― 事情があって、明日からしばらくの間(1・2・3週間くらひ?)、ブログを書くことが、出来そうもありません。ただし、ブログを止めてしまふわけでは、決してないので、そのことだけは、確認させて貰いたいと思ひます。―
(01)
未然 連用 終止 連体 已然 命令
なら なり(に) なり なる なれ なれ (体言・連体形に接続)
断定を表す。
然るに、
(02)
① 未然形
(c)
「ば」に続いて「仮定条件」を表す。
*未然―「未だ然からず」、すなわち「まだ、そうなってゐない」の意である。
⑤ 已然形
(a)「ば」「ども」に続いて「確定条件」を表す。
*已然―前の「未然」の反対で、「已に然り」、すなわち、「すでにそうなっている」の意である。
(中村菊一、基礎からわかる古典文法、1978年、23・24頁)
従って、
(01)(02)により、
(03)
① Pなら(未然形)ばQなり。
⑤ Pなれ(已然形)ばQなり。
に於いて、
① Pは、「未定」であって、
⑤ Pは、「確定」である。
従って、
(03)により、
(04)
① Pなれ(已然形)ばQなり。
② Pなら(未然形)ばQなり。
といふ「文語」は、
① PなのでQである。
② PならばQである。
といふ「口語」に相当する。
従って、
(03)(04)により、
(05)
以下では、
① Pなれ(已然形)ばQなり。
② Pなら(未然形)ばQなり。
と書けば、
① PなのでQである。
② PならばQである。
といふ「意味」であって、尚且つ、
① のPは、「確定」であって、
② のPは、「未定」である。
とする。
然るに、
(06)
「・・・・・という仮定が与えられるならば、・・・・・と正しく結論することができる」という煩雑な表現の略記法があれば好都合であろう。このためわたしは、論理学の文献のなかでしばしば、しかし誤解を招きやすい仕方で、断定記号(assertion-sign)、
├
を導入する。これは「故に」(therefore)と読むのが便利であろう。
(E.J.レモン、竹尾治一郎・浅野楢英 訳、論理学入門、16頁)
従って、
(05)(06)により、
(07)
① P├ P
と書くならば、
① Pなれ(已然形)ばPなり。
といふ「意味」であって、
① のPは、「確定」であって、「未定」ではない。
然るに、
(08)
1(1)P 仮定
に於いて、
1 とは、すなはち、
P である。
従って、
(09)
1(1)P 仮定
といいふことは、実際には、
P(1)P 確定
といふ、ことになる。
従って、
(07)(08)(09)により、
(10)
1(1)P 仮定
は、その実、
① P├ P
① Pなれ(已然形)ばPなり。
といふことなる。
然るに、
(11)
29 P├ P
1(1)P A
これ以上短い連式は証明できないし、またその証明は可能な最も短い証明である。
No shorter sequent than this can be proved, and its proof is the shortest possible proof.
(E.J.レモン、竹尾治一郎・浅野楢英 訳、論理学入門、44頁と、原文)
従って、
(10)(11)により、
(12)
もう一度、確認すると、
1(1)P 仮定
といふ「証明」は、その実、
① P├ P
① Pなれ(已然形)ばPなり。
といふ、ことであり、それ故、
① Pは、「確定」である。
然るに、
(13)
興味のある定理の大ていのものは、事実上CPを適用することによって導かれる。たとえば、
Most theorems of intrest are obtained in fact by application of CP. For example:
38 ├ P→P(連式29を参照)
1(1)P A
(2)P→P 1,1 CP
(E.J.レモン、竹尾治一郎・浅野楢英 訳、論理学入門、64頁と、原文)
従って、
(13)により、
(14)
1(1)P A
(2)PならばPである。11 CP
といふ興味のある定理は、CPを適用することによって導かれる。
然るに、
(15)
38 ├ P→P(連式29を参照)
├ ~P∨P(排中律)
1 (1) P A
(2) P→ P 11CP
3 (3) P&~P A
3 (4) P 3&E
3 (5) P 24MPP
3 (6) ~P 3&E
