→B        3含意の定義
1 (5)        A∪C  1連言除去
1 (6)      ~~A∪C  5DN
1 (7)       ~A→C  6含意の定義
 2(8) ~A          A
12(9)    B        48MPP
12(ア)          C  78MPP
12(イ)    (B∩C)    9ア連言導入
1 (ウ) ~A→(B∩C)    8イCP
1 (エ)~~A∪(B∩C)    ウ含意の定義
1 (オ)  A∪(B∩C)    エDN
(ⅲ)
1  (1) A∩(B∪C)    A
1  (2) A          1連言除去
1  (3)    B∪C     1連言除去
 4 (4)    B       A
14 (5) A∩B        24連言導入
14 (6)(A∩B)∪(A∩C) 5選言導入
  7(7)      C     A
1 7(8)       A∩C  27連言導入
1 7(9)(A∩B)∪(A∩C) 8選言導入
1  (ア)(A∩B)∪(A∩C) 34679選言除去
(ⅳ)
1  (1)(A∩B)∪(A∩C) A
 2 (2)(A∩B)       A
 2 (3) A          2連言除去
 2 (4)   B        2連言除去
 2 (5)    B∪C     4選言導入
 2 (6) A∩(B∪C)    35連言導入
  7(7)      (A∩C) A
  7(8)       A    7連言除去
  7(9)         C  7連言除去
  7(ア)       B∪C  9選言導入
  7(イ) A∩(B∪C)    8ア連言導入
1  (ウ) A∩(B∪C)    1267イ選言除去
に於ける、
∪ は、∨ に相当し、
∩ は、∧ に相当する。
然るに、
(16)
A∪(B∩C)
と書けば、「集合」であって、
A∨(B∧C)
と書けば、「命題」であるが、「集合」と「命題」は、「同じ」ではない。


(331)「漢文訓読」と「英文訓読」と「括弧」。

2019-08-26 14:25:07 | 英文訓読

(01)
① 我毎朝与友乗車行於職場。
② I go to work with my friend by car every morning.
然るに、
(02)
① 我毎朝与(友)乗(車)行〔於(職場)〕。
に於いて、
① 与( )⇒( )与
① 乗( )⇒( )乗
① 行〔 〕⇒〔 〕行
① 於( )⇒( )於
といふ「移動」を行ふと、
① 我毎朝与(友)乗(車)行〔於(職場)〕⇒
① 我毎朝(友)与(車)乗〔(職場)於〕行=
① 私は毎朝(友人)と(車に)乗り〔(職場)に〕行く。
然るに、
(03)
② I go「to《work〈with{my‐friend[by〔car(every morning)〕]}〉》」.
に於いて、
②     go「 」⇒「 」go
②     to《 》⇒「 」to
②    work〈 〉⇒〈 〉work
②    with{ }⇒{ }with
② my‐friend[ ]⇒[ ]my‐friend
②         by〔 〕⇒〔 〕by
②        car( )⇒( )car
② I 「《〈{[〔(every morning)car〕by]my‐friend}with〉work》to」go=
② 私は「《〈{[〔(毎朝)車〕で]友人}と〉職場》へ」行く。
然るに、
(04)
漢語における語順は、国語と大きく違っているところがある。すなわち、その補足構造における語順は、国語とは全く反対である。しかし、訓読は、国語の語順に置きかえて読むことが、その大きな原則となっている。それでその補足構造によっている文も、返り点によって、国語としての語順が示されている(鈴木直治、中国語と漢文、1975年、296頁)。
然るに、
(05)
② car(every morning)
② my‐friend[by〔car(every morning)〕]
② work〈with{my‐friend[by〔car(every morning)〕]}〉
に於いて、すなはち、
②  車(毎朝)
② 友人[車で毎朝]
② 仕事〈毎朝車で友人と〉
に於いて、
②   (毎朝)
②   [車で毎朝]
②   〈毎朝車で友人と〉
といふ「句」は、
②  車
② 友人
② 仕事
といふ「語」の、「補語(補足語)」ではない
従って、
(01)~(05)により、
(06)
① 我毎朝与(友)乗(車)行〔於(職場)〕。
に於ける、
①( )( )〔 ( ) 〕
といふ「括弧」は、
① 我毎朝与友乗車行於職場。
といふ「漢文」の「補足構造」を表してゐて
② I go「to《work〈with{my‐friend[by〔car(every morning)〕]}〉》」.
に於ける、
②「 《 〈 { [ 〔 ( ) 〕 ] } 〉 》 」
といふ「括弧」は、
② I go to work with my friend by car every morning.
といふ「英文」の「補足構造」を表してはゐない
然るに、
(07)
② I go to work with my friend by car every morning.
に対する、
② I go〔to(work)〕with(my friend)by(car)every morning.
であるならば、「括弧」は、「補足構造」を表してゐる
然るに、
(08)
② I go〔to(work)〕with(my friend)by(car)every morning.
の場合は、
②   go〔 〕⇒〔 〕go
②   to( )⇒( )to
② with( )⇒( )with
②   by( )⇒( )by
といふ「移動」を行ったとしても、
② I go to work with my friend by car every morning=
② I go〔to(work)〕with(my friend)by(car)every morning⇒
② I 〔(work)to〕go(my friend)with(car)byevery morning=
② 私は 〔(仕事)へ〕行く(友人)と(車)で毎朝。
といふ「語順」なるため、「漢文」のやうに、
① 我毎朝与友乗車行於職場=
① 我毎朝与(友)乗(車)行〔於(職場)〕⇒
① 我毎朝(友)与(車)乗〔(職場)於〕行=
① 私は毎朝(友人)と(車に)乗り〔(職場)に〕行く。
といふ「語順」には、ならない
従って、
(06)(07)(08)により、
(09)
例へば、
① 我毎朝与(友)乗(車)行〔於(職場)〕。
② I go「to《work〈with{my‐friend[by〔car(every morning)〕]}〉》」.
といふ場合がさうであるやうに、
②「英文を和文の語順に変換する際の、括弧の種類」は、
①「漢文を和文の語順に変換する際の、括弧の種類」よりも、「多くならざるを得ない」。
加へて、
(10)
例へば、
During the past seventy five years since Japan's closed doors were opened,the Japanese have been described in the most fantastic series of‘but also's’ever used for any nation of the world(ルース・ベネディクト、菊と刀、1946年).
がさうであるように、「英文は、センテンスが長くなる、傾向がある」。
従って、
(09)(10)により、
(11)
③ During{the‐past‐seventy‐five‐years[since〔Japan's closed doors were(opened)〕},the Japanese have【been『described「in《the‐most‐fantastic‐series‐of‐‘but also's〈ever used{for[any nation〔of(the world)〕]}〉》」』】⇒
③{[〔Japan's closed doors(opened)were〕since]the‐past‐seventy‐five‐years}During,the Japanese【『「《〈ever{[〔(the world)of〕any‐nation]for}used〉the‐most‐fantastic‐series‐of‐‘but also's》in」described』been】have=
③{[〔日本の閉ざされたドアが(開か)れて〕から]過去‐七十‐五‐年}の間、日本人は【『「《〈嘗て{[〔(世界)の〕どの国民]に対して}使はれたよりも〉最も‐途方もない‐一連‐の‐「しかし一方では」の句》によって」描写』されて】来た。
等がさうであるように、「括弧を用ひて、英文を和文の語順に変換する」際には、「極めて、多くの括弧を、必要とする」。


(330)「交換法則(Ⅰ)」の「具体例」。

2019-08-24 20:31:15 | 論理

―「先ほどの記事」を補足します。―
(01)    
(ⅰ)
1  (1) 男&(東∨埼)    A
1  (2) 男          1&E
1  (3)    東∨埼     1&E
 4 (4)    東       A
14 (5) 男&東        24&I
14 (6)(男&東)∨(男&埼) 5∨I
  7(7)      埼     A
1 7(8)       男&埼  27&I
1 7(9)(男&東)∨(男&埼) 8∨I
1  (ア)(男&東)∨(男&埼) 34679∨E
(ⅱ)
1  (1)(男&東)∨(男&埼) A
 2 (2)(男&東)       A
 2 (3) 男          2&E
 2 (4)   東        2&E
 2 (5)    東∨埼     4∨I
 2 (6) 男&(東∨埼)    35&I
  7(7)      (男&埼) A
  7(8)       男    7&E
  7(9)         埼  7&E
  7(ア)       東∨埼  9∨I
  7(イ) 男&(東∨埼)    8ア&I
1  (ウ) 男&(東∨埼)    1267イ∨E
(ⅲ)
1  (1)  (男&東)∨(男&埼) A
1  (2)~~(男&東)∨(男&埼) 1DN
1  (3) ~(男&東)→(男&埼) 2含意の定義
1  (4)  (男&埼)∨(男&東) 1交換法則
1  (5)~~(男&埼)∨(男&東) 4DN
1  (6) ~(男&埼)→(男&東) 5含意の定義
(ⅳ)
1  (1) ~(男&東)→(男&埼) A
1  (2)~~(男&東)∨(男&埼) 1含意の定義
1  (3)  (男&東)∨(男&埼) 2DN
1  (4)  (男&埼)∨(男&東) 3交換法則
従って、
(01)により、
(02)
①     男&(東∨埼)
②   (男&東)∨(男&埼)
③ ~(男&東)→(男&埼)
④ ~(男&埼)→(男&東)
に於いて、すなはち、
①  その人は男性で(東京都民か埼玉県民である)。
②(その人は男性で東京都民である)か(その人は男性で埼玉県民である)。
③(その人が男性で東京都民でない)ならば(その人は男性で埼玉県人である)。
④(その人が男性で埼玉県民でない)ならば(その人は男性で東京都民である)。
に於いて、
①=②=③=④ である。
然るに、
(03)
①  男&(東∨埼)
②(男&東)∨(男&埼)
といふ「命題」に関する「式」は、
①  男∩(東∪埼)
②(男∩東)∪(男∩埼)
といふ「集合」に関する「式」に、相当する。
従って、
(02)(03)により、
(04)
①  その人は男性で(東京都民か埼玉県民である)。
②(その人は男性で東京都民である)か(その人は男性で埼玉県民である)。
③(その人が男性で東京都民でない)ならば(その人は男性で埼玉県人である)。
④(その人が男性で埼玉県民でない)ならば(その人は男性で東京都民である)。
に於いて、
①=②=③=④ である。
といふことが、「理解」出来るのであれば、
①  男∩(東∪埼)
②(男∩東)∪(男∩埼)
に於いて、
①=② である。
といふことを、「理解」してゐる。
といふ、ことになる。


