『徳川家康』という映画を観ました。
古い古い映画です。家康の若い頃を描いた映画で、幼い頃の人質生活から織田信長との出合い。そして桶狭間の合戦までを描いています。
北大路欣也さんが、若くて理想に燃える真っ直ぐな家康を瑞々しく演じております。北大路さんは今年の大河ドラマでも徳川家康を演じています。若い頃から何度も家康を演じているのですねえ。
で、この映画に織田信長役で出演していたのが、中村錦之助(後の萬屋錦之介)さんです。
この信長が素晴らしかった!
明るく豪放磊落で、言葉遣いは乱暴だが粗野ではなく、寧ろ気品が漂っており、強さと優しさと繊細さを併せ持った多面的な信長を魅せていただきました。
あのような魅力的な信長はなかなかいません。信長というとどうしても理不尽な面が強調されてしまいがちで、下手な役者が演じるとただのチンピラになってしまう。名門の気品と破天荒さとを兼ね備えた信長像を、一人の役者さんがしっかりと見せてくれる、こんなことはまずありません。大概は多角的な面の極一部を演じられるのがせいぜいのこと、それでもよしとする他はない。
中村錦之助という方は、身分の高い役からヤクザまで、どんな役でも見事に演じ分けられた。故・福本清三さんによれば、錦之助さんは侍の殺陣とヤクザの殺陣を演じ分けることができた、稀有な役者さんだったといいます。本当に
「上手い」役者さんだったのですねえ。
こういう役者さんがおられた。時代劇が面白かったわけだ。
良い時代でした。
最近、ある方が信長を演じたドラマを、少しだけ観ました。
冒頭の数分だけ観て、「もういいや」と、観るのを辞めてしまいましたが。
何故辞めたのか、単純な話です。
その方の演技が、下手だからです。
申し訳ないが、この方は時代劇や現代劇の世界に進出するべきではない。この方の演技は
見るに堪えない。
せめて本業の歌舞伎の世界では、良い役者であることを切望します。
これは悪口ではありません、あくまで個人的な評論です。
改めて思う。この方が5代目鬼平にならなくて
良かったと。
重ねて言います、これは悪口ではありません。あくまで
個人的評論です。
本業の歌舞伎の世界で、どうか頑張っていただきたい。
切に。
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