3 (7) P&~P 56&I
(8) ~(P&~P) 37RAA
9 (9) ~(~P∨P) A
ア(ア) ~P A
ア(イ) ~P∨P ア∨I
9ア(ウ) ~(~P∨P)&
(~P∨P) 9イ&I
9 (エ) ~~P アウRAA
9 (オ) P エDN
9 (カ) ~P∨P オ∨I
9 (キ) ~(~P∨P)&
~P∨P 9カ&I
(ク)~~(~P∨P) 9キRAA
(ケ) ~P∨P クDN
(〃)Pでないか、または、である。 クDN
従って、
(14)(15)により、
(16)
1(1)P A
(2)PならばPなり(同一律)。 11 CP
(ケ)Pでないか、または、である(排中律)。 クDN
といふ興味のある定理である、「同一律」は、CPによって、「排中律」は、RAAとDNによって、導かれる。
然るに、
(17)
(ケ)Pでないか、または、である(排中律)。
といふのであれば、固より、明らかに、
③ Pは「未定」である。
従って、
(05)(07)(15)(16)(17)により、
(18)
1(1)Pである。 A
(2)PならばPなり(同一律)。 11 CP
(ケ)Pでないか、または、である(排中律)。クDN
に於いて、順番に、
① Pは「確定」であり、
② Pは「未定」であり、
③ Pは「未定」である。
然るに、
(19)
1(1)Pである。 A
(2)PならばPなり(同一律)。 11 CP
(ケ)Pでないか、または、である(排中律)。 クDN
であるといふことは、
(1)に於ける「仮定の数」は、「1番目の仮定」が「1個」。
(2)に於ける「仮定の数」は、「0個」。
(ケ)に於ける「仮定の数」も、「0個」。
である。といふことになる。
従って、
(19)により、
(20)
(1)から、
(2)へ降りた「時点」で、
(1)にあった「仮定」が、「無くなってゐる」。
然るに、
(21)
困難さの第二の理由には、自然演繹には「仮定の解消」(最初に仮定しておいて、あとでなかったことにする)という手続きがあり、それがなかなか理解しづらいことです。自然演繹は、「仮定の解消」のおかげで公理なしに演繹システムになり得ており、その意味で「仮定の解消」は自然演繹の本質だと言っても過言ではありません(小島寛之、証明と論理に強くなる、2017年、144頁)。
従って、
(12)(15)(19)(20)(21)により、
(22)
(1)Pなれ(已然形)ばPなり。
(2)Pなら(未然形)ばPなり。
に於いて、
(1)から、
(2)へ降りた「時点」で、「仮定の解消」が行はれ、
(1)のPは、「確定」から、
(2)のPは、「未定」に、変はってゐる。
従って、
(05)(12)(15)(22)により、
(23)
1(1)P A
(2)P→P 11CP
といふ「計算」、すなはち、
1(1)Pである。 A
(2)Pなら(未然形)ばPなり。 11CP
といふ「計算」に於いて、
(1)のPは、「確定」から、
(2)のPは、「未定」に、変はってゐる。
ものの、何故、さうなのかと言はば、
(2)P→P
といふ「式」は、
(2)Pなら(未然形)ばPなり。
といふ「日本語」に、相当し、
(2)Pなら(未然形)ばPなり。
といふ「日本語」に於いて、
(2)Pは、「未定」である。
からである。
といふ、ことなる。
然るに、
(24)
1(1)P A
に於いて、 Aは、
Assumptionの
A、すなはち、
「仮定」のAである。
従って、
(23)(24)により、
(25)
1(1)P A
に於いて、P は、「確定」であると、
「仮定」されてゐて、
(2)P→P 11CP
に於いて、P は、「確定」であるといふ、
「仮定」が、「解消」されてゐる。
従って、
(21)(25)により、
(26)
「仮定の解消」といふのは、確かに、(最初に仮定しておいて、あとでなかったことにする)という手続きである。
といふ、ことになるが、より正確に言ふと、
「仮定の解消」といふのは、(最初に「確定」としておいて、あとで「未定」にする)という手続きである。
といふ、ことになる。
然るに、
(27)
未然 連用 終止 連体 已然 命令
なら なり(に) なり なる なれ なれ (体言・連体形に接続)
断定を表す。
① 未然形
(c)
「ば」に続いて「仮定条件」を表す。
*未然―「未だ然からず」、すなわち「まだ、そうなってゐない」の意である。