(329)「分配法則」と「括弧(句読点)」。

2019-08-24 13:56:11 | 論理

(01)
(ⅰ)
1  (1) P&(Q∨R)    A
1  (2) P          1&E
1  (3)    Q∨R     1&E
 4 (4)    Q       A
14 (5) P&Q        24&I
14 (6)(P&Q)∨(P&R) 5∨I
  7(7)      R     A
1 7(8)       P&R  27&I
1 7(9)(P&Q)∨(P&R) 8∨I
1  (ア)(P&Q)∨(P&R) 34679∨E
(ⅱ)
1  (1)(P&Q)∨(P&R) A
 2 (2)(P&Q)       A
 2 (3) P          2&E
 2 (4)   Q        2&E
 2 (5)    Q∨R     4∨I
 2 (6) P&(Q∨R)    35&I
  7(7)      (P&R) A
  7(8)       P    7&E
  7(9)         R  7&E
  7(ア)       Q∨R  9∨I
  7(イ) P&(Q∨R)    8ア&I
1  (ウ) P&(Q∨R)    1267イ∨E
従って、
(01)により、
(02)
①  P&(Q∨R)
②(P&Q)∨(P&R)
に於いて、
①=② である。
cf.
分配法則(Distribution law Ⅰ)
(03)
(ⅲ)
1  (1)(P&Q)∨R     A
 2 (2) P&Q        A
 2 (3) P          2&E
 2 (4) P∨R        3∨I
 2 (5) Q          2&E
 2 (6) Q∨R        5∨I
 2 (7)(P∨R)&(Q∨R) 45&I
  8(8)      R     A
  8(9)    P∨R     8∨I
  8(ア)    Q∨R     8∨I
  8(イ)(P∨R)&(Q∨R) 9ア&I
1  (ウ)(P∨R)&(Q∨R) 1278イ∨E
(ⅳ)
1 (1)  (P∨R)&(Q∨R) A
1 (2)   P∨R        1&E
1 (3)   R∨P        2交換法則
1 (4) ~~R∨P        3DN
1 (5)  ~R→P        4含意の定義
1 (6)         Q∨R  1&E
1 (7)         R∨Q  6交換法則
1 (8)       ~~R∨Q  7DN
1 (9)        ~R→Q  8含意の定義
 ア(ア)  ~R          A
1ア(イ)     P        5アMPP  
1ア(ウ)           Q  9アMPP
1ア(エ)     P&Q      イウ&I
1 (オ) ~R→(P&Q)     アエCP
1 (カ)~~R∨(P&Q)     オ含意の定義
1 (キ)  R∨(P&Q)     カDN
1 (ク) (P&Q)∨R      キ交換法則
従って、
(03)により、
(04)
③(P&Q)∨R
④(P∨R)&(Q∨R)
に於いて、
③=④ である。
cf.
分配法則(Distribution law Ⅱ)
従って、
(02)(04)により、
(05)
①  P&(Q∨R)
②(P&Q)∨(P&R)
③(P&Q)∨R
④(P∨R)&(Q∨R)
に於いて、
①=② であって、
③=④ である。
然るに、
(06)
②(P&Q)∨(P&R)
④(P∨R)&(Q∨R)
に於いて、
②(偽&Q)∨(偽&真)=(偽∨偽)=
④(偽∨真)&(Q∨真)=(真&真)=
従って、
(05)(06)により、
(07)
①  P&(Q∨R)
③(P&Q)∨R
に於いて、
①=③ ではない
従って、
(07)により、
(08)
例へば、
①  男性で(東京都民か埼玉県民)=東京都民の男性か、埼玉県民の男性。
③(男性で東京都民)か埼玉県民  =東京都民の男性か、埼玉県民(の男性と女性)。
に於いて、
①=③ ではない。
然るに、
(09)
①  男性、東京都民埼玉県民=東京都民男性、埼玉県民男性。
③ 男性東京都民、埼玉県民=東京都民男性、埼玉県民(の男性と女性)。
に於いて、
①=③ ではない。
従って、
(08)(09)により、
(10)
①  男性で(東京都民か埼玉県民)=男性の、東京都民か埼玉県民。
③(男性で東京都民)か埼玉県民  =男性の東京都民か、埼玉県民。
に於いて、
①=③ ではない
従って、
(10)により、
(11)
①  男性で(東京都民か埼玉県民)
⑪  男性の東京都民か埼玉県民。
③(男性で東京都民)か埼玉県民
⑬  男性の東京都民か埼玉県民。
に於いて、
① ならば、そのときに限って、⑪ であり、
③ ならば、そのときに限って、⑬ である。
然るに、
(12)
⑤ 男性で東京都民か埼玉県民
であれば、
⑪  男性の東京都民か埼玉県民。
であるか、
⑬  男性の東京都民か埼玉県民(の男性と女性)。
であるかの、いづれかである。
従って、
(11)(12)により、
(13)
⑤ 男性で東京都民か埼玉県民
であれば、
①  男性で東京都民か埼玉県民
であるか、
男性で東京都民か埼玉県民
であるかの、いづれかである。
従って、
(13)により、
(14)
⑤ 男性で東京都民か埼玉県民
といふ「日本語」には、
①  男性で東京都民か埼玉県民
男性で東京都民か埼玉県民
といふ「括弧」が、無ければならない。


(328)「論理式」にも「漢文」にも「括弧」は有ります。

2019-08-22 18:46:36 | 訓読・論理学

(01)
(ⅰ)
1   (1)  ~P& Q   A
 2  (2)   P∨~Q   A
1   (3)  ~P      1&E
  4 (4)   P      A
1 4 (5)  ~P& P   34&I
  4 (6)~(~P& Q)  15RAA
1   (7)      Q   1&E
   8(8)     ~Q   A
1  8(9)   Q&~Q   78&I
   8(ア)~(~P& Q)  19RAA
 2  (イ)~(~P& Q)  2467ア∨E
12  (ウ) (~P& Q)&
       ~(~P& Q)  1イ&I
1   (エ) ~(P∨~Q)  2ウRAA
(ⅱ)
1   (1) ~(P∨~Q)  A
 2  (2)   P      A
 2  (3)   P∨~Q   2∨I
12  (4) ~(P∨~Q)&
         (P∨~Q)  13&I
1   (5)  ~P      24RAA
  6 (6)     ~Q   A
  6 (7)   P∨~Q   6∨I
1 6 (8) ~(P∨~Q)&
         (P∨~Q)  17&I
1   (9)    ~~Q   6RAA
1   (ア)      Q   9DN
1   (イ)  ~P& Q   5ア&I
従って、
(01)により、
(02)
①   ~P& Q 
② ~(P∨~Q)
に於いて、
①=② である。
(03)
(ⅲ)
1   (1) ~( P& Q)  A
 2  (2) ~(~P∨~Q)  A
  3 (3)   ~P      A
  3 (4)   ~P∨~Q   3∨I
 23 (5) ~(~P∨~Q)&
         (~P∨~Q)  24&I
 2  (6)  ~~P      35RAA
 2  (7)    P      6DN
   8(8)      ~Q   A
   8(9)   ~P∨~Q   8∨I
 2 8(ア) ~(~P∨~Q)&
         (~P∨~Q)  29&I
 2  (イ)     ~~Q   8RAA
 2  (ウ)       Q   イDN
 2  (エ)    P& Q   7ウ&I
12  (オ) ~( P& Q)&
         ( P& Q)  1エ&I
1   (カ)~~(~P∨~Q)  2オRAA
1   (キ)   ~P∨~Q   カDN
(ⅳ)
1   (1) ~P∨~Q  A
 2  (2)  P& Q  A
  3 (3) ~P     A
 2  (4)  P     2&E
 23 (5) ~P&P   34&I
  3 (6)~(P& Q) 25RAA
   7(7)    ~Q  A
 2  (8)     Q  2&E
 2 7(9)  ~Q&Q  78&I
   7(ア)~(P& Q) 29RAA
1   (イ)~(P& Q) 1367ア∨E
従って、
(03)により、
(04)
③ ~(P& Q)
④  ~P∨~Q
に於いて、
③=④ である。
従って、
(02)(04)により、
(05)
①   ~P& Q 
② ~(P∨~Q)
③ ~(P& Q)
④  ~P∨~Q
に於いて、
①=② であって、
③=④ である。
cf.
ド・モルガンの法則
然るに、
(06)
②{~(真∨~偽)=~(真∨真)=~真}=
④{(~真∨~偽)= (偽∨真)= 真}=
従って、
(05)(06)により、
(07)
② ~(P∨~Q)
④  ~P∨~Q
に於いて、
②=④ ではない
従って、
(05)(07)により、
(08)
①   ~P&Q 
③ ~(P&Q)
に於いて、
①=③ ではない
然るに、
(09)
任意の表述の否定は、その表述を’~(  )’という空所にいれて書くことにしよう;しかし「括弧」はその内部が連言でないかぎり削除しよう(W.O.クワイン著、杖下隆英訳、現代論理学入門、1972年、15頁)。
従って、
(09)により、
(10)
① ~(P)&Q 
③ ~(P & Q)
であるならば、
①   ~P&Q 
③ ~(P&Q)
である。
従って、
(09)(10)により、
(11)
①   ~P&Q 
③ ~(P&Q)
に於いて、
①=③ ではない。といふことは、
① ~(P)&Q 
③ ~(P & Q)
といふことに、他ならない。
従って、
(11)により、
(12)
① ~(P)&Q 
に於ける、
①  ( ) を「省略」した「形」が、
①   ~P&Q
である。といふ、ことになる。
然るに、
(13)
① ~(P)&Q 
② ~(P & Q)
といふ「2通り」を、
① 不(P)而Q 
② 不(P 而 Q)
とする。
(14)
P=有祝魲鮀之佞
Q=有宋朝之美
とする。
従って、
(11)~(14)により、
(15)
① 不(P)而Q 
② 不(P 而 Q)
に於いて、
①=② ではないが故に、
① 不(有祝魲鮀之佞)而有宋朝之美。
② 不(有祝魲鮀之佞 而 有宋朝之美)。
に於いて、
①=② ではない。
然るに、
(16)
「論理式」に、「括弧」はあるが、
「 漢文 」に、「括弧」はない
従って、
(15)(16)により、
(17)
① 不有祝魲鮀之佞而有宋朝之美。
② 不有祝魲鮀之佞而有宋朝之美。
に於いて、
①=② ではない。
従って、
(15)(17)により、
(18)
漢文」の場合は、「括弧」を書かないが故に、
① 不P而Q。
② 不P而Q。
に於いて、
①=② ではない
然るに、
(19)
実は、どちらも意味が通じるのである。
① の方は、古注といって、伝統的な解釈であるが、
② の方は、新注といって、朱熹(朱子)の解釈なのである。「返り点」をつけると、
① 不祝魲鮀之而有宋朝之美
② 不祝魲鮀之佞而有宋朝之美
このように「不」が頭にきてるときは、どこまでかかるのか、ということをじっくりとと押さえてみることだ。
(二畳庵主人、漢文法基礎、1984年、326頁改)
従って、
(17)(18)(19)により、
(20)
返り点」を用ひない「漢文」の場合は、「括弧」が無いが故に、
① 不P而Q。 
② 不P而Q。
に於いて、
①=② ではない。
といふことは、朱熹(朱子)も、「そのやうに、意識してゐた」といふ、ことになる。
従って、
(19)(20)により、
(21)
① 不P而Q。
と書かれてゐても、
① 不(P)而Q。
であるとするが、「古注」であって、
② 不P而Q。
と書かれてゐても、
② 不(P 而 Q)。
であるとするのが、「新注」である。
といふ、ことになる。


