大前研一のニュースのポイント

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イスラエルが生き残る道はどこにあるか? 資本主義は機能しなくなったのか?

2009年01月27日 | ニュースの視点
イスラエルのオルメルト暫定首相は17日夜の閣議終了後、ここ3週間続けてきたパレスチナ自治区ガザへの大規模攻撃を、18日午前2次から一方的に停止すると発表した。

今、欧米のメディアはこの話題で持ち切りといった状態だが、最近の欧米のメディア報道を見ていると少しこれまでのイスラエルに関する報道から論調が変化してきているように感じる。

2009年1月19日TIME誌には、珍しくイスラエルに対して悲観的な見解を示す記事が掲載されていた。

TIME誌で指摘している論旨は、次のようなものだ。

「ガザ地区のような小さな地域に今のようにイスラエル人とパレスチナ人が混在していても安定化は望めない。パレスチナ人のために、ガザ地区よりも大きな地域を割り当てて国を建立させるべきだ」

その根拠として、今後の人口増加比率を挙げている。

現在、イスラエル人とパレスチナ人が同数程度で混在している地域でも、今後はパレスチナ人の人口が圧倒的に増え、両者のバランスが崩れていくと言う。

2020年には「パレスチナ人:8.5ミリオン=ユダヤ人:6.4ミリオン」になるという試算のようだ。これは、的を射た指摘だと思う。

また、18日、ムバラク大統領、サルコジ仏大統領、アッバス・パレスチナ自治政府議長らがガザ問題の善後策を協議した。

サルコジ仏大統領はグルジア紛争の時といい、あちこち頻繁に顔を出しては仲裁に入っている。

フットワークが軽いのは結構だが、サルコジ仏大統領の言動を見ていると、思考に深みが足らず本質的なポイントを外した指摘が多いと私は感じる。

例えば、今回の金融危機を踏まえて、「資本主義・自由主義そのものに問題があるのではないか」と言われれば、学者を呼んで会議を開いたりしているようだが、これは全くの的外れだと私は思う。

今回の金融危機を招いた本質的な問題は、米国の金融商品に関する厳格なルールがなく、悪質な金融商品が世界中にばら撒かれてしまった点にある。

資本主義や自由主義そのものを問題視するのは間違いだろう。

学者の中にも、「もはや資本主義や自由主義が機能しなくなったのだ」という意見を述べている人もいるようだが、サルコジ仏大統領と同様、主眼を置くべき点を間違えているを言わざるを得ない。

さらに言えば、キャピタリズムの時代ではなく、コミュニズムの時代だという意見も耳にするが、この形態も行き着くところ、コミュニズムを標榜しつつも、世界で最も赤裸々にキャピタリズムを作り上げた中国のような国家になることもあるのだ。

この点を見逃すべきではないだろう。

紛争があればすぐに駆けつけるという政治的なアピールが上手なので、フランス国内での評判は上々のようだが、サルコジ仏大統領には国家のトップに立つ人として、もう少し深い思考をして頂きたいところだ。

3 コメント

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Unknown (デンジャラス)
2009-01-28 10:29:14
ガザ地区のnews

ショックだった…
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知能 (からかさ)
2009-01-28 16:21:17
知能指数がとても高い人々のはずなのに…?

地中海を埋め立てて、新しい国家を創るしか…ないのか! 

現代の技術があれば可能なはず。

原爆を落として、何もかも吹き飛ばして、更地から国づくりを始めるか?(笑)


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大前さん中国人に用心! (からかさ)
2009-02-03 08:47:28
マッキンゼー本社が日本人向けに発信!和訳しているのか?
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