⑤ 已然形
(a)「ば」「ども」に続いて「確定条件」を表す。
*已然―前の「未然」の反対で、「已に然り」、すなわち、「すでにそうなっている」の意である。
(中村菊一、基礎からわかる古典文法、1978年、23・24頁)
といふ事情は、英語にはないため、右のやうな「説明」を、E.J.レモン先生が、してゐるわけでは、もちろん、ない。
(01)
① Pであるならば、Qである。
② Pであって、 Qでない。といふことはない。
③ Qでなくて、 Pである。といふことはない。
④ Qでないならば、Pでない。
に於いて、
①=②=③=④ である。
といふ「等式」を「素朴対偶論」とする。
従って、
(02)
「素朴対偶論」により、「記号」で書くならば、
① P→ Q
② ~( P&~Q)
③ ~(~Q& P)
④ ~Q→~P
に於いて、
①=②=③=④ である。
然るに、
(03)
(ⅴ)
1 (1) ~(P→ Q) A
2(2) ~(P&~Q) A
2(3) ~P∨ Q 2ド・モルガンの法則
2(4) P→ Q 3含意の定義
12(5) ~(P→ Q)&
(P→ Q) 12&I
1 (6)~~(P&~Q) 25RAA
1 (7) P&~Q 6DN
(ⅵ)
1 (1) P&~Q A
2(2) P→ Q A
2(3) P 1&E
12(4) Q 23MPP
1 (5) ~Q 1&E
12(6) Q&~Q 45&I
1 (7) ~(P→ Q) 26RAA
従って、
(03)により、
(04)
⑤ ~(P→ Q)
⑥ P&~Q
に於いて、
⑤=⑥ である。
然るに、
(05)
(ⅵ)
1 (1) P&~Q A
1 (2) ~Q 1&E
1 (3) P 1&E
1 (4) ~Q& P 23&I
(ⅶ)
1 (1) ~Q& P A
1 (2) P 1&E
1 (3) ~Q 1&E
1 (4) P&~Q 23&I
従って、
(05)により、
(06)
⑥ P&~Q
⑦ ~Q& P
に於いて、
⑥=⑦ である。
然るに、
(07)
(ⅶ)
1 (1) ~Q& P A
2(2) ~Q→~P A
1 (3) ~Q A
12(4) ~P 23MPP
1 (5) P 1&E
12(6) ~P&P 45&I
1 (7)~(~Q→~P) 2RAA
(ⅷ)
1 (1) ~(~Q→~P) A
2 (2) ~(~Q& P) A
2 (3) Q∨~P 2ド・モルガンの法則
4 (4) Q A
4 (5) ~~Q 4DN
4 (6) ~~Q∨~P 5∨I
7(7) ~P A
7(8) ~~Q∨~P 7∨I
2 (9) ~~Q∨~P 34678∨E
2 (ア) ~Q→~P 9含意の定義
12 (イ) ~(~Q→~P)&
(~Q→~P) 1ア&I
1 (ウ)~~(~Q→~P) 2イRAA
1 (エ) ~Q→~P ウDN
従って、
(07)により、
(08)
⑦ ~Q& P
⑧ ~(~Q→~P)
に於いて、
⑦=⑧ である。
従って、
(04)(06)(08)により、
(09)
⑤ ~(P→ Q)
⑥ P&~Q
⑦ ~Q& P
⑧ ~(~Q→~P)
に於いて、
⑤=⑥ である。
⑥=⑦ である。
⑦=⑧ である。
従って、
(09)により、
(10)
⑤ ~(P→ Q)
⑥ P&~Q
⑦ ~Q& P
⑧ ~(~Q→~P)
に於いて、
⑤=⑥=⑦=⑧ である。
従って、
(10)により、
(11)
⑤ ~(P→ Q)
⑥ P&~Q
⑦ ~Q& P
⑧ ~(~Q→~P)
に於ける、それぞれの、「否定」である、
① ~~(P→ Q)
② ~(P&~Q)
③ ~(~Q& P)
④ ~~(~Q→~P)
に於いて、
①=②=③=④ である。
従って、
(01)(02)(11)により、
(12)
「二重否定の除去」により、
① P→ Q
② ~(P&~Q)
③ ~(~Q& P)
④ ~Q→~P
に於いて、
①=②=③=④ である。
従って、
(10)(12)により、
(13)
① P→ Q
② ~(P&~Q)
③ ~(~Q& P)
④ ~Q→~P
⑤ ~(P→ Q)
⑥ P&~Q
⑦ ~Q& P
⑧ ~(~Q→~P)
に於いて、
①=②=③=④ であって、
⑤=⑥=⑦=⑧ であって、
⑤ は、① の「否定」であり、
⑥ は、② の「否定」であり、
⑦ は、③ の「否定」であり、
⑧ は、④ の「否定」である。