(327)漢文・補足構造・返り点・ラテン語和訳。

2019-08-21 07:55:44 | 返り点、括弧。

―「昨日(令和元年08月20日)」の記事を書き直します。―
(01)
漢語文法の基礎となっている文法的な関係として、次の四つの関係をあげることができる。
(一)主述関係 主語 ―  述語
(二)修飾関係 修飾語―被修飾語
(三)補足関係 叙述語―  補語
(四)並列関係 並列語― 並列語
(鈴木直治、中国語と漢文、1975年、281・282頁改)
(02)
(四)並列関係 といふのは、例へば、
花鳥=花と鳥
風雨=風と雨
死生=死と生
来見=来たり見る
等を、言ふ。
然るに、
(03)
① 非不読書=
① 非[不〔読(書)〕]。
に於いて、
① 非[ ]⇒[ ]非
① 不〔 〕⇒〔 〕不
① 読( )⇒( )読
といふ「移動」を行ふと、
① [〔(書)読〕不]非=
① [〔(書を)読ま〕不るに]非ず=
① 書を読まないのではない。
(04)
② 非不読英文=
② 非[不〔読(英文)〕]。
に於いて、
② 非[ ]⇒[ ]非
② 不〔 〕⇒〔 〕不
② 読( )⇒( )読
といふ「移動」を行ふと、
② [〔(英文)読〕不]非=
② [〔(英文を)読ま〕不るに]非ず=
② 英文を読まないのではない。
(05)
③ 非必不読英文=
③ 非[必不〔読(英文)〕]。
に於いて、
③ 非[ ]⇒[ ]非
③ 不〔 〕⇒〔 〕不
③ 読( )⇒( )読
といふ「移動」を行ふと、
③ [必〔(英文)読〕不]非=
③ [必ずしも〔(英文を)読ま〕不るに]非ず=
③ 必ずしも英文を読まないのではない。
(06)
④ 我非必不読英文者=
④ 我非[必不〔読(英文)〕者]。
に於いて、
④ 非[ ]⇒[ ]非
④ 不〔 〕⇒〔 〕不
④ 読( )⇒( )読
といふ「移動」を行ふと、
④ 我[必〔(英文)読〕不者]非=
④ 我は[必ずしも〔(英文を)読ま〕不る者に]非ず=
④ 私は、必ずしも英文を読まない者ではない。
然るに、
(07)
漢語における語順は、国語と大きく違っているところがある。すなわち、その補足構造における語順は、国語とは全く反対である。しかし、訓読は、国語の語順に置きかえて読むことが、その大きな原則となっている。それでその補足構造によっている文も、返り点によって、国語としての語順が示されている(鈴木直治、中国語と漢文、1975年、296頁)。
従って、
(01)~(07)により、
(08)
①  非[不〔読(文)〕]。
②  非[不〔読(英文)〕]。
③  非[必不〔読(英文)〕]。
④ 我非[必不〔読(英文)〕者]。
並びに、
① [〔(書を)読ま〕不るに]非ず。
② [〔(英文を)読ま〕不るに]非ず。
③ [必ずしも〔(英文を)読ま〕不るに]非ず。
④ 我は[必ずしも〔(英文を)読ま〕不る者に]非ず。
に於ける、
①[ 〔 ( ) 〕 ]
②[ 〔 ( ) 〕 ]
③[ 〔 ( ) 〕 ]
④[ 〔 ( ) 〕 ]
といふ「括弧」は、
(ⅰ)「漢文の補足構造」と、
(ⅱ)「国語の補足構造」と、
(ⅲ)「漢文訓読の語順」とを、表してゐる。
従って、
(08)により、
(09)
①   非文。
②  非英文
③  非必不一レ英文
④ 我非必不英文
といふ「漢文」を、
① [〔(文を)読ま〕不るに]非ず。
② [〔(英文を)読ま〕不るに]非ず。
③ [必ずしも〔(英文を)読ま〕不るに]非ず。
④ 我は[必ずしも〔(英文を)読ま〕不る者に]非ず。
といふ風に「訓読」したとしても、「語順は、変はる」一方で、「補足構造は、変はらない。」
従って、
(10)
⑤ 小蛇以一咬大牛
といふ「漢文」を、
⑤ 小蛇以(一咬)殺(大牛)⇒
⑤ 小蛇(一咬)以(大牛)殺=
⑤ 小蛇(一咬を)以て(大牛を)殺す。
といふ風に「訓読」したとしても、「語順は、変はる」一方で、「補足構造は、変はらない。」
然るに、
(11)
Q. ラテン語の語順の自由さについて
Q. 突然のメールで恐縮ですが、私がラテン語学習で感じた感想を述べさせてください。ラテン語学習で私が特に(接続法の次に)面食らったのが、語順の自由さです。
古代ローマの人たちは、この語順をはたしてどのように受け止めていたのでしょうか。
例えば、こういう一節があります。
Parva necat morsū spatiōsum vīpera taurum.
順通りの訳は「小さいのが、殺す、一咬みで、大きいのを、蛇が、牛を。」となります。
(Webサイト:山下太郎のラテン語入門)
然るに、
(12)
⑥ Parva (necat{morsū   [spatiōsum〔)vīpera〕taurum]}=
⑥ 小さな(殺す{ 一咬みで[大きい   〔)蛇が  〕牛を  ]}。
に於いて、
⑥   小さな( )⇒( )小さな
⑥     殺す{ }⇒{ }殺す
⑥ 一咬みで[ ]⇒[ ]一咬みで
⑥  大きい〔 〕⇒〔 〕大きい
といふ「移動」を行ふと、
⑥ 小さな(殺す{ 一咬みで[大きい   〔)蛇が  〕牛を  ]}⇒
⑥ ({ [  〔)小さな蛇が  〕大きい 牛を  ]一咬みで}殺す=
⑥ 小さな蛇が、大きい牛を、一咬みで、殺す。
といふ「ラテン語和訳」が、完成する。
然るに、
(13)
⑥{ [ 〔 ( ) 〕 ] }
といふ「括弧」に対して、
⑥ 小さな(殺す{ 一咬みで[大きい〔)蛇が〕牛を ]}
に於ける、
( { [ 〔  〕 ] }
といふ「それ」は、「括弧」ではない。
従って、
(10)~(13)により、
(14)
⑤ 小蛇以(一咬)殺(大牛)。
⑥ Parva (necat{morsū[spatiōsum〔)vīpera〕taurum]}。
に於ける、
⑤( )( )
⑥( { [ 〔 ) 〕 ] }
に於いて、
⑤ といふ「括弧」は、「漢文の補足構造」と、「訓読の語順」を表してゐて、
⑥ といふ「それ」は、固より、「括弧」ではなく、尚且つ、「ラテン語の補足構造」を、表してはゐない。
従って、
(14)により、
(15)
⑤ 小蛇以(一咬)殺(大牛)。
といふ「漢文」を、
⑤ 小蛇(一咬を)以て(大牛を)殺す。
といふ風に「訓読」することと、
⑥ Parva (necat{morsū[spatiōsum〔)vīpera〕taurum]}。
といふ「ラテン語」を、
⑥ ({ [  〔)小さな蛇が  〕大きい 牛を  ]一咬みで}殺す。
といふ風に「和訳」することは、「同じ」ではない。
従って、
(15)により、
(16)
例へば、「ラテン語・和訳」等を例にとって行ふ、
数年前、ある言語学教育関連の新聞の連載のコラムに、西洋文化研究者の発言が載せられていた。誰もが知る、孟浩然の『春眠』「春眠暁を覚えず・・・・・・」の引用から始まるそのコラムでは、なぜ高校の教科書にいまだに漢文訓読があるのかと疑問を呈し、「返り点」をたよりに「上がったり下がったりしながら、シラミつぶしに漢字にたどる」読み方はすでに時代遅れの代物であって、早くこうした状況から脱するべきだと主張する。「どこの国に外国語を母国語の語順で読む国があろう」かと嘆く筆者は、かつては漢文訓読が中国の歴史や文学を学ぶ唯一の手段であり「必要から編み出された苦肉の知恵であった」かもしれないが、いまや中国語を日本にいても学べる時代であり「漢文訓読を卒業するとき」だと主張するのである(「訓読」論 東アジア漢文世界と日本語、中村春作・市來津由彦・田尻祐一郎・前田勉 共編、2008年、1頁)。
といふ「主張」は、「正しく」はない。


