風の向くまま薫るまま

その日その時、感じたままに。

特撮映画紳士録ー第4回ー 小林昭二

2020-09-10 05:38:24 | 特撮映画

 

 

 

 

 

『ウルトラマン』より、右側がムラマツキャップ(小林昭二)左側がイデ隊員(二瓶正也)

 

 

 

 

「こばやし あきじ」とお読みします。「しょうじ」ではありません。

 

この方のお姿を拝見するたび、何か心躍るものを感じられる方は、男女を問わず、各世代におられることでしょう。

 

ウルトラマンで科学特捜隊隊長、ムラマツキャップを演じ、『仮面ライダー』シリーズでは、ライダー達を蔭に日向に援助する人物、立花藤兵衛、通称「おやっさん」を演じておられた。

 

 

ウルトラマン出演時、主役のハヤタ隊員を演じる黒部進氏に「子供番組だからといって、子供に媚びる必要はない。大人の演技をすればいい」とアドバイスしたとか。子供たちに出来るだけ良いものを届けたいからこそ、その姿勢は真摯であらねばならない。仕上がった映像の、自分の演技に納得いかないと、厳しいスケジュールの中で撮り直しを要求したほど、作品への思い入れの強い方だったようです。

 

その真摯な姿勢に感銘を受けた東映プロデューサー、平山享氏が是非出演してくれと熱烈なオファーをかけ、仮面ライダー出演が決定したのだそうな。

 

仮面ライダーの現場では、主演俳優はもちろんのこと、スタッフや主に悪役を演じる大野剣友会の皆さんに至るまで、「おやっさん」と呼ばれ、慕われ、尊敬された。比較的若手の多いライダーの撮影現場でしたが、「おやっさん」がいたお陰で揉め事はほとんどなかったそうです。

 

大変な気遣いをなされる方で、『仮面ライダーX』で主役を演じた速水亮氏によれば、自分が出演していない回でも、ちゃんと放送をチェックして「あのシーンの演技はよかった」と、わざわざ電話をくれたそうです。

仮面ライダーの主演俳優は殆どが素人に近い新人です。右も左も分からない中、このように気遣ってくれる大先輩がいたことは、とても大きな励みになったことでしょう。

 

子供たちに出来るだけ良い作品を送りたいという真摯な思いが、こんなかたちでも現れていた。もう、ここまでくると、

「人格者」といっていいのかも。

 

特撮モノ以外にも、多くの映画やテレビドラマに、現代劇と時代劇とを問わず出演されていました。普通のお父さんから鬼気迫る極悪人までなんでも見事に演じられた、名バイプレーヤーでした。

市川崑監督作品の常連で、市川監督が撮られた「金田一耕助シリーズ」には、『犬神家の一族』はじめ全作品に出ておられます。

 

しかしこの方には、特撮の現場こそよく似合う。

1991年公開『ゴジラVSキングギドラ』、1992年公開『ゴジラVSモスラ』に相次いで出演。特撮ファンを楽しませてくれました。

 

そして、1996年公開『ガメラ2レギオン襲来』に出演。子供の頃に東京大空襲を経験した、先任空曹を演じられました。

ワンシーンだけの出演でしたが、部下に向かい「今度こそ守ろうや」と静かに語りかける。

そのセリフに込められた、国を、国民を、子供たちを

【守りたい】という想い。

 

良いシーンでした。

 

 

その同じ1996年、、小林昭二さんは肺癌のため死去されました。

65歳の若さでした。

 

 

 

 

ウルトラマンと仮面ライダーという、もはや伝統芸能の域に達した感のある、二大特撮番組の黎明期に出演され、多大な功績を残された。

 

私のような特撮ファンからすれば、いくらリスペクトしてもし足りないくらいの大人物、大俳優です。

 

ただただ、ただただ

 

感謝しかありません。

 

ありがとうございました。

本当に本当に

 

ありがとうございました。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