然るに、
(14)
② ~(P&~Q)≡(Pであって、Qでない。)といふことはない。
といふのであれば、
② は、「Pである。」とは言ってゐないし、「Qでない。」とも言ってゐない。
従って、
(01)(02)(12)(14)により、
(15)
① P→ Q ≡ Pならば、 Qである。
② ~(P&~Q)≡(Pであって、Qでない。)といふことはない。
に於いて、
② は、「Pである。」とは言ってゐないし、「Qでない。」とも言ってゐない。
① も、「Pである。」とは言ってゐないし、「Qでない。」とも言ってゐない。
然るに、
(16)
未然 連用 終止 連体 已然 命令
① なら なり(に) なり なる なれ なれ (体言・連体形に接続)
① 断定を表す。
然るに、
(17)
*未然―「未だ然からず」、すなわち「まだ、そうなってゐない」の意である。
(中村菊一、基礎からわかる古典文法、1978年、23頁)
従って、
(16)(17)により、
(18)
① Pなら(未然形)ばQである。
といふ「日本語」は、
① まだ、Pではないが、Pが起これば、Qである。
といふ「意味」である。
然るに、
(19)
① まだ、Pではないが、Pが起これば、Qである。
として、
④ Qでない。
といふのであれば、
④ まだ、Pは起こってはゐない。
といふことになる。
然るに、
(20)
④ まだ、Pは起こってはゐない。
といふことは、
④ まだ、Pでない。
といふ、ことである。
従って、
(19)(20)により、
(21)
① まだ、Pではないが、Pが起これば、Qである。
といふのであれば、
④ まだ、Qではない、ならば、まだ、Pではない。
といふ、ことになる。
然るに、
(22)
① まだ、Pではないが、Pが起これば、Qである。
④ まだ、Qではない、ならば、まだ、Pではない。
といふことは、
① Pであるなら(未然形)ばQである。
④ Qでないなら(未然形)ばPでない。
といふことである。
従って、
(12)(16)(17)(22)により、
(23)
① P→ Q≡Pであるなら(未然形)ばQである。
④ ~Q→~P≡Qでないなら(未然形)ばPでない。
に於いて、
①=④ である。といふことは、
未然 連用 終止 連体 已然 命令
① なら なり なり なる なれ なれ
といふ「活用」に於ける、
*未然―「未だ然からず」、すなわち「まだ、そうなってゐない」の意である。
といふことからしても、「正しい」。
然るに、
(13)により、
(24)
① P→ Q≡PであるならばQである。
⑥ P&~Q≡Pであって、 Qでない。
に於いて、
① と ⑥ は、「矛盾」する。
然るに、
(25)
(ⅰ)
1 (1) P→ Q A
2(2) P&~Q A
2(3) P 2&E
12(4) Q 12MPP
2(5) ~Q 2&E
12(6) Q&~Q 45&I
1 (7)~(P&~Q) 26RAA
(ⅱ)
1 (1) P&~Q A
2(2) P→ Q A
1 (3)~(~P∨ Q) 1ド・モルガンの法則
2(4) ~P∨ Q 2含意の定義
12(5)~(~P∨ Q)&
(~P∨ Q) 34&I
1 (6) ~(P→ Q) 25RAA
従って、
(24)(25)により、
(26)
① P→ Q≡PであるならばQである。
⑥ P&~Q≡Pであって、 Qでない。
に於いて、
① と ⑥ は、確かに、「矛盾」する。
然るに、
(27)
⑥ P&~Q≡Pであって、Qでない。
といふのであれば、
⑥ は、「Pである。」と言ってゐるし、「Qでない。」とも言ってゐる。
然るに、
(15)により、
(28)
① P→ Q≡PであるならばQである。
といふのであれば、
① は、「Pである。」とは言ってゐないし、「Qでない。」とも言ってゐない。
従って、
(27)(28)により、
(29)
① P→ Q≡PであるならばQである。
⑥ P&~Q≡Pであって、 Qでない。
に於いて、
① は、「Pである。」とは言ってゐないし、「Qでない。」とも言ってゐない。
⑥ は、「Pである。」と、言ってゐるし、 「Qでない。」とも言ってゐる。
従って、
(26)(29)により、
(30)
① P→ Q≡PであるならばQである。
⑥ P&~Q≡Pであって、 Qでない。
に於いて、
① と ⑥ は、確かに、「矛盾」する。