(326)「象が鼻が長い」の「述語論理」。

2019-08-20 16:05:55 | 象は鼻が長い、述語論理。

(01)
(ⅰ)
1   (1)   P& Q   A
 2  (2)   P→~Q   A
1   (3)   P      1&E
12  (4)     ~Q   23MPP
 2  (5)      Q   1&E
12  (6)   ~Q&Q   45&I
1   (7) ~(P→~Q)  26RAA
(ⅱ)
1   (1) ~(P→~Q)  A
 2  (2) ~(P& Q)  A
  3 (3)   P      A
   4(4)      Q   A
  34(5)   P& Q   34&I
 234(6) ~(P& Q)&
         (P& Q)  25&I
 23 (7)     ~Q   46RAA
 2  (8)   P→~Q   37CP
12  (9) ~(P→~Q)&
         (P→~Q)  28&I
1   (ア)~~(P& Q)  29RAA
1   (イ)   P& Q   アDN
従って、
(01)により、
(02)
①     P& Q
② ~(P→~Q)
に於いて、
①=② であるが、
この「等式」を、『連言の定義(Df.&)』とする。
(03)
① 象は鼻は長い。
② 象以外は鼻は長くない
③ 象は鼻以外は長くない
であるとして、
④ 象長い=①+②+③ である。とする。
従って、
(03)により、
(04)
④ 象が鼻が長い。⇔
④ ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&~象x→~∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}
従って、
(04)により、
(05)
⑤ 象長い。とは言へない。⇔
⑤ ~∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&~象x→~∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}
然るに、
(06)
1     (1)    ~∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&~象x→~∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)} A
1     (2)    ∃x~{象x→∃y(鼻yx&長y)&~象x→~∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)} 1量化子の関係
 3    (3)      ~{象a→∃y(鼻ya&長y)&~象a→~∃y(鼻ya&長y)&∀z(~鼻za→~長z)} A
 3    (4)  ~{象a→∃y(鼻ya&長y)}∨~{~象a→~∃y(鼻ya&長y}∨~∀z(~鼻za→~長z)} 3ド・モルガンの法則
  5   (5)  ~{象a→∃y(鼻ya&長y)}                                  A
  5   (6)    象&~∃y(鼻ya&長y)                                   5連言の定義
  5   (7)    象a                                              6&E
  5   (8)      ~∃y(鼻ya&長y)                                   6&E
  5   (9)      ∀y~(鼻ya&長y)                                   8量化子の関係
  5   (ア)        ~(鼻ba&長b)                                   9UE
  5   (イ)        ~鼻ab∨~長b                                    ア、ド・モルガンの法則
  5   (ウ)         鼻ba→~長b                                    イ含意の定義
  5   (エ)      ∀y(鼻ya→~長y)                                   ウUI
  5   (オ)   象a&∀y(鼻ya→~長y)                                   7エ&I
  5   (カ)   象a&∀y(鼻ya→~長y)∨~象a&∃y(鼻ya&長y)                    オ∨I
  5   (キ)   象a&∀y(鼻ya→~長y)∨~象a&∃y(鼻ya&長y)∨∃z(~鼻za&長z)        カ∨I
   ク  (ク)                    ~{~象a→~∃y(鼻ya&長y}                                A
      ク  (ケ)                     ~象a& ∃y(鼻ya&長y)                ク連言の定義
   ク  (コ)   象a&∀y(鼻ya→~長y)∨~象a&∃y(鼻ya&長y)                    ケ∨I
   ク  (サ)   象a&∀y(鼻ya→~長y)∨~象a&∃y(鼻ya&長y)∨∃z(~鼻za&長z)        コ∨I
    シ (シ)                                     ~∀z(~鼻za→~長z)  A
    シ (ス)                                     ∃z~(~鼻za→~長z)  サ量化子の関係
     セ(セ)                                       ~(~鼻ca→~長c)  A
     セ(ソ)                                         ~鼻ca& 長c   ス連言の定義
     セ(タ)                                      ∃z(~鼻za& 長z)  セEI
    シ (チ)                                      ∃z(~鼻za& 長z)  サスソEE
    シ (ツ)                   ~象a&∃y(鼻ya&長y)∨∃z(~鼻za&長z)                チ∨I
    シ (テ)   象a&∀y(鼻ya→~長y)∨~象a&∃y(鼻ya&長y)∨∃z(~鼻za&長z)        ツ∨I
 3    (ト)   象a&∀y(鼻ya→~長y)∨~象a&∃y(鼻ya&長y)∨∃z(~鼻za&長z)        45キクサシテ∨E
 3    (ナ)∃x{象x&∀y(鼻yx→~長y)∨~象x&∃y(鼻yx&長y)∨∃z(~鼻zx&長z)}       トEI
1     (ニ)∃x{象x&∀y(鼻yx→~長y)∨~象x&∃y(鼻yx&長y)∨∃z(~鼻zx&長z)}       23ナEE
1     (〃)あるxについて、
         xは象であって、すべてのyについてyがxの鼻であるならば、yは長くないか、
         xは象でなくて、あるyはxの鼻であって、長いか、
         あるzはxの鼻ではなくて、zは長い。
従って、
(05)(06)により、
(07)
⑤ 象長い。とは言へない。⇔
⑤ ~∀x{象x→∃y(鼻yx& 長y)&~象x→~∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}⇔
⑤  ∃x{象x&∀y(鼻yx→~長y)∨~象x& ∃y(鼻yx&長y)∨∃z(~鼻zx& 長z)}⇔
⑤{あるxは象であるが鼻は長くない}か、{あるxは象ではないが鼻が長い}か、{あるzはx(象)の鼻以外(例へば、耳)であるが長い}。
従って、
(07)により、
(08)
⑥ 象長い。⇔
⑥  ∀x{象x→∃y(鼻yx& 長y)&~象x→~∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}⇔
⑥ ~∃x{象x&∀y(鼻yx→~長y)∨~象x& ∃y(鼻yx&長y)∨∃z(~鼻zx& 長z)}⇔
⑥{鼻が長くない象がゐる}か、{象ではないが鼻が長い動物がゐる}か、{象は鼻以外も長い}か、と言へば、さのやうなことは無い


(325)漢文にも述語論理にも、「括弧」は有ります!!

