風の向くまま薫るまま

その日その時、感じたままに。

リー・ヴァン・クリーフ

2017-05-22 12:00:15 | 名バイプレーヤー










このシリーズは故人ばかり取り上げているような気がする、それも悪役さんばかり(笑)。


イマドキの役者さんは滅多に取り上げない懐古シリーズってことで、どうかご了承のほど。



今日取り上げるのはハリウッドの名脇役にして名悪役、リー・ヴァン・クリーフ。ハリウッドの俳優とご紹介いたしましたが、私がこの方を知ったのはハリウッド映画ではありません。1965年公開のイタリア映画『夕陽のガンマン』でした。イタリアで制作された西部劇、いわゆる「マカロニ・ウエスタン」です。



クリント・イーストウッドとの二枚看板で一方の主役。当時リー氏は交通事故で足を怪我しており、医者からもう馬には乗れないかもしれないから、西部劇の出演は無理と云われ、なかば引退状態にあったそうです。しかし遠くイタリアから、自分を認めてくれてオファーが来たことに一念発起し、リー氏は出演を決意、映画は見事大成功を治めます。




見よ!この鷹のような鋭い目!


その鷹のような鋭い目で獲物を追い詰める賞金稼ぎ役は、主役のイーストウッドを喰ってしまうほどのものでした。


66年公開の映画『続・夕陽のガンマン 地獄の決斗』原題『The Good,the Bad,and The Agry(善玉、悪玉、卑劣漢)』に出演。善玉にクリント・イーストウッド、卑劣漢にイーライ・ウォラック、そして悪玉をリー・ヴァン・クリーフが演じ、人気を不動のものにします。


その後は多くのマカロニ・ウエスタンに出演、ジュリアーノ・ジェンマと共演した『怒りの荒野』、『サバタ・シリーズ』では主役のサバタを演じ、その他『西部悪人伝』等々、大活躍でしたね。




『夕陽のガンマン』より。背中を向けているのはドイツの名優クラウス・キンスキー!何気に凄い共演!!



マカロニ・ウエスタンが下火になったあとも、本国アメリカで名バイプレーヤーとして活躍。79年公開のジョン・カーペンター監督によるカルト映画『ニューヨーク1997』では、カート・ラッセル演じるスネーク・プリスケンの血管内に超小型爆薬を注入し、制限時間内に大統領を救出することを強要する、悪辣な警察本部長役で出演。往年の鷹の目は健在でした。



85年にはサントリーオールドのCMに出演、往年のファンを喜ばせました。


私生活でも大変に気骨溢れる方で、映画のプロデューサーに気に入らないことを言われ「黙れ!」と一喝したとか、監督の指示でも納得いかなければ拒否するというような、役に対する強いこだわりを持って臨んでいた方でした。



1989年、心筋梗塞のため死去。享年64歳。その栄光ある悪役人生に、惜しみない拍手を送りたい。


VIVA!!




サントリーオールドCM






『続・夕陽のガンマン』ラストシーン。このやたらと長い間の取り方は、イマドキの人には耐えられないかも。悪玉は死に、卑劣漢は文句を言いながらも生き残り、善玉は颯爽と去っていく。でもこの善玉が実は一番悪い奴だったというオチは秀逸!エンニオ・モリコーネの音楽も素晴らしい!

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4 コメント

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Unknown (チャメゴン)
2017-05-23 16:45:23
サントリー・オールドのCMのリー・ヴァン・クリーフさんの笑顔、とってもお茶目ですね!
足を怪我されて引退の覚悟をされてからの思わね復活!!!!!
人生わからないものですね!
素晴らしき俳優人生に乾杯!!!
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Unknown (薫風亭奥大道)
2017-05-23 23:12:53
チャメさん、あの笑顔は本当に良い笑顔だよね。良い人生を送られたんだと思う。
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Unknown (Unknown)
2020-05-13 22:18:50
夕陽のガンマン見て ここにたどり着きました 志村喬さんを思い起こす迫力を感じる俳優さんでした
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Unknown (薫風亭奥大道)
2020-05-14 09:38:22
Unknownさん、ありがとうございます。
この叩き上げの感じ、いいですよね。なるどど、志村喬さんですか、印象は人それぞれなので、それも面白いと思います。私などは底辺から這い上がってきた感じが、蟹江敬三さんとか成田三樹夫さん、石橋蓮司さんなどを連想させます。
ハリウッドの西部劇『真昼の決闘』には、映画の冒頭から出演されています。よろしければこちらも御覧になってみて下さい。
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