2019-08-18 16:30:49 | 漢文・述語論理

(01)
(ⅰ)
1 (1)~∀x(Fx→ ∃y(Gyx&~Hxy)) A
1 (2)∃x~(Fx→ ∃y(Gyx&~Hxy)) 1量化子の関係
 3(3)  ~(Fa→ ∃y(Gya&~Hay)) A
 3(4) ~(~Fa∨ ∃y(Gya&~Hay)) 3含意の定義
 3(5)    Fa&~∃y(Gya&~Hay)) 4ド・モルガンの法則
 3(6)    Fa                5&E
 3(7)       ~∃y(Gya&~Hay)  5&E
 3(8)       ∀y~(Gya&~Hay)  7量化子の関係
 3(9)         ~(Gba&~Hab)  8UE
 3(ア)          ~Gba∨ Hab   9ド・モルガンの法則
 3(イ)           Gba→ Hab   ア含意の定義
 3(ウ)        ∀y(Gya→ Hay)  イUI
 3(エ)    Fa& ∀y(Gya→ Hay)  6ウ&I
 3(オ) ∃x(Fx& ∀y(Gya→ Hxy)) エEI
1 (カ) ∃x(Fx& ∀y(Gyx→ Hxy)) 13オEE
(ⅱ)
1  (1) ∃x(Fx& ∀y(Gyx→ Hxy)) A
 2 (2)    Fa& ∀y(Gya→ Hay)  A
 2 (3)    Fa                2&E
 2 (4)        ∀y(Gya→ Hay)  2&E
 2 (5)           Gba→ Hab   4UE
  6(6)           Gba&~Hab   A
  6(7)           Gba        6&E
 26(8)                Hab   57MPP
  6(9)               ~Hab   6&E
 26(ア)           Hab&~Hab   89&I
 2 (イ)         ~(Gba&~Hab)  6アRAA
 2 (ウ)       ∀y~(Gba&~Hay)  イUI
 2 (エ)       ~∃y(Gba&~Hay)  ウ量化子の関係
 2 (オ)    Fa&~∃y(Gba&~Hay)  3エ&I
 2 (カ) ~(~Fa∨ ∃y(Gba&~Hay)  オ、ド・モルガンの法則
 2 (キ)∃x~(Fx→ ∃y(Gyx&~Hxy)) カ含意の定義
1  (ク)∃x~(Fx→ ∃y(Gyx&~Hxy)) 12キEE
1  (ケ)~∀x(Fx→ ∃y(Gyx&~Hxy)) ク量化子の関係
従って、
(01)により、
(02)
① ~∀x(Fx→∃y(Gyx&~Hxy))
②   ∃x(Fx&∀y(Gyx→ Hxy))
に於いて、
①=② である。
然るに、
(03)
そこで述語論理学では「人間」と「動物」のような関係をあらわすのに、
 動物(人間)
と表示する。そしてこれを記号化して、
 F(a) または( )を省略して Fa
というように書く。
(沢田 允茂、現代論理学入門、1962年、116頁改)
(04)
任意の表述の否定は、その表述を’~(  )’という空所にいれて書くことにしよう;しかし「括弧」はその内部が連言でないかぎり削除しよう。
(W.O.クワイン著、杖下隆英訳、現代論理学入門、1972年、15頁)
(05)
むやみに括弧多くなること我慢ができないのである(human being cannot stand too much proliferation of bracket)。― 中略 ―、結合記号に一定の順序でランクをつけることにしよう。~は&または∨よりも「より強く結合」する。&と∨は→よりも「より強く結合する」。(E.J.レモン 著、竹尾治一郎・浅野楢英 訳、1973年、59頁)
従って、
(02)~(05)により、
(06)
①  ~∀x(Fx→∃y(Gyx&~Hxy))
②    ∃x(Fx&∀y(Gyx→ Hxy))
といふ「論理式」は、「むやみに括弧が多くなること」を我慢して、「括弧」を「省略」しないのであれば、
① ~(∀x(F(x)→∃y(G(yx)&~(H(xy)))))
②     ∃x(F(x)&∀y(G(yx)→  H(xy)))
といふ風に、書くのが、「正しい」。
然るに、
(07)
(ⅰ)
1 (1)~∀x(弟子x→ ∃y(師yx&~如xy)) A
1 (2)∃x~(弟子x→ ∃y(師yx&~如xy)) 1量化子の関係
 3(3)  ~(弟子a→ ∃y(師ya&~如ay)) A
 3(4) ~(~弟子a∨ ∃y(師ya&~如ay)) 3含意の定義
 3(5)    弟子a&~∃y(師ya&~如ay)) 4ド・モルガンの法則
 3(6)    弟子a                 5&E
 3(7)        ~∃y(師ya&~如ay)  5&E
 3(8)        ∀y~(師ya&~如ay)  7量化子の関係
 3(9)          ~(師ba&~如ab)  8UE
 3(ア)           ~師ba∨ 如ab   9ド・モルガンの法則
 3(イ)            師ba→ 如ab   ア含意の定義
 3(ウ)         ∀y(師ya→ 如ay)  イUI
 3(エ)    弟子a& ∀y(師ya→ 如ay)  6ウ&I
 3(オ) ∃x(弟子x& ∀y(師ya→ 如xy)) エEI
1 (カ) ∃x(弟子x& ∀y(師yx→ 如xy)) 13オEE
1 (〃)あるxは弟子であって、すべてのxについて、yがxが師ならば、xはyに及んでゐる。
(ⅱ)
1  (1) ∃x(弟子x& ∀y(師yx→ 如xy)) A
 2 (2)    弟子a& ∀y(師ya→ 如ay)  A
 2 (3)    弟子a                 2&E
 2 (4)         ∀y(師ya→ 如ay)  2&E
 2 (5)            師ba→ 如ab   4UE
  6(6)            師ba&~如ab   A
  6(7)            師ba        6&E
 26(8)                  如ab   57MPP
  6(9)                 ~如ab   6&E
 26(ア)             如ab&~如ab   89&I
 2 (イ)          ~(師ba&~如ab)  6アRAA
 2 (ウ)        ∀y~(師ba&~如ay)  イUI
 2 (エ)        ~∃y(師ba&~如ay)  ウ量化子の関係
 2 (オ)    弟子a&~∃y(師ba&~如ay)  3エ&I
 2 (カ) ~(~弟子a∨ ∃y(師ba&~如ay)  オ、ド・モルガンの法則
 2 (キ)∃x~(弟子x→ ∃y(師yx&~如xy)) カ含意の定義
1  (ク)∃x~(弟子x→ ∃y(師yx&~如xy)) 12キEE
1  (ケ)~∀x(弟子x→ ∃y(師yx&~如xy)) ク量化子の関係
1  (〃)すべてのxについて、xが弟子であるならば、あるyはxの師であって、xはyに及ばない。といふわけではない。
従って、
(06)(07)により、
(08)
①   ~∀x(弟子x→∃y(師yx&~如xy))
②     ∃x(弟子x&∀y(師yx→ 如xy))
といふ「論理式」は、「むやみに括弧が多くなること」を我慢して、「括弧」を「省略」しないのであれば、
① ~(∀x(弟子(x)→∃y(師(yx)&~(如(xy)))))
②     ∃x(弟子(x)&∀y(師(yx)→  如(xy)))
といふ風に、「書いて」、
① すべてのxについて、xが弟子であるならば、あるyはxの師であるが、xはyに及ばない。といふわけではない。
② あるxは弟子であって、すべてのxについて、yがxが師ならば、xはyに及んでゐる。
といふ風に、「読む」のが、「正しい」。
従って、
(09)
①   ~∀x(弟子x→∃y(師yx&~如xy))
②     ∃x(弟子x&∀y(師yx→ 如xy))
のやうに、「括弧が書かれてゐる論理式」であっても、実際には、「すべての括弧が、書かれてゐる」といふ、わけではない
然るに、
(10)
① 弟子不必不一レ師=
① 弟子不[必不〔如(師)〕]。
に於いて、
① 不[ ]⇒[ ]不
① 不〔 〕⇒〔 〕不
① 如( )⇒( )如
といふ「移動」を行ふと、
① 弟子不[必不〔如(師)〕]⇒
① 弟子[必〔(師)如〕不]不=
① 弟子は[必ずしも〔(師に)如か〕ずんば]あらず=
① 弟子は必ずしも師匠に及ばないというわけではない(韓愈、師説)。
cf.
〔通釈〕弟子は必ずしも師に及ばないというわけではなく、(弟子の方がすぐれている場合もある)。
(三省堂、明解古典学習シリーズ20、1973年、56頁改)
然るに、
(11)
漢語における語順は、国語と大きく違っているところがある。すなわち、その補足構造における語順は、国語とは全く反対である。しかし、訓読は、国語の語順に置きかえて読むことが、その大きな原則となっている。それでその補足構造によっている文も、返り点によって、国語としての語順が示されている(鈴木直治、中国語と漢文、1975年、296頁)。
従って、
(10)(11)により、
(12)
① 弟子不[必不〔如(師)〕]。
① 弟子は[必ずしも〔(師に)如か〕ずんば]あらず。
に於ける、
①[ 〔 ( ) 〕 ]
①[ 〔 ( ) 〕 ]
といふ「括弧」は、
① 弟子不必不如師。
① 弟子は必ずしも師に如かずんばあらず。
といふ、
①「漢文補足構造」に加へて、
①「国語補足構造」を、表してゐる。
従って、
(12)により、
(13)
① 弟子不[必不〔如(師)〕]。
① 弟子は[必ずしも〔(師に)如か〕ずんば]あらず。
に於ける、「括弧」は、
①「漢文補足構造」と、
①「訓読語順」を、示してゐる。
従って、
(08)(10)~(13)により、
(14)
①  ~∀x(弟子x→∃y(師yx&~如xy))
といふ「論理式」に、
① ~(∀x(弟子(x)→∃y(師(yx)&~(如(xy)))))
といふ「補足構造」が有るやうに、
① 弟子不必不如師。
といふ「漢文」には、初めから、
① 弟子不[必不〔如(師)〕]。
といふ「補足構造」が有って、その上で、「たまたま、偶然に補足構造に於ける語順が、漢文国語とでは、全く反対であった」が故に、「結果」として、
① 弟子不必不一レ師=
① 弟子不[必不〔如(師)〕]⇒
① 弟子[必〔(師)如〕不]不=
① 弟子は[必ずしも〔(師に)如か〕ずんば]あらず=
① 弟子は必ずしも師匠に及ばないというわけではない(韓愈、師説)。
といふ「漢文訓読」が、成立する。
従って、
(14)により、
(15)
① 弟子不必不如師。
といふ「漢文」は、
① Dìzǐbùbìbùrúshī。
といふ風に、読もうと、
① 弟子は必ずしも師に如かずんばあらず。
といふ風に、読むまいと、それ自体として、
① 弟子不[必不〔如(師)〕]。
といふ「括弧(補足構造)」を、持ってゐる。


(324)「聖人所不知未必不為愚人所知也」の「述語論理」。

2019-08-17 18:09:22 | 漢文・述語論理

(01)
(ⅰ)
1  (1)~∀x{∃y(聖人y&~知yx)→ ∀z(愚人z→~知zx)} A
1  (〃)すべてのxについて、あるyが聖人であって、yがxを知らなければ、すべてのzについて、zが愚人であるならば、zはxを知らない。といふわけではない。
1  (2)∃x~{∃y(聖人y&~知yx)→ ∀z(愚人z→~知zx)} 1含意の定義
 3 (3)  ~{∃y(聖人y&~知ya)→ ∀z(愚人z→~知za)} A
 3 (4) ~{~∃y(聖人y&~知ya)∨ ∀z(愚人z→~知za)} 3含意の定義
 3 (5)    ∃y(聖人y&~知ya)&~∀z(愚人z→~知za)  4ド・モルガンの法則
 3 (6)    ∃y(聖人y&~知ya)                5&E
 3 (7)                 ~∀z(愚人z→~知za)  5&E
 3 (8)                 ∃z~(愚人z→~知za)  7量化子の関係
  9(9)                   ~(愚人c→~知ca)  A
  9(ア)                  ~(~愚人c∨~知ca)  9含意の定義
  9(イ)                     愚人c& 知ca   ア、ド・モルガンの法則
  9(ウ)                  ∃z(愚人c& 知za)  イEI
 3 (エ)                  ∃z(愚人c& 知za)  89ウEE
 3 (オ)    ∃y(聖人y&~知ya)& ∃z(愚人c& 知za)  6エ&I
1  (カ)    ∃y(聖人y&~知ya)& ∃z(愚人c& 知za)  23オEE
1  (キ) ∀x{∃y(聖人y&~知yx)& ∃z(愚人c& 知zx)} カUI
1  (〃)いかなるxであっても、xを知らない聖人が存在し、xを知ってゐる愚人が存在する。
(ⅱ)
1  (1) ∀x{∃y(聖人y&~知yx)& ∃z(愚人c& 知zx)} A
1  (2)    ∃y(聖人y&~知ya)& ∃z(愚人c& 知za)  1UE
1  (3)    ∃y(聖人y&~知ya)                2&E
1  (4)                  ∃z(愚人c& 知za)  2&E
 5 (5)                     愚人c& 知ca   A
 5 (6)                  ~(~愚人c∨~知ca)  5ド・モルガンの法則
 5 (7)                   ~(愚人c→~知ca)  6含意の定義
 5 (8)                 ∃z~(愚人c→~知za)  7EI
 5 (9)                 ~∀z(愚人c→~知za)  8量化子の関係
1  (ア)                 ~∀z(愚人c→~知za)  459EE
1  (イ)    ∃y(聖人y&~知ya)&~∀z(愚人c→~知za)  3ア&I
1  (ウ) ~{~∃y(聖人y&~知ya)∨ ∀z(愚人z→~知za)} イ、ド・モルガンの法則
1  (エ)  ~{∃y(聖人y&~知ya)→ ∀z(愚人z→~知za)} ウ含意の定義
1  (オ)∃x~{∃y(聖人y&~知ya)→ ∀z(愚人z→~知za)} エEI
1  (カ)~∀x{∃y(聖人y&~知yx)→ ∀z(愚人z→~知zx)} オ量化子の関係
1  (〃)すべてのxについて、あるyが聖人であって、yがxを知らなければ、すべてのzについて、zが愚人であるならば、zはxを知らない。といふわけではない。
従って、
(01)により、
(02)
① ~∀x{∃y(聖人y&~知yx)→ ∀z(愚人z→~知zx)}
②   ∀x{∃y(聖人y&~知yx)& ∃z(愚人c& 知zx)}
に於いて、すなはち、
① すべてのxについて、あるyが聖人であって、yがxを知らなければ、すべてのzについて、zが愚人であるならば、zはxを知らない。といふわけではない。
② いかなるxであっても、xを知らない聖人が存在し、xを知ってゐる愚人が存在する。
に於いて、
①=② である。
然るに、
(03)
③ 聖人所知未必不一レ愚人所一レ知也=
③ 聖人所〔不(知)〕未〈必不{為[愚人〔所(知)〕]}〉也⇒
③ 聖人〔(知)不〕所未〈必{[愚人〔(知)所〕]為}不〉不也=
③ 聖人の〔(知ら)不る〕所未だ〈必ずしも{[愚人の〔(知る)所と〕]為さ}不んば〉あら不る也。
然るに、
(04)
[訳]聖人の知らないことでも、必ずしも愚人が知らないとは限らない(愚人が既に知っている場合もある)。
(教学社、風呂で覚える漢文、1998年、26頁)
然るに、
(05)
② いかなるxであっても、xを知らない聖人が存在し、xを知ってゐる愚人が存在する。
③ 聖人の知らないことでも、必ずしも愚人が知らないとは限らない。
に於いて、
②=③ ではない。
従って、
(01)~(05)により、
(06)
① ~∀x{∃y(聖人y&~知yx)→∀z(愚人z→~知zx)}
③ 聖人所知未必不一レ愚人所一レ知也。
に於いて、
①=③ ではない。
(07)
良くは知らないものの、あるいは、
③ 聖人所知未必不一レ愚人所一レ知也。⇔
③ 聖人の知らないことでも、必ずしも愚人が知らないとは限らない。
のやうな「命題」を「翻訳」する場合は、「様相論理学」が用ひられるのかも知れない。


(323)「当世士大夫無不知有劉老人者」の「述語論理」(Ⅱ)。

2019-08-15 19:15:47 | 漢文・述語論理

(01)
(ⅰ)
1   (1) ∀x{士大夫x→∀y(劉老人y→ 知xy)   A
1   (2)    士大夫a→∀y(劉老人y→ 知ay)   1UE
 3  (3)    士大夫a                 A
13  (4)         ∀y(劉老人y→ 知ay)   23MPP
13  (5)           (劉老人b→ 知ab)   4UE
  6 (6)            劉老人b&~知ab    A
  6 (7)            劉老人b         6&E
136 (8)                  知ab    57MPP
  6 (9)                 ~知ab    6&E
136 (ア)             知ab&~知ab    89&I
13  (イ)          ~(劉老人b&~知ab)   6アRAA
13  (ウ)        ∀y~(劉老人y&~知ay)   イUI
13  (エ)        ~∃y(劉老人y&~知ay)   ウ量化子の関係
1   (オ)   士大夫a→~∃y(劉老人y&~知ay)   3エCP
1   (カ)  ~士大夫a∨~∃y(劉老人y&~知ay)   オ含意の定義
1   (キ)  ~{士大夫a&∃y(劉老人y&~知ay)}  カ、ド・モルガンの法則
1   (ク)∀x~{士大夫x&∃y(劉老人y&~知xy)}  キUI
1   (ケ)~∃x{士大夫x&∃y(劉老人y&~知xy)}  ク量化子の関係
1   (〃)あるxは士大夫であって、あるyは劉老人であって、xがyを知らない。といふことはない。
(ⅱ)
1   (1)~∃x{士大夫x&∃y(劉老人y&~知xy)}  A
1   (2)∀x~{士大夫x&∃y(劉老人y&~知xy)}  1量化子の関係
1   (3)  ~{士大夫a&∃y(劉老人y&~知ay)}  1UE
 4  (4)    士大夫a                 A
  5 (5)         ∃y(劉老人y&~知ay)     A
 45 (6)    士大夫a&∃y(劉老人y&~知ay)   A
145 (7)  ~{士大夫a&∃y(劉老人y&~知ay)}&
          {士大夫a&∃y(劉老人y&~知ay)}  45&I
14  (8)        ~∃y(劉老人y&~知ay)    57RAA
14  (9)        ∀y~(劉老人y&~知ay)   8量化子の関係
14  (ア)          ~(劉老人b&~知ab)   9UE
  イ (イ)            劉老人b         A
   ウ(ウ)                 ~知ab    A
  イウ(エ)            劉老人b&~知ab    ウエ&I
14イウ(オ)          ~(劉老人b&~知ab)&
                  (劉老人b&~知ab)   アエ&I
14イ (カ)                ~~知ab    ウオRAA
14イ (キ)                  知ab    カDN
14  (ク)            劉老人b→ 知ab    イキCP
14  (ケ)         ∀y(劉老人y→ 知ay)   クUI
1   (コ)    士大夫a→∀y(劉老人y→ 知ay)   4ケCP
1   (サ) ∀x{士大夫x→∀y(劉老人y→ 知xy)   コUI
1   (〃)すべてのxについて、xが士大夫であるならば、すべてyについて、yが劉老人であるならば、xはyを知ってゐる。
従って、
(01)により、
(02)
①   ∀x{士大夫x→∀y(劉老人y→ 知xy)}
② ~∃x{士大夫x&∃y(劉老人y&~知xy)}
に於いて、
① ならば ② であり、
② ならば ① である。
従って、
(02)により、
(03)
①   ∀x{士大夫x→∀y(劉老人y→ 知xy)}
② ~∃x{士大夫x&∃y(劉老人y&~知xy)}
に於いて、
①=② である。
従って、
(03)により、
(04)
①   ∀x{士大夫x→∀y(劉老人y→ 知xy)}&∃x(士大夫x)&∃y(劉老人y)⇒∃x∃y(士大夫x&劉老人y&知xy)
② ~∃x{士大夫x&∃y(劉老人y&~知xy)}&∃x(士大夫x)&∃y(劉老人y)⇒∃x∃y(士大夫x&劉老人y&知xy)
に於いて、
① だけが「正しく」、
② が「正しくない」。といふことはない。
然るに、
(05)
(ⅰ)
1   (1) ∀x{士大夫x→ ∀y(劉老人y→ 知xy)} A
 2  (2) ∃x(士大夫x)&∃y(劉老人y)       A
1   (3)    士大夫a→ ∀y(劉老人y→ 知ay)  1UE
 2  (4) ∃x(士大夫x)                2&E
  5 (5)    士大夫a                 A
1 5 (6)          ∀y(劉老人y→ 知ay)  35MPP
1 5 (7)             劉老人b→ 知ab   6UE
 2  (8)          ∃y(劉老人y)       2&E
 2  (9)             劉老人b        A
125 (ア)                   知ab   79MPP
125 (イ)        士大夫a&劉老人b        59&I
125 (ウ)        士大夫a&劉老人b&知ab    アイ&I
125 (エ)     ∃y(士大夫a&劉老人y&知ay)   ウEI
1 5 (オ)     ∃y(士大夫a&劉老人y&知ay)   89エEE
1 5 (カ)   ∃x∃y(士大夫x&劉老人y&知xy)   オEI
12  (キ)   ∃x∃y(士大夫x&劉老人y&知xy)   45カEE
12  (〃)あるxとあるyについて、xは士大夫であって、yは劉老人であって、xはyを知ってゐる。 
(ⅱ)
1   (1)~∃x{士大夫x &∃y(劉老人y&~知xy)} A
 2  (2) ∃x(士大夫x)&∃y(劉老人y)       A
1   (3)∀x~{士大夫x &∃y(劉老人y&~知xy)} 1量化子の関係
1   (4)  ~{士大夫a &∃y(劉老人y&~知ay)} 3UE
1   (5)   ~士大夫a∨~∃y(劉老人y&~知ay)  4ド・モルガンの法則
1   (6)    士大夫a→~∃y(劉老人y&~知ay)  5含意の定義
 2  (7) ∃x(士大夫x)                2&E
  3 (8)    士大夫a                 A
1 3 (9)         ~∃y(劉老人y&~知ay)  68MPP
1 3 (ア)         ∀y~(劉老人y&~知ay)  9含意の定義
1 3 (イ)           ~(劉老人b&~知ab)  アUE
1 3 (ウ)            ~劉老人b∨ 知ab   イ、ド・モルガンの法則
1 3 (エ)             劉老人b→ 知ab   ウ含意の定義
 2  (カ)          ∃y(劉老人y)       2&E
   キ(キ)             劉老人b        A
1 3キ(ク)                   知ab   エキMPP
1 3キ(ケ)        士大夫a&劉老人b        8キ&I
1 3キ(コ)        士大夫a&劉老人b&知ab    クケ&I
1 3キ(サ)     ∃y(士大夫a&劉老人y&知ay)   コEI
123 (シ)     ∃y(士大夫a&劉老人y&知ay)   カキサEE
123 (ス)   ∃x∃y(士大夫x&劉老人y&知xy)   シEI
12  (セ)   ∃x∃y(士大夫x&劉老人y&知xy)   78スEE
12  (〃)あるxとあるyについて、xは士大夫であって、yは劉老人であって、xはyを知ってゐる。
従って、
(04)(05)により、
(06)
果たして、確かに、
①   ∀x{士大夫x→∀y(劉老人y→ 知xy)}&∃x(士大夫x)&∃y(劉老人y)⇒∃x∃y(士大夫x&劉老人y&知xy)
② ~∃x{士大夫x&∃y(劉老人y&~知xy)}&∃x(士大夫x)&∃y(劉老人y)⇒∃x∃y(士大夫x&劉老人y&知xy)
に於いて、
① は「正しく」、
② も「正しい」。
然るに、
(07)
∃とは、存在限定子の事を指す。決して、決して「ヨ」ではない。
概要
数学・論理学において適当な、ある、を表す記号。存在限定子(existential quantifier)と呼ぶ。読み方は意味の通り、適当な、ある~と読まれる(英語だとthere exists, there is)。
(ニコニコ大百科)
従って、
(08)
有る
であって、それ故、
② ~x{士大夫x&y(劉老人y&~知xy)}
であれば、
② ~x{士大夫x&y(劉老人y&~知xy)}
である。
然るに、
(09)

であって、それ故、
~有x{士大夫x&y(劉老人y&~知xy)}
であれば、
不有x{士大夫x&y(劉老人y&不知xy)}
である。
然るに、
(10)
不有
であって、それ故、
不有x{士大夫x&y(劉老人y&不知xy)}
であれば、
②  x{士大夫x&y(劉老人y&不知xy)}
である。
然るに、
(11)
②  x{士大夫x&y(劉老人y&不知xy)}
といふ「式」は、
②  {士大夫不[知〔(劉老人)〕]者}。
といふ「漢文」に、よく似てゐる
従って、
(07)~(11)により、
(12)
~∃x{士大夫x&y(劉老人y&~知xy)}。
といふ「述語論理式」は、
{士大夫不[知〔(劉老人)〕]者}⇒
② {士大夫[〔(劉老人)〕知]不者}無=
② {士大夫にして[〔(劉老人)有るを〕知ら]不る者}無し
② 士大夫であって、劉老人の存在を知らない者は存在しない。
といふ「漢文・訓読」を、「想起」させる。


(322)「当世士大夫無不知有劉老人者」の「述語論理」。

2019-08-15 14:13:00 | 漢文・述語論理

(01)
① 当世士大夫無不知有劉老人者=
① 当世士大夫無劉老人
① 当世の士大夫、劉老人有るを知らざる者無し(助字弁略)=
① 当時の士大夫(知識人)であって、劉老人の存在を知らない者は存在しない
(02)
② 無当世大夫不知有劉老人者=
② 無{当世士大夫不[知〔有(劉老人)〕]者}⇒
② {当世士大夫[〔(劉老人)有〕知]不者}無=
② {当世士大夫にして[〔(劉老人)有るを〕知ら]不る者}無し=
② 当時の士大夫(知識人)であって、劉老人の存在を知らない者は存在しない
従って、
(01)(02)により、
(03)
① 当世士大夫不知有劉老人者。
当世士大夫不知有劉老人者。
に於いて、
①=② である。
然るに、
(04)
③ ~∃x{士大夫x&∃y(劉老人y&~知xy)}=当世の士大夫、劉老人有るを知らざる者無し。⇔
③ xは士大夫であって、あるyは劉老人であって、xがyを知らない。といふ、そのやうなxは存在しない
従って、
(03)(04)により、
(05)
② 無当世士大夫不知有劉老人者。
③ ~∃x{当世士大夫x&∃y(劉老人y&~知xy)}=
③ xは士大夫であって、あるyは劉老人であって、xがyを知らない。といふ、そのやうなxは存在しない
に於いて、
②=③ である。
然るに、
(06)
(ⅲ)
1   (1)~∃x{士大夫x&∃y(劉老人y&~知xy)}  A
1   (2)∀x~{士大夫x&∃y(劉老人y&~知xy)}  1量化子の関係
1   (3)  ~{士大夫a&∃y(劉老人y&~知ay)}  1UE
 4  (4)    士大夫a                 A
  5 (5)         ∃y(劉老人y&~知ay)     A
 45 (6)    士大夫a&∃y(劉老人y&~知ay)   A
145 (7)  ~{士大夫a&∃y(劉老人y&~知ay)}&
          {士大夫a&∃y(劉老人y&~知ay)}  45&I
14  (8)        ~∃y(劉老人y&~知ay)    57RAA
14  (9)        ∀y~(劉老人y&~知ay)   8量化子の関係
14  (ア)          ~(劉老人b&~知ab)   9UE
  イ (イ)            劉老人b         A
   ウ(ウ)                 ~知ab    A
  イウ(エ)            劉老人b&~知ab    ウエ&I
14イウ(オ)          ~(劉老人b&~知ab)&
                  (劉老人b&~知ab)   アエ&I
14イ (カ)                ~~知ab    ウオRAA
14イ (キ)                  知ab    カDN
14  (ク)            劉老人b→ 知ab    イキCP
14  (ケ)         ∀y(劉老人y→ 知ay)   クUI
1   (コ)    士大夫a→∀y(劉老人y→ 知ay)   4ケCP
1   (サ) ∀x{士大夫x→∀y(劉老人y→ 知xy)   コUI
1   (〃)すべてのxについて、xが士大夫であるならば、すべてyについて、yが劉老人であるならば、xはyを知ってゐる。
(ⅳ)
1   (1) ∀x{士大夫x→∀y(劉老人y→ 知xy)   A
1   (2)    士大夫a→∀y(劉老人y→ 知ay)   1UE
 3  (3)    士大夫a                 A
13  (4)         ∀y(劉老人y→ 知ay)   23MPP
13  (5)           (劉老人b→ 知ab)   4UE
  6 (6)            劉老人b&~知ab    A
  6 (7)            劉老人b         6&E
136 (8)                  知ab    57MPP
  6 (9)                 ~知ab    6&E
136 (ア)             知ab&~知ab    89&I
13  (イ)          ~(劉老人b&~知ab)   6アRAA
13  (ウ)        ∀y~(劉老人y&~知ay)   イUI
13  (エ)        ~∃y(劉老人y&~知ay)   ウ量化子の関係
1   (オ)   士大夫a→~∃y(劉老人y&~知ay)   3エCP
1   (カ)  ~士大夫a∨~∃y(劉老人y&~知ay)   オ含意の定義
1   (キ)  ~{士大夫a&∃y(劉老人y&~知ay)}  カ、ド・モルガンの法則
1   (ク)∀x~{士大夫x&∃y(劉老人y&~知xy)}  キUI
1   (ケ)~∃x{士大夫x&∃y(劉老人y&~知xy)}  ク量化子の関係
1   (〃)xは士大夫であって、あるyは劉老人であって、xがyを知らない。といふ、そのやうなxは存在しない
従って、
(06)により、
(07)
③ ~∃x{士大夫x&∃y(劉老人y&~知xy)}
④   ∀x{士大夫x→∀y(劉老人y→ 知xy)}
に於いて、すなはち、
③ xは士大夫であって、あるyは劉老人であって、xがyを知らない。といふ、そのやうなxは存在しない
④ すべてのxについて、xが士大夫であるならば、すべてyについて、yが劉老人であるならば、xはyを知ってゐる。
に於いて、
③=④ である。
従って、
(01)~(07)により、
(08)
① 当世士大夫無不知有劉老人者。
といふ「漢文(助字弁略)」は、
③ ~∃x{当世士大夫x&∃y(劉老人y&~知xy)}
④  ∀x{当時士大夫x→∀y(劉老人y→ 知xy)}
といふ「述語論理」に、相当する。


(321)「鼻が長くない象はゐない。」の「述語論理」。

2019-08-14 14:04:27 | 象は鼻が長い、述語論理。

(01)
① 鼻が長くない象はゐる。⇔
① ∃x∃y(象x&鼻yx&~長y)⇔
① あるxとあるyについて、xは象であり、yはxの鼻であり、yは長くない。
従って、
(01)により、
(02)
② 鼻が長くない象はゐない。⇔
② ~∃x∃y(象x&鼻yx&~長y)⇔
② あるxとあるyについて、xは象であり、yはxの鼻であり、yは長くない。といふことはない。
然るに、
(03)
(ⅱ)
1  (1)~∃x∃y(象x&鼻yx&~長y) A
1  (2)∀x~∃y(象x&鼻yx&~長y) 1量化子の関係
1  (3)∀x∀y~(象x&鼻yx&~長y) 1量化子の関係
1  (4)  ∀y~(象a&鼻ya&~長y) 3UE
1  (5)    ~(象a&鼻ba&~長b) 4UE
1  (6)   ~象a∨~鼻ba∨~~長b  5ド・モルガンの法則
1  (7)     ~象a∨~鼻ba∨長b  6DN
1  (8)   (~象a∨~鼻ba)∨長b  7結合法則
 9 (9)   (~象a∨~鼻ba)     A
 9 (ア)    ~(象a&鼻ba)     9ド・モルガンの法則
 9 (イ)    ~(象a&鼻ba)∨長b  ア∨I
  ウ(ウ)              長b  A
  ウ(エ)    ~(象a&鼻ba)∨長b  ウ∨I
1  (オ)    ~(象a&鼻ba)∨長b  9アイウエ∨E
1  (カ)      象a&鼻ba→ 長b  オ含意の定義
1  (キ)   ∀y(象a&鼻ya→ 長y) カUI
1  (ク) ∀x∀y(象x&鼻yx→ 長y) キUI
(ⅲ)
1  (1) ∀x∀y(象x&鼻yx→ 長y) A
1  (2)   ∀y(象a&鼻ya→ 長y) 1UE
1  (3)      象a&鼻ba→ 長b  2UE
1  (4)    ~(象a&鼻ba)∨長b  3含意の定義
 5 (5)    ~(象a&鼻ba)     A
 5 (6)     ~象a∨~象b      5ド・モルガンの法則
 5 (7)     ~象a∨~象b ∨長b  6∨I
  8(8)              長b  A
  8(9)     ~象a∨~象b ∨長b  8∨I
1  (ア)     ~象a∨~象b ∨長b  45789∨E
1  (イ)    ~(象a&鼻ba&~長b) ア、ド・モルガンの法則
1  (ウ)  ∀y~(象a&鼻ya&~長y) イUI
1  (エ)∀x∀y~(象x&鼻yx&~長y) ウUI
1  (オ)∀x~∃y(象x&鼻yx&~長y) エ量化子の関係
1  (カ)~∃x∃y(象x&鼻yx&~長y) オ量化子の関係
従って、
(03)により、
(04)
② ~∃x∃y(象x&鼻yx&~長y)
③  ∀x∀y(象x&鼻yx→ 長y)
に於いて、
②=③ である。
然るに、
(05)
「交換法則」により、
② 象x&鼻yx=鼻yx&象x
③ 象x&鼻yx=鼻yx&象x
従って、
(02)(04)(05)により、
(06)
② 鼻が長くない象はゐない。⇔
② ~∃x∃y(鼻yx&象x&~長y)⇔
③  ∀x∀y(鼻yx&象x→ 長y)⇔
③ すべてのxとすべてのyについて、xが象であり、yがxの鼻であるならば、yは長い。
然るに、
(07)
④{象、兎、馬、キリン}を「変域(ドメイン)」とすると、
④「鼻は象が長く、耳は兎が長く、顔は馬が長く、首はキリンが長い。」
従って、
(07)により、
(08)
④ 鼻は象が長い。⇔
④ 鼻は象は長く、象以外(兎、馬、キリン)は長くない。⇔
④ ∀x∀y{(鼻xy&象y)→長x&(鼻xy&~象y)→~長x}⇔
④ すべてのxとyについて、xがyの鼻であって、yが象であるならば、xは長く、xがyの鼻であって、yが象でないならば、xは長くない。
従って、
(06)(08)により、
(09)
③ 鼻が長くない象はゐない=∀x∀y{(鼻yx&象x)→長y}。
④ 鼻は象が長い     =∀x∀y{(鼻xy&象y)→長x&(鼻xy&~象y)→~長x}。
に於いて、
③の右辺は、④の右辺の「部分論理式」である。
然るに、
(10)
1   (1)鼻は象が長い。                         A
1   (〃)∀x∀y{(鼻xy&象y)→長x&(鼻xy&~象y)→~長x} A
 2  (2)兎は象ではないが、兎には鼻がある。               A
 2  (〃)∃y∃x(兎y&~象y&鼻xy)                A
1   (3)  ∀y{(鼻ay&象y)→長a&(鼻ay&~象y)→~長a} 1UE
1   (4)     (鼻ab&象b)→長a&(鼻ab&~象b)→~長a  3UE
1   (5)                 (鼻ab&~象b)→~長a  4&E
  6 (6)  ∃x(兎b&~象b&鼻xb)                A
   7(7)     兎b&~象b&鼻ab                 A
   7(8)     兎b                         8&E
   7(9)        ~象b                     8&E
   7(ア)            鼻ab                 8&E
   7(イ)                  鼻ab&~象b       アイ&I
1  7(ウ)                           ~長a  4ウMPP
1  7(エ)     兎b&鼻ab                     9ア&I
1  7(オ)     兎b&鼻ab&~長a                 ウエ&I
1  7(カ)  ∃x(兎b&鼻xb&~長x)                オEI
1 6 (キ)  ∃x(兎b&鼻xb&~長x)                67カEE
1 6 (ク)∃y∃x(兎y&鼻xy&~長x)                キEI
12  (ケ)∃y∃x(兎y&鼻xy&~長x)                26クEE
12  (〃)あるyは兎であって、あるxはyの鼻であって、xは長くない。   26クEE
12  (〃)鼻が短い兎がゐる。                       26クEE
従って、
(09)(10)により、
(11)
④ 鼻は象が長い。
といふ「命題」ではなく、
③ 鼻が長くない象はゐない。
といふ「命題」からは、
⑤ 鼻が短い兎がゐる。
といふ「命題」を、「導出」することは、出来ない。


(320)理事長は私です。⇔ 私以外は理事長ではない。

2019-08-13 21:05:10 | 象は鼻が長い、述語論理。

(01)
① 理事長であるならば私である。
② 理事長であって私でない。といふことはない。
③ 私でなくて理事長である。といふことはない。
④ 私でないならば理事長ではない。
に於いて、「直観」として、
①=②=③=④ である。
(02)
① すべてのxについて、xが理事長であるならば、xは私である。
② あるxが理事長であって、そのxが私でない。といふことはない。
③ あるxが私でなくて、そのxが理事長である。といふことはない。
④ すべてのxについて、xが私でないならば、xは理事長ではない。
に於いて、「直観」として、
①=②=③=④ である。
然るに、
(03)
1 (1) ∀x(理事長x→ 私x) A
1 (〃)すべてのxについて、xが理事長であるならば、xは私である。
1 (2)    理事長a→ 私a  A
 2(3)    理事長a&~私a  A
 2(4)    理事長a      3&E
12(5)          私a  24MPP
 2(6)         ~私a  3&E
12(7)      私a&~私a  56&I
1 (8)  ~(理事長a&~私a) 37RAA
1 (9)∀x~(理事長x&~私x) 1UI
1 (ア)~∃x(理事長x&~私x) 9量化子の関係
1 (〃)あるxが理事長であって、そのxが私でない。といふことはない。
(04)
1 (1)~∃x(理事長x&~私x) A
1 (〃)あるxが理事長であって、そのxが私でない。といふことはない。
1 (2)∀x~(理事長x&~私x) 1量化子の関係
1 (3)  ~(理事長a&~私a) 2UE
1 (4)   ~理事長a∨ 私a  3ド・モルガンの法則
1 (5)    私a∨~理事長a  4交換法則
1 (6)  ~(~私a&理事長a) 5ド・モルガンの法則
1 (7)∀x~(~私x&理事長x) 6UI
1 (8)~∃x(~私x&理事長x) 7量化子の関係
1 (9)あるxが私でなくて、そのxが理事長である。といふことはない。
(05)
1  (1)~∃x(~私x&理事長x)  A
1  (〃)あるxが私でなくて、そのxが理事長である。といふことはない。
1  (2)∀x~(~私x&理事長x)  1量化子の関係
1  (3)  ~(~私a&理事長a)  2UE
 4 (4)    ~私a        A
  5(5)        理事長a   A
 45(6)    ~私a&理事長a   45&I
145(7)  ~(~私a&理事長a)&
         (~私a&理事長a)  36&I
14 (8)       ~理事長a   57RAA
1  (9)   ~私a→~理事長a   48CP
1  (ア)∀x(~私x→~理事長x)  9UI
1  (イ)すべてのxについて、xが私でないならば、xは理事長ではない。
(06)
1   (1)∀x(~私x→~理事長x)  A
1   (〃)すべてのxについて、xが私でないならば、xは理事長ではない。
1   (2)   ~私a→~理事長a   1UE
 3  (3)   ~私a& 理事長a   A
 3  (4)   ~私a         3&E
13  (5)       ~理事長a   24MPP
 3  (6)        理事長a   3&E
13  (7)  ~理事長a&理事長a   56&I
1   (8) ~(~私a& 理事長a)  27RAA
  9 (9)        理事長a   A
   ア(ア)   ~私a         A
  9ア(イ)   ~私a& 理事長a   9ア
1 9ア(ウ) ~(~私a& 理事長a)&
         (~私a& 理事長a)  8イ&I
1 9 (エ)  ~~私a         アウRAA
1 9 (オ)    私a         エDN
1   (カ)   理事長a→私a     9オCP
1   (キ)∀x(理事長x→私x)    カUI
1   (〃)すべてのxについて、xが理事長であるならば、xは私である。
従って、
(03)(04)(05)(06)により、
(07)
① ∀x( 理事長x→ 私x)
②~∃x( 理事長x&~私x)
③~∃x(~私x& 理事長x)
④ ∀x(~私x→~理事長x) 
に於いて、
① ならば、② であり、
② ならば、③ であり、
③ ならば、④ であって、
④ ならば、① である。
従って、
(07)により、
(08)
① ∀x( 理事長x→ 私x)
②~∃x( 理事長x&~私x)
③~∃x(~私x& 理事長x)
④ ∀x(~私x→~理事長x) 
に於いて、
①=②=③=④ である。
従って、
(01)(02)(08)により、
(09)
① 理事長であるならば私である。
② 理事長であって私でない。といふことはない。
③ 私でなくて理事長である。といふことはない。
④ 私でないならば理事長ではない。
に於いて、「直観」として、
①=②=③=④ であって、
尚且つ、「述語論理」としても、
①=②=③=④ である。
然るに、
(10)
① 理事長であるならば私である。
④ 私でないならば理事長ではない
といふことは、
① 理事長は私です。
④ 私以外は理事長ではない
といふ、ことである。
従って、
(09)(10)により、
(11)
理事長は私です。
④ 私以外は理事長ではない
といふ「対偶(Contraposition)」に於いて、
①=④ である。
然るに、
(12)
①「」は、「一人しかゐない。」
従って、
(12)により、
(13)
理事長は私です。
といふのであれば、
理事長は、一人(私)しかゐない。
従って、
(13)により、
(14)
理事長は私です。
といふのであれば、
③ 私以外は理事長ではない
といふことは、固より、「当然」である。
然るに、
(15)
よく知られているように、「私理事長です」は語順を変え、
 理事長は、私です。
と直して初めて主辞賓辞が適用されのである。また、かりに大倉氏が、
 タゴール記念会は、私理事です。
と言ったとすれば、これは主辞「タゴール記念館」を品評するという心持ちの文である。
(三上章、日本語の論理、1963年、40・41頁)
従って、
(14)(15)により、
(16)
① 私理事長です。
理事長は私です。
③ 私以外は理事長ではない
に於いて、
①=②=③ である。
従って、
(17)
① 私理事長です。
といふ「日本語」は、
③ 私以外は理事長ではない。
といふ、「意味」である。
然るに、
(18)
「三上章、日本語の論理、1963年」を読む限り、三上章先生は、
① 私理事長です。
理事長は私です。
に於いて、
①=② である。
といふことには、気付いてゐるものの、
① 私理事長です。
③ 私以外は理事長ではない
に於いて、
①=③ である。
といふことに、気付いてゐない
従って、
(19)
三上章先生は、
① 私理事長です。
③ 私以外は理事長ではない
に於いて、
①=③ である。
といふことを「無視」した上で、
 (a)私は 理事長です。 既知+未知
 (b)私 理事長です。 未知+既知
未知+既知は順序としては逆であるから、(b)はひっくり返して(d)に変えることができる。
 (c)理事長は 私です。 既知+未知
こうして内蔵のハが文面に出てくる。この文は(b)と同値である(三上章、日本語の論理、1963年、108頁改)。
といふ風に、述べてゐる。